東福寺 本坊庭園(北庭)
「苔World・京都」への誘い 1
最近、じわじわと注目を集めている“苔”。京都にも、美しい“苔名所”がたくさんあります♪ 貴船のように、水辺に自生しているきれいなスポットもありますが、今回注目するのは、「お寺で見られる苔」。
・・・とはいっても、京都は地形的に湿気が溜まりやすく、苔が生(む)しやすい場所(もちろん手入れは必要ですが)。東西南北、きれいな苔が見られるスポットが多いだけに、「あそこもきれい、ここもきれい」と挙げだせばキリがありません・・・(苦笑) そこで今回は、「苔World・京都」への入り口として、「定番スポット」「スタッフおすすめ」「私のお気に入り」という3つのジャンルで、10カ所をピックアップしてみましたよ。
雨の多い時季に美しい緑を楽しめる苔。いつもより目線を少し下げて、社寺の散策を楽しんでみてくださいね♪
<定番スポット>
1 “苔名所”の王道 「京都の苔寺」【西芳寺[苔寺]】
“京都の苔”といえば必ずピックアップされる、西芳寺。別名「苔寺」と呼ばれるほどに、苔が有名なお寺です。奈良時代に行基(ぎょうき)により開山、一時荒廃した後、暦応2年(1339)、夢窓疎石(むそう そせき)により再興され、上下二層の庭園も疎石の手に成ると伝わります。
お庭を覆う120種以上の苔は、植えられたものではなく、自生したものというから驚きです。心字(しんじ)池を中心に窪地となって湿度が保たれ、庭園を覆う木立が風や日光を遮り、苔の育成にちょうどよい環境となっているのだとか。自然がくれた美の贈り物。そして、その美を守り、伝えることの大切さ。感謝しながら拝観したいですね。
■西芳寺[苔寺]
【参拝時間】事前申込み制(詳細は、公式ホームページをご確認ください)
【参拝料】冥加料3,000円
【電話】075-391-3631
【アクセス】京都バス「苔寺・すず虫寺」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】http://saihoji-kokedera.com/
\「そう京」イベントも行います!/
⇒苔の寺と竹の寺 京のみどり散策(2018年6月24日実施)※5/30現在、キャンセル待ちで受付中。
<定番スポット>
2 境内を覆う苔にうっとり♡ 【銀閣寺[慈照寺]】
室町幕府8代将軍・足利義政が隠居した山荘、銀閣寺。その庭園は、義政が西芳寺を手本に作庭したものと伝わります(・・・ちなみに、西芳寺の庭園に苔が生しはじめたのは江戸時代中期頃からのこと。義政が見た庭は、今とは違う光景だったようです)。
東山の麓に広がるお庭は、斜面を活かした景観。銀閣(観音堂)の前に佇む錦鏡池(きんきょうち)の水辺から斜面まで、100種以上の様々な苔で覆われています。いつも拝観者でいっぱいの銀閣寺ですが、苔生しているエリアは立ち入り禁止。それだけに、山肌を覆うヴィロードのように美しい苔の絨毯を眺めることができます。有名な観光スポットなのに自然の美しさも感じられる、「さすが、京都を代表するお寺だなぁ」と感動してしまいますよ♪
■銀閣寺[慈照寺]
【拝観時間】8:30~17:00(12~2月は9:00~16:30)
【拝観料】500円
【電話】075-771-5725
【アクセス】市バス「銀閣寺道」バス停から徒歩約10分 Google map
【公式ホームページ】http://www.shokoku-ji.jp/g_about.html
<定番スポット>
3 苔が主役のお庭を愛でる 【祇王寺】
嵐山からほど近く。小さな草庵と、こぢんまりとした苔庭が美しいスポットです。先日の「そう京」ブログでお寺の方からお話を伺いましたが、職員さんたちによる手厚い管理がされていて、モフモフとした苔が楽しめます。
「青もみじ名所10選」でもご紹介したように、青もみじも美しいお寺。目線を上に“青もみじ”をメインに眺める時と、少ししゃがんで”苔”をメインに眺めるとき。2つの見方でお庭の情景も変わってきます。小さなお庭といえど、ぜひいろいろな角度から眺めてみてくださいね♪
⇒【京さんぽ】苔名所「祇王寺」で、“苔”について聞きました♪
■祇王寺
【拝観時間】9:00~17:00(受付終了16:30)
【拝観料】300円
【電話】075-861-3574
【アクセス】市バス「嵯峨釈迦堂」バス停から徒歩約15分 Google map
【公式ホームページ】http://www.giouji.or.jp/
<スタッフおすすめ!>
4 苔の絨毯がお見事! 【三千院】
三千院は、スタッフ“かりー”さんが「苔名所といえば・・・」と、おすすめしてくれたスポット。
かりー 「学生の頃に初めて行ったのですが、苔と木立のバランスが絶妙! 幹まで苔生していて一体感が素晴らしいなぁと感動しました。おきまりですが、苔のお布団に包まれる、わらべ地蔵さんが気持ちよさそうで、ついつい写真を撮ってしまいます♡」
青もみじと苔の写真撮影方法は、スタッフ“カツオ”くんが指南しておりますので、ぜひそちらも参考にしてみてくださいね♪
⇒【古都こよみ】三千院 瑞々しい“青もみじ”を撮影しよう!
