潮音庭
京都のお寺探訪 6
町家や石畳など京情緒あふれる花街・祇園にたたずむ建仁寺。アクセスが良く、賑やかなエリアにありながらも、境内に入ると落ち着いた雰囲気に包まれます。俵屋宗達の屏風画「風神雷神図」(国宝)を所蔵することで有名ですが、他にも魅力的なお庭やアートがいっぱい。さらにこの秋は、「そうだ 京都、行こう。」が手がける新感覚の苔アート“モシュ印”と“コケ寺リウム”が期間限定で登場しています! 撮影OKなポイントがいっぱいの建仁寺で、思い出の一枚を撮ってみませんか?
⇒苔アート作品“モシュ印”と“コケ寺リウム”ってなに?
【歴史-HISTORY】
歴史は800年超! 京都最古と伝わる禅寺
法堂
建仁寺は、臨済宗建仁寺派の大本山。鎌倉幕府の寺域寄進により建仁2年(1202)に開かれ、800年以上の歴史をもつ京都最古と伝わる禅寺です。開山の栄西(えいさい・ようさい)禅師は、中国で仏教を学んだ、いわばエリート僧侶。現代のブームにつながる「禅」と「お茶」を日本に持ち帰り、普及に努めました。栄西は「茶祖」とされ、境内には茶碑が建てられています。
広い境内のなかでも今回は、拝観のメインとなる方丈や法堂(はっとう)などの内部をご紹介。受付を済ませたら、さぁ堂内へ。雨など天候を気にせず、じっくり楽しめるのも魅力です。
【庭園-GARDEN】
360度から楽しむ「潮音庭」
まずは庭園からご紹介。こちらはモミジに苔、石組みが調和する「潮音庭(ちょうおんてい)」。大書院と小書院、回廊に囲まれ、四方からお庭を眺めることができます。これから秋にかけてはモミジが深紅に染まり、11月下旬に一年で最も華やぐ季節を迎えます。モミジ越しに「風神雷神図屏風」(複製)や襖絵「舟出」が眺められるという粋な演出も、写真映えして嬉しいですね♪
⇒お庭の苔に注目! 「京都“苔”名所ガイド」はこちら。
(撮影日:2017年12月1日 紅葉の見頃:例年11月下旬~12月上旬)
「○△□乃庭」・・・ なんて読むのでしょう?
一見、暗号のようにも思える「○△□乃庭」は、そのまま“まるさんかくしかくのにわ”と読みます。禅宗の四大思想(地水火風)をお庭の中に表現していて、奥の四角い(□)井戸は“地”、真ん中の丸い(○)苔は“水”。そして少し分かりづらいですが、写真手前に盛られた白砂は三角形(△)になっており、“火”に見立てているのだとか。
花頭窓越しに眺める「大雄苑」
方丈(重文)前には、禅寺らしい雄大な石庭「大雄苑(だいおうえん)」が広がります。広縁に腰掛けじっくり眺めるのも良いですが、私のお気に入りは法堂へと続く廊下からの鑑賞。花頭窓(かとうまど)越しに眺めると、まるで額に入ったアートのようです♪ 額のなかには誰ひとりいなくて、お庭を独り占めしたような気分になりますよ♪
【天井画&襖絵-ART】
キリッと身が引き締まる「双龍図」
続いて、天井画や襖絵などのアートに注目してみましょう。禅寺の多くでは法堂の天井に、仏教の教えを説くという“龍”が描かれています。もちろん建仁寺にもあり、こちらは比較的新しい天井画。創建800年を記念して平成14年(2002)に、日本画家の小泉淳作さんにより描かれました。
約2年がかりで完成した、108畳分の「双龍図」は迫力満点! キョロッとした目は、なんだか愛嬌さえ感じられますね♡ 方丈には、海北友松(かいほう ゆうしょう)筆のちょっと怖めの「雲龍図」(複製)もあります。
⇒桃山時代最後の巨匠・海北友松とは?
