新芽萌し、初夏の花咲く 4月の和菓子

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京の和菓子の玉手箱 31


4月となり、桜真っ盛りの京の町。今年は例年よりも少し急ぎ足に季節が進んでいて、日当たりのいい場所では、早くも柳やモミジの若葉が芽吹いているのを見かけます。季節を先取りするのが、和菓子の習い。今月、和菓子ライフデザイナーの小倉夢桜(ゆめ)さんにご紹介いただくのは、初夏の風を感じるような爽やかな意匠の和菓子です。心身ともに健やかになれそうな和菓子を、どうぞご覧ください♪

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予想以上に早く、本格的な桜シーズンを迎えた京都。ソメイヨシノも満開となり始めましたが、今年はなかなか“お花見を楽しむ”ということが難しい状況になってしまいました。でも京都の素晴らしい風景は、それだけではありません。

⇒桜の開花状況はこちら

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二尊院(花手水のイメージ)


ソメイヨシノは見頃のピークを過ぎてもこれからの時季は、仁和寺の御室桜をはじめとした里桜、山吹などの初夏の花が古都を彩ります。そして、まばゆい新緑がみなさんを癒してくれることでしょう。

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■京都鶴屋 鶴寿庵(かくじゅあん)
【青楓】


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貴船神社(2017年5月10日撮影:「そう京」編集部)


桜の次は、新緑の季節です。桜が花開く頃、芽吹き始めた若葉が日を追うごとに立派な姿になっていきます。紅葉の名所は、言うまでもなく青もみじの名所。初々しい緑葉に癒されてみませんか。

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青楓 378円(4月~5月上旬販売予定、事前にお問合せください)


見ているだけでも清々しい気持ちになれる色合い。木型を使用してモミジを模った、こなし製のお菓子です。こちらの和菓子を手掛けるのは、壬生寺のすぐそばにお店を構える、京都鶴屋 鶴寿庵。壬生寺には、鎌倉時代、疫病退散を祈願して始められた「壬生狂言」が伝わり、今も春・秋・節分の年3回行われています。春の上演は4月29日(日)からを予定。今年は特に、意味深い行事となりそうです。

【山吹きんとん】


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松尾大社(2019年4月17日撮影:「そう京」編集部)


山吹の花が見頃となる頃、初夏の眩しい陽射しが降り注ぎはじめます。鮮やかな緑と黄色の花色は、雲一つない澄んだ青空によく映えます。

「山吹」といえば、京都では松尾大社が有名ですが、東山にある安井金比羅宮の参道でも楽しむことができます。松尾大社に比べれば規模は小さいですが、繁華街で楽しめる山吹は珍しいもの。まだご覧になられたことがない方は、ぜひこの時季に訪れてみてはいかがでしょうか。

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山吹きんとん 378円(4月中旬~5月上旬販売予定、事前にお問合せください)


新緑の中に鮮やかに咲く山吹を表現した、きんとん製のお菓子です。山吹は、その色合いから「金運」の花言葉を持ちます。おいしくいただきながら金運上昇。さりげなくお祈りしてみては。

■京都鶴屋 鶴寿庵
【営業時間】8:00~18:00
【定休日】不定休
【電話】075-841-0751
【アクセス】市バス「壬生寺道」バス停から徒歩約1分 Google map
【公式ホームページ】https://www.kyototsuruya.co.jp/

■幸楽屋
【藤】


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城南宮(2018年4月20日撮影:「そう京」編集部)


ひょっとすると、今年は藤の花も例年になく、早い開花を迎えるかもしれません。多くの寺社で見かける藤棚。そよ吹く風にたなびく姿は優雅そのもの。その様子から高貴な花として奈良時代より親しまれてきました。
また、寿命が長く、繁殖力が強いことからおめでたい植物とされ、家紋や文様としても用いられてきました。みなさんも暮らしの中で無意識のうちに藤の花のデザインに触れていることと思います。

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藤 210円(4月下旬~5月上旬販売予定、事前にお問合せください)


お菓子の世界でも藤の花の意匠は数多くあり、種類も様々。こちらは、藤色と白色の二色のそぼろを使用して表現した、きんとん製です。鮮やかな藤色を白色が引き立てる、初夏らしい色合いを楽しめます。

【胡蝶】


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大原(2014年4月10日撮影:「そう京」編集部)


たくさんの花に彩られる、初夏の京都。その花たちの周りを蝶が舞い、生命が芽生える季節であることを、私たちに教えてくれます。蝶には、中国の思想家・荘子による「胡蝶の夢」という有名な説話があります。自分は蝶になった夢を見ていたのか、それとも今の自分が蝶の夢の中なのか・・・ そのことから、“夢見鳥”や“夢虫”という異名もあります。

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胡蝶 175円(4月下旬~5月上旬販売予定、事前にお問合せください)


菜の花を連想させるような色合いの黄味しぐれに、蝶の型押しをほどこしたお菓子。“黄味しぐれ”とは、卵黄をたっぷりと使った黄味あんに上新粉を混ぜ、そぼろ状にした生地のこと。口の中でほろほろと崩れていく独特の食感を、優しい甘さが包み込みます。

■幸楽屋
【営業時間】9:00~18:00
【定休日】日曜日・祝日
【電話】075-231-3416
【アクセス】地下鉄烏丸線「鞍馬口駅」から徒歩約5分 Google map

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今回は、一足早い初夏の京都を彩るお菓子をご紹介させていただきました。これから、あちらこちらで花が咲き、新緑が芽吹きます。それまでに落ち着いた日々となり、初夏の散策をゆっくりと楽しめることを願います。

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文・写真:小倉夢桜 —Yume—
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファー。京都五感処・京都Loversフォーラム代表。2012年よりホームページ『きょうの「和菓子の玉手箱」』を運営し、毎日京都の和菓子を紹介し続けている。現在は『月刊京都』(白川書院)で「月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』」を連載中。
【きょうの『和菓子の玉手箱』】https://kyoto-lovers-forum.com/
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Written by. みさご

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