岩船寺から浄瑠璃寺へ。石仏の里「当尾」で、“謎解き”ゲーム開催中♪

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 呼び覚ませ、先祖の記憶
  石仏とともに眠る謎を解け


こんなミステリアスな文言ではじまる「謎解き」ゲームが、今、静かなブームを呼んでいます。舞台となるのは、京都府南部、奈良県との県境に位置する当尾(とうの)。浄瑠璃寺(じょうるりじ)や岩船寺(がんせんじ)などの古寺をはじめ、のどかな山間に石仏や石塔が点在する風光明媚な地です。

2020年8月1日(土)から始まったばかりの、「当尾 謎解き 石仏めぐり -とある石工の不思議な記憶」(11月30日まで開催)は、“石仏の里”に散りばめられた「謎」を解き明かしながら散策を楽しむというゲームで、アクセス不便な場所であるにも関わらず、かえって「“3密”を避けてのんびり楽しめる」と、すでに多くの方が参加されているそうです。

いったいどんな「謎解き」ゲームなのか。参加方法や当尾の見どころについて、ご紹介します!

主人公は、鎌倉時代の石工・伊末行


まずは簡単に「謎解き」ゲームの内容をご紹介すると・・・

主人公は、鎌倉時代の石工(いしく)・伊末行(い すえゆき)。実在した人物のようで、その祖父とされるのが、伊行末(い ぎょうまつ・ゆきすえ)。中国・南宋の石工で、鎌倉時代初期に来日、平重衡(しげひら)による焼き討ち後の東大寺復興に尽力した人物です。行末は、東大寺大仏殿や講堂の石壇、般若寺の十三重石宝塔などをつくり、その子孫は石工集団「伊派」として、日本各地で活躍しました。

※石工=山から石材を切り出し、それを刻み、細工する職人のこと。仏教建築に欠かせない技術で、日本では、渡来工人の活躍により格段に技術が進化しました。

般若寺(奈良県) Google map
右に建つのが、十三重石宝塔


この「謎解き」では、末行が、偉大な祖父のように大きな仕事がもらえず悶々としているときに、岩船寺の住職より「当尾の石仏の傍らにいくつかの石工道具が落ちている。もしかしたらお祖父さんの道具かもしれないので、見に行ってくれないか」と依頼され、気晴らしに旅立つところから、ものがたりがはじまります。

・・・実は、末行の作った作品が石仏の道のなかにあり、末行は「もう一度あの美しい里に行くのも悪くない」と、自分を言い聞かせるようにして旅立ちます。今も道中には末行の作品が遺されているそう。いったいどこで出会えるのでしょうか? それでは、私たちも謎解きの旅をはじめましょう♪

「謎解き」ゲームの参加方法
 & おすすめ交通アクセス



この「謎解き」ゲームに参加するには、専用のキットを購入する必要があります。
販売箇所は・・・

■木津川市観光協会(JR「加茂駅」西口から徒歩約2分)
 10:00~17:00 水休
■岩船寺
 8:30~17:00

の2箇所のみ。参加賞の受け渡しもこの2箇所となります。

キット内には、問題冊子、“指示があるまで開けてはいけない”封筒、解答用紙、当尾石仏mapがセットになっていて、現地で歩きながら謎を解き進めます。

現地への主なアクセスは、「車」もしくは「公共交通機関」を利用する2つの方法があります。

車の場合
スタート地点となる岩船寺前の民間駐車場(普通車300円)を利用→岩船寺にて専用キットを購入→石仏の道を散策→最終地点の浄瑠璃寺から徒歩、もしくは木津川市コミュニティバス当尾線:加茂駅東行き(毎時44分発)に乗車し(約7分)、岩船寺に戻る→岩船寺にて参加賞をGET

■公共交通機関の場合
JR「加茂駅」東口→木津川市コミュニティバス当尾線:加茂山の家行き(毎時14分発)に乗車し(約16分)、岩船寺へ→岩船寺にて専用キットを購入→石仏の道を散策→最終地点の浄瑠璃寺から木津川市コミュニティバス当尾線:加茂駅東行き(毎時44分発)に乗車し(約22分)、JR「加茂駅」に戻る→木津川市観光協会にて参加賞をGET

