5年半ぶりの国宝里帰り。「大徳寺 聚光院」特別公開の見どころをチェック!

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『花鳥図』(国宝)

『花鳥図』(国宝)

洛北の禅刹・大徳寺の塔頭のひとつ「聚光院(じゅこういん)」。通常非公開のお寺ですが、狩野永徳と父・松栄による襖絵全46面(国宝)が京都国立博物館から5年半ぶりに里帰りし、約半年に渡る特別公開を行われています(~2023年3月26日)。狩野派を代表する天才絵師・永徳の“実物”を拝観できる貴重な機会です。襖絵の他にも、方丈庭園(国指定名勝)や茶室(重文)など、見どころたっぷりの聚光院を訪ねてみましょう!
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、京都旅行の際は、政府およびお住まいの都道府県と京都府の要請をご確認ください。京都にお越しの際は、マスクの着用・手指のアルコール消毒など、感染拡大防止の徹底にご協力をお願いいたします。日々、状況は変化しておりますので、事前に最新情報をご確認ください。

聚光院ってどんなお寺?

(2016年の風景です)

(2016年の風景です)

聚光院は、戦国武将・三好義継が永禄9年(1566)に養父・長慶の菩提を弔うために創建。開祖は、大徳寺第107世住職の笑嶺宗訴(しょうれいそうきん)で、千利休に禅道を教えた師のひとりとされています。そのため利休は、聚光院を自らの菩提寺とし、利休の流れを汲む茶道三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)の歴代墓所があることから、茶道を嗜む方にとってはまさに“聖地”といえそうです。

今回の特別公開は、予約優先制となり、ツアー形式でスタッフの方に境内をご案内いただきます。拝観は5日前まで予約が可能ですが、定員がありますので、早めの予約がおすすめです!

★京都駅からのアクセスは・・・?
聚光院までのアクセスは、地下鉄+バスがおすすめ。 京都駅から大徳寺までは市バスだけでの移動となると約1時間かかりますが、“地下鉄+市バス”なら、乗車時間の短縮が可能です。地下鉄で後ろ寄りの車両に乗車すれば、北大路駅での乗り換えもスムーズに。聚光院は大徳寺境内の北の方に位置し、バス停から少し離れているので、到着時間に注意しましょう。

<京都駅から聚光院へのアクセス>
地下鉄「京都駅」→烏丸線(国際会館行)<約13分>→「北大路駅」乗換→北大路バスターミナル青のりばから市バス1・101・102・204・205・206系統など<約5分>→「大徳寺前」バス停下車、徒歩約7分で到着

聚光院の主な見どころをご案内!

特別公開の見どころは、何と言っても永徳と松栄が描いた「本堂」(重文)の障壁画46面。永徳が手がけた作品は兵火や破却に遭ったことにより今に伝わるものが少なく、この規模で残っているのは、なんと聚光院の本堂のみなのだそう! 2016年の里帰りの際は、全国から約10万人が訪れたほど人気を博しました。障壁画の他にも、国の名勝に指定されている「方丈庭園」と利休を偲ぶ2つの「茶室」(重文)もチェックしておきたいところ。聚光院の主な見どころをご案内します!

★障壁画(国宝)
【花鳥図】日本美術を代表する傑作

  • 『花鳥図』。北側の障壁画
  • 拝観時、正面の襖は開いています。
  • 『花鳥図』。北側の障壁画
  • 拝観時、正面の襖は開いています。
本堂の中心にある「室中の間」を飾る、16面の障壁画『花鳥図』。永徳が24歳の時に描いたとされる水墨画です。昭和54年(1979)、パリのルーブル美術館から『モナ・リザ』が来日したとき、お返しとして海を渡った作品で、そのことからも日本美術を代表する傑作ともいえますね。

『花鳥図』は、永徳独特の力強い筆致でダイナミックに描かれていて、3方16面の一大パノラマが楽しめます。正面(北側)襖絵に描かれている鶴が見上げる先、襖の奥には、開山・笑嶺宗訴の像が鎮座しています。
  • 東側の障壁画 ※「室中の間」外の廊下からの拝観となるため、正面からはご覧いただけません。
  • 西側の障壁画 ※「室中の間」外の廊下からの拝観となるため、正面からはご覧いただけません。
  • 東側の障壁画 ※「室中の間」外の廊下からの拝観となるため、正面からはご覧いただけません。
  • 西側の障壁画 ※「室中の間」外の廊下からの拝観となるため、正面からはご覧いただけません。
『花鳥図』は季節が感じられる障壁画で、東面は、大きな梅の枝下を雪溶け水が流れる“春の風景”。北面は、松の大木と餌をついばむ丹頂鶴、松の傍らに佇む茶の木に花が描かれる“初秋の風景”。向かって右側の岩にとまるセキレイは、空間を隔てて飛んでいる東側襖の一羽と目を合わせているかのようです。そして西側は、葦が生い茂る水辺に飛来する雁が描かれているので“晩秋の風景”なのだとか。ちなみに“夏の風景”も同じお部屋にあり・・・

