川床から眺める京都の夏 〜高雄・貴船・鴨川〜

京都の夏の風物詩、川床。起源ははるか昔、江戸時代に鴨川沿いに料理屋や茶屋が軒を連ね、浅瀬に床机を広げて涼む人が現れたのが始まりといわれています。夏の暑さをひととき忘れさせてくれる涼の文化が、400年以上経った現在まで続き、憩いの場として親しまれています。鴨川の水源にあたる聖地で清らかな水を湛える貴船、雄大な渓流を間近に感じられる高雄、街中で気軽に楽しめる鴨川など、地域によってさまざまな魅力にあふれています。


エリアで変わる「川床」の呼び方

川床には実はいくつか呼び方があり、その違いは、床のある場所やしつらえと関係しているのだそう。自然豊かな山間に位置し、街中から離れていることから、貴船や高雄は京都の“奥座敷”とも呼ばれる避暑地。この位置関係から座敷の一番奥にある床の間(とこのま)をイメージして「かわどこ」と呼ばれます。一方、鴨川では川や河川敷の上に高床(たかゆか)を設置し、席を設けます。このことから、「かわゆか」と呼ばれているのです。実際に訪れて、それぞれの魅力や特徴を体感してみましょう。


清流の川床【貴船エリア】

豊かな自然に癒される貴船。山肌に沿うように佇む貴船神社は、水神を祀る都の守り神といわれています。そのすぐそばを流れる貴船川には、初夏から秋にかけて川床が設けられます。手を伸ばすと水面に届きそうなほど川が近く、夏でもひんやりとした清らかな空気が漂います。貴船川は高低差があるため、上流では迫力ある渓流を間近に感じられるのも特徴。涼んだ後は、貴船から山道でつながる鞍馬エリアへ向かうのもおすすめです。

【貴船 ひろ文】

〜 迫力の渓流美と、器に涼を映す京懐石 〜

貴船の豊かな自然に抱かれた老舗「ひろ文」。豪快な巨石を縫うように清流が流れ、高低差が生み出すダイナミックな渓流美を間近に堪能できます。例年9月末頃まで提供される涼やかな「川床会席」では、旬の食材を散りばめた滋味あふれる料理はもちろん、艶やかな清水焼や目にも涼しげなガラスなど、器が織りなす京懐石ならではの繊細な演出が、特別な時間をさらに引き立ててくれます。昼の部は11:00〜と13:00〜の2部構成。「川床会席」は完全予約制なので、混雑に煩わされることなく、目の前の絶景と洗練されたお料理をゆったりと満喫できます。


【貴船 左源太】

料理旅館「右源太」が手掛けるカジュアル川床で、セルフサービススタイルの店として2023年5月にオープン。「鮎天ぷら丼」や「鮎から揚げ素麺(そうめん)」など、気軽に季節の味を楽しめる料理や、抹茶パフェなどの喫茶メニューも。貴船川上流ならではの深い緑と静けさに包まれた空間で味わえば、そのおいしさもひとしおです。

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【兵衛Cafe】

料理旅館「兵衛」が手がけるゆったりとくつろげるカフェ。貴船の奥地に佇む隠れ家のような趣があります。おすすめは丹波小豆と酒粕を使った自家製チーズケーキ、そして季節の果物を挟んだ酒粕チーズケーキ最中。酒粕の豊かな香りとやさしい甘みが特徴。イタリアから取り寄せたエスプレッソマシーンで淹れたコーヒーも自慢の逸品です。

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【でんべ】

貴船神社の参道の目の前にある蕎麦店。澄んだ空気に癒されながら堪能できるのは、こだわりの自家製麺。福井県大野産の蕎麦粉と貴船の湧き水を使用し、毎朝手打ちしています。つるりとしたのど越しが心地よいざる蕎麦は暑い季節にぴったり。打ちたての蕎麦の豊かな香りが、ひとときの涼を届けてくれます。

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貴船とあわせて楽しみたい!

