新緑きらめく、京都の近代邸宅・別荘でひとやすみ

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無鄰菴

無鄰菴

新緑が美しい初夏に、ゆっくりとお庭を眺めてみませんか? 今回は、美しい庭園を兼ね備えた、京都の歴史ある近代邸宅や別荘をご紹介します。お抹茶をいただきながら眺める風景は、まさに贅沢なひととき。神社やお寺とはまた異なる“京都時間”を楽しんでみてください。
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、京都旅行をご検討の際は、政府およびお住まいの都道府県と京都府の要請をご確認ください。日々、状況は変化しておりますので、事前に最新情報をご確認ください。JR東海の「新型コロナウイルス感染症対策に関する取組み」はこちら。

【無鄰菴】
政治家、山縣有朋の別荘。お庭を見渡せる母屋から新緑を満喫

  • 伽藍石(写真2枚目)からの眺め。奥には東山が見えます。

    伽藍石(写真2枚目)からの眺め。奥には東山が見えます。

  • 中央の丸い石が伽藍石。視点場となっていて、おすすめのビューポイントです。

    中央の丸い石が伽藍石。視点場となっていて、おすすめのビューポイントです。

  • 琵琶湖疏水から引き入れた水は、東端にある滝口から流れ落ち庭園内をめぐります。

    琵琶湖疏水から引き入れた水は、東端にある滝口から流れ落ち庭園内をめぐります。

  • 高低差がある庭園で、眺める場所によって多彩な風景が楽しめるのも魅力です。

    高低差がある庭園で、眺める場所によって多彩な風景が楽しめるのも魅力です。

明治27年(1894)から29年(1896)に造営された無鄰菴は、明治・大正時代の元老である山縣有朋の別荘。有朋が伊藤博文らと日露開戦前の外交方針について話し合った「無鄰菴会議」の舞台としても有名です。約1,000坪を誇る庭園は、有朋の指示に基づいて七代目小川治兵衛が作庭し、国の名勝に指定されています。

庭園を歩いてみると、新緑とともに可愛らしい野花も愛でることができ、心安らぐひととき。川のせせらぎに耳を傾けたり、園路に設けられた視点場で立ち止まり風景を眺めてみるなど、楽しみ方も色々です。
  • 母屋

    母屋

  • 福寿園のお抹茶と無鄰菴オリジナルお干菓子2種のセット。

    福寿園のお抹茶と無鄰菴オリジナルお干菓子2種のセット。

  • お干菓子やどら焼き、手ぬぐいなど、お土産も豊富です♪

    お干菓子やどら焼き、手ぬぐいなど、お土産も豊富です♪

お庭散策を満喫したあとは、母屋の “庭園カフェ”でひとやすみ。庭園を180度見渡せる特等席で、飲み物とスイーツ(スナック)のセットをいただけます。お抹茶やコーヒーのほか、クラフトビールやスパークリングワインといったお酒が用意されているのも無鄰菴ならでは♪ 無鄰菴オリジナルのお干菓子やどら焼きはおみやげとしても購入可能です。

無鄰菴
【入場時間】4~9月9:00~18:00、10~3月9:00~17:00 ※最終入場は閉場30分前
【入場料】600円(4/1~9・24~30・5/1~31・9/24~30・10/15~21・11/1~5・12/1~3は900円、11/6~26は1,100円)、庭園カフェ1,200円
【休場日】12/29~31
【電話】075-771-3909
【アクセス】地下鉄東西線「蹴上駅」から徒歩約7分、市バス「神宮道」バス停から徒歩約10分 Google map
【公式ホームページ】https://murin-an.jp/
【公式Facebook】https://www.facebook.com/ueyakato/
【公式Twitter】https://twitter.com/murinan_garden
【公式Instagram】https://www.instagram.com/murinan_garden/

【大河内山荘庭園】
映画俳優・大河内傳次郞が作り上げた、絶景の借景庭園

  • 大乗閣。床几に座り、ひとやすみすることも。

    大乗閣。床几に座り、ひとやすみすることも。

  • 遠くには比叡山や双ヶ丘(ならびがおか)などが見えます。

    遠くには比叡山や双ヶ丘(ならびがおか)などが見えます。

百人一首で有名な小倉山の南面に位置する大河内山荘庭園。昭和初期の映画俳優・大河内傳次郞(1898~1962)が、34歳から64歳で逝去するまでの30年に渡り丹精込めて作り上げた、6,000坪にも及ぶ広大な庭園です。庭園内に建つ中門・大乗閣・持仏堂・茶室「滴水庵」は国の登録有形文化財に指定されています。桜やモミジなど四季折々の風景が美しく、現在は鮮やかな青もみじが庭園を彩ります。
  • 展望台「月香亭」

