人気沸騰中! 京都の“刀剣”御朱印めぐり&授与品

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「いま、“刀剣(とうけん)”が流行っているらしい」

そんなことを耳にした数年前。正直言って当時は「そうなんだ・・・」くらいにしか思ってなかったのですが、その人気はどんどん高まり、この秋には、京都国立博物館(以下、京博)で特別展「京(みやこ)のかたな 匠のわざと雅のこころ」(以下、「刀剣展」)の開催が控えています。国宝や重文クラスが一堂に会する大々的な刀の展覧会となるそうで、私もだんだん気になってきました♪

注目の展覧会を前に、京都では現在、刀剣ゆかりの4つの神社をめぐる「京都刀剣御朱印めぐり」が行われています。今回で第7弾となり、開催される度にSNSで話題になっている同イベント。その人気ぶりを体感しようと、実際にめぐってみました。各神社ゆかりの刀剣や授与品を交えながら、おすすめの参拝コースで現地よりレポートします!

※掲載内容は2018年8月時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。



「京都刀剣御朱印めぐり」とは?


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第6弾のイメージ(授与は終了しています)


京都市内にある藤森(ふじのもり)神社」「豊国(とよくに)神社」「粟田(あわた)神社」「建勲(けんくん)神社の4社をめぐる「京都刀剣御朱印めぐり」。神社ゆかりの刀にちなんだ御朱印をいただき、最後の4社目で記念品がもらえるというものです。2015年より夏と冬に行われており、第7弾を迎えるこの夏は、7月21日(土)よりスタートしました。終了日の設定はなく、台紙が無くなり次第終了となります。


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第7弾の色紙


この御朱印めぐりの魅力のひとつは、台紙や印のデザインが毎回異なること。4社目でいただける記念品も毎回違うとあってリピーターさんも多く、スタートから2~3ヶ月ほどで授与が終了するそう。めぐり方は下記の通りです。

<めぐり方>
1. いずれかの神社で色紙(御朱印料含1,500円)を入手。
2. 各神社で御朱印(各300円)をいただく。
3. 4社目で記念品プレゼント。第7弾は「特製ガーゼハンカチ」。

どの神社からスタートしてもOKなのですが、今回私は、京都駅からめぐりやすいルートで参拝してみました。御朱印は参拝の証です。皆さん、しっかりお参りしてからいただきましょうね♪



【藤森神社】
鶴丸国永ゆかりの神社。現在、“写し”が特別公開中!


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はじめに訪れたのは、“菖蒲(しょうぶ)の節句”発祥の地と伝わる藤森神社。「京都駅」からJR奈良線に乗車し「JR藤森駅」で下車、緩やかな坂道を下り5分ほどで到着します。菖蒲=勝負に通じることから“勝運と馬の神様”として知られ、競馬関係者など男性の参拝が多いそうです。


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ゆかりの刀は「鶴丸国永(つるまるくになが)」。平安時代の刀工・国永による「鶴丸」は、かつて、同社を代表するお祭り「藤森祭」の神事でも使用されたという太刀です。織田信長や伊達家などを経て、現在は宮内庁所蔵。しかし昨年(2017年)、刀匠・藤安将平(ふじやす まさひら)氏による“写し”が奉納され、今年1月から宝物殿(無料)で拝見できることになったのです! いわば“里帰り”した「鶴丸」。来年1月までの限定公開(予定)ですので、じっくり間近で眺めてくださいね。



「鶴丸」(写し)奉納記念授与品 “マスキングテープ”と“ポストカード”


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マスキングテープ


「鶴丸」(写し)奉納記念として、かわいい&かっこいい授与品が登場しています。2種類のマスキングテープ(各300円)は、桜を背景に鶴と神紋、そして刀があしらわれ、かわいらしい仕上がりに。「鶴丸」をいつも眺めていたい方は、かっこいい姿をそのまま写したポストカード(3枚組400円)やクリアファイル(A4・A5サイズ各1枚組600円)はいかがですか。


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ポストカード


「以前は、参拝者の多くが競馬ファンの男性だったのですが、最近は刀剣ブームで女性の参拝者が増えました」と語る宮司さん。授与品もさまざまに並び、男女どちらにも気に入っていただけそうですね。