わらべ地蔵(杉村孝・作)
■三千院
【拝観時間】8:30~17:30(受付終了17:00)
※12月8日~2月は9:00~17:00(受付終了16:30)
【拝観料】700円
【電話】075-744-2531
【アクセス】京都バス「大原」バス停から徒歩約10分 Google map
【公式ホームページ】http://www.sanzenin.or.jp/
<スタッフおすすめ!>
5 額縁庭園を彩る苔 【蓮華寺】
スタッフ“シュガー”さんのおすすめは、洛北の古刹、蓮華寺。高野川から引いた豊かな水で、潤いのある景色を楽しめるお寺です。
シュガー 「青もみじの名所ですが、苔もとってもきれいなんですよ。書院からお庭に降りるときも、通路が決まっていて(写真右側)、苔を踏まないようにとても大切に管理されています。茶室から見える岩肌に生える苔も、自然味があって、趣深いですよ」
写真撮影は書院からのみ可となります。苔はじっくりと眺めてみてくださいね♪
\蓮華寺エリアの歩き方はこちらから/
⇒【京さんぽ】京都で新緑を満喫♪ 今年の初夏は、八瀬に行こう!
■蓮華寺
【拝観時間】9:00~17:00
【拝観料】400円
【電話】075-781-3494
【アクセス】京都バス「上橋」バス停からすぐ Google map
<スタッフおすすめ!>
6 市松模様のデザインが秀逸! 【東福寺】
東福寺の本坊庭園も苔が見事。特に北庭は、ここまでに紹介したお庭と違い、苔がデザイン的に使われている、特徴的なお庭です。
かりー 「個人的に“苔の庭”といえば、こちらの市松模様のお庭は外せません。初めて観たときに、“なんてかわいいお庭!”と驚いたことを昨日のことのように思い出します。苔庭と違い、デザイン的に植えられた苔も素敵なので、注目してみてくださいね♪」
ちなみに、写真の上と下で苔の色が違うのは、日の当たるところと当たらないところの違いです。植えられているのは「杉苔(スギゴケ)」。日光に強い種で、日の当たっているときは茶色になりますが、お水をまくときれいな緑色がよみがえるそうですよ♪
\東福寺は、ツアー参加者限定・特別御朱印対象社寺です/
⇒【京さんぽ】古都京都の青もみじ&御朱印めぐり~前編~
■東福寺
【拝観時間】9:00~16:30(受付終了16:00) ※11月~12月初旬は8:30~、12月初旬~3月は16:00まで(受付終了15:30)
【拝観料】通天橋・開山堂400円、本坊庭園400円
【電話】075-561-0087
【アクセス】JR奈良線「東福寺駅」から徒歩約10分 Google map
【公式ホームページ】http://www.tofukuji.jp/
<スタッフおすすめ!>
7 花の魅力を引き出す“縁の下の力持ち” 【天得院】
こちらのお庭は、東福寺の塔頭・天得院。桔梗のお寺として知られ、見頃の時季に特別拝観をされています。このお寺の苔が好きだというのは、“オパン”ちゃん。
オパン 「桔梗のお庭として有名ですが、その下を彩るモコモコとした杉苔が、やわらかそうで好きなんです♡ 青や白色の花の色をさらに引き立てていて、まさに“縁の下の力持ち”的な苔だと思います」
特別拝観は、6・7月の桔梗と11月紅葉シーズンの年二回だけ。その時季にしか会えないお庭なので、ぜひ苔もじっくりご鑑賞ください♪
■東福寺 天得院
【電話】075-561-5239
【アクセス】JR奈良線「東福寺駅」から徒歩約7分 Google map
【公式ホームページ】http://www.tentokuin.jp/
<天得院 桔梗を愛でる特別拝観 >
【日程】2018年6月25日(月)~7月10日(火)10:00~16:30(受付終了16:00)
