祇園祭・宵山中止の2020年。京都の町は“今”・・・

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八坂神社 舞殿の提灯飾

新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止となった、2020年祇園祭の宵山行事。絢爛豪華な山鉾の雄姿や会所飾り、夕方から灯る駒形提灯の風情ある光景が見られないのは本当に残念です。

今回は、祇園祭ゆかりのスポットや、人気の宵山グルメのお店など、四条界隈の山鉾町の様子を中心にご紹介します。「京都旅行はもう少しお預け」という方も、一緒に町中を散策している気分で、ご覧くださいね!

⇒そもそも「宵山」って? という方はこちらをチェック!(2018年6月掲載)



祇園祭の主役”神輿“はどこに?


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左:西御座、中央:中御座、右:東御座

まずは、祇園祭の主役である神輿を拝見しに八坂神社へ。例年であれば、7月10日から17日まで、24日から28日までの期間、境内の舞殿に3基の神輿が奉安されるのですが、今年は神輿渡御(とぎょ)の中止にともない、7月28日(火)まで、南楼門の西側にある神輿庫に飾られることになりました。

神輿庫の中は照明で照らされ、細部までしっかりと拝見できるのが嬉しいポイント。9時開門で、17時に閉門となるため、ご注意ください。



高島屋1階特設会場に現れた、大迫力の祇園祭アート!


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八坂神社でのお参りをしっかり済ませたら、山鉾町へと続く四条通で“祇園祭フェア”が開催される店舗を訪ねてみましょう。ちょっとした宵山気分を味わえますよ。

最初に立ち寄ったのは、四条河原町にある老舗百貨店、高島屋京都店。こちらには、京都が生んだロックな壁画家・木村英輝(きむら ひでき)さんの作品が展示されています。祇園祭を楽しむ人々の活き活きとした姿を描いたエネルギッシュな屏風と、木村さんの代名詞とも言える“金で縁取られたモチーフ”によってデザインされた駒形提灯に目が奪われますね。

一部作品を変えつつも毎年恒例となった展示ですが、何度見ても祭気分を盛り上げてくれます。今年は、7月24日(金・祝)までとのこと。他にも、祇園祭にちなんだアート展示や、グッズ、おみやげの販売など見どころいっぱいです。

⇒高島屋の祇園祭フェアはこちら



チャンスは1日6回! “長刀鉾の辻回し”


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次に訪れたのは、四条堺町角の野村證券 京都支店です。なんとこちらでは“長刀鉾の辻回し”が見られます。もちろん本物の鉾が建っているわけではありません。その正体は、店の前に設置された“からくり時計”です。

祭囃子をBGMに時計の上部がせり上がると、現れたのは思った以上に大きな長刀鉾の模型。懸装品等の再現率の高さはもちろん、鉾に乗るお稚児さんや、鉾を動かす曳き手などが、本物さながらに動き出すことに驚かされます。

年中見られるからくり時計ですが、実は2020年9月以降に改修工事が行われる予定だそう。工事が始まるとしばらくお預けとなるので、この祇園祭期間に見に行くのが良いかもしれません。からくり時計が見られる時間は、9時、11時、13時、15時、17時、19時の1日6回。運良く出会えた方は、ぜひ足を止めてご覧ください。



地下道でミニチュア山鉾が巡行中?


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四条通正面入口ショーウインドウで展示される長刀鉾の模型

続いて立ち寄ったのは、四条烏丸東に位置する老舗百貨店、大丸京都店。「祇園会 大丸夏祭り」として各階で祇園祭アイテムの展示・販売が行われています。1階ご案内所前・イベントスペースでは、約1/10スケールで製作された山鉾の模型や、祇園祭の歴史を振り返る写真を展示。さらに、地下1階食品売場では祭りの意匠を凝らしたお菓子が販売されるなど、まるで大丸を会場に宵山が開催されているようです。

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地下ウインドウで展示される山鉾のミニチュア

なかでも惹かれたのが、地下ウインドウの展示。可愛らしい33基の山鉾のミニチュアが展示されており、なんと、山鉾巡行のごとく動きます!

