京都の名建築探訪 1
お寺・神社にとどまらず、貴重な文化財や庭園が数多くのこる京都。今回は、一般公開開始から今年(2021年)で5年目となる「旧三井家下鴨別邸」をご紹介します。長らく非公開であったため今も知る人ぞ知るスポットですが、近代の名建築とともに、初夏から夏にかけては青もみじや苔、紫陽花が美しく、秋は紅葉の名所としても注目され始めています。
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、京都旅行の際は、政府およびお住まいの都道府県と京都府の要請をご確認ください。京都にお越しの際は、マスクの着用・手指のアルコール消毒など、感染拡大防止の徹底にご協力をお願いいたします。日々、状況は変化しておりますので、事前に最新情報をご確認ください。
旧三井家下鴨別邸とは?
旧三井家下鴨別邸は、その名の通り、呉服・両替商で発展した豪商・三井家の別邸。賀茂川と高野川が合流する鴨川デルタ北側の自然豊かな地、世界遺産・下鴨神社の一の鳥居そばに位置します。
建物は、大正14年(1925)に三井北家(総領家)第10代・三井八郎右衛門高棟(たかみね)が、祖霊社である顕名霊社(あきなれいしゃ)参拝の際の休憩所として建築。「玄関棟」「主屋(しゅおく)」「茶室」の3棟からなり、正面には庭園が広がります。戦後、約半世紀にわたり京都家庭裁判所の所長宿舎となりましたが、平成23年(2011)、国の重要文化財に指定。復元修理が行われた後、平成28年(2016)秋から一般公開が行われています。
建物は、大正14年(1925)に三井北家(総領家)第10代・三井八郎右衛門高棟(たかみね)が、祖霊社である顕名霊社(あきなれいしゃ)参拝の際の休憩所として建築。「玄関棟」「主屋(しゅおく)」「茶室」の3棟からなり、正面には庭園が広がります。戦後、約半世紀にわたり京都家庭裁判所の所長宿舎となりましたが、平成23年(2011)、国の重要文化財に指定。復元修理が行われた後、平成28年(2016)秋から一般公開が行われています。
大正・明治・江戸後期、3つの時代の建築が融合
大正期:玄関棟
玄関棟(左)。主屋(右)に比べ天井が高いことが、外観からもよくわかります。

広間
まずご紹介する玄関棟は、下鴨別邸建築時に主屋への入り口として増築されました。格天井や襖など書院造を基調としていますが、天井は高く、照明は洋風、床には絨毯が敷かれ、和洋折衷の造りに。椅子に腰かけてお庭が眺められるよう、窓の高さにも工夫が施されています。復元修理時に絨毯の切れ端が見つかったことから、絨毯は当時と同じ緑色になっているそうですよ。
襖は美しい菊菱模様
明治期:主屋(2・3階は通常非公開)
主屋は、3棟のなかでも中心的な建物。明治13年(1880)木屋町三条上ルに8代当主の隠居所として建てられた木屋町別邸を移築したものです。和洋折衷の玄関棟から主屋に入ると、室内は畳、天井の高さや壁の色も変わり、また違った雰囲気を味わえます。
建物内部は、現在では希少な大正ガラスの窓をはじめ、ランプや襖、洗面所のデザインなど、随所にこだわりがつまっています。内玄関次の間には、江戸後期の画家・原在正の杉戸絵「孔雀牡丹図」。若くして亡くなったため、作品数が少なく、貴重な作品なのだそう。
外観が特徴的な主屋。その理由は“眺望を楽しむこと”を目的に建てられたから。現在、正面には庭園が広がりますが、移築前は正面に鴨川が流れ、東山を一望することができたそう。その眺望を楽しめるように、1階と2階の障子にはガラスが用いられ、見通しの良い縁側・縁廊下になっています。
3階望楼(通常非公開)
特に注目したいのが、3階の望楼。わずか3畳半ほどの部屋は360度がガラス窓となり、まさに“眺望を楽しむために作られた空間”です。現在は東山や比叡山、「五山送り火」でおなじみの大文字山を望むことができ、当時のように贅沢な眺望を楽しむことができます。
通常は1階のみの公開で、2階・3階は非公開となります。定期的に特別公開が行われており、2階でお食事を楽しみ、3階望楼見学ができる朝食・ランチプランなどがあり、その期間に訪れるのもオススメです。この夏の「京の夏の旅 文化財特別公開」では、主屋2階が特別公開されるとのこと。イベントの詳細は公式ホームページよりご確認ください。
通常は1階のみの公開で、2階・3階は非公開となります。定期的に特別公開が行われており、2階でお食事を楽しみ、3階望楼見学ができる朝食・ランチプランなどがあり、その期間に訪れるのもオススメです。この夏の「京の夏の旅 文化財特別公開」では、主屋2階が特別公開されるとのこと。イベントの詳細は公式ホームページよりご確認ください。
江戸後期:茶室(通常非公開)
主屋の東側に建つ茶室。下鴨別邸建築以前からあったと伝わり、江戸末期の建物と推定されています。庭園に面した開放的な茶室で、丸窓から望む風景も趣があります。こちらは、三井家が使用していた時代、法要の際には、御神宝が陳列されていたそうです。通常非公開となり、特別公開時のみご覧いただけます。
四季折々に美しい庭園
そして3棟の前に広がるのが、モミジやケヤキ、ムクなどの広葉樹が植わる庭園です。ひょうたん型をした大きな池には、下鴨神社の境内を通る泉川(いずみがわ)の水を取り入れています。2018年には庭園西側に「あじさい苑」が設けられ、今では約400株のカラフルな花々を楽しむことができます。モミジも美しく、秋の紅葉の見頃は、京都市内でも遅く例年12月中旬。下鴨神社に広がる糺(ただす)の森とあわせて紅葉狩りを楽しむのも良いでしょう。
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見どころいっぱいの旧三井家下鴨別邸。隅々まで見ると、当時の生活が垣間見える、素晴らしい意匠がありました。訪れた際は、別邸内に用意されている「ここはどこでしょう?」シートを手に、ぜひチェックしてみてくださいね!
■旧三井家下鴨別邸
【開館時間】9:00~17:00(受付終了16:30)
【入館料】500円
【休館日】水曜日(祝日の場合は翌日)、12/29~31
【電話】075-366-4321
【アクセス】市バス「葵橋西詰」バス停・京阪鴨東線「出町柳駅」から徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】https://ja.kyoto.travel/tourism/article/mitsuike/
【公式Facebook】https://www.facebook.com/mitsuike.kyokanko/
【開館時間】9:00~17:00(受付終了16:30)
【入館料】500円
【休館日】水曜日(祝日の場合は翌日)、12/29~31
【電話】075-366-4321
【アクセス】市バス「葵橋西詰」バス停・京阪鴨東線「出町柳駅」から徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】https://ja.kyoto.travel/tourism/article/mitsuike/
【公式Facebook】https://www.facebook.com/mitsuike.kyokanko/
※掲載内容は2021年6月4日時点の情報です。最新情報は掲載先へご確認ください。