2021年「祇園祭」の活動 ~来年の巡行再開を目指して~

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祇園祭 山鉾巡行(2021年は中止となります)

祇園祭 山鉾巡行(2021年は中止となります)

2年連続で山鉾巡行の中止が決定した祇園祭。複数年に渡り巡行が中止となるのは太平洋戦争以来のことだそう。
 
この苦難を乗り越えるために、祇園祭に携わる人々の間で、伝統を絶やさないための活動が行われています。今回は、その一部をお届けします。
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、京都旅行の際は、政府およびお住まいの都道府県と京都府の要請をご確認ください。京都にお越しの際は、マスクの着用・手指のアルコール消毒など、感染拡大防止の徹底にご協力をお願いいたします。日々、状況は変化しておりますので、事前に最新情報をご確認ください。

2021年の山鉾行事について

山鉾建て(2021年は一部の保存会で実施されます)

山鉾建て(2021年は一部の保存会で実施されます)

まずは、気になる今年の山鉾行事についての情報をまとめてみましょう。前述のとおり、祭のハイライトともいえる山鉾巡行は中止となりますが、今年は、34のうち17の保存会が山鉾建てを行う予定です(状況により、変更になる可能性もあります)。
 
【前祭(さきまつり)】
長刀鉾、霰天神山、孟宗山、函谷鉾、白楽天山、綾傘鉾、月鉾、鶏鉾、蟷螂山、放下鉾、伯牙山(期間短縮での予定)
 
【後祭(あとまつり)】
北観音山、役行者山、鯉山、南観音山、八幡山、大船鉾
 

技術継承・文化財維持のための山鉾建て

今回、山鉾建てが行われる理由は、荒縄を使って山鉾を組み立てる“縄がらみ”と呼ばれる特殊な技法をはじめ“鉾建ての技術”を絶やさないため。
 
そして、もうひとつの理由が山鉾を飾る懸装品にあります。普段は蔵で保管されるため、年に1回の祇園祭で外気に当てることは“虫干し”の意味もあるのだとか。今年、骨組みだけではなく、しっかりと飾り付けまで行うのは、文化財の維持のためにも必要なことだったのです。

2013年の巡行で最後の公開となった胴掛

2013年の巡行で最後の公開となった胴掛

疫病除けのご利益で知られる鶏鉾も今年、鉾建てを行われます。人気のある会所飾りの公開や鉾への搭乗は行わないそうですが、約7年ぶりとなる胴掛を蔵出しするそう。2004年まで鉾を飾っていたもので、戦国時代から江戸時代初期にかけて貿易で富を築いた角倉了以の貿易船をデザインしたつづれ織りです。角倉了以の400回忌に合わせて飾られた2013年以降は秘蔵となっており、今回は状態確認も兼ねて鉾に飾られます。
 
特別に、鶏鉾保存会より貴重な写真をお借りしたので先行公開いたします。「来年は、4年かけて新調した懸装品を初公開する予定なので、巡行再開が叶った暁には是非足を運んでください」とのこと。これからも目が離せない鉾です。

会所での厄除けちまき授与について

会所での厄除けちまきの授与(2021年は一部の保存会でのみ行われます)

会所での厄除けちまきの授与(2021年は一部の保存会でのみ行われます)

厄除けのお守りとして人気の「厄除けちまき」。今年は、22の山鉾町が会所や町内のスペースを利用して対面での授与を予定されています。本来であれば宵山期間(前祭7月14日~16日、後祭7月21日~23日)のみの授与ですが、混雑回避のために授与期間を延ばしている保存会も多く、すでに販売を開始している山鉾町も。
 

「厄除けちまき」はオンラインショップでも購入可能です

鶏鉾の「厄除けちまき」

鶏鉾の「厄除けちまき」

前出の鶏鉾をはじめ、今年から「厄除けちまき」をオンラインショップで授与する山鉾が増えました。鶏鉾の「厄除けちまき」はAmazonでの販売となるため、普段からAmazonを利用されている方には購入しやすいのではないでしょうか。

⇒オンラインショップで「厄除けちまき」を授与する保存会の一覧はこちら
⇒鶏鉾のオンラインショップはこちら

  • 白楽天山の授与品(一部)

    白楽天山の授与品(一部)

  • 疫病退散合格祈願マスク

    疫病退散合格祈願マスク

なかでも、2020年からオンラインショップでの授与品販売を行う白楽天山は、「厄除けちまき」をはじめ、ほぼすべての授与品がオンラインショップで購入可能です。さらに、新作かつ“今年限り”になるかもしれない「疫病退散合格祈願マスク」も販売されますのでお見逃しなく。

白楽天山の金の護符で飾られた「厄除けちまき」

白楽天山の金の護符で飾られた「厄除けちまき」

白楽天山の「厄除けちまき」の授与で嬉しい情報を入手しました! なんと、100個に1個程度の割合で、通常とは異なる“金色の護符”で飾れた特別ちまきが授与されるそう。 「少しでも、特別な護符でご利益を感じていただければ」と白楽天山保存会の皆さまによる新しい試み。会所・オンラインショップどちらで購入しても授与される機会があるとのこと。ぜひ、皆さまも白楽天山の「厄除けちまき」を購入してみてください。
 
⇒白楽天山のオンラインショップはこちら

ここまでの情報だけを見ると、ほぼ従来通り宵山が開催されると考えてしまいますが、屋台の出店はなく、お囃子や提灯飾りも基本的に19時までで終了するそう。あくまでも伝統を守るための試みであり、広く観光を呼びかけるものではありませんので、観覧を希望されている方は祇園祭山鉾連合会や各保存会の定めるルールをしっかりとご確認ください。

⇒祇園祭山鉾連合会による祇園祭情報はこちら

京都文化博物館で半世紀ぶりとなる懸装品を公開!