藤森神社
【参拝時間】境内自由、授与所9:00~17:00、宝物殿9:00~17:00(受付終了16:45)
【電話】075-641-1045
【アクセス】JR奈良線「JR藤森駅」から徒歩約5分、京阪本線「墨染駅」から徒歩約7分 Google map
【公式ホームページ】http://www.fujinomorijinjya.or.jp/



【豊国神社】
骨までも砕く!? 骨喰藤四郎ゆかりの神社


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唐門


続いては、豊臣秀吉を祀る豊国神社へ。「墨染(すみぞめ)駅」から京阪本線に乗車し「七条駅」で降り徒歩約7分、京博の北隣に位置します。足軽から関白へと上りつめた秀吉にあやかり、ご利益は出世・開運。威風堂々とたたずむ唐門は、伏見城の遺構を移築したものと伝わり国宝です。


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ゆかりの刀は「骨喰藤四郎(ほねばみとうしろう)」。いかにも強そうな名前は、斬るマネをするだけで、骨まで砕いたという逸話から。鎌倉時代、京都・粟田口の刀工・藤四郎吉光(とうしろうよしみつ)による名刀で、足利将軍家や豊臣秀吉、徳川将軍家を渡り、豊国神社へ奉納されました。現在は、国の重要文化財となり、京博に寄託。普段見ることはできませんが、「刀剣展」での展示が決定しました! 展覧会と合わせての参拝もおすすめです。



怖い刀を普段使いに・・・ “ブックマーク(栞)”と“刀守り”


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左:ブックマーク(栞) 右:刀守り


“骨を喰らう”なんて怖いネーミングの刀ですが、ミニチュアとなりかわいいお守り(各800円)に。財布などに入れて持ち歩けば、悪運を打ち砕き、守ってくれそうです。刀に瓢箪など、凝った透かしがほどこされたブックマーク(栞)は、金と銀の2種で各700円。人気の授与品のひとつで、この春から新しいデザインとなりました。

豊国神社
【参拝時間】境内自由、授与所8:30~17:00
【電話】075-561-3802
【アクセス】京阪本線「七条駅」から徒歩約7分、市バス「博物館三十三間堂前」バス停から徒歩約5分 Google map
【公式Twitter】https://twitter.com/toyokunishrine



【粟田神社】
数多くの名刀が誕生した“粟田口”。三日月宗近・一期一振ゆかりの神社


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京へと続く街道の出入口“七口(ななくち)”のひとつで、東海道の玄関となる“粟田口”に鎮座する粟田神社。豊国神社からは、「博物館三十三間堂前」バス停から市バス206(又は100)系統に乗車し、「東山三条」バス停で下車、徒歩7分ほどで到着します。古くから“旅立ちの守護・旅行安全の神様”として信仰され、多くの旅人が高台にある同社へ参拝に訪れたそうです。


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ゆかりの刀は、「三日月宗近(みかづきむねちか)」「一期一振(いちごひとふり)」。かつて粟田口は、たくさんの刀工が暮らしており、“三条派”“粟田口派”と呼ばれる数多くの名工が誕生したと伝わります。そのひとりが、三条宗近。刀身に三日月形の刃文が多く見られることから「三日月宗近」と呼ばれる太刀は国宝に指定され、「刀剣展」でも展示されます(現在は東京国立博物館所蔵)。

また、「一期一振」粟田口藤四郎吉光による刀。短刀ばかりを作刀していた吉光が、唯一手がけた太刀といわれています(現在は宮内庁所蔵)。



刀をモチーフに新しく整備された、鍛冶(かじ)神社


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境内末社の鍛冶神社には三条宗近や粟田口藤四郎吉光が祀られているのですが・・・ 実は、今年8月に新しく整備されたばかり! 作庭家の小川勝章(おがわ かつあき)氏が手がけ、刀をモチーフにした境内になりました。元々あった朱塗りの鳥居は、石柱をしめ縄で繋げた「注連柱(しめばしら)」に。随所に隠れた、遊び心ある“三日月”も要チェックですよ♪



インパクト派? シンプル派? 刀が宿った“御朱印帳”


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御朱印帳(左:鍛冶神社※見開き、右:粟田神社)

