撮りたい京都

撮りたい京都撮りたい京都

寺社に代表される観光名所はもちろん、町並み、自然、文化、食事、風習など、京都は撮りたくなるシーンとの出会いにあふれています。そんなとき、サッと撮れるスマホは便利。でも、せっかくの京都旅行、本格的なカメラでファインダー越しに「お気に入りの京都」を切り取ってみませんか? 興味あるけど難しそう—— そう思った方もいるかもしれませんが、実は最新のカメラはとっても簡単。スマホ連携もワンタッチで、SNS投稿もスムーズ。京都の高精細な写真もシェアできるはず。今回は、京都旅行の“撮りたい”をプロカメラマンがレクチャー。シーン別撮り方のコツからちょっとした工夫まで、本格的カメラの楽しみ方を中心にご紹介します。
協力:Panasonic

※掲載写真はイメージです。撮影は他の方の迷惑にならないよう行いましょう。また、撮影禁止などのルールが設けられている場合もありますのでご注意ください。

京都の撮り方

「京都の撮り方」と題して、いくつかの撮影技術をご紹介します。「寺社での撮り方」「お店など室内での撮り方」「人物の撮り方」「植物の撮り方」と、4つのテーマを用意しました。スマホのカメラ機能は進化していますが、本格的カメラだからこそ見つけられる写真のよさ、撮影の楽しみをお伝えしたいと思います。そして、京都ならではの「旅と撮影」の楽しみ方を深めていけたらと考えております。


社寺での撮り方

社寺で印象的な写真を撮りたい

京都を訪れると自然に足が向く寺社。寺院だけでも京都市内には約1700もあるそうです。撮影させていただいた泉涌寺 雲龍院は、応安5年(1372)に後光厳天皇の思召しによって、竹厳聖皐(ちくがんしょうこう)が開いたお寺です。窓枠を通して感じる、お寺の歴史やお庭の四季。自然とその空間に馴染むような感覚をおぼえます。畳に座して深呼吸をするうちに自然と写真を撮ってしまいます。

室内では積極的に正座をしてみる。

お庭をどう見るのがよいのか、それは座ったときにこそ感じられます。もちろん季節やその日の天気によって、お庭の表情は変わるため正解はありません。ゆっくり楽しみながらも、落ち着いて座る時間を忘れずに。余裕があれば一歩下がって、室内の雰囲気を感じる1枚を撮影してみてはいかがでしょうか。

手前に植物を入れると途端に奥行きが出る。

ここからのお庭がきれいだと感じるけれど、カメラを向けると少し違って見える—— そう感じたときは自分の近くに木々やお花、葉っぱなど、植物がないか探してみてください。例えば足元の丸い生垣。これをちょっとだけ構図に入れて撮ると、奥行きを感じさせる写真になりました。

苔を印象的に撮ってみる。

フカフカの苔。実は山あり谷あり、起伏がとっても面白いって知っていました?モニターの角度を変えられるカメラなら、地面にカメラをおろしてコケ目線の構図で写真が撮れます。スマホだとなかなか撮れません。ほらね、苔っておもしろいんです。

\ワンポイントアドバイス/

ホワイトバランス(色温度)で変わる雰囲気の違い

気づけばオートで撮りがちなホワイトバランスですが、積極的に変更すると写真はもっとおもしろくなります。作例写真でいうと朝の雰囲気から夕方の色味へと 同じ時間ですが伝わる印象はガラッと変わります。もともと「ホワイトバランス (色温度)」というのは、白いものを白く写す調整機能のことです。[WB]ボタンを押してから、ダイヤルを回して「電球」や「日陰」のマークに変更します。そうするとこの作例のような雰囲気の違う写真を写せます。もちろん数値(K=ケルビン)を調節して細かく色味を変えることも可能です。数の値を下げると青っぽく、あげるとオレンジっぽくなっていきます。お寺だけじゃなくカフェやレストランなどでも試してみてください。(1枚目:変更前・2枚目:変更後)
※ホワイトバランスの調整は機種により異なります。お使いの機種の説明書をご確認ください。


お店など室内での撮り方

料理がおいしく見える写真を撮りたい

京都の食文化、そこには懐石料理や精進料理といった世界もあれば、ずっと身近な町中華にラーメン街道なんて選択肢もあるんです。ちなみに京都はパンの消費日本一だったこともあるんですよ。そう言えば、また新しいパンのお店を見つけてしまいました。そんな京都の食に対する多様性からは、いけずじゃない京都人の性格が見えてくるかも。寺社仏閣と同様、歴史が育んだ京都の味を、レンズを向けてからゆっくりと味わってみましょう。

おいしい写真は座席選びからはじまる。

「行きたかった喫茶店、静かな店内のどこに座ろうかな?」と、入口で少し悩むのも楽しいですね。もし窓があるお店なら、そのそばの席を選んでみては? 自然の光は料理に当たることで「おいしい」を引き立たせてくれるはずです。ポイントは、料理の向こう側(真横でもよい)に窓があること。

