北政所ねね400年遠忌! 高台寺の見どころと夏の催し

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霊屋

霊屋

東山の名刹のひとつ、高台寺は豊臣秀吉の正室である北政所ねね(以下、ねね)によって建立されたお寺です。今年は、ねねが亡くなってから400年にあたり、遠忌を記念した各種イベントが行われています。“秀吉とねねの絆”が感じられる拝観ポイントとあわせて、夏の高台寺の見どころをご紹介します。
 
※高台寺の堂内や展示物は撮影禁止です。特別な許可を得て撮影しています。

観月台(重文)

  • 写真左の回廊中央が観月台になっています

    写真左の回廊中央が観月台になっています

  • 史跡・名勝指定の石碑は拝観入口の手前にあります

    史跡・名勝指定の石碑は拝観入口の手前にあります

高台寺が建立されたのは、秀吉が伏見城で死去してから7年後のこと。すでにねねは大坂城から京都新城(現在の仙洞御所あたり)に居を移し、秀吉を含めた親族の弔いのため、徳川家康の援助を受けて伽藍を整備しました。建物の多くを伏見城から移築し、現在も一部が受け継がれています。観月台もそのひとつ。
 
移築後、建物に調和するように高台寺庭園(国の史跡・名勝)を作庭したのは小堀遠州と伝わります。今も開創当時の堂宇が遺るこのお庭のポイントは、観月台の前面に配された池。月が昇ると、水面に映る月も楽しめるように工夫されているそうです。秀吉が初めて築いた長浜城は琵琶湖のそばにあり、ねねは水面に映る月を見て、長浜城で過ごした日々を思い出していたかもしれないとお寺の方に教えていただきました。素敵なエピソードに胸が打たれます。

開山堂(重文)

外観

外観

お寺の開山である三江紹益を祀る開山堂にも、ねねの秀吉への想いが感じられるポイントがあります。

格天井

格天井

中に入り、天井を見上げると立派な格天井に目を奪われます。なんと、秀吉の御座船の天井を使用しているそうです。金の華やかさは、秀吉らしさが感じられますね。
  • 菊の花が描かれています

    菊の花が描かれています

ご覧いただきたいのは格天井だけではありません。じつは、奥側の天井にはねねの御所車の天井画が飾られています。菊や桔梗、萩などが描かれ、秋草を愛したというねねの好みが伺える装飾です。隣り合うように、ゆかりのもので天井を飾るなんて、愛を感じられませんか。

霊屋(重文)

外観

外観

ねねが眠る霊屋(おたまや)は高台寺でもっとも重要な場所です。

ねねは自身と秀吉を祀るために、技術の粋を集めて荘厳な空間を作り出しました。豊臣家が滅亡すると、家康は秀吉を祀る豊国社と豊国廟を廃止したため、代わりとなる霊屋がねねにとっていかに大切だったか偲ばれます。
 
装飾のなかでも、中央の須弥壇や木像を収める厨子、両脇壇に施された“高台寺蒔絵”は、桃山文化を代表する漆工芸美術です。

拝観時は外から堂内を拝するため、目が慣れないうちは見づらさがあるものの、じっと眺めていると、黒漆塗に輝く蒔絵が次第に見てとれます。川面を流れる桜を描いた“花筏”は「無常」を、琵琶や鼓などが散りばめられた“楽器づくし”は「極楽浄土に導く天女の音色」を意味しているそうです。

外観もあわせてチェックを。2020年の修復工事によって彩色が施され、特に山裾に隠れて直射日光があたりづらい東側は、美しい状態でキープされていますよ。

ふたりの絆にあやかって!

観月台、開山堂、霊屋といった創建時からの建物を中心にご紹介してきましたが、2015年にはお寺の公式キャラクターとして「秀吉公」と「ねね様」が誕生。高台寺天満宮札所の前に像があり、周りを囲むように恋愛成就を願った絵馬が掛けられています。ふたりの絆が、恋愛成就を後押ししてくれそうです。

ねねゆかりの限定御守り

  • 恵守 3,000円

    恵守 3,000円

  • 高台寺天満宮札所

    高台寺天満宮札所

高台寺天満宮札所ではたくさんの授与品を扱っています。おすすめはねねの小袖の柄をモチーフにした「恵守」。ねねは寛永元年(1624)9月6日に亡くなったことから、毎月6日限定で授与されているプレミアムな御守りです。遠忌の記念にいかがでしょう。
  • 表面

    表面

  • 裏面

    裏面

もうひとつ、ご紹介したい限定御守りがあります。JR東海では、「そうだ 京都、行こう。」30周年を記念して、キャンペーンの舞台になったさまざまな寺院にご協力をいただき、年始よりEX会員を対象に拝観券をセットにした限定の御守り授与企画を実施(要事前予約)。
 
高台寺で授与いただく御守りは秀吉とねねの後ろ姿が愛らしい仕上がりになっています。期間は9月30日(月)まで。但し、毎日数に限りがありますので、どうぞお早めに!
 
