京都の神社探訪 8
「北野の天神さん」と親しまれている北野天満宮。学問の神さま・菅原道真を祀り、梅の名所としても有名です。毎月25日には、「天神市(天神さん)」が開催され、たくさんの露店と参拝者で賑わいます。梅の見頃を前に、天神さんの見どころや気になる御朱印など、知っておきたい情報をお届けします♪
1、“学問の神さま”・ご祭神「菅原道真」とは?
御本殿(国宝)
全国に約12,000社ある天満宮・天神社の総本社、北野天満宮は天暦元年(947)創建。ご祭神は平安時代の貴族・菅原道真です。その歴史はというと・・・
昌泰2年(899)、優れた才能の持ち主であった道真は右大臣となり、国家の政務を統括します。しかし昌泰4年(901)に突如、無実の罪で太宰権帥に左遷され、その2年後、太宰府にて命を落としました・・・ 道真の死後、京都でさまざまな天災などが起きたことから、これを無念の死を遂げた道真の成せる業と考え、その御霊を鎮め、都を守護する社として北野天満宮が創建されました。のちに、“天神さま”と崇められ、主に「学問」「至誠」「芸能」「厄除」の神さまとして、今も変わらず人々に信仰され続けています。
2、天神さんのお使いは“牛”。撫でると頭が良くなるかも?
境内のどこに鎮座する牛像でしょう? 探してみてくださいね♪
境内を歩くと、至るところでさまざまな「牛像」に出会います。これは道真が丑年に生まれ、墓所を決めたのが牛であったなど牛に関わる伝説が多く伝わり、“天神さんのお使い”とされてきました。通称“なで牛”と呼ばれ、頭を撫でると学業成就などの御利益があるそう。つるっとなめらかな手ざわりの像が多いのは、たくさんの人々に撫でられた証なのですね。
たくさんの方に撫でられ、だいぶ小顔になった牛像の姿を発見! こちらは境内北西に佇む「牛舎」に鎮座されていて、境内にある牛像のなかで最も古いものと伝わります。「一願成就のお牛さま」とも呼ばれ、撫でるとひとつだけ願いを叶えてくれるそう。牛舎のすぐ奥には絵馬掛所があるので、お参りのあとは絵馬にも願いを託してみてください。
3、絢爛豪華な天神さんの“建物”
三光門(重文)
御本殿前に建つ三光門(重文)は、桃山時代の建築様式で、後西天皇御宸筆の『天満宮』の勅願が掲げられています。“日・月・星”が「三光」の由来なのですが、梁の間には月と日の彫刻しかありません・・・ 実はその昔、かつて帝が、平安京・大極殿から北野天満宮を遙拝した際には、門の上に北極“星”が輝いていたのだとか! 神秘的な“星欠けの三光門伝説”、北野天満宮に伝わる天神さんの七不思議のひとつとされています。
三光門を通った先にある御本殿(国宝)は、「八棟造・権現造」といわれ、神社建築の歴史を伝える貴重な遺構。創建以来、何度も火災に遭い、現在の建物は桃山時代、豊臣秀頼によって造営されたもので、三光門と同じく絢爛豪華な建築様式です。昇殿参拝の際には、殿内の装飾にも注目してみてくださいね♪
4、古くから伝わる「天神さんの七不思議」とは?
中央の御神紋上にいらっしゃるのですが・・・ おや? よく見ると・・・
先ほどの“三光門伝説”のように、北野天満宮には昔から伝わる「七不思議」があり、信仰の対象として大切にされてきました。たとえば、 “牛”。境内に鎮座する牛像は臥せ姿が印象的ですが、ただ一ヵ所、拝殿の欄間に彫刻された牛をよ~く見ると・・・ なぜか立っています!
知らなければ通り過ぎてしまいそうな三光門の東南に立つ石灯籠には大黒さまが刻まれていて、口の部分が少しくぼんでいます。この口に小石を乗せ、成功した小石を財布に入れておくと、お金に困らなくなるのだとか! 「落ちない」ことから、受験生にも人気。小石を乗せるのは意外と難しいのですが、ぜひチャレンジしてみてください。
5、初夏と秋は見逃せない! 史跡御土居(おどい)のもみじ苑
初夏のもみじ苑
青もみじ・紅葉の時季に特別公開される「史跡御土居のもみじ苑」。「御土居」は天正19年(1591)に豊臣秀吉によって造られた洛中を囲む土塁で、境内に遺る御土居一帯に約350本のモミジが植わり、もみじ苑と呼ばれています。展望所から御本殿を望む紅葉風景は、2015年の「そうだ 京都、行こう。」秋キャンペーンのポスターにもなりました♪ 紙屋川にかかる朱色の鶯橋とのコントラストや、舞台から見下ろすモミジなど、絵になる光景がいっぱいです。
6、京都随一の梅名所。境内には約50種・約1,500本の梅が植わります!
