初春恒例、妙心寺 東林院「小豆粥で初春を祝う会」で無病息災を祈願!

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日本最大級の禅寺といわれる妙心寺。JR山陰本線(嵯峨野線)「花園駅」から徒歩5分程、南門をくぐると堂々たる伽藍が並び、40余もの塔頭寺院がたたずんでいます。その多くは非公開ですが、広大な境内の東側に位置する東林院は、年に3回行われる歳時の期間のみ一般公開され、ゆっくりと過ごすことができるお寺です。今回は、2023年最初の歳時「小豆粥で初春を祝う会」へ訪ねてきました。

妙心寺の塔頭、東林院とは?

  • 沙羅双樹の庭(初夏のイメージです)

    沙羅双樹の庭(初夏のイメージです)

まずはお寺についてご紹介しましょう。その歴史は、享禄4年(1531)、細川氏綱が父の菩提を弔うために建立した三友院にはじまります。時を経て、豊臣秀吉や徳川家康に仕えた武将・山名豊国が、東林院と名を改めて妙心寺に移し再建。以来、山名家の菩提寺となっています。沙羅双樹の名所として名を馳せ、1996年初夏の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンポスターにも登場しました。

それでは「小豆粥で初春を祝う会」へ

小豆粥

小豆粥

お粥にお餅と小豆が入ることから、餅粥ともいわれる小豆粥。1月7日の七草粥と同じように、1月15日の小正月にいただくと一年の邪気が祓われ、無病息災に過ごせるといいます。東林院ではそんな小豆粥を気軽に味わえる会を、なんと50年以上前から行われているそう。1月15日から31日までと開催期間が長いうえに、予約不要ということもあり、例年多くの方がお越しになります。

福茶と祝菓子

福茶と祝菓子

受付を済ませ本堂へご案内いただくと、祝菓子と福茶が運ばれてきました。主菓子「松の雪」や干菓子「結び笹」、昆布、くわいなど、どれも新年らしい縁起の良いお菓子。床の間のお正月飾りや本堂前のお庭を眺めながら、ゆっくりいただきます。
  • 床の間には、お軸や千両・南天などが飾られています

    床の間には、お軸や千両・南天などが飾られています

  • 仏手柑

    仏手柑

床の間をよく見ると、なにやら黄色い不思議なカタチのものをみつけました。こちらはミカンの一種で、仏手柑(ぶっしゅかん)というそう。千手観音の手のような見た目が名前の由来で、縁起物としてお正月に飾られることが多いのだとか。

続いて、小豆粥いただくために、奥の部屋へ移動します。
  • 初めての“生飯”体験

    初めての“生飯”体験

  • 集まった生飯は、本堂前庭に供えられます

    集まった生飯は、本堂前庭に供えられます

お膳が運ばれてきたら、食前に“生飯(さば)”を体験。聞き馴染みのない方が多いかと思いますが(私の頭の中では、さば・・・ 鯖??と変換してしまいました。汗)、生飯とは、自分の受けた食のなかから少量を分かち、庭の木々などに供え、小鳥や小動物に施すという禅寺の食事作法です。お寺の方がまわってこられたら、“生飯器”に、小豆粥から数粒のご飯をお渡ししました。この集められた生飯は、本堂前庭に供えられ、小鳥たちのご飯となります。
  • 小豆粥と精進料理

    小豆粥と精進料理

生飯を終えたら、いよいよお食事の時間。小豆粥だけでなく、妙心寺御用達の「阿じろ」の精進料理を楽しむことができ、お正月のごちそうで疲れた胃に、やさしい味わいが染みわたります♪ 特に気になったのが、写真右上のお料理。固いのかなと思いきや、口にするとパリパリ香ばしい! お寺の方に名前を伺うと「“蛇腹昆布”といって、昆布を蛇腹状に編み、揚げたものですよ」と教えていただきました。

一見、少なめな印象ですが・・・ 思いのほかボリュームがあり、食べ終えるとお腹がいっぱいに!これで、一年間、無病息災に過ごすことができそうです。

千両の赤い実を眺め、水琴窟に耳を傾ける

  • 千両の庭

    千両の庭

  • 竹筒に耳を傾けると、水琴窟の音色が聞こえます♪

    竹筒に耳を傾けると、水琴窟の音色が聞こえます♪

  • 飛龍の宿木。樹齢約300年の槇(まき)に黒松が自生した、珍しい木です

    飛龍の宿木。樹齢約300年の槇(まき)に黒松が自生した、珍しい木です

お庭はちょうど、千両や南天が見頃を迎える頃。お食事の後は、可愛らしい赤い実を眺めたり、水琴窟「一壷天」の音色に耳を傾けるなど、ゆったりとしたひとときを過ごします。小豆粥のモチーフが入った特別御朱印も用意されていますので、お参りの証に拝受してみてくださいね。

特別御朱印 300円

特別御朱印 300円

東林院で行われる、一年の歳時

  • 6月の「沙羅の花を愛でる会」

    6月の「沙羅の花を愛でる会」

  • 10月の「梵燈(ぼんとう)のあかりに親しむ会」

    10月の「梵燈(ぼんとう)のあかりに親しむ会」

「小豆粥で初春を祝う会」が終わると、次の歳時は約半年後。沙羅双樹が見頃を迎える2023年6月12日(月)から27日(火)に「沙羅の花を愛でる会」が行われます。10月13日(金)から22日(日)の「梵燈のあかりに親しむ会」では、庭園が住職手作りの瓦製梵燈をはじめ数多くのロウソクのあかりに彩られ、東林院ならではの夜間特別拝観が楽しめます。

精進料理体験教室

精進料理体験教室

住職の西川玄房さんは、調理師免許を持ち、精進料理の著書も出されています。毎週火・金曜日の「精進料理体験教室」(要予約)では、住職指導のもと精進料理づくりを学ぶことができ、他にはない体験ができると人気。そのほか宿坊体験(要予約)など、様々な過ごし方ができる妙心寺 東林院。ぜひ、訪ねてみてはいかがでしょう。
※歳時以外は要予約となっていますので、ご注意ください。

妙心寺 東林院
【拝観時間】歳時により異なる
【拝観料】歳時により異なる
【電話】075-463-1334
【アクセス】JR山陰本線(嵯峨野線)「花園駅」から徒歩約8分 Google map

<小豆粥で初春を祝う会>
【日程】2023年1月15日(日)~31日(火)
    11:00~15:00
【料金】3,800円(梅湯茶礼、小豆粥の精進料理ほか)

※掲載内容は2023年1月18日時点の情報です。最新情報は掲載先へご確認ください。

Written by. かりー

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