京都のお寺探訪 11
京都には「これは見ておいた方がいい!」といういくつもの文物がありますが、そのひとつが妙心寺法堂(はっとう)の《雲龍図》。江戸時代の天才絵師・狩野探幽55歳の時に描かれ、スケール・迫力・鮮やかさの点で京都随一ともいえる“天井龍”です。
京都を代表する大寺院である「妙心寺」は臨済宗妙心寺派の大本山。石庭で有名な龍安寺をはじめ46の塔頭寺院を持ち、末寺は世界各地に3,000以上。在籍する僧侶の数は6,000人を超えるといいます。では、「妙心寺」とはどんなお寺なのでしょうか。アクセス方法や知っておきたい基礎知識、見どころをまとめてお届けします!
\塔頭の「桂春院」にて、「モシュ印」&「コケ寺リウム」展示中/
⇒2019年秋「モシュ印・コケ寺リウム」キャンペーン
実は、アクセス便利な妙心寺。
JR線と嵐電、2つの路線を使いこなそう!
◆「京都駅」→「花園駅」は約10分!
まずはアクセス方法から。妙心寺は、京都市右京区の「花園」エリアに位置します。最寄り駅はJR山陰本線(嵯峨野線)「花園駅」(Google map)となり、「京都駅」からは普通電車で約10分。「花園駅」から歩いて約5分で妙心寺南総門に到着するので、スムーズにいけば「京都駅」から20分もあれば妙心寺に到着します。
\「花園駅」のすぐそばに、花の寺・法金剛院があります/
⇒【そう京イベント】法金剛院 紅葉の境内特別貸切ライトアップ(2019年11月30日・12月1日実施)
◆「花園駅」→「嵯峨嵐山駅」も約10分!
「花園駅」から「嵯峨嵐山駅」も、約10分! JR山陰本線(嵯峨野線)を利用すれば、観光地から観光地へとスムーズな移動が可能です♪
◆仁和寺・龍安寺へは「北総門」を活用! 嵐電「妙心寺駅」も忘れずに。
妙心寺には丸太町通側の「南総門」のほかに一条通に面する「北総門」もあり、北総門を出れば仁和寺や龍安寺まで徒歩約15分! 歩いて散策するにも便利な場所に位置します。
北総門から徒歩約3分のところに京福(嵐電)北野線「妙心寺駅」(Google map)があり、北野天満宮近くの「北野白梅町駅」まで約5分。また、「嵐山駅」までは約25分(「帷子ノ辻(かたびらのつじ)駅」で嵐山本線に乗換)とこちらも移動に便利なので、ぜひ活用してみてくださいね♪
【歴史】花を愛し、禅を極めた、開基・花園法皇
このあたりの地名「花園」は、天皇ゆかりの名です。かつてこの地には四季折々に美しい花が咲き乱れる「お花畑」があり、花を愛し世の平安を願われた法皇が、この地に離宮を構えて禅の奥義を究めました。それが、第95代の天皇・花園法皇。法皇が離宮を改めて禅寺にされたのが、妙心寺のはじまりです。
開創は、建武4年(1337)。花園天皇の次代が後醍醐天皇であり、南北朝の荒れた時代に在位された天皇でした。その時代にあって、禅の教えを治め、崇高な精神を持ち、花を愛した花園法皇の名が地名として今に生きていると思うと、地名に愛着も湧いてくるようです。
【境内】広大な寺域。さっくり見るか、じっくり見るか。
慶長4年(1599)建立の三門
東西に約500メートル、南北約600メートル、本山の七堂伽藍と塔頭が連なり、とにかく広い妙心寺の境内。約10万坪、東京ドームにして7個分ほどの敷地面積があります。そのため、公式ホームページにも、「1時間コース(法堂+大庫裏)」「2時間コース(法堂+大庫裏+退蔵院)」「半日コース(法堂+大庫裏+退蔵院+大心院+桂春院)」の3つの拝観コースが紹介されています。
【本山】「法堂+大庫裏」。お寺の方の案内で拝観!
