近年、京都市内で秋の七草のひとつであるフジバカマを鑑賞できるスポットが増えています。9月中旬から10月中旬頃にかけて花が咲き、優しい色合いは古都にぴったり。おすすめの名所やイベント情報をご紹介しますので、ぜひおでかけしてください。
フジバカマの特徴は?
フジバカマは古くから日本人に親しまれてきた植物です。紫式部が記した『源氏物語』にも登場し、第三十帖の巻名にもなっています。
花は約1ヶ月にわたって咲き、桜餅に似た甘い香りを漂わせます。平安貴族も匂い袋を作るなど、好んでその香りを身に付けたそうです。
香りの虜になるのは人間だけではありません。花が咲くと、アサギマダラという蝶が飛来するのも特徴です。アサギマダラは大陸から海を越えて日本へ飛んでくる驚きの力の持ち主。雄が蜜を吸いにやってくることから、雌にアピールするための成分が蜜に含まれているのではないかという研究もあるそうです。
フジバカマを見るときは、周りにアサギマダラが飛んでいないか、ぜひチェックを。
今年で最後! 大原野「フジバカマ園」
京都各所でフジバカマが見られるようになった契機ともいえるのが、大原野で自生していた京都固有種の発見でした。京都府絶滅寸前種に指定された貴重な植物を守ろうと、「なんやかんや大原野推進協議会」を中心に地域住民の皆さんが協力し、期間限定でフジバカマ園を公開しています。
約1,000株の花畑が見られるのは今年(2024)で最後。9月21日(土)から23日(月・振休)の3日間は、大原野の特産品を販売する「フジバカマ祭」が行われます。大原野産の酒米で作られた、その名も「藤袴」という純米吟醸酒も購入可能です。
のどかな風景に、きっと癒されますよ。
■大原野「フジバカマ園」
【日程】2024年9月21日(土)~10月6日(日)※開園時間の設定なし。
※「フジバカマ祭」は9月21日(土)~23日(月・振休)10:00~15:00
【料金】無料
【場所】大原野南春日町農地 Google map
【アクセス】市バス・阪急バス「南春日町」バス停から徒歩約5分
※駐車場はありません。公共交通機関をご利用ください。
【問合せ】075-332-6444(なんやかんや大原野推進協議会、平日9:30~12:00、13:00~15:30)
【公式ホームページ】https://www.oharano.org/
【公式Facebook】https://www.facebook.com/NanyakanyaDaYuanYe/
紫式部ゆかりの地 大原野神社
大原野のフジバカマ園を訪れたら、大原野神社へもお参りを。藤原氏の氏神を祀り、紫式部(藤原氏)も中宮彰子や藤原道長とともに参詣した由緒あるお社です。
本殿前にフジバカマの花壇と鉢植えが設けられ、絵になる光景に出合えます。コバフジバカマという遅咲きの品種もあり、10月下旬頃まで楽しめます。
期間限定で授与されている「フジバカマ御朱印」をお見逃しなく。今年の授与は10月31日(木)まで。フジバカマの葉を乾燥させた匂い袋や、今年初登場となるアサギマダラ守りなど、授与品も充実しています。
【参拝時間】境内自由
【参拝料】境内無料
【電話】075-331-0014
【アクセス】市バス・阪急バス「南春日町」バス停から徒歩約10分 Google map
【公式ホームページ】https://oharano-jinja.jp/
【公式Facebook】https://www.facebook.com/oharanojinja
【公式Instagram】https://www.instagram.com/oharanojinja.official/
梅小路公園 朱雀の庭「藤袴と和の花展」
梅小路公園内にある朱雀の庭は、約9,000平方メートルという広大な敷地に造られた池泉回遊式庭園です。毎年秋に開催される「藤袴と和の花展」では、浅池の「水鏡」エリアに約100鉢500株のフジバカマが展示されます。
「水鏡」エリアは名前の通り、本来は水面に景色がリフレクションする様子を楽しめるのですが、フジバカマの季節だけは鉢の間に仮設道を設置。優しい香りに包まれながら、フジバカマを間近に観察できます。