もうひとつの観光地 鞍馬エリア

貴船の川床で涼を楽しんだ後に、訪れてみたいのが鞍馬エリア。源義経が幼い頃、天狗から兵法を学んだとも伝わる場所です。貴船から鞍馬へは約1時間の散策コース。山道を通るので歩きやすい服装と靴で出かけましょう。鞍馬エリアでぜひ立ち寄りたいのが、鞍馬寺の本殿金堂。山々に抱かれ、どこか神秘的で厳かな空気に満ちています。お堂の正面からは、比叡山をはじめ山なみを見渡せる圧倒的な眺望が広がります。お参りのあとは、山麓の鞍馬駅へ。ここから叡山電鉄に揺られれば、京都の街中へスムーズに戻ることができます。


渓谷の川床【高雄エリア】

京都の奥座敷として知られ、豊かな自然が色濃く残る高雄。清滝川のほとりに設けられる川床は、ダイナミックな渓谷美と深い緑を間近に感じられる圧倒的なロケーションです。手が届きそうなほど迫る青もみじや、清らかな川のせせらぎに耳を傾けていると、都会の喧騒が嘘のように静かで穏やかな時間が流れていきます。大自然のパワーを全身で受け止めながら、心身ともにリフレッシュする至福の体験はいかがでしょうか。

【もみぢ家別館 川の庵】

〜 渓谷のせせらぎを間近に、旬の京料理をいただく贅沢 〜

森の静寂に満ちた吊り橋を渡った先に見えるのは、川に張り出すように設けられた川床。夏には清流にゲンジボタルが舞い、秋にはあたり一面に紅葉が広がるなど、幾度訪れても違う感動を味わうことができます。夏のおすすめは、鮎の塩焼き。炭火でじっくりと焼きあげ、皮はパリッと香ばしく、中はふっくらとした食感。また秋からは、「嵯峨豆腐森嘉」の豆腐を使った湯豆腐ランチがお楽しみ。口に含むととろけるように柔らかく、やさしい甘みが広がります。例年6月〜9月頃には舞妓による京舞も披露され、夏の宴をより一層華やかに彩ってくれます。季節を五感で感じながら、雅なひとときを感じてみませんか?


【とが乃茶屋】

高山寺の門前、清滝川のせせらぎに寄り添うように佇む「とが乃茶屋」。客席からは高雄の豊かな自然が目の前に広がり、まるで緑に包まれているかのような開放感を味わえます。鮎の塩焼きが楽しめる夏季限定の涼み御前やにしんそばなど、京都らしさを感じる料理も魅力。階下には川が迫り、心地よい風を感じながらのんびりと過ごせます。※時期により内容が変わります。

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【ROOT2 RIVERSIDE】

清滝川沿いにある、グルテンフリーのメニューが楽しめるカフェレストラン。味わい豊かなスパイスカレーやグリーンカレー、あいがけのほか、アサイーボウルや十割蕎麦、みたらし団子といった身体に優しいメニューが揃います。河原へ下りれば、そこはせせらぎをすぐそばに感じる特等席。川の音に耳を傾けながらいただく食事に、心まで癒されます。

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【高雄 錦水亭】

夏には渓谷が深い緑に覆われ、川床に座れば、目の前を流れる清流と手が届きそうなほど間近に迫る青もみじが、身も心も涼やかに満たしてくれます。昼限定の季節の弁当や、昼夜ともに提供される鮎の塩焼きがメインの会席料理、鱧しゃぶ、鱧落しといった贅沢なコースなど、季節の味覚を堪能できる料理が揃います。

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川床を楽しんだ後は…

ひと足のばして三尾めぐり

市街地から少し離れた山里に位置し、三尾(さんび)と総称される高雄・栂尾(とがのお)・槙尾(まきのお)。紅葉とともに美しい渓谷を眺められる名所としても知られていますが、実は青もみじや川のせせらぎに癒される夏も趣があります。街中よりも涼しく、都会の喧騒を忘れるかのような静けさと豊かな自然が魅力です。栂尾の高山寺、槙尾の西明寺、高雄の神護寺と、歴史ある3つの古刹を参拝する「三尾めぐり」は夏の散策にもおすすめ。トータル3時間程度で周遊できます。清流の水音を聞き、リフレッシュしながらハイキングを楽しんでみませんか。

高山寺

栂尾に開創した高山寺。「鳥獣人物戯画」ゆかりの寺として知られています。境内に佇むのは国宝の石水院。縁側からは向山を望め、初夏には青もみじを、秋には紅葉を鑑賞できます。畳に座って庭を眺めていると、柱や鴨居が額縁のように風景を切り取り、まるで一枚の絵画のよう。静けさの中、くつろぎながら景色と向き合うと、時間の流れがゆるやかに感じられ、心が静かに整います。