京都文化博物館「祇園祭展」展示会場

京都文化博物館「祇園祭展」展示会場

つづいては、祇園祭を感じられる施設をご紹介いたします。京都文化博物館では、現在、山鉾を飾る懸装品や飾り金具、約10分の1スケールの精巧な鉾模型が展示される「祇園祭展」が開催中です(8月1日まで)。
 
2020年の特別展「祇園祭 -京都の夏を彩る祭礼-」に比べ規模は縮小されていますが、日本画の巨匠・竹内栖鳳の直筆による孟宗山の見送『白綴地墨画孟宗竹藪林図』や、浄妙山所蔵の室町時代の鎧『黒韋縅肩白胴丸』(重文)など、貴重な品が展示されています。

『唐子遊図』(個人蔵)

『唐子遊図』(個人蔵)

今回ご注目いただきたいのが、かつて八幡山の背後を飾った見送『唐子遊図』。八幡山で見送が新調されてから町内の旧家が引き取り、あまりに長く秘蔵とされていたため一時期は行方が分からなくなっていたほどの珍品です。

蔵の中で大切に仕舞われていた本品が発見され、約半世紀ぶりに一般公開される運びとなりました。中国風の衣装や髪形をしている子どもが、お堂の周りで遊ぶ様子が表現されています。
 
※展示室内は撮影禁止です。今回は特別な許可を得て撮影しています。
■祇園祭展
【日程】2021年6月5日(土)~8月1日(日)
    10:00~19:30(入場は閉室の30分前まで)
【休館日】月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)
【場所】京都文化博物館 2階展示室
【料金】500円
【電話】075-222-0888
【公式ホームページ】https://www.bunpaku.or.jp/exhi_matsuri_post/gionmatsuri2021/
★「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先です。

「花ひらく町衆文化 —近世京都のすがた展」展示品(一部)

「花ひらく町衆文化 —近世京都のすがた展」展示品(一部)

京都文化博物館では7月25日(日)まで「花ひらく町衆文化 —近世京都のすがた展」も開催されています。有名人や有名作品をメインにするのではなく、近世京都の町で生きた人々が紡いできた文化や芸術を、絵画、考古、古文書など豊富な資料で紹介する特別展です。

当時の生活や景色が活き活きと浮かび上がってくる展覧会は、町衆が守り伝えてきた祭でもある祇園祭が行われる今だからこそ、「祇園祭展」と一緒にご覧いただくと、より面白いかもしれません。
■京都文化プロジェクト 誓願寺門前図屏風 修理完了記念
  花ひらく町衆文化 —近世京都のすがた
【日程】2021年6月5日(土)~7月25日(日)
    10:00~18:00 ※金曜日は19:30まで(入室はそれぞれ閉室の30分前まで)
【休館日】月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)
【場所】京都文化博物館 4階特別展示室
【料金】1,000円
【電話】075-222-0888
【公式ホームページ】https://www.bunpaku.or.jp/exhi_special_post/machishubunka/
★「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先です。

「祇園祭を応援したい!」
多大な支援が集まったクラウドファンディング

祇園祭山鉾連合会の特製ちまき(2021年のクラウドファンディングは終了しました)

祇園祭山鉾連合会の特製ちまき(2021年のクラウドファンディングは終了しました)

展示会でも紹介されているように、戦火や災害を乗り越え現代までつづいてきた祇園祭ですが、2年連続の巡行中止は、伝統・技術の継承だけではなく文化財維持のための費用としてもかなりの問題となっています。
 
そんななか、巡行再開を目指して活動するための資金を募るべく、今年も祇園祭山鉾連合会が起案者となる“クラウドファンディング”が行われました。寄付型のクラウドファンディングとしては珍しくリターンが発生し、他では手に入らない“山鉾連合会特製の厄除けちまき”やオリジナルグッズが授与される特別なプロジェクトです。

今年も、目標を大きく上回る支援が集まり、早々に目標金額を達成! 7月2日(金)をもって受付終了となりました。 

 「そうだ 京都、行こう。」でも、祇園祭を応援します!

「厄除けちまきのお届けプラン2021」のセット内容

「厄除けちまきのお届けプラン2021」のセット内容

「そうだ 京都、行こう。」でも祇園祭を応援するべく「厄除けちまきのお届けプラン2021」を実施中です! 「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード会員様であればどなたでも参加でき(先着順)、通常の会員オリジナルイベントと同じように電話1本でお申込みができます。

ご参加いただいた会員様には、祇園祭山鉾連合会のクラウドファンディングで授与された特製の「厄除けちまき」と「オリジナル手ぬぐい」をセットでお届け。本企画の収益は必要経費を除きすべて祇園祭山鉾連合会へお納めします。詳細はイベントページでご紹介しておりますので、興味のある方はご確認ください。

こちらのセットも残り僅か。「祇園祭山鉾連合会のクラウドファンディングは間に合わなかった!」という方も、奮ってご参加ください。
 

祇園祭 宵山風景(写真は過去の宵山イメージです)

祇園祭 宵山風景(写真は過去の宵山イメージです)

今回ご紹介したのは、今年の祇園祭で行われている取り組みのほんの一部。「山鉾巡行を再開したい!」そんな熱い想いを胸に、祇園祭に携わる関係者の皆さまがさまざまな活動を行われています。
 
祇園祭を愛するいちファンである私たちも、活気に包まれた祇園祭が帰ってくることを願い、祇園祭山鉾連合会や各施設で定められたルールを守りながら、今年の祭を温かく見守りましょう♪
※掲載内容は2021年7月9日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。

Written by. きのこ

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