    展望台「月香亭」

  • 「月香亭」からの眺め。一面に爽やかな新緑が広がります。

    「月香亭」からの眺め。一面に爽やかな新緑が広がります。

山の斜面にあることから眺望も素晴らしく、嵐山はもちろん、比叡山や東山、双ヶ丘、京都の町並みなどを眺めることも。特に、園内の頂上付近にある展望台「月香亭」からは、新緑の大パノラマが楽しめます。天気が良ければ京都タワーまで見えるので、ぜひ探してみてください♪

大河内傳次郞資料館

大河内傳次郞資料館

庭園をぐるりと巡ったら、大河内傳次郞資料館へ。「丹下左膳」を演じた時代劇スターの歴史や、大乗閣の設計図なども展示されています。ゆっくり眺めたあとは抹茶席へ向かい、お抹茶と落雁をいただきましょう。新緑を眺めながらいただけば、いっそう心癒やされる時間が過ごせそうです。

大河内山荘庭園
【入園時間】9:00~16:30
【入園料】1,000円(お抹茶・落雁付き)
【休園日】無休
【電話】075-872-2233
【アクセス】JR山陰本線(嵯峨野線)「嵯峨嵐山駅」から徒歩約15分 Google map

【岩倉具視幽棲旧宅】
岩倉具視が静かに暮らした旧宅で、初夏の風景を眺める

  • 表門

    表門

  • 主屋「鄰雲軒」からお庭を眺める。

    主屋「鄰雲軒」からお庭を眺める。

  • 岩倉具視の遺髪が埋葬されている塚、岩倉村瘞髪碑(えいはつひ、遺髪碑)

    岩倉具視の遺髪が埋葬されている塚、岩倉村瘞髪碑(えいはつひ、遺髪碑)

  • 青モミジに包まれる表門

    青モミジに包まれる表門

幕末から明治初期にかけて活躍した公家・政治家、岩倉具視。洛中から追放され、元治元年(1864)から慶応3年(1867)までの約3年間、密かに暮らしたと伝わるのが岩倉具視幽棲旧宅(国指定史跡)です。大政奉還工作に入るための下準備として、あの坂本龍馬と中岡慎太郎も具視に会いにこの地を訪ねたと伝わります。

お庭は、昭和3年(1928)に七代目小川治兵衛の手により現在の姿となり、中心には、具視自らが植えたと伝わる「お手植えの松」が。主屋から大正ガラス越しに眺めると、一幅の絵画のような風景が楽しめます。また、遺髪碑近くや表門まわりも青もみじが美しく、お気に入りのアングルを見つけて写真を撮ってみてください。
  • 通年赤いノムラモミジと主屋。

    通年赤いノムラモミジと主屋。

  • 対岳文庫。“対岳”は具視の雅号で、岳は比叡山を指し、その向かいに住んでいる(対)という意味だそう。

    対岳文庫。“対岳”は具視の雅号で、岳は比叡山を指し、その向かいに住んでいる(対)という意味だそう。

敷地内には大きなノムラモミジが一本あり、茅葺屋根の主屋と絵になります。具視の遺品類などを収蔵するために昭和3年(1928)に建てられた対岳文庫(国登録有形文化財)は、“関西近代建築の父”と呼ばれる武田五一の設計で、瓦屋根の和洋折衷の洋館を彩る新緑がなんとも爽やか♪ 現在は、具視とその家族の資料を展示されていて、定期的に展示替えが行われています。
  • 福寿園のお抹茶と季節のお干菓子。これからの季節は冷たいお抹茶がぴったりです。

    福寿園のお抹茶と季節のお干菓子。これからの季節は冷たいお抹茶がぴったりです。

  • 喫茶・お土産付きチケットを購入すると、クリアファイル(2種のうちどちらか1枚)とガイドブック、絵はがきがいただけます。

    喫茶・お土産付きチケットを購入すると、クリアファイル(2種のうちどちらか1枚)とガイドブック、絵はがきがいただけます。

ひととおり見学したあとは、岩倉カフェ(喫茶)でほっとひといき。メニューは飲み物とスイーツのセットで、飲み物は福寿園のお抹茶(温・冷)・コーヒー・和紅茶から、スイーツは季節のお干菓子(2種)・抹茶最中アイスからいずれか1種を選べます。お土産付きのセットもあり、旅の思い出にもぴったりです。

■岩倉具視幽棲旧宅
【開館時間】9:00~17:00(最終入場16:30)
【入館料】400円(11/20~26は500円)、喫茶1,000円(お土産付き1,500円)
【休館日】水曜日(祝日の場合は翌平日)※5/3(水・祝)は開館、5/8(月)は休館、12/29~1/3
【電話】075-781-7984
【アクセス】京都バス「岩倉実相院」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】https://iwakura-tomomi.jp/
【公式Twitter】https://twitter.com/iwakura_tomomi_
【公式Facebook】https://www.facebook.com/iwakuratomomiueya

