“陰陽師・安倍晴明”と“天文”を訪ねて、京めぐり

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9月26日は、平安時代の陰陽師(おんみょうじ)・安倍晴明(あべの せいめい)のご命日。それに先立つ秋分の日とその前夜(2018年は22日(土)・23日(日))には、ゆかりの晴明神社「晴明祭」が行われます。今年(2018)は9月24日(月・振休)が中秋の名月。天体の動きを観察し世の吉凶を言い当てた「天文陰陽博士」晴明を偲び、夜空を見上げるにもぴったりの時季となりそうです。

自然が猛威を振るう昨今だけに、もし晴明がいたらどう立ち向かったのかな… と思いながら、晴明と天文にまつわるスポットをピックアップしてみました。



“晴明パワー”で、空を見上げる力をチャージ。
晴明神社


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京都で晴明をめぐるなら、まず訪れるべきは晴明神社です。かつて、晴明の住んだ邸宅跡に、寛弘4年(1007)、一条天皇により創建されたと伝わります。


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安倍晴明は、大阪・阿倍野で“葛の葉”という狐を母として生まれたという伝説を持ち、出生からして謎に満ちています。若かりし頃の消息は伝わっておらず、歴史の表舞台に登場したのは40歳を過ぎてから。その後、6代の天皇に仕え、数々の功績を立てたのち、寛弘2年(1005)9月26日、85歳で天寿を全うされました。

異能の人・晴明は伝説化され、『今昔物語』や『宇治拾遺物語』などで説話が語られたり、江戸時代になると人形浄瑠璃や歌舞伎の題材となり、現在へと続く「スーパーヒーロー・安倍晴明」像が作られていきました。


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旧・一條戻橋と式神石像


「式神」と呼ばれる鬼人・使役神を操り屋敷内の雑役をやらせていた、蘆屋道満(あしや どうまん)との呪術合戦を繰り広げた、など想像力を刺激するエピソードは古今東西の人々を惹きつけ、今もなお新たな晴明物語が生み出されています。


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印を結び、夜空の動きを観測するかのような安倍晴明公像。空を見上げる前向きな力を与えてくれそうな、力強さを感じます。
 

■晴明神社
【参拝時間】9:00~18:00
【参拝料】境内無料
【電話】075-441-6460
【アクセス】市バス「一条戻橋・晴明神社前」バス停から徒歩約2分 Google map
【公式ホームページ】https://www.seimeijinja.jp/
★「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先です。特典内容はこちら。

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晴明祭 神幸祭の様子


★晴明祭
2018年9月22日(土)19:00~ 宵宮祭(お迎え提灯行列/湯立神楽奉納)
2018年9月23日(日)10:00~ 例祭、13:00~ 神幸祭(神幸祭/神輿巡幸)

写真提供:晴明神社


晴明と親友・博雅にちなんだカクテルを♪
ラウンジ・バー「クー・オ・ミディ」(京都ブライトンホテル1階)



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左:セイメイ(1,200円)、右:ヒロマサ(1,200円)


広大な敷地であったという晴明邸。晴明神社の東南、約800メートルほど離れた場所にある京都ブライトンホテルもかつての敷地であったそうです。それにちなみ、ラウンジ・バー「クー・オ・ミディ」では、晴明と親友の源博雅をイメージしたカクテルが提供されています。星と月のモチーフがかわいらしいですね♪
 

■ラウンジ・バー クー・オ・ミディ(京都ブライトンホテル1階)
【営業時間】バータイム17:30~23:30(ラストオーダー23:00)
【定休日】無休
【電話】075-441-4411(代)(10:00~23:00)
【アクセス】地下鉄烏丸線「今出川駅」から徒歩約8分、地下鉄烏丸線・東西線「烏丸御池駅」より無料シャトルバスで約7分 Google map
【公式ホームページ】https://www.brightonhotels.co.jp/kyoto/restaurant/couraumidi/


広沢池に遺る晴明伝説
遍照寺


晴明の墓所は諸説ありますが、その候補地のひとつが“嵯峨野”。平安時代には貴族の行楽地であったこのエリアにも、晴明の伝説が遺ります。


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遍照寺


あるとき、広沢の僧正を訪ねた晴明。その場にいたある貴族が「式神が使えるのなら人も殺せるのか」と尋ねたところ、「殺すことはできるが、生き返らせることはできないから」と拒んだものの無理強いをされ、仕方なく呪文によって草の葉でカエルをまったいらにひしゃげさせた、というものです。…カエルもとんだとばっちりですね。

