これが最後の公開?! 正寿院の秘仏「十一面観世音」の特別開扉へ

  • 散策

正寿院

正寿院

普段は厨子の中に安置され、その姿を拝むことができない仏様を“秘仏”と言います。一年に一度、はたまた33年に一度など、期間を限定して厨子が開扉され、拝観する機会に恵まれることも。
現在、「50年に一度のみ、いざ開扉 悠久の姿はこれが最後」と銘打ち、ご本尊「十一面観世音」の特別公開が宇治田原町にある正寿院で行われています。「50年に一度」もさることながら、「これが最後」というフレーズが気になりませんか。今後、公開の予定がないということでしょうか。実際に訪ねてみました。

“風鈴”と“猪目窓”で知られる正寿院

茶畑も見られる正寿院の周辺風景

茶畑も見られる正寿院の周辺風景

正寿院は、「緑茶発祥の地」とされるお茶の栽培が盛んな宇治田原町の山間に佇みます。創建は今から800年以上前に遡る正治2年(1200)のこと。さらに500年ほど古い歴史を持ち、現在は廃寺となっている医王教寺の塔頭寺院として建立されたと伝えられています。
  • 2025年の「風鈴まつり」は9月30日(火)まで開催中

    2025年の「風鈴まつり」は9月30日(火)まで開催中

近年、正寿院は2つのことで特に名を馳せています。
まず1つ目は「風鈴」です。例年6~9月にかけて、およそ2,000個の風鈴が飾り付けられる「風鈴まつり」を開催。そのことから「風鈴寺」の名でも親しまれています。
  • しあわせのおかげ

    しあわせのおかげ

  • 紅葉の見頃は例年11月中旬から下旬

    紅葉の見頃は例年11月中旬から下旬

  • 桜の見頃は例年4月上旬から中旬頃

    桜の見頃は例年4月上旬から中旬頃

  • 例年、数回は雪景色が見られるそう

    例年、数回は雪景色が見られるそう

2つ目はハート形の“猪目窓”。SNSを中心に話題となり、春は桜、夏は緑、秋は紅葉、冬は雪といった具合に、ハート越しに四季を感じることができ、1年を通して拝観者が後を絶ちません。
また、ちょうど今の時季(8月下旬から9月中旬)の15時ごろには、ハートがバランスよく2つ並ぶ“しあわせのおかげ”という光景が出現し、訪れる人も多いのだとか。言うまでもなく、晴れた日が狙い目となります。

「十一面観世音」の特別開扉

  • 本堂

    本堂

  • 本堂内部の欄間 ※本尊特別公開期間中、本堂内部は撮影禁止

    本堂内部の欄間 ※本尊特別公開期間中、本堂内部は撮影禁止

  • 本堂では1日最大で4回、法話が行われます ※実施回数、開催時間は日によって異なります

    本堂では1日最大で4回、法話が行われます ※実施回数、開催時間は日によって異なります

それでは、50年に一度だけ公開されるという本尊で秘仏の「十一面観世音」が祀られる本堂へ。改修もされ、一見すると新しささえ感じる佇まいではありますが、現在の本堂が建てられたのは約350年前のこと。堂内の欄間などに目をやると、長い歴史の面影を垣間見ることができます。

十一面観世音

十一面観世音

いよいよ本尊の十一面観世音とご対面です。通常であれば、少し距離のある外陣から閉ざされたお厨子を拝することになるのですが、開扉期間中は、内陣までお参りが可能。とても間近に迫って、そのお姿を目にできます。
意外だったのが、台座を含めて90センチほどという小柄な像高。小ぶりではありますが、近くから眺められるため、穏やかなお顔だけでなく、繊細な截金(きりがね)が施された着衣の衣文をつぶさに眺められました。少しひねった腰の美しい曲線美など、じっくりと拝観していただきたい一躯です。

拝観の際は、お坊様から本尊やお寺の由緒などのお話も。なんでも十一面観世音が祀られて以来、正寿院は2度の火災に遭ったそう。しかしながら当時の人々の尽力で、御像は大きな損傷を負うこと無く伝わり、そのことから「厄除けの観音様」として信仰されるようになったといわれます。

