「そう京」スタッフが感動した、京都の仏像 [如来編]

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三千院 ※特別な許可を得て撮影しています。通常はライトアップはされていません

京都のお寺を巡っているときに出会う、麗しい仏様。そっと手を合わせお参りをし、ふと見上げたときの美しさに感動してしまったことはありませんか? 宗教的な意味や歴史的背景、芸術的価値など、様々な見方がありますが、ただ「出会って、感動した」という率直な気持ちも仏様との大切なご縁ではないでしょうか。

今回は、日々京都のお寺を訪ね歩いている「そう京」スタッフたちに、“お気に入りの仏様”を尋ねてみました。たくさんの仏様のお名前が挙がったため、本日は“如来”様だけにご登場いただきました(“菩薩”様や“羅漢”様はまた後日ご紹介する予定です♪)。 皆さまが愛する京都の仏像を思いおこしつつ、ご覧くださいね。

※お寺の仏像は、原則として撮影禁止です。今回は特別な許可を得て撮影・掲載しています。


仏像ワールドに君臨する、スーパースター
【東寺・講堂】大日如来坐像


見づらいですが、真ん中少し左側の大きな仏像が大日如来様です。


みさご 「“仏像”と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、やっぱり東寺立体曼陀羅です。弘法大師・空海によって密教を広めるために建立された講堂に、密教の教えを視覚的に表したという仏像で作られた曼陀羅があり、仏像の配置を考えたのも空海というから驚きです! 仏法、空海、私たちを一気につなぐダイナミックな空間は、何度訪れても足を踏み入れた瞬間から感動してしまいます。
たくさんの仏様が並ぶなかで一番好きなのは、やっぱり中央に鎮座される、大日如来様。かっと目を開いたお姿は、まさに仏法界のスーパースター! かっこいいです」


平安時代、密教の根本道場として空海によって開かれた、東寺。講堂には21躰の仏像が安置され、その真ん中に君臨するのが、太陽の象徴であり、宇宙そのものとされる大日如来坐像です。立体曼荼羅のうち16躰は平安仏で国宝に指定されますが、大日如来坐像は室町時代に焼失・後補されたもので重要文化財。それでもなおかつ存在感のある、圧倒的な迫力をもつ仏像です。

■東寺[教王護国寺]
【拝観時間】境内5:00~17:00、金堂・講堂8:00~17:00(受付終了16:30)
※拝観時間は季節によって異なりますので、詳細は公式ホームページをご確認ください。
【拝観料】境内無料、金堂・講堂500円
【電話】075-691-3325
【アクセス】JR「京都駅」から徒歩約15分 Google map
【公式ホームページ】http://www.toji.or.jp/
★「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先です。特典内容はこちら。 


慈悲深きお姿で衆生を来迎する
【三千院 往生極楽院】阿弥陀如来坐像


※通常はライトアップはされていません


とらみ 「“私のお気に入り”は、三千院・往生極楽院阿弥陀三尊坐像。3年くらい前、こちらの阿弥陀様の修復作業現場を間近で見せていただいたことがあります。阿弥陀様を目の前にしたとき、大きさはもちろんですが、迫力に圧倒されました。今まで感じたことがなかった“何かに守られている”安心感みたいなものを感じて。それ以来、こちらの阿弥陀様の虜に。
正直言って、それまではあまり仏像に興味がなく・・・ どこでどの仏様を見ても同じようにしか見えなかったんです(汗) でも今では、三千院に行ったら必ず阿弥陀様に手を合わせるようになりました」


往生極楽院の阿弥陀三尊坐像は、平安時代を代表する仏像として国宝に指定されています。来迎印を結ぶ阿弥陀如来を中心に、向かって右に観世音菩薩、左に勢至菩薩が控えています。両菩薩は上半身を前に傾ける「大和坐り」をされ、往生する人をお迎えする姿勢を取られているといいます。

■三千院
【拝観時間】8:30~17:00 ※12月8日~2月は9:00~16:30
【拝観料】700円
【電話】075-744-2531
【アクセス】京都バス「大原」バス停から徒歩約10分 Google map
【公式ホームページ】http://www.sanzenin.or.jp/


「永観、おそし」と呼びかける“みかえり阿弥陀”
【永観堂 禅林寺】阿弥陀如来立像


左:みかえりかがみ(1,000円)、右:秋の永観堂


かりー 「仏像といえば、皆、正面を向かれているものと思っていたのですが、永観堂のご本尊は“みかえり阿弥陀”という名前の通り、そっと後ろを振り返っています。その姿が珍しくも美しく。
・・・ただ珍しい、とばかり思っていたのですが、実は、“自分よりおくれる者たちを待つ”、“自分自身の位置をかえりみる”などさまざまな意味があるそうです。真正面から向かってくる人々の心だけでなく、正面にまわりきれなかった人々のことも案じているという仏様。その意味を知ったとき、仏様の優しさに自分の心が改められたような気がしました。そして、実際に目の前で見たときに、像高が約80センチと小さいことにもびっくりしました」