このとき訪ねたのが、広沢池のそばにある遍照寺とされます。当時から場所は変わりましたが、晴明の物語を今に伝えています。


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広沢池


ちなみに“観月の池”として有名な広沢池の別名は、「遍照寺池」。遍照寺の造営に合わせ、永祚元年(989)頃に庭池として造られた、といわれています。ちょうど晴明が生きていた時代にできたと思うと、感慨深いですね。
 

■遍照寺
【拝観時間】10:00~16:00 ※毎月28日は午前中拝観休止
【拝観料】500円
【電話】075-861-0413
【アクセス】JR山陰本線(嵯峨野線)「嵯峨嵐山駅」から徒歩約15分、市バス「広沢御所ノ内町」バス停から徒歩約4分 Google map
【公式ホームページ】http://www.eonet.ne.jp/~henjouji/

\嵯峨野をめぐるウォーキングイベントを開催します!/
⇒【そう京イベント】2018年10月28日(日)実施!平安貴族の行楽地 嵯峨野を歩く

晴明復活! 謎のパワーを秘めた、閻魔大王の金印とは?
真如堂


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東山の紅葉名所・真如堂にも、晴明伝説が伝わっています。お寺に伝わる絵巻物『真如堂縁起』のなかに、晴明が命を失いそうになった時、晴明の念持仏である不動明王が閻魔大王に直談判し、晴明が息を吹き返した場面が出てくるのです。


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※堂内は撮影禁止です(特別な許可を得て撮影しています)


その際に晴明が閻魔大王から授かった金印が、真如堂に伝わっているとのこと。そして、この「晴明復活」のエピソードにちなんだお守りなどの授与品が登場しています。

真如堂について、詳しくはこちらから。
⇒【京さんぽ】「正真正銘のゴクラク」 初夏の真如堂を訪ねる
 

■真如堂[真正極楽寺]
【拝観時間】9:00~16:00(受付終了15:45)
【拝観料】本堂・境内無料、宝物・庭園500円(3月と11月の特別拝観は1,000円)
【電話】075-771-0915
【アクセス】市バス「真如堂前」・「錦林車庫前」バス停から徒歩約8分 Google map
【公式ホームページ】http://shin-nyo-do.jp/
★「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先です。特典内容はこちら。

\真如堂・秋の特別拝観情報/
【期間】2018年11月1日(木)~12月2日(日)
江戸中期・本堂に合わせて制作された長さ約5メートルの「刺繍観経曼荼羅図」や、江戸時代の作と伝わる「花車屏風」などが展示されます。

陰陽道と古天文学の歴史を伝える、圧倒的な収蔵庫
大将軍八神社


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京都の天文について語るうえで外せないのが、北野天満宮のほど近くにある大将軍八神社。平安京造営の際、陰陽道によって大内裏(御所)の天門(北西角)に星神「大将軍」を祀り、“都を守護するお堂”として創建された、由緒ある神社です。

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左:方徳殿入口、右:天球儀


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方徳殿内部


境内にある収蔵庫「方徳殿(ほうとくでん)」には、日本の天文暦道の歴史を伝える貴重な資料がたっぷり。晴明の子孫である土御門(つちみかど)家の文書や、江戸時代の天文方・渋川春海(しぶかわ しゅんかい)が作った「天球儀」など、見ているだけでワクワクするような資料が並んでいます。そして、圧巻は80躰の神像が織りなす「立体星曼荼羅」。密教や陰陽道の宇宙観をリアルに感じ取ることができますよ。

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御朱印帳(1,000円)には東洋星図があしらわれています


■大将軍八神社
【参拝時間】6:00~18:00、授与所9:00~17:00
【参拝料】境内無料
【電話】075-461-0694
【アクセス】市バス「北野天満宮前」バス停から徒歩約2分 Google map
【公式ホームページ】http://www.daishogun.or.jp/

★方徳殿 特別拝観
【期間】毎年5月1日~5日、11月1日~5日、各10:00~16:00 【拝観料】500円
※特別拝観時以外に拝観希望の場合は、前日までに電話にてお問合せください

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ミステリアスで、好奇心を掻き立てられる、晴明と天文をめぐる旅。そのほかにも、映画「陰陽師」のロケ地となった平安神宮や、“方除の大社”として知られる城南宮などを組み合わせながらめぐってみると、さらに楽しい旅になることと思います♪ 9月23日(日)・24日(月・振休)には嵐山一帯で「宙フェス」も開催。京都で天文に浸る旅を、ぜひ楽しんでみてくださいね。

\宙フェス・中秋の名月など、9月のおすすめ京都イベントを紹介/
⇒【古都こよみ】9月に行きたい京都イベント5選 大徳寺 真珠庵 特別公開ほか


 

Written by. みさご

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