授与所には、“刀剣”をモチーフにした御朱印帳が2種類あります。鍛冶神社の御朱印帳(御朱印料含1,700円)は、ご覧の通りインパクトのあるデザイン。赤地に金箔押しの「宗近」「藤四朗」の文字が、かっこよすぎです! もう一面には、往時を彷彿とさせる刀鍛冶の姿が。シンプル派の方は、粟田神社の御朱印帳(御朱印料含1,500円)を。落ち着いた紺地に金と銀の刺繍がほどこされ、1振の刀がきらめきます。

粟田神社
【参拝時間】境内自由、授与所8:30~17:00
【電話】075-551-3154
【アクセス】市バス「東山三条」バス停から徒歩約7分、地下鉄東西線「東山駅」から徒歩約7分 Google map
【公式ホームページ】http://awatajinja.jp/



【建勲神社】
ゴールにふさわしい景色がお待ちかね! 宗三左文字・薬研藤四郎ゆかりの神社


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粟田神社から再び「東山三条」バス停に戻り、市バス206(又は12)系統に乗車、「建勲神社前」バス停で降り、ゴールとなる建勲神社を目指します。御祭神は、織田信長・信忠親子。大願成就、難関突破などのご利益があるとされています。長い石段を上ると、船岡山山頂にある本殿に到着。息を切らしながら振り返れば、比叡山や大文字山を見晴らす景色が待ち受けていました。まるでご褒美のようです♪


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ゆかりの刀は、織田信長の愛刀であった2振の「宗三左文字(そうざさもんじ)」「薬研藤四郎(やげんとうしろう)」。筑前(現・福岡県)の刀工・左文字による「宗三左文字」は、桶狭間の戦い(1560年)に勝利した織田信長が今川義元より手に入れた太刀。「義元(よしもと)左文字」の名で国の重要文化財に登録されています。普段は非公開ですが、京博の「刀剣展」での展示が控えていますのでお楽しみに! 「展覧会まで待てない~」という方は、授与品の「飾り絵馬」(1,200円)をご覧ください。


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宗三(義元)左文字の飾り絵馬


一方、 「薬研藤四郎」粟田口藤四郎吉光による短刀。室町時代の武将・畠山政長が敗戦の際に、切腹しようとしても腹に刺さらず、短刀を投げ出したところ、薬研(やげん、漢方薬などをすり潰す器具)を深々と貫いたという逸話が残っています。本能寺の変(1582年)以降消息不明となりましたが、この夏、刀匠・藤安将平氏による“再現刀”が奉納されました。こちらは、2018年10月19日(金)の「船岡大祭」から28日(日)までの期間限定で神社内で公開予定です。


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薬研藤四郎の再現刀



奉納記念! 宗三左文字と薬研藤四郎の“特別御朱印”


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特別御朱印(左:宗三左文字、右:薬研藤四郎)

6月に「宗三左文字」の押形(刀剣の形状を写しとったもの)、7月に「薬研藤四郎」の再現刀が奉納されたことを記念し、現在、特別御朱印(各600円、書き置きのみ)が授与されています。すてきな押形付きで、御朱印ファンも必見。奉納された「宗三左文字」の押形は、8月末まで授与所に展示されているので、チェックしてみてくださいね。

建勲神社
【参拝時間】境内自由、授与所9:00~17:00
【電話】075-451-0170
【アクセス】市バス「建勲神社前」バス停から徒歩約9分 Google map
【公式ホームページ】http://kenkun-jinja.org



京都刀剣御朱印めぐり、達成しました!


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今回めぐったのは、猛暑の8月の平日だったのですが、4社全てで「京都刀剣御朱印めぐり」をされている方に出会いました! 女性グループからご家族まで、年齢・性別もさまざま。こんな暑い日にも関わらず、多くの方に出会い、その人気ぶりを実感。

はじめは「刀剣??」と思っていた私も、刀について調べたり、神社の方とお話をしているうちに、その魅力が少しずつ分かってきたような気がします(・・・“刀剣女子”に近づけたかも!?)。ゆかりの神社なので、刀そのものにはまだあまり会えていません。9月からはじまる京博の「刀剣展」で実物をじっくり眺めてみたいと思います♪

そして、これから「京都刀剣御朱印めぐり」をされる皆さん、熱中症対策はくれぐれもお忘れなく! 気をつけていってらっしゃい!!

Written by. かりー

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