三千院 雨の日ならではの写真撮影を楽しもう

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古都ジェニックな一枚を撮ろう 9


梅雨まっただ中の京都。降り続く雨に、外に出るのも億劫になりますが、雨に濡れた木々やお庭は瑞々しく艶やかな姿を見せ、実は恰好の被写体となります。
今回は、雨の日の撮影術や注意したいこと、そして“ウラ技”もご紹介。雨が降る日も、カメラを持って京都にお出かけしましょう♪

撮影の舞台は、前回に引き続き三千院


(撮影日:2018年6月11日)

前回の古都ジェニックシリーズでは、おもに晴天の三千院での撮影術をお届けしましたが、今回は曇りの日に焦点を当てたいと思います。
いわゆる“天候不良”の日は、太陽が雲に隠れているため、境内に差しこむ光は平均的。光が強く当たる場所や影が少なく、ご覧のように風景の中に“ムラ”がありません。木造で柿(こけら)葺きのお堂が見せる穏やかな佇まいには、こういった“おとなしい天候”がよく似合いますね。
京都在住のプロカメラマンさんたちの写真集を覗いてみれば、実は曇りの日に撮影された写真が多いことに気づくことと思います。

⇒日差しが爽やかさを演出! 晴れの日の三千院の様子は、こちらのブログからご覧ください♪

⇒晴れの日の撮影は、“逆光”や“影”に注意しましょう
 

目を惹く朱色の朱雀門に注目


(撮影日:2018年5月15日)

緑美しい境内の中でひときわ目を惹く朱色の朱雀門。こちらは晴れの日に撮影した写真ですが、木漏れ日が良い感じですね♪ 撮影に訪れた時間帯も良かったようで、影もあまり気になりません。さて、雨の日はというと・・・

潤う緑の中でさらに際立ちました


(撮影日:2018年6月11日)

雨に濡れ、潤いたっぷりの青もみじと苔。先ほどの写真と比べ、苔は緑を増しているように見て取れますよね。特に「苔」を綺麗に撮影するのであれば、晴天続きの日ではなく、“雨続きの日”を狙ってみましょう。晴天が続いて苔が乾燥してしまっても、一日二日、雨が降るだけで“緑”が綺麗に回復することもあります。三千院の方によると、“雨の日の翌朝”がおすすめだそうですよ。
 

雨の日の注意点 その1 “雨粒”


(撮影日:2018年6月6日)

雨の日の撮影となると、注意しておきたいことがあります。この写真をパッと見て、何か気になりませんか? 黒い屋根の中央から少し左側、まるくぼんやりと写っているものがありますね・・・
正体は、レンズに付いた雨粒! 雨の日の撮影となると、カメラ本体が濡れないように気を遣わなければいけませんが、レンズにも細心の注意を払いましょう。デジカメであれば、撮影した写真を、カメラ背面のモニターを使ってチェックすることができますが、モニター画面は小さく、ホントによ~~く見ないと雨粒を見つけることは難しいですよね。パソコンで見返した時に、「あっ!」となってしまわないように、雨の日はレンズに雨粒が付いていないかマメにチェックしましょう。

雨の日の注意点 その2 “湿気による曇り”


(撮影日:2018年6月6日)

なにやら幻想的な雰囲気さえ漂うこちらの写真。この現象も、雨の日に注意したいことのひとつです。湿気によりレンズが曇ってしまい、画面全体がモヤ~っとなってしまったことが原因です。梅雨時季の高温多湿な日や冬場の寒い日に起こりがちな現象です。
 

対処法:レンズ専用のタオルで拭きましょう


(撮影日:2018年6月6日)

“雨粒”といい“湿気による曇り”といい、付いてしまったものはしょうがありません。綺麗な写真を撮るためにも、そしてレンズの防カビ対策のためにもしっかりと拭き取りましょう。カメラ屋さんなどで売っているレンズ専用のタオルを携帯しておくと良いと思います。しっかり拭き取って撮影すると・・・ ご覧のようにくっきりとした一枚に仕上がりました♪
 

目を刺すように主張する、白い空


(撮影日:2018年6月11日)

つづいては、三千院の代表的なお堂、往生極楽院(おうじょうごくらくいん)です。このお堂の周りに広がるお庭は文字通り緑一色。たくさんの緑を撮り込もうと、画面を広めに撮影してみましたが、白一色となった空が気になってしまいます。惹き込まれるような品の良い青もみじや苔に対し、目を刺すというか、まぶしいというか・・・
 

対処法:余分な部分はカットしましょう


(撮影日:2018年6月6日)

“白トビ”してしまった空を、構図に無理が生じない程度にカットしてみました。広々と余裕のある感じは弱くなってしまいましたが、白い部分の“主張”も和らぎました。
好みの問題もあるかもしれませんが、曇りや雨の日の撮影であれば、真っ白な空を写真の中からできるだけ排除することも意識してみると良いでしょう。
 

潤う青もみじをアップで狙ってみましょう


(撮影日:2018年6月11日)

雨に濡れる青もみじをクローズアップ! 艶やかで綺麗ですね~♪ でも、アップで撮影するため、葉のちょっとした汚れや“枯れ”も目立ってしまいます。まずはじっくりと、綺麗な被写体を選びましょう!
次に“背景”には、なるべく黒っぽいものを写し込まず、爽やかな色(緑)を配置。そして、やや明るめに写るように設定(プラス補正)して撮影することを心がけました。

この写真を撮影した時は、幸いにも雨は止んでいました。もし雨が降っていると、葉が揺れてしまい、写真がブレてしまう可能性もあります(被写体ブレ)。このように、新緑や花などをアップで撮影する際は、雨や風に揺れていないもの、そして揺れないタイミングを狙うこともポイントです。

⇒明るさを調整しながら青もみじを撮影してみると、仕上がりが劇的に変化!

ウラ技:ちょっと遊んでみました


(撮影日:2018年6月11日)

同じ場所、ほぼ同じ時間に撮影した写真ですが、まったく印象が異なりますよね。モヤ~っとして幻想的というか・・・ はい、もうお気づきの方もいることでしょう。“湿気による曇り”を使って撮影してみました。「そんなタイミング良く曇るものなの?」と思われるかもしれませんが、意図的に曇らせてしまえばいいわけです。方法はいたって簡単! レンズに向かって、はぁ~っと息を吹きかければ完了です。吹きかける息の量で曇り具合を調整して、お好みの“モヤ~”を作り出しましょう♪
 

“カツオ渾身の一枚”


(撮影日:2018年6月11日)

いつもとはひと味違いますが、“モヤ~”を渾身の一枚としました。「真実を写すのが写真」であるなら、ちょっと“邪道”かもしれませんが、撮り直しができるデジカメ時代ならではの“遊び”から生まれた一枚です♪ 息を吹きかける量によって、もっとモヤ~っと、それこそ霧がかったように写すこともできます。手軽にできる“ウラ技”のひとつとして、是非一度、試されてみてはいかがでしょうか♪


三千院
【拝観時間】8:30~17:30(受付終了17:00)
※12月8日~2月は9:00~17:00(受付終了16:30)
【拝観料】700円
【電話】075-744-2531
【アクセス】京都バス「大原」バス停から徒歩約10分  Google map
【公式ホームページ】http://www.sanzenin.or.jp/


 

Written by. カツオ

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