【旧三井家下鴨別邸】
豪商・三井家の旧別邸。この時期ならではの甘味も楽しんで

  • 写真中央の建物が主屋。

    写真中央の建物が主屋。

  • 主屋から庭園を眺める。

    主屋から庭園を眺める。

  • 冷やし抹茶と亀屋良長のわらび餅セット 750円。(画像提供:旧三井家下鴨別邸)

    冷やし抹茶と亀屋良長のわらび餅セット 750円。(画像提供:旧三井家下鴨別邸)

  • 庭園

    庭園

世界遺産・下鴨神社の南に位置する旧三井家下鴨別邸。呉服・両替商で発展した豪商・三井家の旧別邸(重文)で、大正14年(1925)に三井北家(総領家)第10代・三井八郎右衛門高棟によって建築されました。木造3階建ての主屋は、明治13年(1880)に8代当主の隠居所として建てられた木屋町別邸を移築したもの。1階の大正ガラスの窓からは、美しい緑の風景を眺めることができます。喫茶メニューもあり、これからの季節は、冷やし抹茶とわらび餅のセットがおすすめです。

庭園には、下鴨神社の境内を流れる泉川(いずみがわ)の水を取り入れた瓢箪型の大きな池があり、水面に映る青もみじも風情が感じられます。庭園西側にある「あじさい苑」では、6月上旬より約400株の花々が咲き誇るそうなので、見頃の時季が待ち遠しいですね♪
  • 通常非公開の茶室も青もみじに包まれています。

    通常非公開の茶室も青もみじに包まれています。

  • 茶室内は円窓が印象的。

    茶室内は円窓が印象的。

  • 老松の和菓子と、祇園辻利のお抹茶(画像提供:旧三井家下鴨別邸)

    老松の和菓子と、祇園辻利のお抹茶(画像提供:旧三井家下鴨別邸)

円窓が印象的な通常非公開の茶室では、毎月、呈茶イベントが行われ、お抹茶とオリジナル和菓子を味わうことができます。2023年5月の開催日は、5日(金・祝)、6日(土)、13日(土)、14日(日)の4日間。老舗京菓子店「老松」の双葉葵をモチーフにした和菓子を味わい、葵祭に思いを馳せながら、祇園辻利のお抹茶と一緒にいただいてみてはいかがでしょうか。事前予約優先制となりますので、詳細は公式ホームページをご覧ください。

旧三井家下鴨別邸
【開館時間】9:00~17:00(受付終了16:30)
【入館料】平日500円、土日祝600円
【休館日】水曜日(祝日の場合は翌日)※5/3(水・祝)は開館、5/8(月)は休館
【電話】075-366-4321
【アクセス】市バス「葵橋西詰」バス停・京阪鴨東線「出町柳駅」から徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】https://ja.kyoto.travel/tourism/article/mitsuike/
【公式Facebook】https://www.facebook.com/mitsuike.kyokanko/

【旧邸御室】
昭和初期を代表する和風邸宅で、幻想的な深緑を堪能

  • 主屋から庭園を眺める。

    主屋から庭園を眺める。

  • 主屋から庭園を眺める。机に映り込む新緑が美しいですね。

    主屋から庭園を眺める。机に映り込む新緑が美しいですね。

  • 幻想的な庭鏡。

    幻想的な庭鏡。

  • 庭園から建物を眺める。

    庭園から建物を眺める。

旧邸御室は、昭和12年(1937)に造営された数寄屋造りの邸宅で、国の登録有形文化財に指定されています。一般向けの公開は、毎年新緑のシーズン限定。主屋1階・大広間には、花梨の一枚板のテーブルが置かれ、庭園の緑が映り込む景色はうっとりするほどの美しさ。近年、幻想的な“庭鏡”が楽しめると、SNSでも話題です。

双ヶ丘を借景にした庭園は回遊することができ、様々な角度から新緑を眺めることができます。一部、急な斜面もありますので、歩きやすい靴でお越しください。
  • お休処

    お休処

  • お茶菓子とドリンク(過去のイメージ)

    お茶菓子とドリンク(過去のイメージ)

  • 花の天井画

    花の天井画

大広間の隣にあるお休処からも庭園が眺められ、お茶菓子とドリンクをいただきながら、ゆったりとしたひとときを過ごせます。洋間の花の天井画や大広間の欄間に施された富士山の意匠など、室内の見学もどうぞお楽しみに。
※文化財保護のため靴下の着用をお願いします(ストッキング不可)。

■旧邸御室“深緑の薫”特別公開
【日程】2023年5月13日(土)~6月11日(日)
    10:00~16:30(受付終了16:00)
【料金】1,000円
【場所】旧邸御室 Google map
【問合せ】075-366-0376
【公式ホームページ】https://omuro-kyoto.jp
【公式Facebook】https://www.facebook.com/旧邸御室-931303686967179
※掲載内容は2023年5月2日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。

Written by. オパン

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