⇒「そうだ 京都、行こう。」30周年“限定オリジナル御守りプラン”について詳しくはこちら

※プラン購入後、京都駅八条口にあるジェイアール東海ツアーズ京都支店きっぷうりばで、拝観整理券と御守り授与券の引き換えが必要です。

夏の恒例行事!「高台寺 百鬼夜行展」

ここからは高台寺の夏の催しをご紹介します! 毎年の定番といえば、今年19年目となる百鬼夜行展(~8月31日)です。境内の“恐ろしくもカワイイ?! ”見どころをレポートします♪

1.おばけ提灯

期間中、境内のあちこちに「おばけ提灯」が飾られています。高台寺は平安時代からの葬送地のひとつ、鳥辺野の北に位置するため、昔から妖怪や幽霊の逸話も多いそう。お寺では多くの人に“供養の心”を持ってもらえるように、あえて興味を引くようなポップな展示も採り入れていらっしゃいます。

2.妖しくも美しい赤い襖絵

  • 藤井湧泉筆『妖女赤夜行進図』

    藤井湧泉筆『妖女赤夜行進図』

高台寺では催しごとに方丈の襖絵を入れ替えることが多く、百鬼夜行展の期間中は画家の藤井湧泉さんが手掛けた『妖女赤夜行進図』を飾っています。地の赤色が印象的ですが、描き分けられた多彩な着物の柄も見ごたえたっぷり。妖しい美しさの虜になってしまいそうです。

3.かわいい妖怪が大暴れ!

  • 対象ポイントでスマホをかざしてみて

    対象ポイントでスマホをかざしてみて

  • 専用マップは方丈に置かれています

    専用マップは方丈に置かれています

最新技術を用いた展示も!「高台寺でARようかいさがし」は、境内5ヵ所のスポットを背景に妖怪アニメーションが出現するという楽しい内容です。まずは、専用マップに記載されたQRコードをスマホで読み込みます。自動でInstagramのカメラが立ち上がりますので、対象ポイントにカメラを向けると、AR絵本作家のKYOTSUBEさんが描いた可愛らしい妖怪を見つけられる仕掛けになっています。
 
※Instagramアプリのダウンロードが必要です。ARの反応は日中のみ、夜間拝観時は作動しません。

4.時代を超えて愛される百鬼夜行図

  • 田中陽一郎筆『高台寺百鬼夜行絵巻』

    田中陽一郎筆『高台寺百鬼夜行絵巻』

  • 竹が大行進?! 見ていて飽きません

    竹が大行進?! 見ていて飽きません

  • 江戸時代に描かれた『百鬼夜行図』

    江戸時代に描かれた『百鬼夜行図』

  • KYOTSUBE筆『百鬼夜行絵図』

    KYOTSUBE筆『百鬼夜行絵図』

方丈ではさまざまな『百鬼夜行図』を展示。江戸時代前期に土佐派の絵師が描いた『百鬼夜行図』、お寺の開創400年を記念して2006年に奉納された『高台寺百鬼夜行絵巻』、先ほどご紹介したKYOTSUBEさんによる『百鬼夜行絵図』と、江戸、平成、令和の作品が一堂に揃っています。テイストはもちろん異なりますが、3作品ともユーモアとかわいらしさが満載です。「これは何の妖怪かな?」と考えながら見ると、いっそう楽しめますよ。

5.「ねね様」が登場! 限定御朱印

「百鬼夜行展」期間限定・御朱印「慈」 500円(数量限定、書置きのみ)

「百鬼夜行展」期間限定・御朱印「慈」 500円(数量限定、書置きのみ)

毎年、百鬼夜行展の期間中は限定の御朱印を授与されています。今年は「北政所ねね四百年遠忌」にちなんで、右下に「ねね様」が登場。一方、妖怪はというと、今春惜しまれつつ終了した春の風物詩「狐の嫁入り行列」を偲んで、狐さんがデザインされています。

6.ひやっと妖怪スイーツ

  • 妖怪フラッペ 850円 

    妖怪フラッペ 850円 

  • ソフトの横に2種類のベリーが添えられています

    ソフトの横に2種類のベリーが添えられています

拝観後は冷たいスイーツをいかがでしょう。高台寺天満宮札所の向かいにある湖月茶屋では、期間限定メニュー「妖怪フラッペ」が登場しています。ブルーハワイソーダに濃厚なミルクソフトをのせ、アクセントにはブルーベリーとチェリーを。シュワっとした口当たりが爽やかで、最後まで美味しくいただけます。おどろおどろしい色合いは写真映えもバッチリ!

7.期間限定! 夜間特別拝観

  • 方丈前庭「波心庭」

    方丈前庭「波心庭」

  • 妖怪たちが大行進!

    妖怪たちが大行進!

  • 池にリフレクションする光景が美しい

    池にリフレクションする光景が美しい

  • 竹林もライトアップされています

    竹林もライトアップされています

8月1日(木)から18日(日)は「夏の夜間特別拝観」が行われます。伽藍や庭園のライトアップとともに、方丈前庭「波心庭」ではプロジェクションマッピングを実施。白砂に映像が映し出され、夏の夜に妖怪たちが飛び回ります!
 
ぜひ、遠忌の年にお参りくださいね。
 
 
■高台寺 百鬼夜行展
【日程】2024年7月15日(月)~8月31日(土)
    9:00~17:30(受付終了17:00)
    ※8月10日(土)、22日(木)は休止
    ※「夏の夜間特別拝観」は8月1日(木)~18日(日)、17:00~21:30(受付終了)
    ※昼夜入替なし
【料金】600円
【電話】075-561-9966
【アクセス】市バス「東山安井」バス停から徒歩約7分 Google map
【公式ホームページ】https://www.kodaiji.com/
※掲載内容は2024年8月2日時点の情報です。最新情報は掲載先へご確認ください。

Written by. 「そう京」編集部

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