ついつい足を止めて見入ってしまうほどのインパクトですが、地下道にあるため見過ごされがち。7月31日(金)までの開催なので、中止となった山鉾巡行の代わりに、ぜひ皆さまも地下に降りて“小さな山鉾巡行”をご覧ください♪

⇒大丸京都店の祇園祭フェアはこちら



人気の宵山グルメ、テイクアウト準備OKです!


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四条烏丸交差点付近の宵山の風景(2020年は中止となります)

四条烏丸まで来たら、いよいよ山鉾町エリアに到着です。本来であれば7月10日(金)から前祭(さきまつり)に参加する山鉾建てが始まり、四条烏丸の交差点から西を眺めれば悠然と並び立つ鉾の雄姿が見られるはずなのですが・・・ 残念ながら2020年は見ることが叶いません。

しかし、宵山の楽しみと言えば、この時季にしか味わえない“絶品グルメ”を忘れてはいけません。美食家達の熱い想いに応えて、今年の宵山期間も販売される「テイクアウト可能な宵山グルメ」を紹介します。


【永楽屋】水あずき


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私も好きなのが、“飲む水ようかん”こと永楽屋の「水あずき」。つるんとした喉ごしに、優しい甘さが評判の宵山限定スイーツです。今年は7月15日(水)から17日(金)、22日(水)から24日(金・祝)と、前祭・後祭(あとまつり)の期間にあわせて室町店でのみ販売されます。

持ち運びに便利な蓋付きカップでの提供なので、町歩きにも最適です。無くなり次第終了となるため、気になる方はお早めに。

■永楽屋 室町店
【営業時間】9:00~18:00
      ※水あずきの店頭販売は7月15日(水)~17日(金)、22日(水)~24日(金・祝)の10時頃から。
【定休日】日曜日、祝日、第3土曜日
【電話】075-255-6601
【アクセス】地下鉄烏丸線「四条駅」から徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】http://www.eirakuya.co.jp/
★「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先です。特典内容はこちら。


【膳處漢ぽっちり】しみだれ豚まん


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香ばしい特製ダレの香りが、たまらない!

ひんやりスイーツの次は、お腹にたまる“肉まん”はいかが。膳處漢(ぜぜかん)ぽっちりの「しみだれ豚まん」は、毎年、宵山の4日間で20,000個以上を売り上げる人気商品です。

豚肉に椎茸など大きめの具がゴロゴロと入った豚まんは食べ応え満点。皮が染まるほどに染みこんだ肉汁と特製のタレが食欲を刺激し、ぺろりと平らげてしまえます。

宵山期間の店頭販売は残念ながら7月16日(木)までですが、「コロナ禍で京都に来られない方にも味わって欲しい!」と、2020年6月25日(木)から通信販売もスタート。予定では年内までつづけられるそうなので、この機会に、祇園祭の味覚をご自宅で味わってみませんか。

⇒しみだれ豚まんの通信販売はこちら

■膳處漢ぽっちり 京都
【営業時間】ランチ11:30~15:00(ラストオーダー14:00)       
      ディナー17:00~22:30(ラストオーダー21:30)
      ※新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う営業時間短縮のため、当面の間は22:00閉店となります。
      ※しみだれ豚まんの店頭販売(11:30~20:00)は7月16日(木)まで。
【定休日】無休
【電話】075-257-5766 
【アクセス】地下鉄烏丸線「四条駅」から徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】https://kiwa-group.co.jp/zezekan/


【トゥレ・ドゥー】山鉾パフェ


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こちらも期間限定のスイーツ。インパクト大の見た目を誇るのは、フランス菓子ショップ、トゥレ・ドゥーの「山鉾パフェ」。祇園祭が大好きなオーナーシェフが祇園祭を盛り上げたいと考案されたパフェです。