いい背景はつくれる。

雰囲気のよいお店だからこそ、いい背景を探して、あっちもこっちも撮りたくなっちゃうものです。目移りしはじめたら、器ごと持っちゃいましょう。席に座っていても見回しながら撮ってみると、一味ちがう雰囲気の構図が見つけられるはず。

迷ったら真俯瞰で。

「雰囲気はすてきだけど、なんだかうまくお料理が撮れていない気がする。この感じどうしたらいいんだろう?」と悩みはじめたら、真上からファインダーをのぞいてみましょう。この視点は真俯瞰(まふかん)といいます。きっといい感じに撮影できますよ。

\ワンポイントアドバイス/

色の次はコントラスト、自分の好みを見つけてみよう

コントラストという言葉、写真で言うとこんなふうに低い、高いと違いが見てとれます。(作例左:低い、右:高い)写真の用語ではコントラストが低いと「ねむい写真」なんて言い方を聞いたことがあるかもしれません。カメラによっては撮るときにコントラストを変更しながら撮影をすることが出来るので、カメラを構えてどんどん設定を変えて撮ってみましょう。中には特徴的なフィルターを搭載している物もあるはずです。積極的に撮り比べてみることは自分の好みを知るきっかけになるかもしれません。
※コントラストの調整は機種により異なります。お使いの機種の説明書をご確認ください。


人物の撮り方

ありがちな記念写真とは違う写真を撮りたい

京都には名前のない撮影スポットがたくさんあります。有名なお寺や老舗での写真、行くとついつい撮りがちなカメラ目線。そんな記念写真もいいけれど、もっと自然体の写真を撮ってみてはいかがでしょうか。 迷い込んだ路地の中からだったり、素敵なお店でふとした瞬間だったり。一休みしているときだって、いい感じに「映える」写真が撮れるかも。仲のいい友だちとはいえ、人を撮るのって難しいですよね。そんなときに少しの工夫で変わるポイントを3つお伝えします。

自然な雰囲気は動作の途中に。

路地を抜けてちょっとカフェで休憩しましょう。甘いものと楽しい時間ですね、会話は続けつつそっとカメラを向けてみましょう。ポーズをお願いしたら出来ない瞬間には自然な友達の姿が写っているはずです。カメラ目線とは違う自分の姿も喜ばれるポイントになるのかも。

きれいな景色より、きれいな光。

旅といえば青空を期待しますが、この日はちょっと曇り空。実は京都の細い路地には、曇り空こそが「きれいな光」なんです。強い日差しは影を強めて町家の細部が写りません。曇り空がつくり出す、こうした柔らかい光が、はんなりとした京都の美を写し出してくれるんです。

スマホで撮って、自然な私の写し方。

ちょっと一休みしましょう。場所は岡崎公園です。カメラとスマホを連携させるとカメラに映る自分の姿をスマホの専用アプリで確認できます。自分を見ながら自然な自撮り。気に入いった1枚はその場でSNSに投稿、なんてことも可能です。

\ワンポイントアドバイス/

オールドレンズで印象的なシーンを演出

流行のオールドレンズをご存じですか? フィルムカメラで使われていた昔のレンズです。気になるオールドレンズを手に入れたら、それに合ったマウントアダプターを購入してみましょう。この記事で、私は「Distagon T*35mmF1.4」というレンズを使用しました。逆光で撮るとふんわりした光に包まれたり、絞りの数字を下げて開放で撮影するとピントが少し滲んできれいで柔らかい描写になったり。京都旅行の楽しみをレンズを選んで撮影。写真の楽しみ方が広がります。
※レンズ交換のできるカメラでも装着できないオールドレンズがございます。事前にマウントの互換性をよくご確認ください。


植物の撮り方 〜京椿篇〜

その植物の魅力を撮りたい

お花の名前を新しく覚えたのって最近いつだったでしょうか。気になってカメラを向けたり、撮った寺社の写真に写り込んでいたなんてこともあったり。割と最近、気になっている植物のこと。お花の撮り方に正解ってあるんだろうか。もうすぐ春なら京都もあちこちお花が咲いているんじゃないのかな。あの花ってドライになるのかな…… など、とりとめもなく考えながら撮っていても、咲いてるお花は、ただただきれい。そんなきれいなお花の撮影テクニックを3つの目線で紹介します。

安心の「日の丸」構図。

きれいなお花を見つけたら、まずは真ん中に。だってそれだけでお花ってかわいいですから。あとは周囲の写り込みを気にしましょう。ここでは、きれいな葉が揃っている椿を選んでみました。ボケ感の中に、まだまだ蕾の椿。これから咲くことを感じるのも、ちょっと気に入っているポイントです。

マクロ撮影に挑戦してみる。

手軽にここまで近づけるのってすごく撮っていて楽しいと気づかせてくれるはず。一度近づいて撮ってみてください。きっと今までとは違う写真が撮れるはず。ここではお花のマクロ撮影を紹介しましたが、お寺やお店でもそっと撮りたいものに近寄ってみてください。そのおもしろさに気づくと思います。
※マクロ撮影モードの無い機種もございます。

