ZEN CAFE
“和菓子といえば抹茶”のイメージが強いですが、コーヒーの消費量が全国トップクラスの京都では、コーヒーとの組み合わせを提案するお店が増えてきているように感じます。美味しい和菓子がいただけるのはもちろん、コーヒーにもこだわるお店を4軒ご紹介します♪
【洲濱xCOFFEE すはま屋】
「伝統の和菓子」x「中深煎りのコーヒー」
2018年11月、烏丸丸太町にオープンした「すはま屋」は、誕生は鎌倉時代にまで遡るとされる日本の伝統和菓子「洲濱」を扱うお店です。新しくできたお店が、なぜそんな歴史ある和菓子を扱っているのか、不思議に思いますよね。
明るい雰囲気のカフェスペース
同店がある場所には、かつて「洲濱」を代表銘菓とする「御洲濱司 植村義次」がありました。明暦3年(1657)創業で14代続きましたが、2016年に惜しまれつつ長い歴史に幕を閉じたそうです。
そこで立ち上がったのが、「すはま屋」の店主である芳野綾子さん。幼い頃から大ファンだったという「洲濱」をもう一度食べたくて14代目にみずから教えを請い、作り方をマスターしてしまいます。
「試作を作るたびに植村さんに味を確認してもらっていたのですが、その際にコーヒーを出していただくことが多かったんです。この組み合わせが意外に美味しくて」と芳野さん。“コーヒーなら、もっとたくさんの人に気軽に「洲濱」を食べてもらえるのではないか”という思いもあり、カフェのオープンを決意されたそうです。
洲濱セット 660円。ドリンクはコーヒー・紅茶・抹茶から選べます
「洲濱」は浅く煎った大豆粉、水飴、砂糖を練り上げて作られています。はじめはシャリシャリしているのですが、次第にもっちりとした食感に。きな粉の風味がほんのりと口の中に広がり、芳野さんおすすめの“酸味が少なくスッキリとしたコーヒー”と相性抜群。
コーヒーは京都の紫竹にお店を構えるサーカスコーヒーから仕入れていらっしゃいます。大学時代に自転車で京都市内のコーヒー店をいくつもまわった末に出会ったという、思い入れの深いお店でもあるそうです。
春日の豆 702円
お店では棹物の「洲濱」(972円)と、生地を一口サイズにして砂糖をまぶした「春日の豆」を購入できます。棹物は2日前までに予約が必要ですが、「春日の豆」は当日でも購入可能です。家でもコーヒーに添えて楽しみたいですね。
■洲濱xCOFFEE すはま屋
【営業時間】10:00~18:00(喫茶は12:00~18:00、ラストオーダー17:30)
【定休日】日曜日、祝日 ※喫茶は水曜日もお休み
【電話】075-744-0593
【アクセス】地下鉄烏丸線「丸太町駅」から徒歩約1分 Google map
【公式Twitter】https://twitter.com/suhamaya193
【喫茶 狐菴】
「黒糖餡のモナカ」x「フルーティーなカフェラテ」
カエデの木で出来たカウンターが印象的。スタンディングでいただきます
大徳寺から歩いて5分ほどの閑静な住宅街にある「喫茶 弧菴(こあん)」は、和菓子をこよなく愛する菴主の真秀(マシュー)さんが開いたお店です。「和菓子をもっと楽しく、身近に感じてほしい」という思いから、コーヒーや日本酒とのフードペアリングを提案されているのですが、じつはお店にはメニューがありません。
「和菓子は嘯月(しょうげつ)さんと聚洸(じゅこう)さんにお願いしていて、季節によって内容が変わります。お客さんの好みをお聞きした上で、“この和菓子にはこの飲み物”というように、おすすめの組み合わせを楽しんでほしくて」と真秀さん。
その時々の出会いが楽しみになりますね。
(左)エスプレッソマシーン (右)「招き猫モナカ」は、注文を受けてから餡を詰めてくださいます
今回は記事のテーマにあわせて、“和菓子とコーヒー”をオーダーしました。
もともとコーヒー店で働いていたという真秀さんは、“和菓子にあうコーヒー”に並々ならぬ情熱があったそうです。豆選びから淹れ方まで試行錯誤を繰り返し、たどり着いたのがサーカスコーヒーの浅煎り豆とエスプレッソマシーンでした。さらに、フルーティーな味わいを追求するために、滋賀県の信楽高原で育った牛の低温殺菌牛乳を加え、カフェラテに。
和菓子はお店で人気の「招き猫モナカ」です。
カフェラテと「招き猫モナカ」セット 1,000円
「招き猫モナカ」の中身は、近所のおやつaoiさんの餡子。月ごとに味が変わり、私がいただいたのは黒糖餡でした。口の中にしっかりとした黒糖餡の甘みが残るため、さわやかで飲みやすいカフェラテとぴったり。
日本酒とのフードペアリングも気になるところ。お時間に余裕がある方は、真秀さんとの会話を楽しみつつ、さまざまな組み合わせを楽しんでみてくださいね。
■喫茶 狐菴
【営業時間】15:00~21:00
【定休日】月曜日・火曜日
【アクセス】市バス「大徳寺前」バス停から徒歩約10分 Google map
【公式インスタグラム】https://www.instagram.com/kiss.a.co/
【どらやき 亥ノメ】
「ふっかふかのどらやき」x「炭火焙煎のコーヒー」
北野天満宮へお参りする際にあわせて訪ねていただきたい「どらやき 亥ノメ(いのめ)」。亥年生まれの店主・大塚英晃さんが手がけるどらやき専門店で、2018年9月のオープンながら、いまや地元の方にも愛される人気店です。
カウンター越しに手作りの様子を拝見できます
カウンター5席のイートインでは、定番のつぶあんにドリンクが付く「どらやきセット」をいただけます。なんといっても嬉しいのが、できたてを楽しめること!
