ワコールが手掛ける「京の温所」。皆川明&中村好文による「西陣別邸」がオープン!

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京都の気になる宿泊事情 5


「ワコール」といえば、アンダーウェアブランド・衣料品メーカーとして日本を代表する企業。実は、昭和21年(1946)に京都にて創業し、今も京都市内に本社を置く、押すに押されぬ「京都企業」でもあります。このワコールが、現在、京都で次々と宿泊施設をオープンされていることをご存知でしょうか。その名も「京の温所(おんどころ)」

「町家」をリノベーションした宿泊施設なのですが、ただ宿としてだけではなく、これからも人が住み続けていく「住まい」として再生されているといいます。

“宿”ではなく、“住まい”。いったいどんなところなのか。「京の温所」の5棟目として、2019年10月1日(火)にオープンしたばかりの「西陣別邸」を訪ねました。


西陣に佇む築約95年の京町家を
皆川明x中村好文のタッグでリノベーション!



「西陣別邸」は、晴明神社北野天満宮にほど近い、今も町家が軒を連ねる“西陣織の町”の一角にあります。明治時代後期に建てられた築約95年の町家で、元は商家のお客様をおもてなしする屋敷として建てられたそうです。

ふっくらと丸みのある屋根に虫籠窓(むしこまど)という京町家の特徴が現れた外観。おもてなしの屋敷として瀟洒な造りであり、優雅な佇まいや細部までこだわりのある室内の美しさを活かしながら、リノベーションされました。




リノベーションを担当されたのは、“自然素材を使った素材感のある住宅設計”に定評のある建築家の中村好文さん。そして、ファッションブランド・ミナ ペルホネンのデザイナー・皆川明さんがディレクションに携わられています。中村x皆川タッグの「京の温所」は、2018年8月にオープンした「釜座二条」に続き2棟目となります。


生活に寄り添う「住まい」=「おうち」



「西陣別邸」のコンセプトは、“もうひとつの日常”。暮らすための“住まい”として建てられた建物に現代的なエッセンスを加え、皆川さんセレクトの家具やミナ ペルホネンのファブリックが和の空間を優しく彩り、心地よく暮らしながら、旅のひとときをすごせるように工夫されています。


二人のこだわりが詰まったキッチンに注目!



一番の見どころは、キッチン。京町家の台所の特徴である火袋の構造をそのままに活かした天井の高いダイニングは、天窓から自然の光が注ぐ明るい空間。そこに向かって作られたカウンターは、まるでステージのようで、注目が集まりそう。「腕を奮いたい!」という料理自慢さんもいらっしゃるのではないでしょうか。土間部分には床暖房が設えられ、冬の「底冷え」とは無縁、という配慮もされています♪


(左上)ワインセラー(右上)鍋や食器(左下)カトラリー(右下)キッチングッズ勢揃い


実は、皆川さんと中村さんは、ともに旅を楽しむ仲間。旅先で現地の食材を買い付け、その土地ならではの料理を作り旅を楽しまれています。その体験を活かし、「京の温所」でもキッチンを充実させているのだとか。3口コンロにオーブン。引き出しのなかにはカトラリーや食器、調理器具が勢揃い。カウンターキッチンの下にはワインセラー。もちろん、ワイングラスも用意されています。



ティータイムも充実。お茶は宇治の堀井七茗園、コーヒーは自家焙煎にこだわる京都のマルトシ珈琲。お茶請けの八ッ橋には「京の温所」のロゴマークが施されています♪


けして華美ではない、「上質で豊かな町家暮らし」を体験できます。



二間続きの和室、坪庭を改装したデッキ、和と洋、2つの顔を見せるお庭、アーチ型の屋根が特徴的なベッドルームなど、旅先にいながら、まるで家に帰ってきたかのような懐かしさを覚える室内。そのなかにも、中庭をのぞむヒバのお風呂や、天窓の陽光降り注ぐシャワーブースなど、贅沢な空間が顔をのぞかせます。


(上)バスルーム。窓はスイッチひとつでスモーク加工にできます。
(下)2階にあるシャワーブース。頭上に天窓があります。


玄関上のライブラリールームは、外から見た虫籠窓の内部にある部屋で、子供心をくすぐるようなスペースです。


元はお手伝いさんの部屋だったそうで、玄関からこの部屋に通じる“秘密の階段”があります。窓からはキッチンスペースを眺められ、書架にはブックディレクター・幅(はば)さんセレクトの遊び心ある本が並び、まるで秘密基地のよう! 深夜、ここでお酒をいただいたらステキでしょうね・・・



古き良き京町家の良さと、現代的で洗練された空間が融合し、上質な暮らしを体験できる「西陣別邸」。“上質を知る”ということは、実はとても貴重なこと。ここで得た体験は、きっと自分の家に帰っても、日々の生活を潤いある豊かなものにしてくれるのではないでしょうか。

■京の温所 西陣別邸
【利用人数】1~8名
【料金】1泊1棟あたり135,000円(税抜) ※時季・人数による変動なし。
【電話】0120-307-056(ワコールお客様センター/平日9:30~17:00)
※ご予約は公式ホームページから。
【アクセス】地下鉄烏丸線「今出川駅」から徒歩約19分、市バス「今出川浄福寺」バス停から徒歩約1分 Google map
【公式ホームページ】https://www.kyo-ondokoro.kyoto/facility/nishijin-villa.html

ワコールが宿泊施設「京の温所」を手がけた理由とは?



「京の温所」の1棟目は、2018年に「岡崎」にオープンしました。2棟目が、中村&皆川ディレクションの「釜座二条」。3棟目は、4名定員のコンパクトな「御幸町夷川」。4棟目はカリモク家具を配置し、広々とした「麩屋町二条」。そして、5棟目が「西陣別邸」。11月には6棟目がオープン、2020年の春には7棟目のオープンも予定されているそうです。



では、なぜ、ワコールが宿泊事業に参入したのでしょうか。そのはじまりは、社員からの提案であったそう。

受け継ぐ者がいなかったり、相続税の問題もあり、荒れ果て、減りゆく京都の町家を危惧した社員による、ひとつの提案。町家活用プロジェクトは、そこからはじまったそうです。ワコールでは、町家所有者から「借り受け」という形で町家を預かり、リノベーションをし、そして宿として10年から15年ほど稼働した後に、所有者のもとへと返却するという仕組みを生み出しました。この仕組みに、たくさんの町家所有者が賛同の声を挙げたと言います。



暮らすための町家を再生し、そしてまた暮らすための所有者の元へと帰る。その合間に、旅人は京都の暮らしを体験できる。しかも、ただ体験するだけではなく、皆川さんのディレクションによる“上質な暮らし”も楽しみながら学ぶことができる。そこには、アンダーウェアブランドとして培ってきたワコールの暮らしに対する美意識も反映されています。

より美しく、上質に住まう。
新しい京都の泊まり方、ぜひ体験されてみてはいかがでしょうか。

■京の温所
【公式ホームページ】https://www.kyo-ondokoro.kyoto/

★主なサービス★
・フロント(ワコール新京都ビル内、京都駅八条口からすぐ)での、スーツケースなどの荷物のお預かり、運搬サービス
・予約時に季節ごとの京都での過ごし方を提案する「暮らしの提案帖」の提供
・宿泊施設周辺お店情報の提供
・調味料セット付きプランなど各種プランあり

Written by. みさご

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