【料金】500円、抹茶とお菓子800円
<スタッフおすすめ!>
8 穴場のお庭は、雨が似合う 【南禅院】
琵琶湖疏水を取り入れた水の流れが、境内のあちこちを潤す南禅寺。テレビドラマのロケ地としても有名な「水路閣」のすぐ隣にあるのが、南禅院です。
シュガー 「南禅寺のなかでも穴場的なスポットの南禅院。池の周りをぐるりと周回できる“池泉回遊式”のお庭があり、小さいお庭なのですが、苔・池・建物・楓のバランスが絶妙です。特に雨の日、みどりが色濃さを増すときに訪れると、雨のうっとうしさも忘れて見入ってしまいます」
南禅寺の境内には苔がきれいに生したスポットが多く、本坊の東の庭などもおすすめです♪
■南禅院
【拝観時間】3~11月8:40~17:00(受付終了16:40)、12~2月8:40~16:30(受付終了16:10)
【拝観料】300円
【電話】075-771-0365(南禅寺)
【アクセス】地下鉄東西線「蹴上駅」から徒歩約10分 Google map
<私のお気に入り>
9 静謐な修行の地で見る苔【赤山禅院】
さて、最後は私(みさご)が好きな苔スポットを2カ所! 京都の山際に行くと、自然をそのまま境内に取り込んでいる社寺があり、そこでは豊かな自然を目の当たりにできます。人工と自然が融合したスポットを楽しめるのも京都ならではの良さではないでしょうか。
洛北・修学院にある赤山禅院(せきざんぜんいん)は、比叡山の西の麓に位置し、天台宗の荒行「千日回峰行」の「赤山苦行」の舞台となる修行の地。境内には手つかずの自然が遺され、うっそうとした雰囲気が神聖さを醸し出しています。たくさんの種類の苔が自生し、特に参道は両脇の土手沿いがふかふかの苔に覆われていて、目線の高さで苔を眺められます。じっくり苔を見たい方におすすめですよ♪
■赤山禅院
【拝観時間】9:00~16:30
【拝観料】境内無料
【電話】075-701-5181
【アクセス】市バス「修学院離宮道」バス停から徒歩約15分 Google map
【ホームページ】http://www.sekizanzenin.com/
<私のお気に入り>
10 神秘的な苔スポット【高山寺】
京都市の北西、高雄(たかお)・槙尾(まきのお)・栂尾(とがのお)の三尾(さんび)エリアは、青もみじの名所であり、苔好きにもたまらないスポット。清滝川の流れと、樹木に覆われた深い山のなかで、苔が静かに息づいています。
三尾のなかの栂尾に位置する古刹、高山寺。国宝『鳥獣人物戯画』や、日本最古の茶園があるお寺として知られ、5月下旬から6月にかけては、天然記念物のモリアオガエルが産卵期を迎えます。まさに自然のなかにあるお寺だけに、自然のなかで生きている苔を楽しめます。苔生す石垣を見ていると、長い年月ここに生えているんだなぁという歴史の重みを感じられ、苔から感じる濃いみどりの空気に、俗塵を払い落としているかのような気持ちになれますよ♪
■高山寺
【拝観時間】8:30~17:00
【拝観料】800円(紅葉時期のみ別途入山料500円が必要)
【電話】075-861-4204
【アクセス】市バス「栂ノ尾」バス停から徒歩約3分 Google map
【ホームページ】http://www.kosanji.com/
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以上、10カ所の苔スポットをご紹介しました! “自生する苔”、”植えられている苔”など様々な苔の姿が見られたのではないでしょうか。まだまだ奥が深い苔の世界。脇役と思われがちな「苔」にも、ぜひ目を向けてみてくださいね♪