生地を焼くのは注文を受けてからで、餡も目の前でたっぷりと詰めてくださいます。漂う香りと見た目だけで「これは美味しいに違いない」と思えるほど。
どらやきセット 930円。ドリンクは、コーヒー・和紅茶・煎茶・ほうじ茶・おうすから選べます
ふっかふかで香ばしいどらやきのお供は、神戸市灘区にある萩原珈琲のもの。大塚さんは多彩な経歴の持ち主で、桂離宮そばの中村軒で和菓子職人をしていたり、神戸で製菓学校の講師を務めていたりしたそうです。どらやき作りは中村軒で学んだ技術が生かされ、コーヒーには神戸の思い出が詰まっているとのこと。
コーヒーは大塚さんがハンドドリップで淹れてくださいます。炭火焙煎による深いコクが特長で、甘さ控えめに作られたどらやきによく合います。
半分いただいたら、ラムレーズン・クリームチーズ・無塩バターのトッピングをお好みで挟んでみて。最初はボリューミーに思えますが、味を変えるうちにあっという間にたいらげてしまうはず。
大人の桜クリームどら 330円
テイクアウトのラインアップも豊富です。こぶりな「亥ノどら」は、あずき・抹茶・黒糖・くるみの定番に加え、季節限定の味も用意されています。
現在販売中の「大人の桜クリームどら」は、佐々木酒造の酒かす入り。桜餅に見立てた佇まいが愛らしいですね。桜の咲く頃までの販売ですので、気になる方はお早めに。
■どらやき 亥ノメ
【営業時間】10:00~17:00(喫茶は12:00~15:30)
【定休日】水曜日、木曜日 ※25日の場合は営業、翌日休
【アクセス】市バス「北野天満宮前」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式インスタグラム】https://www.instagram.com/dorayaki.inome/
【ZEN CAFE】
「春色のきんとん」x「ここだけのオリジナルコーヒー」
窓から見える町並みも一幅の絵のよう
江戸時代創業の和菓子の老舗鍵善良房の新しい試みとして、2012年にオープンした「ZEN CAFE」。祇園の花見小路通から少し西へ、奥まった場所にありながら、ここを目的に訪ねる人が後を絶ちません。
大きな窓から明るい光が差し込むカウンター席、ひとり掛けのチェア、丸テーブルを囲む個室、どの空間も老舗の洗練された美意識にあふれ、静かで豊かな時間を過ごすことができます。
上生菓子とコーヒーのセット 1,200円。セットの飲み物は、煎茶・ほうじ茶・紅茶・ジュースなどさまざまに用意されています
いただいたのは、上生菓子とコーヒーのセット。ひと月ごとに替わる上生菓子は、4月中旬まで「花霞(はながすみ)」と名付けられた“きんとん”です。白粒餡をつくね芋のきんとんでふわりと包んだ繊細な春の装いに、うっとり見とれてしまいます。
コーヒーはというと、「珈琲焙煎家」として知られる中川ワニさんが和菓子に合うように焙煎したという「ZEN CAFE」のためだけのオリジナルブレンド。「ZEN CAFE」の和菓子は鍵善良房に比べて全体的に甘さ控え目に作られているため、しっかりとした酸味のあるコーヒーに仕上げられています。
オリジナルブレンドコーヒー 200g 1,600円
ここでしか食べられない和菓子に、ここでしか出会えないコーヒーの組み合わせは、なんとも贅沢ですね。オリジナルブレンド豆は購入できるとのことですので、気に入られた方はぜひ。
■ZEN CAFE
【営業時間】11:00~18:00(ラストオーダー17:30)
【定休日】月曜日 ※祝祭日の場合は営業。翌日休
【電話】075-533-8686
【アクセス】京阪本線「祇園四条駅」から徒歩約3分 Google map
【公式Facebook】https://www.facebook.com/zencafebykagizen/