梅苑
北野天満宮の見どころといえば“梅”。道真は梅をこよなく愛していたそうで、太宰府に出発する際、自宅の庭にあった梅に寄せて「東風(こち)吹かば匂ひおこせよ梅の花 主なしとて春を忘るな」と和歌を詠まれました。境内にはゆかりの梅が約50種・約1,500本植わり、2月から3月にかけて梅苑をはじめいたるところで可愛らしい花を目にできます。
左上:八重の紅い花びらが特徴の「寒紅梅」、右上:薄い青緑色の「月の桂」、左下:1本の木に紅白の梅が咲く「思いのまま」、右下:濃い紅色で大輪の八重が特徴の「黒梅」
たくさんの梅が植わる「梅苑」は、花が咲きそろい始める2月上旬から3月下旬に公開され、見頃の時季には連日多くの方で賑わいます。紅梅や白梅、八重、一重など、色も形もさまざまな梅の花と甘い香りに思わず顔もほころびそう♪ 日にち限定で、珍しい梅ライトアップも開催。 6月頃に採取される梅の実は、塩漬けにしたあと、夏に御本殿前の筵棚に広げられ土用干し、年末に新年縁起物「大福梅(おおふくうめ)」として参拝者に授与されます。
■「梅苑」公開
【日程】2020年2月1日(土)~3月15日(土)
9:00~16:00(受付終了)
【料金】1,000円(茶菓子付)
<梅苑ライトアップ>
2020年2月28日(金)~3月22日(日)の金・土・日曜日/日没~20:00(受付終了) ※昼夜入替なし/1,000円(茶菓子付き)
※2020年は中止となりました。
\気になる“梅”の撮影方法とは?/
⇒【古都こよみ】北野天満宮 色とりどりの梅を撮りつくそう
7、大ブームの“刀”をはじめ、宝物殿で貴重なご神宝をじっくり鑑賞
宝物殿(時季により展示が異なります)
宝物殿では、皇室をはじめ公家や武士、商人などから奉納された刀や鎧、絵巻など、北野天満宮に伝わる貴重なご神宝が展示されています。2020年1月25日(土)からは、企画展「天神さまのシンボル-松と梅と牛- お牛さまに願いを!」が始まり、竹内栖鳳の『紅白梅図』や、前田家奉納の太刀5振などを公開。現在、奈良県の春日大社にて展示されている太刀「鬼切丸(別名 髭切)」(重文)も2月1日(土)からは宝物殿にて展観されますので、刀剣ファンの方はお見逃しなく。
■「天神さまのシンボル-松と梅と牛- お牛さまに願いを!」
【日程】2020年1月25日(土)~3月29日(日)
9:00~16:00
【料金】800円
8、ファン必見! 種類豊富な御朱印&御朱印帳♪
通常の御朱印 300円
刀剣御朱印(それぞれの刀の特製和紙印刷仕様押型とセット) 各1,000円 ※書き置きのみ
しっかりと参拝したあとは、参拝の証「御朱印」をいただきましょう。北野天満宮では現在、さまざまな種類の御朱印をいただくことができます。天神さんにゆかりのある「和魂漢才」の四字熟語や「至誠」、「文道大祖 風月本主」がそれぞれに書かれた御朱印、北野天満宮が所蔵する“刀剣”の御朱印など、迷ってしまうこと必至。お参りごとに御朱印をいただくのも楽しみのひとつになるかもしれません。
御朱印帳 1,500円
御朱印帳も種類豊富で、こちらの西陣織のレースに金糸が美しい御朱印帳は白・青・緑の3色がラインアップ。縁起の良い“七宝つなぎ模様”で、紅白の水引が目を引く一冊です♪ 「御朱印集め、始めてみたいな」という方は天神さんからスタートしてみてはいかがでしょうか?
\神職さんに「御朱印」についてお伺いしました/
⇒【京さんぽ】北野天満宮 天神さまとご縁を結ぶご朱印
9、毎月25日は「天神市」。多くの方で賑わいます!
東寺の「弘法市(弘法さん)」とともに、京都の“二大縁日”として知られる「天神市(天神さん)」。道真の生まれた日・命日がどちらも25日だったことから、毎月25日に行われています。骨董品や古着、手作りアイテムなどの露店が並び、多いときには1,500軒ほどにもなるそう。早朝6時頃から始まり、日没後には御本殿などのライトアップも実施。「天神市」でしか感じることのできない雰囲気を体験してみてくださいね!
\「そう京」スタッフが「天神市」をレポート/
⇒【京さんぽ】北野天満宮の”天神市”に行ってみた。
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北野天満宮の主な見どころをご紹介しました。もちろんここに紹介できなかった魅力もまだまだたくさんあります! 四季折々にさまざまな歳時が行われていますので、そちらもあわせてチェックして、ぜひお参りにに訪れてみてくださいね♪
■北野天満宮
【参拝時間】5:00~18:00(10~3月は5:30~17:30)、社務所・授与所9:00~17:00
【参拝料】境内無料、もみじ苑・梅苑1,000円(茶菓子付)
宝物殿800円(毎月25日、梅苑・もみじ苑公開期間中など開館) ※要確認
【電話】075-461-0005
【アクセス】市バス「北野天満宮前」バス停からすぐ Google map
【公式ホームページ】http://kitanotenmangu.or.jp/
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