心をほぐす 京都お寺体験

京都旅で楽しみたいこととして“お寺めぐり”を挙げられる方は多いのではないでしょうか。歴史ある古都には、数多くの寺院があります。そのほとんどが桜・紅葉名所となり、春秋はいちだんと華やかですが、一年を通して心に癒しをもたらしてくれるのが京都のお寺です。ただお参りするだけでなく、坐禅や写経、写仏などお寺ならではの体験をすれば、さらに心地良い気分に。定番にとどまらず、最近では多彩な体験が登場しています。特別なお寺でのひとときを通して、より深い京都旅を過ごしてみませんか。


お寺でできる多彩な体験

聞き馴染みがあるお寺の体験として、坐禅や写経、写仏、精進料理などがあります。これらは全て、僧侶や個人の修行として行われるもの。旅の楽しみ方のひとつとして、多くのお寺では一般の方も気軽に体験することができます。特に坐禅が人気で、ヨガとあわせて楽しめるお寺も。そんななか京都では「お寺というちょっと遠い存在の場所を、幅広い層の方に身近に感じていただきたい」との思いから、お寺の歴史などにちなんだ、多彩な体験が登場しています。

ここでは「つくる」「ほぐす」「きく」「すごす」の4ジャンルに分けてご紹介しましょう。
※体験の予約方法など詳細は、各寺院の公式ホームページでご確認ください。



お寺で「つくる」

京都各地でものづくり体験ができますが、喧噪から離れたお寺という場所で行うのは特別感があります。お地蔵さんやお香など“つくるもの”もお寺にちなんだものであれば、より思い出深いものに。禅寺ならではの精進料理づくりを学んだら、普段の生活に取り入れてみたいですね。(写真:妙心寺 東林院)

おすすめ体験スポット

1日仏像彫刻教室/龍岸寺

多彩な文化発信を行う龍岸寺の「1日仏像彫刻教室」で、私だけのお地蔵さんを彫ってみませんか。“ドローン仏”で話題の仏師・三浦耀山さんが、彫刻刀の持ち方から丁寧に教えてくださいます。本堂の御本尊に見守られながら取り組めるのも特別なもの。11月からは新たに「木製文房具の漆塗り体験」を予定されているので、お楽しみに。※要予約、開催日等は公式ホームページにて

WEBサイトをみる

お茶でお香づくり/正寿院

“ハート型の猪目(いのめ)窓”で知られる正寿院。ヨガや写経のほか、日本緑茶発祥の地と伝わる宇治田原に位置することから、お茶にちなんだ体験も用意されています。香りを楽しみながら茶葉をすりつぶし、お寺のモチーフを取り入れた木型で形を調整。仕上がりは可愛らしいお菓子のようです。煙が出ないお香なので、お家で気軽に楽しめます。※不定期開催、要予約

WEBサイトをみる

精進料理体験教室/妙心寺 東林院

お寺の食事といえば、野菜を中心とした精進料理。通常非公開の東林院では、味わうだけでなくつくることから楽しむことができます。精進料理の著書もある住職の西川玄房さんに教わり2~3品を仕上げたら、食材に感謝し、お庭を眺めながらいただきましょう。献立は毎月異なり、リピーターさんも多い人気の教室です。※火・金曜日開催(除外日あり)、要予約

スポット情報をみる



お寺で「ほぐす」

呼吸を整え雑念をぬぐい去ることから、集中力が高まり、そしてリラックスできるという坐禅。清々しい朝に取り組めば、より心身の疲れがほぐれることでしょう。坐禅だけでなく、禅の世界を感じることができるお寺の体験をピックアップしました。(写真:妙心寺 退蔵院)

おすすめ体験スポット

ひと粒の禅/妙心寺 退蔵院

禅の修行のひとつ「行住座臥(ぎょうじゅうざが)」とは、ひとつの行いに集中すること。この修行に基づいた体験をできるのが、退蔵院の「ひと粒の禅」です。本堂の縁側に座し、瞑想効果があるという飴玉をなめることに集中。約7分後、口の中に杉パウダーが広がると終了です。坐禅はもちろん、自分のリラックスできる座り方で“禅の扉”を開いてみましょう。