住職の久野村さん

住職の久野村さん

そして、「これが最後」の意味もはっきりすることに。実は、通例は「50年に一度」の開扉なのですが、今回は「35年ぶり」となったそう。大きな災禍を免れたとはいえ一部が破損するなど、御像は長い歴史を映し出すようなお姿となってしまいました。このことから、お寺では約200年ぶりの「修復」を決意。そして修復を前に、「最後の特別公開」の実施を決めたというわけです。

修復をすれば、御像は美しくなります。一方で、歴史を感じられるお姿が見られるのは今だけ、つまり「悠久の姿を見られるのはこれが最後」ということになるのです。長い時の経過を纏われた十一面観世音を、この機会に是非拝観されてはいかがでしょう。
  • 秘仏御本尊特別開扉記念御朱印(書置きのみ)500円 ※数量限定。無くなり次第、授与終了

    秘仏御本尊特別開扉記念御朱印(書置きのみ)500円 ※数量限定。無くなり次第、授与終了

  • 秘仏御本尊特別開扉記念御朱印帳 各3,000円 ※数量限定。無くなり次第、授与終了

    秘仏御本尊特別開扉記念御朱印帳 各3,000円 ※数量限定。無くなり次第、授与終了

さて、「記念の年」となると、御朱印や授与品が気になりますよね。今回の開扉に合わせて、特別御朱印が登場中。現在は、4種用意されたうちの3種目となる「抜苦」と書かれたものを拝受することが可能(8月27日現在)です。こちらが無くなると、最終の4種目「与楽」の授与が開始となります。
また、十一面観世音のお姿があしらわれた御朱印帳もお求めいただけます。こちらも数量限定での授与となるので、気になる方はお早めにチェックしてみてください!

個人差はあるものの所要時間は20~30分ほど

個人差はあるものの所要時間は20~30分ほど

正寿院は、一年を通して様々な体験ができることでも知られますが、この機会に「写仏」はいかがでしょう(1,500円)。十一面観世音を描き出す写仏を体験できます。仏様がお目見えの今であれば、より一層のご利益をいただけそうです。
※写仏をご希望の方は、10日以上前の予約推奨。詳細は正寿院公式ホームページをご覧ください

便利な「宇治茶バス」が運行中!

  • 宇治茶バス

    宇治茶バス

  • とてもユニークなバスの内装。つい目移りしてしまいます

    とてもユニークなバスの内装。つい目移りしてしまいます

最後に、正寿院を拝観したいという方に朗報です♪ その立地からアクセスが悩みの種となりますが、今年の12月7日(日)までの土曜日、日曜日と祝日には、JR「宇治駅」・京阪「宇治駅」から最寄りのバス停までアクセスができる「宇治茶バス」が運行中です。上手く利用すれば、正寿院周辺の名所や、平等院など宇治エリアでの観光も組みあわせて1日を満喫できます。ぜひこちらもチェックしてみてください!
 
\運行ルートや時刻表などをチェック!/
⇒「宇治茶バス」の詳細はこちら

■秘仏十一面観世音修復記念特別開扉
【日程】2025年4月1日(火)〜11月30日(日)
9:00〜16:30(受付終了16:15)
※御本尊「十一面観世音」の開扉は16:00まで(15:45までにお越しください)
※毎月28日は、法要のため13:50~14:50は内陣に入れません
【料金】1,000円(特別御礼・菓子付)
※通常時の拝観料は600円(菓子付)
※特別御礼は数量限定。無くなり次第終了となります
【場所】正寿院
【アクセス】京阪バス「奥山田正寿院口」バス停から徒歩約10分、京阪バス「維中前」バス停からタクシーで約10分 Google map
【公式ホームページ】https://shoujuin.boo.jp/
※掲載内容は2025年9月3日時点の情報です。最新情報は掲載先へご確認ください。

Written by. 「そう京」編集部

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