【蓮池藻魚図】永徳の父・松栄筆の涼しげな障壁画

  • 『蓮池藻魚図』※「室中の間」外の廊下からの鑑賞となるため、細部までご覧いただくことはできません。
  • 『蓮池藻魚図』※「室中の間」外の廊下からの鑑賞となるため、細部までご覧いただくことはできません。
  • 『蓮池藻魚図』※「室中の間」外の廊下からの鑑賞となるため、細部までご覧いただくことはできません。
  • 『蓮池藻魚図』※「室中の間」外の廊下からの鑑賞となるため、細部までご覧いただくことはできません。
北側の襖の奥、笑嶺宗訴と利休の像が安置されている仏間の下にはめられた『蓮池藻魚図(れんちそうぎょず)』。こちらは永徳とは対照的に柔らかな筆致の狩野松栄筆で、小さな襖8面に描かれるのは、浄土の象徴である蓮池です。水中には鯉やナマズ、水上にはつがいの燕が遊んでいて、まさに“夏の風景”。永徳が描いた『花鳥図』東面の水流から連続して鯉やフナが見えるという仕掛けとなっています。

【琴棋書画図】画面から圧倒されるようなパワーが魅力

  • 琴や書を嗜む賢人たちの細やかなしぐさや表情にもご注目を。
  • 琴や書を嗜む賢人たちの細やかなしぐさや表情にもご注目を。
もうひとつご紹介したい障壁画は、「檀那の間」に飾られている『琴棋書画図(きんきしょがず)』。永徳筆と伝わり、『花鳥図』と同時期に描かれたものだそう。“琴棋書画”とは、中国の士大夫が身につけるべきとされた4つの芸のこと。楷書のように一点一画をしっかり抑えた「真体」という画法で描かれたのは、中世の禅僧たちが理想とした中国文人の世界です。時の経過により現在はシンプルな色彩(・・・でありながら絵に迫力が感じられます!)に見えますが、当時は濃彩な絵の具と墨線、背景の金泥によって、見ている方に強いインパクトを与えたであろう作品です。

★方丈庭園(国指定名勝)
【百積の庭】“下絵は永徳、作庭は利休”の贅沢なお庭

(2016年の風景です)

(2016年の風景です)

続いての見どころは方丈(本堂)南の枯山水庭園で、国の名勝に指定されています。中央に石橋があり、東西の直線上にたくさんの石がゴロゴロと据えられており、「百積の庭」「百石の庭」とも。こちら実は、永徳が描いた下絵を元に、利休が作庭したと伝わります! 本堂『花鳥図』の東面と呼応するように、庭園西側の石組が配されているともいわれているそう。ぜひ注目してみてくださいね。ちなみに、西側の手前にある白い樹皮の沙羅の木は利休手植え(現在は4代目)と伝わります。

★茶室(どちらも重文)
【閑隠席・枡床席】茶道の聖地に佇む、ふたつの茶室

  • 閑隠席
  • 枡床席
  • 閑隠席
  • 枡床席
天下の茶事を務めた利休は聚光院を菩提所とし、利休の流れを汲む茶道三千家は、今もなお歴代の墓所としています。その関わりを深く感じられるのが、茶室「閑隠席(かんいんせき)」「枡床席(ますどこのせき)」。千利休150回忌の際、表千家7代・如心斎の寄進によって建てられた「閑隠席」は、利休好みの切り詰めた侘び茶室。明かりが極度に制限され、西日の頃しか陽が入ってこないほど。客座の天井の高さも176センチ程しかなく、3畳の狭い空間からはどことなく緊張感が漂います。

「枡床席」は、「閑隠席」の70年後に建てられたもので、こちらは4畳半の広さがあり、半畳は踏み込み式の床の間となっています。床柱には曲線の赤松を使用されていて、天井は「閑隠席」よりやや高く、こちらは開放的で明るい印象。その違いをぜひ、現地で見比べてみてください♪

千住博画伯の大作『滝』も必見です!

平成25年(2013)に落慶した書院では、世界的に活躍する日本画家・千住博(せんじゅ ひろし)さんの障壁画『滝』が特別公開されています。構想から完成まで16年を費やしたという大作で、鮮烈な青と真っ白な滝が浮かび上がる様子は、まさに壮観。今にも滝の音が聞こえてきそうな迫力ある障壁画です。

今回は、「大徳寺 聚光院」の見どころをご紹介しました。聚光院を訪れたなら、その他の大徳寺の塔頭寺院も巡ってみましょう。大仙院龍源院瑞峯院は1年を通して拝観可能です。そしてこの秋、特別拝観が行われる塔頭は、興臨院(9月3日~25日、10月1日~12月15日)・黄梅院(10月1日~12月11日)・総見院(10月9日~11月30日)。期間中、拝観休止日もありますので、公式ホームページ(京都春秋)などでご確認ください。

■国宝里帰り 特別公開 ※予約優先制
【日程】2022年9月3日(土)~2023年3月26日(日)     
    10:00~16:00 ※拝観休止日あり
【料金】大人2,000円、中高生1,000円(中学生は保護者同伴、小学生以下は拝観不可)
【場所】大徳寺 聚光院 詳細情報はこちら
【電話】075-231-7015(京都春秋)
【公式ホームページ】https://kyotoshunju.com/temple/daitokuji-jukoin/(京都春秋)
【拝観予約】https://kyotoshunju.com/reservation/?page_id=2&ym=2022-9
※ご予約は当日の2ヵ月前から5日前までとなります。ご注意ください。
※掲載内容は2022年9月14日時点の情報です。最新情報は掲載先へご確認ください。

Written by. オパン

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