「お寺×お庭×お抹茶」で心ゆるやかに

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お抹茶
 

 

気になる初秋の楽しみ方 1


夏の暑さやわらぐ、初秋。紅葉シーズン前なのでまだ人も少なく、ゆったりと京都を満喫できます。そんな時季におすすめしたいのが、「お寺のお庭でお抹茶を楽しむこと」。タイミングが良ければ静かなお庭をひとりじめ、なんてこともあり、お抹茶もお庭の近くでゆっくり味わえることもしばしば。心地よい風が室内に流れ、外のさわさわと揺れる葉や木々に秋の気配を感じながら、ゆるやかな時間を過ごしてみませんか。


座布団に座って、楽な姿勢でお庭観賞♪ 「東福寺 芬陀院」

芬陀院1

東福寺からほど近くの芬陀院には、室町時代に活躍した水墨画家・雪舟が作庭したと伝わるお庭があります。その名も「鶴亀の庭」。鶴島と亀島の石組が配された枯山水庭園です。この亀島は、雪舟が石組みを作ったその夜に動き出したため、大きな石を突き立て、動きを止めたという逸話が残っています。お庭を見ると確かに甲羅の上くらいの位置に大きな石がありますね。あの石をのけるとまた動き出すのかな・・・ と、つい想像してしまいます。

芬陀院2

小さなお寺ですが、昭和の作庭家・重森三玲が手がけた東庭や、お茶室・図南亭(となんてい)、勾玉形の手水鉢がある露地庭など見どころがいっぱい。わたしのお気に入りは、薄暗いお茶室の丸窓から見える東庭。何度見ても飽きなくて、方丈からお茶室へ丸窓を眺めに行き、また方丈へ戻り・・・ と、訪れるたびにうろうろしてしまいます。京都の写真家・水野克比古さんの写真が飾ってあって、「どうすればこのアングルで撮れるのか」を模索しながら写真撮影に夢中になるのも楽しいひとときです。

芬陀院3

受付でお願いすれば、お抹茶と茶菓子「雪舟」がいただけます。菓子には雪舟の水墨画をイメージした焼き印が押され、まさに雪舟三昧。方丈は、障子戸が開け放たれていて、それぞれの間から「鶴亀の庭」を眺めることができます。お気に入りの景色が見える位置に座ってゆっくりお庭を観賞できるのが嬉しいところ。戸の前をひとりじめできることもあり、ついつい楽な姿勢になってくつろいでしまいます♪ ふと障子に目をやると、引き手に押し花のもみじのワンポイントがあることに気付きました。控えめでかわいらしいですね。

東福寺 芬陀院
【拝観時間】9:00~16:30(冬季は16:00)
【拝観料】300円、お抹茶700円
【電話】075-541-1761
【アクセス】JR奈良線「東福寺駅」から徒歩約10分 Google map


たくさんある石の中に、微笑む石を見つけてほっこり 「圓徳院」

圓徳院1

多くの観光客で賑わう東山エリアでもありながら、静かにお庭を眺められるのがこちらのお寺。「人が多くて、ちょっと疲れちゃったな・・・ 」と思ったときにおすすめです。圓徳院は、豊臣秀吉の妻・ねねが晩年を過ごした場所。方丈庭園や重文の長谷川等伯の襖絵(複製)、まぶしいほどに煌びやかな松竹梅の襖絵などを眺めながら、北書院へ。奥に行くにつれ、さっきまでの喧騒が嘘のように静けさに包まれていきます。北書院に足を踏み入れると、大きな石が配された北庭がお目見えです。

圓徳院2

お庭は、ねねと秀吉の思い出が詰まった伏見城の庭園を移築したものと伝わります。たくさんの石をじっと眺めていると、石橋の真ん中にある石が、なんとなく微笑んでいる人の表情に見えて、ほっこり。「あの石は〇〇に見えるなぁ」と思いながら観賞するのも楽しみ方のひとつです。

圓徳院3

北書院にある鉦を鳴らし、お寺の方にお抹茶をお願いします。お茶碗はなんとご住職お手製。境内にある「政所(まんどころ)窯」で焼かれた樂茶碗(手とへらだけで成形する「手捏ね」という手法で作られたもの)で、ひとつひとつ違うお茶碗なのです。わたしは、暖かみのある色合いのお茶碗でお抹茶をいただきました。茶菓子は、秀吉の馬印である「千成瓢箪」をイメージしたきんつば。金箔がアクセントになっていて、ちょっぴり豪華な感じですね。お庭を前に、ゆっくりとパワーチャージして、また散策にでかけましょう♪

圓徳院
【拝観時間】10:00~17:00
【拝観料】500円、お抹茶500円
【電話】075-525-0101
【アクセス】市バス「東山安井」バス停から徒歩約4分 Google map
【公式ホームページ】http://www.kodaiji.com/entoku-in/idx.shtml


美しい額縁庭園と、水琴窟の澄んだ音色に癒される! 「宝泉院」

宝泉院1

日常から離れてゆっくりしたいときは、静かな山里にある大原の宝泉院へ。バス停からの道中、手作りドレッシングの「志野」や、漬物の「志ば久」など様々なお店が並んでいて、眺めながら歩くのも楽しい♪ 宝泉院に着いたら、まずは客殿に。「立ち去りがたい」 という意味を持つ「盤桓園(ばんかんえん)」と名付けられたお庭は、鴨居と柱をフレームに見立てて眺める「額縁庭園」として有名です。確かにフレームのようで、お庭を眺めていると美しいテレビCMを見ているような気分になります。お庭の中央には樹齢700年を越える「五葉の松」があり、今にも動きだしそうな迫力。生命力を感じます。

宝泉院2

客殿の隅の縁側には水琴窟の音を聞くための竹筒が二本あり、耳をすますとコーン・・・ カーン・・・ キーン・・・ と澄んだ音色が。音が微妙に異なるそうで、最初は「右側の方がちょっとだけ低い音かな」と思っていましたが、何度も聞くとわからなくなってきて・・・ ただ、何度も耳にすることで澄んだ音色に癒されるひとときになりました♪

宝泉院3

入り口でいただいたお抹茶券を、客殿でお寺の方に渡して、一服いただきます。「ひととき」と名付けられた茶菓子は、ニッキ風味の求肥に小倉餡が包まれていて、なんとも上品な味わいです。清々しい竹林や大きな松を眺めているだけで、いつのまにか時間が過ぎていきます。日が暮れていくと、額縁庭園の雰囲気も少しずつ変化していきますので、移り変わりもぜひゆっくり眺めてみてください。気温は街中より少し低めですので、肌寒いときに着られる上着もお忘れなく。

宝泉院
【拝観時間】9:00~17:00(受付終了16:30)
【拝観料】800円(茶菓子付)
【電話】075-744-2409
【アクセス】京都バス「大原」バス停から徒歩約15分 Google map
【公式ホームページ】http://www.hosenin.net/

今回ご紹介したお寺は、紅葉の名所としても名高いスポットですが、ゆっくりとした時間を過ごすなら初秋がおすすめ。お抹茶を飲みながら、心ゆくまでお庭を眺める時間をお過ごしください。

 

Written by. オパン

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