「京の冬の旅」で、秘められた文化財を堪能

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虎の襖絵

相国寺 林光院 襖絵『虎図』

「冬の京都観光」といえば、どこへ訪ねますか? 私のおすすめは、「京の冬の旅」で特別公開されるお寺や神社です。「京の冬の旅」とは、毎年開催される冬の京都の恒例イベント。期間限定で、通常非公開の襖絵や庭園、仏像などの文化財を拝見することができるんです! 52回目となるこの冬は、「明治維新150年記念」とNHK大河ドラマがはじまったばかりの「西郷隆盛」をテーマに、15ヵ所が特別公開されます。現地ガイドさんによる案内もあるので、気軽に楽しめるのが魅力です♪


白地に赤いラインが目印のバスでめぐります


各所をめぐるのに、便利なのが京都定期観光バスの「京の冬の旅」特別コース。暖かなバスに乗車し、道に迷うことなく、快適移動が可能で、車内では窓から見える観光スポットのご案内もあります。そして、嬉しい京料理の昼食付き♪ 今回は、
全箇所「京の冬の旅」初公開を巡る!「京の建築・名宝めぐり」コースの試乗会に参加してきました。私が気になったポイントを中心に、体験レポートをお届けします!

★「京の冬の旅」へ出かける前に・・・
拝観の際は室内に上がることが多いため、私はいつも厚手の靴下脱ぎやすい靴で、訪ねています。冬の京都は冷えるので、防寒対策をしっかりとして、お出かけくださいね。



相国寺 林光院
すやすや眠る『虎図』は実は・・・


虎の襖絵


最初に訪れたのは、相国寺の塔頭のひとつで薩摩・島津家とゆかりの深い、相国寺 林光院。本堂・書院には、龍虎や松といった伝統的な題材を現代風にアレンジした水墨画の襖絵が飾られています。画家・藤井湧泉(ゆうせん)さんが4年がかりで描かれ、昨年(2017年)完成したばかりです。

本堂の『虎図』は「京の冬の旅」パンフレットの表紙を飾っていたこともあり、私がいちばん気になっていた襖絵です。猫にも見えるこちらの虎。丸まって眠る姿が、なんて愛らしいんだろう♡ と思っていましたが・・・

「向かって右側の目元をご覧ください。点のようなものがありますよね? 実はこれ、“目”なんです。『虎図』の向かいにある『龍図』の龍の姿に気付き、片目をうっすら開けている様子を描かれているそうです」と現地ガイドさん。

何度もパンフレットをチェックしていたのに、“目”には全く気付きませんでした(笑)! 眠っているとばかり思っていましたが、そんな様子を描かれていたとは・・・ ただ眺めるだけではわからない、現地ガイドさんのご案内があるからこその発見ですね。この作品をモチーフにした「京の冬の旅」限定のご朱印(2枚1組600円)もあり、迷わずいただきました♪


ボタンの襖絵


その他にも、かわいいリスや葡萄、どっしりとした松が描かれた襖絵があります。同寺の名木「鶯宿梅(おうしゅくばい)」が植わる庭をのぞむ部屋では、美しいボタンの襖絵が。


鶯宿梅の見頃のイメージ


「鶯宿梅」とは深紅からピンク、白へと変化する可憐な花で、見頃は例年3月上旬から下旬(年によって異なります)。「京の冬の旅」期間の終盤には、襖絵のボタンと庭の梅との共演が楽しめそうですね。その頃に、また訪ねたいと思います。



東福寺
禅宗の修行を支えた、建物内部に潜入!


経蔵


相国寺と同じく禅宗寺院である東福寺。京都屈指の紅葉スポットで、“紅葉に浮かぶ通天橋”の絶景はメディアで紹介されることが多く、一度はご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。こちらには中世の貴重な禅宗建築が遺され、「京の冬の旅」では通常非公開の「禅堂」「経蔵」が公開されています。紅葉だけではない、注目の東福寺の建物内部に、いざ潜入です!


禅堂


日下(にっか)門をくぐり右手にあるのが、日本最古にして最大を誇る禅堂(重文)。坐禅道場として、かつては一度に400人以上の僧侶が修行に励んでいたそうです。「起きて半畳、寝て一畳」という格言の通り、ひとりに与えられたのは一畳の空間のみ。天井が高く広々とした堂内は、冬の寒さが一段と身に染み、当時の厳しい禅の修行が目に浮かぶようでした。


経蔵


続いて、経蔵へ。こちらはなんと、今回が初めての一般公開とのことです。中へ入ると、八角形の巨大な回転式輪蔵が! いわば“書庫”のようなもので、仏の教えを記した1000余りの経典が納められています。なかには800年も昔の経典もあるそうです! 普段は見過ごしていた建物に、こんな貴重なものが納められていたとは驚きですね。
※輪蔵を回転させることはできません。



妙覺寺
狩野派の大涅槃図 x ポップなアート



最後にお届けする妙覺寺(みょうかくじ)は、日蓮宗京都十六本山のひとつであり、狩野派の菩提寺です。あの織田信長が常宿とし、実は京都で最も滞在した回数の多いお寺なのだとか。「有名な“本能寺の変”も、信長が滞在していたのがこちらであれば“妙覺寺の変”となっていたかもしれませんね」と現地ガイドさん。


『大涅槃図』


妙覺寺で楽しみにしていたのが、荘厳な「祖師堂」に飾られる『大涅槃(ねはん)図』。涅槃を迎える(お亡くなりになる)お釈迦さまの周りには、死を悲しむ弟子や動物の姿が描かれています。狩野元信が手がけたと伝わる大作は、横に立つ現地ガイドさんと比べると、その大きさがよくわかります。


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十二支絵画


大涅槃図と同じ堂内では、画家・塩澤文男さんによって描かれた十二支絵画が、三菩薩坐像を囲うように展示されています。こちらはアメリカで絵本として出版された作品の原画で、カラフルな色合いがステキですね♡ 十二支すべて揃っての展示は10年ぶりといいますから、この機会にぜひチェックしてみてください。


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巨大仏画


塩澤さんは現在、本堂でお釈迦様と四天王の巨大仏画(幅約12メートル!)の公開制作を行われています。現段階でも圧巻ですが、まだ5割ほどだとか。これからどのように変化していくのか、制作過程が楽しみですね。・・・それにしてもこの大きなお顔、本堂に入った瞬間、驚いたのは言うまでもありません(笑) 絵にばかり気を取られていましたが、堂内には戦国武将・斎藤道三の貴重な遺言状の展示もあるので、お見逃しなく!


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その他、肖像画や書などの寺宝が公開されている相国寺 豊光寺を拝観し、東福寺塔頭の栗棘庵(りっきょくあん)では「京料理 髙澤」の昼食をいただきました。京都駅を10時過ぎに出発して、戻ってきたのは16時過ぎ。約6時間の充実したバスの旅となりました♪ 皆さんもぜひ、京都定期観光バスの特別コースで、快適な「京の冬の旅」をお楽しみください。

※相国寺 林光院、東福寺 禅堂・経蔵、妙覺寺(庭園除く)は、通常写真撮影禁止です。


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■京都定期観光バス特別コース「京の建築・名宝めぐり」の詳細はこちら

Written by. かりー

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