平安時代末期の作である、永観堂の阿弥陀如来立像。左側後方へお顔を反らしているのには数々の意味が込められ、永観堂中興の祖・永観を導き「永観、おそし」と声を発したという伝説も伝えられています。衆生を導き、人々とともにある優しさに満ちた仏様です。

■永観堂[禅林寺]
【拝観時間】9:00~17:00(受付終了16:00)
【拝観料】600円
【電話】075-761-0007
【アクセス】地下鉄東西線「蹴上駅」から徒歩約15分、市バス「南禅寺永観堂道」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】http://www.eikando.or.jp/


疾走感のある来迎スタイル
【廬山寺】阿弥陀三尊像



きのこ 廬山寺は平安時代末期に彫られたとされる阿弥陀三尊像がお祀りされています。以前は仏様のお顔に前掛けがかけられ、ご尊顔を拝むことができなかったのですが、2017年頃に前掛けが外され、しっかりお顔全体を拝見しながらお参りできるようになりました。脇侍の観音・勢至両菩薩像は、三千院と同じく前傾の“大和坐り”をされていて、衣が後方にたなびく、疾走感を感じるお姿。お参りをしていると、お迎えに来られる際のスピードを感じられて、いつも圧倒されてしまいます」

京都御所の東側に建つ廬山寺は、紫式部の邸宅跡・『源氏物語』執筆の地と伝わるお寺。ご本尊の阿弥陀如来坐像と、両脇侍坐像は13世紀はじめに制作された定朝様の仏像で、重要文化財に指定されています。

★節分会にも注目★
廬山寺で毎年2月3日に行われる節分会「追儺式(ついなしき)鬼法楽」では、赤、青、黒の三匹の鬼が独特の「鬼踊り」を舞い、たくさんの見物客で賑わいます。
<追儺式鬼法楽> 2019年2月3日(日)15:00~ 見学無料
⇒京都の節分際について、詳細はこちら

\「鬼踊り」の練習を見学しませんか? 「そう京」イベント、実施!/
⇒2/2(土)実施「廬山寺 夜の鬼踊り練習特別見学」受付は12/9(日)スタート!

\2019年1月12日(土)スタート!/
「そう京」会員限定の特別ご朱印企画を実施します♪
⇒守り本尊とご縁を結ぶ 特別ご朱印めぐり

■廬山寺
【拝観時間】9:00~16:00
【拝観料】500円
【電話】075-231-0355
【アクセス】市バス「府立医大病院前」バス停から徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】http://www7a.biglobe.ne.jp/~rozanji/


“アフロヘアー”の仏様
【金戒光明寺】五劫思惟阿弥陀仏(ごこうしゆいあみだぶつ)



くろモン 「阿弥陀様といえば、金戒光明寺“アフロ仏”様は、やっぱり衝撃でした! 話題になっていたので見に行きたくて、実際に目の前にすると、髪の毛のあまりのボリュームにびっくり。長い期間修行されて、螺髪(らほつ)がうずたかく積み上がってしまったそうなのですが・・・ 伸びすぎですね(笑)」

数年前より金戒光明寺で人気者となっているのが、こちらのアフロヘアーのような仏様。可愛らしいお姿ですが、もろもろの衆生を救うため、五劫の間、ひたすら思惟をこらして修行し阿弥陀仏になられたという尊い方なのです。一度は会いに行きたい仏様ですね。

■金戒光明寺
【拝観時間】9:00~16:00
【拝観料】境内無料
【電話】075-771-2204
【アクセス】市バス「岡崎道」・「東天王町」バス停から徒歩約10分 Google map
【公式ホームページ】http://www.kurodani.jp/

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たくさんの如来様、そして脇侍仏様にご登場いただきました。如来様には、今回ご紹介した大日如来様阿弥陀如来様のほか、釈迦如来様薬師如来様などがいらっしゃいます。京都では、清凉寺の釈迦如来立像(国宝)、蟹満寺の釈迦如来坐像(国宝)、神護寺の薬師如来立像(国宝)、東寺の薬師如来坐像(重文)などが有名です。それぞれの仏様にそれぞれの意味や美しさがありますので、ぜひお参りの際には、しっかりと手を合わせつつ、仏様をご覧になってみてくださいね。

Written by. みさご

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