苺、チョコ、マンゴーカラメル、京風(抹茶・きなこ)からなる4種類の味はどれも絶品。販売期間は、7月11日(土)から25日(土)まで。テイクアウトはもちろん、店内でもいただけます。

■トゥレ・ドゥー
【営業時間】11:00~20:00 、土曜日・日曜日・祝日は~19:00
      ※山鉾パフェの店頭販売は7月11日(土)~25日(土)まで。
【定休日】水曜日
【電話】075-254-6645 
【アクセス】地下鉄烏丸線「烏丸御池駅」から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】http://www.nau-now.com/cake/touslesdeux/

3Dで見る宵山・巡行の姿


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八幡山の会所飾(2016年7月撮影)

「今年は行けないなぁ」という方のために、家にいながらでも宵山や巡行の様子をご覧いただける方法をお届けします。

“夫婦和合”や“子供の健康”のご利益で知られる八幡山(はちまんやま)では、会所飾りの様子を撮影して作られたバーチャル画像がWeb上にて公開されています。360度画像を動かすことができ、あたかも会所にいるかのように懸装品を見ることができます。

そして、一部の懸装品は、カーソルをクリックすることで詳細な説明が表示される親切設計。まだ、八幡山の会所を訪ねたことがないという方もぜひご覧ください。

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八幡山のバーチャル画像を手がけたのは立命館アート・リサーチセンター。2002年から各山鉾町で祭の風景や、山鉾、懸装品、古文書などをデジタル化して保存する活動を進めてこられました。

その集大成として2020年7月1日(水)から公開が始まったのが、特設ウェブサイト「祇園祭デジタル・ミュージアム -祇園祭の過去・現在・未来-」です。八幡山だけではなく、各山鉾町が保存されてきた4,000点を超える貴重な資料が公開されています。

8月以降も一部コンテンツは見ることができるそうですが、すべてが公開されているのは7月31日(金)まで。この特別な機会をお見逃しなく。

⇒「祇園祭デジタル・ミュージアム」のウェブサイトはこちら

⇒八幡山保存会の公式ホームページ(ブログ)はこちら


気分は専属カメラマン! VR動画で巡行を追いかけよう


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白楽天山の巡行の様子(2019年撮影)

実は、山鉾町の保存会のなかに、独自でVR動画を作られている山があります。それが、前祭に参加する白楽天山(はくらくてんやま)です。

唐の詩人・白楽天が道林禅師という僧を訪ねた故事を表現、2体のご神体人形が乗る人気の山。禅師との対話のなかに悟りを見いだしたという白楽天にあやかり、学問成就 ・合格祈願のご利益で知られます。

⇒2020年の白楽天山の授与品はこちら



Credit Alessandro de Bellegarde and Sogendo Inc

白楽天山が手がけたのは、360度自由に動かせる「VR動画」。映像は巡行を追いかけるような視点で撮影されていて、普段なら決して見ることのできない光景です。気分は、白楽天山の専属カメラマンでしょうか。

保存会の方によると、「パソコンよりも、スマートフォンのYouTubeアプリでご覧いただいた方が臨場感がある」とのこと。VRゴーグルにも対応しているそうなので、お持ちの方は迫力の映像をお楽しみください。

⇒白楽天山の「360度VR動画」はこちら
※一部の端末では正常に動作しない場合があります。なお、モバイル端末で正常に動作しない場合は、最新バージョンのYouTubeアプリよりご覧ください。

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規模縮小となった2020年の祇園祭ですが、町全体で盛り上がろうとする熱い想いを少しでも感じていただけたでしょうか。

今回ご紹介した内容以外にも、まだまだ見どころがいっぱいです。ご旅行を予定されている方は、感染予防対策をしっかりと行い散策をお楽しみください。そして、今年の祇園祭はご自宅でという方は、写真やバーチャル映像を楽しみながら、ぜひ来年の山鉾行事にご参加ください!


★京都市観光協会のホームページ(京都観光Navi)でも、祇園祭について掲載されています。あわせてご覧ください。
⇒京都観光Navi

Written by. きのこ

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