■木津川市コミュニティバス当尾線 時刻表はこちら
※往復利用の場合は、「コミュニティバス1日フリー乗車券」(400円)の利用が便利です。

★京都駅からJR「加茂駅」への主なアクセス(所要時間約1時間)
JR「京都駅」→JRみやこ路快速・奈良行き(約40分)→JR「木津駅」乗換→JR大和路快速・加茂行き(約6分)→JR「加茂駅」下車

\注意/
奈良交通JR・近鉄奈良駅~浄瑠璃寺間 急行バスは、下記の期間運休。
2020年8月1日(土)~10月31日(土) ※11月1日(日)から再開予定。

木津川市コミュニティバス


私は公共交通機関を利用して参加しましたが、スムーズなアクセスを考える場合、まずは岩船寺に向かい専用キットを入手、浄瑠璃寺にて答えを解き明かした後、バスでJR「加茂駅」に戻り、木津川市観光協会にて参加賞をGETするのが、スムーズな流れかと思いました。岩船寺は8時半より開門されているので、朝の涼しい内にゲームを始めるのも得策です♪


・・・ちなみに、問題は実際に現地に行かないと解けないものが多く、一部難しいところもあります。が、問題冊子には親切にもQRコードの「ヒント」がついているので、「どうしても解けない・・・」という場合には、そちらを参考にしてみてください。私は、最後の答えの解き方がわからず、難儀しました・・・

では、「当尾」って、どんな場所でしょうか?


浄瑠璃寺 苑池と三重塔


「謎解き」ゲームの舞台となる「当尾」は、木津川市加茂町の東南部、静かな山間に位置します。奈良に近いことから、歴史的に南都仏教の影響を色濃く受けてきたエリアで、平安時代から鎌倉時代にかけては、南都の僧侶が世俗の喧騒を離れ、隠遁の地として草庵を結び修行に明け暮れた、といわれています。

そのため、かつてこの地にはたくさんの塔頭が並び、その光景は「塔の尾根」と呼ばれるほど。その名がいつしか「当尾(とうの)」となったそうです。

当尾を代表する石仏の「笑い仏」


時代とともに多くの塔が失われ、現在では岩船寺・浄瑠璃寺の三重塔が遺るのみとなりました。かつては修行場となっていた当尾の山のなかには、今も石仏や磨崖仏などが遺され、のどかな景観が愛されています。

ミロクの辻の「弥勒磨崖仏」
笠置寺の御本尊を模した作だそう


スタートは「岩船寺」!
境内を彩る花々と朱塗りの三重塔に注目♪


「謎解き」ゲームでは、お寺を拝観することなく謎を解き明かすことができるのですが、せっかく訪れたならば、ぜひ当尾の古寺にも立ち寄ってみてください。


スタートとなる岩船寺は、天平元年(729)、聖武天皇の勅願で行基が建立したことにはじまる、由緒あるお寺です。関西有数の「花の寺」で、特に有名なのが、35品種約5000株が植わるという「あじさい」。そのほかの季節にも可憐な草花が境内を彩ります。


朱塗りの三重塔のまわりはぐるりと一周することができ、塔を上から見下ろす珍しいアングルも楽しめます。本尊の丈六「阿弥陀如来坐像」は行基の作と伝わり、平安時代を代表する仏像。かつての彩色が残る「四天王像」や、三重塔に納められていた「普賢菩薩騎象像」など、見ごたえのある仏像が祀られています。

■岩船寺
【拝観時間】8:30~17:00(12月~2月は9:00~16:00) ※受付は15分前まで
【拝観料】500円
【電話】0774-76-3390
【アクセス】JR奈良線「木津駅」乗換、JR関西本線「加茂駅」乗換、コミュニティバス当尾線「岩船寺」バス停から徒歩すぐ Google map
【公式ホームページ】http://gansenji.or.jp/
【公式Instagram】https://www.instagram.com/gansenji_temple/

浄瑠璃寺を目指そう!
国宝「九体阿弥陀如来像」修復中につき、秘仏「大日如来像」がお目見え中。


三重塔前から本堂を眺める


岩船寺を出発、「謎解き」をしながら石仏の道をめぐり、目指すは浄瑠璃寺です。こちらは、極楽浄土を表す「池泉浄土式」の庭園が広がる美しいお寺で、苑池を真ん中に、西に九体阿弥陀堂(国宝)、東に秘仏の薬師如来像を祀る三重塔(国宝)が建ちます。「謎解き」ゲームのなかでは、境内に点在するスポットを探すようになっているのですが、やはりせっかく訪れたのであれば、国宝の本堂・九体阿弥陀堂にもお参りを。