まずは、基本となる本山の拝観について。狩野探幽の《雲龍図》がある法堂(はっとう、重文)は、お寺の台所である大庫裏(おおくり、重文)とあわせて拝観できます。20分ごとにお寺の方の案内があり、待ち時間には大方丈(重文)のお参りや、写経もできます(法要により不可の場合あり)。
※拝観は9時から16時まで1時間に3回の案内(12時は1回。16時の案内は3~10月のみ)
※通常撮影不可。特別な許可を得て撮影しています。
法堂の鏡天井に描かれた《雲龍図》。探幽が8年の歳月をかけて描いたと伝わります。色鮮やかですが修復などはされておらず、描かれた当時のままに保たれているそう。見上げる場所によって龍が空から降りてくるようにも、空へと昇っていくようにも見え、またどの角度からも目が合うことから「八方睨みの龍」の別名もあります。
法堂に飾られる、日本最古、文武天皇2年(698)作の国宝「妙心寺梵鐘」。別名「黄鐘調(おうしきちょう)鐘」とも呼ばれる“天下の名鐘”です。
大庫裏は2019年の春から通常拝観コースに加わり、僧侶の食生活を支えた厨房の様子を見ることができます。
お寺グッズにも注目を♪
妙心寺にも様々なグッズがあり、なかでも人気は《雲龍図》の御朱印帳。また、2019年9月1日から授与がスタートしたのが、写真の新作・御朱印帳。境内の様子が可愛らしいタッチで描かれていて、トートバッグと御朱印、下足袋がついて3,000円。500セット限定なので、お早めに!
【塔頭】個性豊か! 通常拝観できる塔頭は3寺。
多くの境内塔頭を有する妙心寺ですが、通年公開されているのは、退蔵院、大心院、桂春院の3つのみ。こちらの拝観をするかどうかで、拝観コースの長さが変わります。
桜・紅葉、四季折々に美しいお庭「余香苑」に注目! 退蔵院
2013年春の「そうだ 京都、行こう。」ポスターにも登場した「しだれ桜」で有名な退蔵院。中根金作が手掛けた昭和の名庭「余香苑」は四季折々の花が楽しめるお庭で、秋の紅葉もすばらしい。
⇒退蔵院の詳細情報はこちら
宿坊としても利用できる 大心院
中根金作が手掛けた「阿吽の庭」など3つのお庭があり、ゆっくりと拝観できるお寺。紅葉の穴場であり、宿坊もされています。
⇒大心院の詳細情報はこちら
知る人ぞ知る紅葉・苔名所 桂春院
北総門の近くにある塔頭で、“苔と紅葉の穴場”として近年人気を集めています。「そうだ 京都、行こう。」が現在行っている「2019年秋モシュ印・コケ寺リウム」キャンペーン会場ともなっています♪
⇒桂春院の詳細情報はこちら
期間限定で公開される塔頭
大雄院御朱印(一例)
精進料理で知られる東林院は宿坊として利用できるほか、初夏や秋、初春に特別公開をされています。また、ユニークな御朱印で話題を呼ぶ大雄院(だいおういん)は、春や秋の特別拝観などで公開される時があります。
⇒大雄院 秋の特別拝観の詳細情報はこちら
そのほか、天球院や麟祥院など、春・秋の「非公開文化財特別公開」や「京の夏の旅」、「京の冬の旅」で特別公開される塔頭も。定期的に京都の歳時情報をチェックしてみてくださいね♪
⇒京都の歳時情報はこちらをチェック!
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妙心寺は、じっくり訪れるほどに見どころが多いお寺。禅寺特有の凛とした気配が感じられるとともに、境内の道路は地域の人の生活の場ともなっていて、お寺と生活の場が融合しているのが面白くもあります。朝早くのお勤めや、黄昏時の境内など、時間を変えて訪れると、きっと新たな発見ができるのではないでしょうか。
ここで、最後まで読んでいただいた皆さまに、お坊さまから教えていただいた「妙心寺の不思議」をひとつ・・・
「探幽の龍」が描かれる法堂。屋根の4隅に鬼瓦が飾られているのですが、実はそれぞれ鬼の顔が違います。北西の鬼瓦は額に「小槌」が、北東の鬼瓦には「五芒星」、南西の鬼瓦は「六芒星」が描かれていて、南東の鬼瓦は実は・・・ 鬼瓦ではありません!
この秘密、ぜひ境内で発見してみてくださいね♪
■妙心寺
【拝観時間】境内自由
法堂・大庫裏9:10~11:50※20分間隔でご案内、12:30※1回のみ
13:00~16:40(11~2月は15:40)※20分間隔でご案内
【拝観料】無料、法堂・大庫裏700円
【電話】075-466-5381
【アクセス】JR山陰本線(嵯峨野線)「花園駅」から徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】https://www.myoshinji.or.jp/