コントラストが美しい落ち椿。

散りゆく美しさを表現できるお花の代表格が、この椿ではないでしょうか。和歌、日本画、着物、茶の湯など、さまざまな日本文化や芸術の題材として選ばれてきた椿。幾重に編まれた文化的接続詞としてお花が咲くとき、椿という存在を切り離すのは難しいかもしれません。ちょっと大袈裟ですが。

\ワンポイントアドバイス/

単焦点サブレンズで表現の幅を広げる

単焦点レンズ(焦点距離が固定されたレンズ)も使ってみました。広角から望遠へとズームが出来るレンズに比べて利便性は劣るかもしれません。けれどそのぶん画質が綺麗だったり、f値が明るいので綺麗なボケ感を撮影できたり、使ってみると様々な良さが見えてくるはずです。と言いつつも一番はやっぱりこれ、ズームが出来ないから自分が動くことで撮れる範囲を変えるということ。それは撮る構図を動きながら選ぶということなんです。作品という自分だけの写真のお気に入りに近づく近道かもしれません。
ぜひ試してみてください!きっと表現の幅が広がるはずです。 (1枚目・2枚目:LUMIX G 42.5mmレンズ)
※レンズ交換のできない機種もございます。お使いの機種の説明書をご確認ください。



お散歩しながら撮りたい京都

観光名所の移動にはバスや電車にタクシーと、いろいろありますが、「お散歩」でも楽しめるのが京都です。徒歩の時間だからこそ撮影できる写真、その魅力を3つのお散歩ルートに沿ってゆっくりとした目線でお伝えします。僕自身がお散歩しながら写真を撮ってきました。つい集めたくなる京都の写真、そのきっかけになさってはいかがでしょうか。

哲学の道 ルート

琵琶湖疏水沿いに続く約1.5kmの小径。かつて文人墨客がこの道を歩きながら思索に耽ったことから「哲学の道」と呼ばれています。桜や紅葉など四季折々に風景を変え、鳥や猫の憩いのスポットになることも。いつ出会えるかわからない動物たちにもわくわく。みつけたらシャッターチャンスを逃さないで。界隈のカフェでひとやすみをしたり、思索に耽りながら、お気に入りのアングルをみつけましょう。

撮影のポイント:A

撮影のポイント:B

撮影のポイント:C

撮影のポイント:D

撮影のポイント:E

撮影のポイント:F

撮影のポイント:G

撮影のポイント:H

撮影のポイント:I

祇園宮川町 ルート

京情緒にあふれ、絵になる風景に出会えるエリア。花街の祇園・宮川町では、伝統的な京町家が建ち並び、石畳の道が続きます。京町家をよく見ると、犬矢来(いぬやらい)や守り神・鍾馗(しょうき)さんなど、さまざまな意匠が。全体ではなく、一部を切り取っての撮影も楽しいものです。朱塗りの玉垣が続く白川や鴨川が流れ、京都の日常の自然を感じながら、のんびりとお散歩ができます。
※祇園は撮影禁止の場所が多く、高札が掲げられています。よくご確認ください。

撮影のポイント:A

撮影のポイント:B

撮影のポイント:C

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撮影のポイント:G

撮影のポイント:H

撮影のポイント:I

嵯峨野・嵐山 ルート

京都を代表する観光地。渡月橋や竹林の小径、神社仏閣など、メディアでもおなじみの風景が点在しています。人気さゆえに混雑することも多いですが、そんな時は見上げるなど視点を変えて撮影をしてみましょう。中心地から離れ、嵯峨野まで行くと混雑は少なく、のどかな風景に出会えます。自然だけでなく、カラフルなキモノフォレストなどの観光地ならではのオブジェも。さまざまなフォトスポットが楽しめるエリアです。

撮影のポイント:A

撮影のポイント:B

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撮影のポイント:G

撮影のポイント:H

撮影のポイント:I


今回協力いただいたプロカメラマン

坂本大貴写真事務所

坂本 大貴 / Daiki Sakamoto

1986年生まれ。フォトグラファー。2015年よりフリーランス。 得意なジャンルは人物、風景、建築、ドキュメンタリー。広告写真からウェブCM等の映像制作まで、京都をベースに幅広いジャンルで活躍中。プライベートではフィルム撮影による作品製作も行っている。

プロカメラマンが

実際に使用してみて

京都の町を歩きながらG100と一緒にお寺やカフェと写真を撮らせていただきました。このカメラは本当によく手に馴染むというのが一番の印象です。ボタンのカスタマイズもわかりやすく、自分だけの気に入ったカメラへと仕上がる気持ちにさせてくれました。それに普段仕事などで使用しているカメラに対して圧倒的に軽量コンパクトな点、それでいて撮りたい被写体に対し瞬間的にレンズを換え撮れるレスポンスの良さ、どんなタイミングでも撮る楽しさを感じるカメラだと思いました。この記事を読まれた方がG100を手にして、撮影のテクニックや知らなかったアイデアももちろんですが自然と手に馴染むカメラを持っているという事を楽しんでもらえましたら幸いです。

協力:Panasonic

※写真はイメージです。
※掲載内容は2022年3月25日時点の情報です。