フジバカマが群生している様子はフワフワした綿のようですが、じっくり見ると細い雄しべが花からぴょこんと顔をのぞかせていて可愛らしいです。
他にも展示があり、園内もたっぷりと散策できますので、時間に余裕をもってお越しになるのがおすすめです。
■梅小路公園 朱雀の庭「藤袴と和の花展」
【日程】2024年9月27日(金)~10月14日(月・祝)
9:00~17:00(最終入園16:30)
※9月30日(月)、10月7日(月)は休園
【料金】200円
【場所】梅小路公園 朱雀の庭・いのちの森 Google map
【アクセス】JR山陰本線(嵯峨野線)「梅小路京都西駅」から徒歩約2分
【問合せ】075-352-2500
【公式Instagram】https://www.instagram.com/kyoto_umekojipark/
寺町通一帯が香りに包まれる!「藤袴祭」
秋に街中を歩いていると、フジバカマを目にする機会が増えたと感じませんか。その多くは、「源氏藤袴会」の活動によるもの。2011年にフジバカマと出合った代表の馬場備子さんが、「種から育てない」「京都から出さない」「他府県のフジバカマを入れない」という3つの原則を掲げて、大原野で発見された固有種を挿し芽で増やし、育成に努めています。
フジバカマを育てている場所は、なんと寺町通にある革堂[行願寺]や下御霊神社の境内。「源氏藤袴会」の会員と応援者の協力を得て、ほぼ1年かけて管理されています。活動の輪は広がり、毎年10月に行う「藤袴祭」は今年で10回目の節目に。小学校や地域の皆さんが育てている鉢も大集合して、寺町通一帯に約1,400鉢のフジバカマが飾られます。
馬場さんはフジバカマの自然由来の体に優しい効能に注目し、匂袋や入浴剤づくりにも力を入れています。「藤袴祭」期間中は革堂[行願寺]の境内に専用の物販スペースが登場するとともに、それ以外の期間は一部を授与所で購入可能です。巾着はさまざまな柄がありますので、お気に入りを探してみてください。
ほかにも、アサギマダラの願い札を奉納できたり、フジバカマが飾られた計17会場を巡るスタンプラリーが開催されたり、盛りだくさんの内容です。詳しくは公式ホームページよりご確認ください。
■源氏藤袴会「藤袴祭」
【日程】2024年10月11日(金)~14日(月・祝)
10:00~16:00(最終日は~15:00)
【場所】メイン会場の革堂[行願寺]を中心に寺町通周辺一帯 Google map
【アクセス】革堂[行願寺]/市バス「河原町丸太町」バス停から徒歩約5分
【公式ホームページ】https://kyotofujibakama.com/
【公式Instagram】https://www.instagram.com/genji_fujibakama/
駅の利用者に癒しをお届け「嵐電沿線フジバカマプロジェクト」
京都市内を走る路面電車「嵐電」では、宇多野駅、御室仁和寺駅、龍安寺駅、有栖川駅、撮影所前駅、常盤駅、鳴滝駅、妙心寺駅、等持院・立命館大学衣笠キャンパス前駅、北野白梅町駅の計10駅にフジバカマのプランターを設置しています。
地域へのSDGsの普及を目的に立命館大学の学生が育成から関わり、今年で4年目を迎えるプロジェクトです。毎年、10月上旬頃から開花しはじめ、甘い香りで駅の利用者を癒しています。
嵐山駅のホーム内にある嵐山温泉「駅の足湯」では、期間限定で「フジバカマ湯」を提供。かゆみ軽減、保湿、疲労回復の効果があるそうですから、観光で歩き疲れた足を労わるのにピッタリです。
また、今年は「フジバカマ湯」の期間中に嵐山駅の屋上にもフジバカマのプランターが設置されます。ぜひ、あわせてご覧くださいね♪
■嵐電沿線フジバカマプロジェクト「フジバカマ湯」
【日程】2024年9月21日(土)~10月18日(金)(予定)
10:00~18:00(受付終了17:30)※各駅のプランターは常設
【料金】250円(タオル付)
【場所】嵐電嵐山駅ホーム内 Google map
【公式ホームページ】https://www.fujibakaman.com/
※掲載内容は2024年9月18日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。