教科書でおなじみ! 「風神雷神図屏風」
建仁寺といえば欠かせないのが、俵屋宗達の最高傑作と伝わる「風神雷神図屏風」(国宝)。建仁寺を象徴する作品で、拝観券やパンフレットの表紙にもなっているんですよ。現在は京都国立博物館に寄託されており、大書院で高精細デジタル複製がご覧いただけます。きっと誰もが「あ~、教科書で見たことある!」となるはず。
さわやかな心地になる襖絵「舟出」
大書院の向かいにある小書院に飾られるのは、一転して清々しい印象の襖絵「舟出」。染色画家・鳥羽美花さんが栄西禅師800年大遠諱事業(2014年)の一環として制作されたもので、一面青の世界はベトナムの水辺の風景がモチーフ。見ているだけでさわやかな心地となり、残暑にじっくり浸ってみたい作品です。引き戸が、舟を漕ぐ櫂(かい)になっているのもポイント♪
襖絵「舟出」の引き戸
思わず「ふふっ」と笑みがこぼれませんか? 「唐子遊戯図」
「おぉっ」と驚くアートが並ぶなか、思わず「ふふっ」と笑みがこぼれるのが唐子の間の「唐子遊戯図(からこゆうぎず)」です♪ 描いたのは、明治期の画家・田村月樵(げっしょう)。タイトルに“遊戯”とあって、みんなゆる~い表情で楽しそう! 右端の方は笑い転げているのでしょうか・・・ 想像が膨らみます(笑)
【建仁寺NEWS】
その1・普段は撮れないアングルでパシャッ! 楽しい“カメラシェアリングサービス”が登場!
丸窓から微笑む、建仁寺の僧侶・浅野俊道さん
そして最近の「建仁寺NEWS」を2つお届けします! まずご紹介するのが、“カメラシェアリングサービス” 。普段は撮れないアングル3ヵ所にカメラが設置され、ボタンひとつでセルフ撮影が楽しめる・・・ というもので、2018年8月から登場しています。
写真は丸窓の中から微笑む、建仁寺の僧侶・浅野俊道さん(モデルをお願いしたところ、快く引き受けてくださいました。ありがとうございます!)本来、丸窓の外には出ることができないので、“貴重な写真”ができあがりました。奥には潮音庭が写り、紅葉シーズンも素敵な一枚になりそう。そのほか「双龍図」を背景にした合成写真や、「大雄苑」を背景にした写真が撮影できます。
嬉しいことに撮影は何回でも可能♪ 堂内に設置された専用の機械で写真プリントを1枚購入(1,000円)すると、撮影した写真を全てダウンロードできます。お友達やご家族で、いろんな写真を撮って、SNSにアップしてみたいですね!
※カメラシェアリングサービスは、パナソニック株式会社及びNTTコミュニケーションズ株式会社の商標です。
その2・期間限定! 「そうだ 京都、行こう。」が手がける“モシュ印”と“コケ寺リウム”が登場!
左:コケ寺リウム 右:モシュ印
最後にご紹介する撮影ポイントがこちら! 2018年9月1日(土)よりスタートした 「そうだ 京都、行こう。」が手がける「苔」を用いたアート作品“モシュ印”と“コケ寺リウム”です。苔庭の美しい5つの寺院に展示をしているのですが、そのひとつが、建仁寺なのです。
左:○△□乃庭 右:法堂
“コケ寺リウム”には、このブログでもご紹介した○△□乃庭や法堂をギュッと凝縮。唐子の間に展示され、襖に描かれたみんなも楽しく鑑賞しているよう♪ 詳しくはブログ「“モシュ印”と“コケ寺リウム”が登場!」をご覧ください!
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お庭をはじめ、襖絵に天井画、新感覚の苔アート“モシュ印”と“コケ寺リウム”など、撮影ポイントが豊富な建仁寺。周りの方の迷惑にならないよう注意しながら、写真撮影をお楽しみくださいね♪
■建仁寺
【拝観時間】3月~10月10:00~17:00(受付終了16:30)
11月~2月10:00~16:30(受付終了16:00)
【拝観料】境内無料、方丈・法堂500円
【拝観休止日】4月19日・20日、6月4日・5日。その他法要のため、休止の場合有り。
【電話】075-561-6363
【アクセス】市バス「東山安井」バス停から徒歩約5分、京阪本線「祇園四条駅」から徒歩約7分 Google map
【公式ホームページ】http://www.kenninji.jp/