表情を変える石庭を撮る ~大徳寺 龍源院~

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一枝坦

大徳寺 龍源院

古都ジェニックな一枚を撮ろう 10


2020年早春の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンは“石庭”をテーマに展開中。テレビCMやポスターでは、品と風格に溢れた大徳寺のお庭を紹介しています。
ところで、写真好きを謳う私“カツオ”ですが、紅葉や桜が彩るお庭は頻繁に撮影しているものの、季節感をはっきりと感じることがない“石庭”の撮影はあまりしたことがありません。そこで気持ちも新たに、「そう京」キャンペーンポスターに登場する大徳寺塔頭の龍源院で、石庭の撮影をしてみました。

\大徳寺の石庭が多数登場のテレビCM/
⇒「そうだ 京都、行こう。」2020年早春キャンペーン「石庭編」
 

石庭に降り注ぐ“影”


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一枝坦(撮影日:2020年2月11日)

室町時代の建築様式を今に伝える方丈の南側に広がるのは、雄大な白砂の海に存在感抜群の苔が配された “一枝坦(いっしだん)”と呼ばれる石庭。ご覧の通り、この日の天候は“晴れ”で、気になる程ではないかも知れませんが周囲の建築物の影がどっしりと落ちていました。例えばこれが曇りの日であれば・・・



“影”がなくなりすっきりとした印象に


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(撮影日:2019年10月17日)

太陽の光が雲にさえぎられ、ご覧の通り、石庭は“フラット”になりました。写真としては、“安定感のある”まとまったものに仕上がっていますね。ですので、建物や樹木に囲まれた石庭を撮影するのであれば、「曇りや雨の日が無難」と言えそうです。晴れの日であっても、雲のある日であれば、太陽が雲に隠れるタイミングを狙っても良いでしょう。



明暗差にめげず“切り撮る”を実践


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(撮影日:2020年2月11日)

必ずしも断言はできませんが、“明暗差”があると、写真がゴチャゴチャとしがちです。そこで、「光が当たっている部分」を“切り撮って”みました。
こちらは、影の部分を極力取り除いた「光が当たっている部分」にフォーカスした写真。“明暗差”が少なくなり、すっきりした印象になりましたよね。被写体の中に、大きく“明暗差”がある場合は、“明の部分”か“暗の部分”のどちらか一方に絞って“切り撮って”みても良いと思います。

\祇園で“切り撮る”を実践/
⇒京情緒たっぷりの祇園で“古都ジェニックな一枚”を撮影してみました


“明暗差”が生み出すドラマチックな光景


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(撮影日:2020年2月11日)

ここまでは、まるで晴天を“厄介者”のようにお伝えしてきましたが、決してそういうことではありません! こちらは、「太陽の光が当たっている石庭の石」に注目し、日影部分を背景にして“切り撮った”写真です。日差しを反射する石が“日陰の黒”によって引き立ち、力強くそしてドラマチックに写し出されました。よく見ると、滝が流れ落ちているかのような「岩の質感」まではっきりと見て取ることができますね。
そして龍源院といえば、“明暗差”が作り出す“忘れてはいけない光景”があるのをご存知でしょうか。



日本最小の坪庭を撮る


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東滴壺(撮影日:2019年10月17日)

こちらは方丈東側にある、日本最小の坪庭とされる“東滴壺(とうてきこ)”。2020年早春の「そう京」ポスター(縦版)にも採用され、「あ、このお寺だったんだ!」と思われた方もいらっしゃるでしょうか。
曇りの日であれば、「そう京」ポスターのようにしっとりとした風情で写し撮ることができるのですが、晴れの日も見逃すことはできません。



今の時季であれば12:00前からが見頃!


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(撮影日:2020年2月11日)

画面奥で、際だって明るく写っているものは、建物の間からこぼれ落ちた太陽の光。今の時季であればお庭の半分ほどの長さですが、太陽が高くなる夏頃であれば、画面一番手前に写る石辺りまで伸びることもあるんですよ。“明暗差”が大きい分、写真に収めるのはやや難しいですが、是非一度は“生で見ていただきたい光景”です。



光はなくとも良い風情を見せてくれます


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(撮影日:2019年10月17日)

写真に収めるなら、個人的には曇りの方がおすすめ。こちらは以前に撮影した写真ですが、禅寺の張り詰めた空気感のようなものを感じられるように思います。とはいえ、“不変”なイメージがある石庭ですが、訪れた時それぞれの表情があることを、今回強く実感させられました。



石庭撮影におすすめな“広角レンズ”


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(撮影日:2020年2月11日)

石庭を撮影するのであれば、風景を広々と写し撮ることができる「広角レンズ」が便利であることをつくづく感じました。後ろに引き下がることができない狭い縁からであっても、お庭を広々と写し撮ることが容易となります。
そして最後にはなりましたが、お庭を心静かにじっくりと眺められている拝観者の方もいらっしゃいます。写真撮影の際には、周りの方にも十分に配慮しながらお楽しみください♪

※龍源院では、石庭の写真撮影は可能ですが、撮影した写真をブログやSNSに投稿することはお控えください(今回の記事は特別な許可を得て掲載しています)

大徳寺 龍源院
【拝観時間】9:00~16:20(受付終了)
【拝観料】350円
【電話】075-491-7635
【アクセス】市バス「大徳寺前」バス停から徒歩約5分 Google map

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Written by. カツオ

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