穏やかに春を待つ、2月の和菓子

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京の和菓子の玉手箱 29


1月が終わり2月になっても、市街地ではまだ雪の降らない2020年の京都。「こんなに暖かくては季節を感じられない・・・」とお嘆きの皆さま、ぜひ京都の和菓子から、今の季節を感じ取ってくださいね! 今月も、和菓子ライフデザイナーの小倉夢桜(ゆめ)さんにステキな和菓子をご紹介いただきました。どうぞ、ご覧ください♪

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節分を終えれば、暦の上では「立春」。これからは、小さな春の息吹をあちらこちらで感じる頃です。


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法金剛院 馬酔木(撮影:「そう京」編集部)


河川敷を歩けば、ふきのとうや土筆(つくし)が顔を出し、そして、椿馬酔木(あせび)など早春の花々が次々と咲き揃います。まだまだ、寒い日々が続きますが、ひと足早く、京都の和菓子から春を感じてみませんか。

⇒「いま、見頃の花」情報はこちらから


■長久堂 北山店
【さえずり】


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梅宮大社(撮影:「そう京」編集部)


2020年の立春は、2月4日(火)。梅などの花が咲きはじめ、春の兆しをいたる所で感じられる頃です。・・・とはいえ、今年は記録的な暖冬。例年であれば動物や鳥たちが活動をはじめるのもこの頃ですが、今年は冬ごもりをしていない動物たちの話も聞こえてきます。異例づくしの天候のなかで、心を穏やかにしてくれるのが、季節の和菓子。


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さえずり 464円(事前にご予約ください)


春の訪れを喜ぶ小鳥たちのさえずりが聞こえてきそうな、外郎(ういろう)製のお菓子です。ほんのり薄紅色の花びらが、まるで羽根のようにも見えますね。


【目覚め】


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城南宮(撮影:「そう京」編集部)


2月19日から2月24日頃までの期間は、七十二候のひとつ「土脉潤起(つちのしょう うるおいおこる)」にあたります。冷たい雪が暖かい春の雨に変わり、大地を潤すような雨が降り始める、土が湿り気を含んでくる季節。こちらのお菓子は、その時季を表現した、珍しい意匠。


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目覚め 464円(事前にご予約ください)


希少な備中かのこ豆を寒天で包み、一粒の小倉をアクセントにし、周りに茶色の煎粉(いらこ、もち米を細かくした粉)をあしらうことで、土の雰囲気を出しています。暖かい春の雨が土に降り注いでいるイメージが浮かぶ、情感的なお菓子ではないでしょうか。

■長久堂 北山店
【営業時間】9:30~18:00
【定休日】1月1日・2日
【電話】075-712-4405
【アクセス】地下鉄烏丸線「北山駅」から徒歩約10分 Google map
【公式Facebook】https://www.facebook.com/chokyudo/


■老松
【北野の梅】


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北野天満宮(撮影:「そう京」編集部)


2月の京都で最も華やかな行事といえば、北野天満宮で行われる「梅花祭」。ご祭神・菅原道真の命日である2月25日に梅を愛した道真を偲んで執り行われています。境内に植えられている梅のつぼみがほころび、梅の香しい匂いが立ち込めるなか、上七軒の芸妓さん舞妓さん達の奉仕による華やかな野点が行われる様は、まさに“都の春”そのもの。


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北野の梅 432円(12月下旬~3月頃販売予定、事前にお問合せください)


梅にちなんだお菓子として真っ先に浮かぶのが、北野天満宮近くにある老舗・老松の和菓子。紅梅を模った、こなし製のお菓子からは、まるで梅の香が漂ってきそう。梅花咲く京都で、一度は召し上がっていただきたいお菓子です。


【梅花祭上用】


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北野天満宮(撮影:「そう京」編集部)


梅花祭といえば、やはり上七軒の芸妓さん舞妓さんの奉仕により行われる野点大茶湯が華やかです。天正15年(1587)に豊臣秀吉が行った北野大茶湯(北野大茶会)にちなみ、昭和27年(1952)より上七軒に関わる方々の協賛によって始まり、現在に至ります。その野点の際にいただくことができるお菓子がこちら。


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梅花祭上用 ※梅花祭の野立での提供のみ


梅花祭に来られた多くの方が目にしたことのあるであろう、馴染みのあるお菓子。毎年、こちらのお菓子の意匠から春を感じるという方も多いのではないでしょうか。店頭での販売はされておらず、北野天満宮の梅花祭の日、野点の席でだけいただける、貴重なお菓子です。野点は、拝服券を購入すればどなたでも楽しむことができます。非常に多くの方がお越しになりますので、参加したいという方は時間に余裕をもって訪れてみてくださいね。

⇒梅花祭についての詳細はこちらから

■老松 北野店
【営業時間】9:00~18:00
【定休日】不定休
【電話】075-463-3050
【アクセス】市バス「上七軒」・「北野天満宮前」バス停から、それぞれ徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】http://oimatu.co.jp/
★「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先です。特典内容はこちら。

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今回は、ひと足早く春を感じる、2月ならではのお菓子をご紹介させていただきました。陽だまりが気持ち良いシーズン。京都で、春を感じながらのんびりとした時間をお過ごしくださいね。

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文・写真:小倉夢桜 —Yume—
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファー。京都五感処・京都Loversフォーラム代表。2012年よりホームページ『きょうの「和菓子の玉手箱」』を運営し、毎日京都の和菓子を紹介し続けている。現在は『月刊京都』(白川書院)で「月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』」を連載中。
【きょうの『和菓子の玉手箱』】https://kyoto-lovers-forum.com
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Written by. みさご

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