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西明寺

神護寺の別院として創建されたと伝わる寺。清滝川に架かる指月橋を渡った対岸に、ひっそりと佇んでいます。せせらぎに誘われるように橋を渡れば、初夏には新緑が、秋には紅葉が目を楽しませてくれます。本堂の東側に広がるのは、青々とした美しい苔庭。杉木立を借景に苔の緑と木々が重なり合い、見事なグラデーションを描きます。奥深い自然が育む神秘的な美しさに出会えます。

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神護寺

高雄山の中腹に位置する由緒ある古刹。多くの寺宝が国宝に指定されています。参道から楼門に続く長い石段では、参拝者を和ませるように辺り一面を青もみじが包み込みます。厄除け祈願の「かわらけ投げ」では、素焼きの器を錦雲渓へ投げて祈願します。夏は深い緑、秋は赤や黄色に輝く錦雲渓。澄み渡る空気のなか邪気を払い落とし、心まで軽くなるような爽快感を味わえます。

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さらに高雄の魅力を感じたい方は…

京都一周トレイル「高雄~清滝コース(北山西部)」

高雄から清滝川を経て、愛宕神社の麓・清滝へと向かうコース。整備された遊歩道は高低差が少なく、初心者でも約2時間で歩けます。道中には切り立った岩壁や澄んだ青緑色の水面、美しい北山杉の森など、雄大な渓谷美が広がります。心地よい風を感じながら、河原に下りてひと休みするのも楽しみの一つ。ゴールを迎える頃には、爽やかな達成感に満たされることでしょう。

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街中の川床(かわゆか)【鴨川エリア】

例年5月頃から二条通から五条通までの鴨川沿いに、さまざまな店が高床の座敷を設ける「鴨川納涼床」がスタート。約80軒もの店が立ち並び、憩いの場として賑わいます。川風が清々しく感じられ、夕涼みにぴったりのロケーションです。店は和食やフレンチ以外にも、川床をカジュアルに体験できるカフェやモーニングなど、シーンや気分に合わせて楽しめます。都会的かつ開放感ある場所で、京都の涼の文化に触れてみませんか。

【BABBI GELATERIA KYOTO】

〜 街中で気軽に楽しめる、川床ジェラート体験 〜

イタリア発のスイーツブランド「BABBI」の国内唯一となる路面店。作りたてのジェラートが食べられるのは京都店限定です。おすすめは塩キャラメルバニラに宇治抹茶の組み合わせ。コクのあるキャラメルソースに、「上別儀」といわれる上質な抹茶の香りがやさしく溶け合います。また、夏限定のストロベリーとピスタチオのかき氷も外せない一品。ウエハース入りのピスタチオソース、リッチミルクとピスタチオのジェラート、さらに苺を凍らせて削った氷が重なり、ひと口ごとに贅沢な味わい。鴨川を吹き抜ける風を感じながら、ひんやりとした涼しさが体に染みわたります。ジェラートを片手に、気軽に川床体験を満喫してみませんか。


【SOMA】

カジュアルに納涼床を楽しめるイタリアンレストラン&バー。旬の魚のカルパッチョや絶妙な焼き加減の肉のグリルなど、彩り豊かな本格イタリアンです。自家製サングリアや京都醸造のクラフトビールなど、ドリンクメニューも充実。川床から月や川面に映る月影を望めれば、お酒もご飯も進み、趣ある一夜を過ごせそう。

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【サロンドロワイヤル京都】

サロン・デュ・ショコラ パリで最高位を受賞したチョコレート店。鴨川側は全面ガラス張りで、店内は開放感に溢れています。5月〜9月末までは川床スペース「カフェ床」がオープン。見晴らしのいい絶好のロケーションで、ケーキやチョコレートにお酒を合わせるなど、大人な愉しみ方を提案してくれます。

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【Kacto】

ブランチからディナーまで楽しめるアメリカンカフェレストラン。メニューはパンケーキやバーガーに加え、肉や魚を使った独創的なラインナップ。モダンな雰囲気と川床の組み合わせが新鮮で、"川床ブランチ"といった珍しい体験も。朝の澄んだ空気のなか、気持ちのいい一日がはじまります。

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※写真・イラストはイメージです。
※掲載内容は2026年8月5日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。