本堂


本堂内にずらっと並ばれるのは、国宝「九体阿弥陀如来像」。平安時代に流行した「九体阿弥陀仏」の様式を今に伝える日本で唯一の場所であり、丈六の「阿弥陀如来中尊像」を中心に、太陽の沈む西方を背にして、じっと衆生を待ってくださる姿は、まさに荘厳そのもの。

現在は、平成30年(2018)よりはじまった修理・修復プロジェクトのため、阿弥陀如来中尊像は席を外されていますが、その間、潅頂堂の秘仏である「大日如来像」が中央にお祀りされています(2021年6月20日まで)。1年のうち、1月8・9・10日の3日間のみ開扉される(※令和3年は休止)仏様。運慶の父・康慶の作ともされる秘仏に、ぜひお参りを。期間限定で、「大日如来」の特別御朱印(300円、書き置きのみ)も授与されています。

境内には時折ネコが現れることも。


■浄瑠璃寺
【拝観時間】9:00~17:00(12月~2月は10:00~16:00)※受付は各30分前まで
【拝観料】庭園無料、本堂400円
【電話】0774-76-2390
【アクセス】JR奈良線「木津駅」乗換、JR関西本線「加茂駅」乗換、コミュニティバス当尾線「浄瑠璃寺前」バス停から徒歩すぐ Google map
※九体阿弥陀仏の修復工事は、2023年までを予定。

「謎解き」ゲーム参加の注意点
 & 休憩スポット


「石仏の道」は、当尾の山の中をめぐる約2キロ、謎を解きながらであれば2時間ほどの道。岩船寺から浄瑠璃寺へはなだらかな下りの道となるため、体力的に厳しい箇所はなく、比較的歩きやすいといえるかもしれません。


しかし、舗装されていない山道を歩くことも多いため、必ず、歩きやすい服装・靴で訪れてください。また、岩船寺、浄瑠璃寺の周辺にはお手洗いや自動販売機がありますが、石仏の道コース内にはありませんので、注意が必要です。水分や、補給食の準備もお忘れなく。暑い季節に訪れる方は、虫除けも必須です!

あ志び乃店


浄瑠璃寺の前には、数軒のお食事処があるので、疲れた身体を癒やしてくださいね。歩き疲れてお腹ペコペコの私は「とろろそば」を注文! ひんやりとしたおそばに舞茸の食感が心地よく、滋養たっぷりのとろろで元気をチャージ。最後の問題を解く気力・体力を養いました♪

とろろそば 1,100円


■あ志び乃店
【営業時間】10:00~16:30
【定休日】不定休
【電話】0774-76-2791
【アクセス】コミュニティバス当尾線「浄瑠璃寺前」バス停から徒歩すぐ Google map
【公式ホームページ】http://ashibinomise.life.coocan.jp/
★「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先です。特典内容はこちら。

***
当尾を舞台とした「謎解き」ゲーム。“解き明かす”という目的があるだけで、さらに楽しく石仏の道を歩くことができました。カップルや家族連れでのご参加も多いそうで、私が訪れたときにも、小さなお子様を連れたお父様が参加されていて、「あんなに小さな子たちがめぐれるならば、きっと私にもできる!」と、大きな勇気をいただきましたよ♪ 里の皆さまも親切な方ばかり。それだけに訪れる時には、感染症予防対策や、ごみを持ち帰るなどの心配りを、どうぞ忘れないようにお願いいたします。

■木津川市リアル謎解きゲーム「当尾 謎解き 石仏めぐり -とある石工の不思議な記憶」
【日程】2020年8月1日(土)~11月30日(月)
【参加料】1,200円(専用キット購入代) ※ペア割・グループ割あり
【会場】木津川市当尾エリア(岩船寺~浄瑠璃寺間 石仏めぐりコース約2キロメートル)
【所用時間】約2~3時間(ファミリー・初心者向け)
【問合せ】0774-39-8191(木津川市観光協会)
【公式ホームページ】http://www.0774.or.jp/(木津川市観光協会)

当尾名物「吊り店」には、旬の野菜が並びます♪

Written by. みさご

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