WEBサイトをみる

坐禅とそうじ体験/建仁寺 両足院

祇園にたたずむ建仁寺の塔頭寺院。朝から坐禅を体験でき、初めての方は、足の組み方など丁寧に教えていただけるので安心です。“静の禅”(坐禅)で心をほぐした後は、僧侶とお寺の掃除をする作務(さむ)と呼ばれる“動の禅”で身体をリフレッシュ。最後の茶礼(されい)ではお茶いただき、ほっとひと息。禅の教えをたっぷり体感できる朝時間が過ごせます。※要予約

WEBサイトをみる

朝のゆる坐禅/大徳寺 大慈院

通常非公開のお寺ですが、「日々の疲れから心身をゆるめていただきたい」と、現地での朝や夜のほかオンラインを通して広く坐禅会を行われています。「朝のゆる坐禅」では、お庭を前に陽の光を感じながら、ゆったりとした呼吸で坐禅を。住職考案による体操も行い、身体をほぐします。精進料理の名店「泉仙」の朝食で、お腹を満たすひとときもお楽しみに。※要予約

WEBサイトをみる



お寺で「きく」

お寺で「きく」といえば法話ではないでしょうか。普段接する機会が少ない僧侶のお話の時間は、とても貴重なひととき。仏教の教えをやさしく説いてくださり、暮らしの新たな発見にもつながりそうです。近年誕生した、驚きの“アンドロイド観音”による「きく」体験もご紹介します。(写真:知恩院)

おすすめ体験スポット

鈴虫説法/鈴虫寺

正式には華厳寺ですが、一年を通して鈴虫の音色が聞こえることから鈴虫寺と親しまれています。お参りに訪れたら、鈴虫が合唱を奏でる書院へ。僧侶が語りかける“鈴虫説法”は、難しさは一切なく「落語のよう」といわれるほどユーモアたっぷり。参拝者からは笑みがこぼれ、和やかな雰囲気に包まれます。お茶とお菓子をいただきながら、耳を傾けましょう。

WEBサイトをみる

晨朝法要・法話/知恩院

僧侶の1日は朝のお勤めにはじまります。毎日晨朝(じんじょう・6時頃※季節によって変動)より御影堂(国宝)から境内に響きわたるのは、お経を唱える荘厳な声。朝の境内を歩くだけで心地良いですが、一般の方も堂内に入り法要と法話を聴くことができます。僧侶の法話に耳を傾けお堂を後にすると、背筋がピンとのび、清々しい気持ちで1日のスタートをきれそうです。

WEBサイトをみる

アンドロイド観音の法話/高台寺

豊臣秀吉の正室・ねねゆかりの高台寺。2019年、この歴史ある地に誰もが驚く“アンドロイド観音「マインダー」”が誕生しました。高さ約195センチメートル、法衣はまとわず金属をむき出しにした観音様が、プロジェクションマッピングのなか「般若心経~空」の法話を行います。最新技術を駆使した仏教の世界を、一度は体験してみたいものです。※土日祝にご開帳

WEBサイトをみる



お寺で「すごす」

多くを巡らず、1日を通してひとつのお寺でじっくり過ごすのも、かけがえのない旅となります。仁和寺では京都版の“プチお遍路”、笠原寺では本格的な“尼僧修行”を体験。SUN神蔵寺の敷地内では“アウトドアワーケーション”が楽しめます。2021年春に本格スタートしたばかりの山寺ならではの体験は、今後、さらに話題になりそうです。(写真:仁和寺)

おすすめ体験スポット

御室八十八ヶ所霊場/仁和寺

仁和寺の裏山・成就山で体験できる“プチお遍路”。文政10年(1827)、済仁法親王の発願により四国八十八ヶ所霊場から砂を持ち帰り、この山に埋め、お堂を建てられたことが起源です。約3キロ・2時間のコースでは、それぞれの御本尊を祀る自然に包まれたお堂にお参りし、京都市街の眺望も見どころ。毎月スタンプラリーや護摩祈祷会が行われ、より楽しむことができます。

WEBサイトをみる

アウトドアワーケーション/SUN神蔵寺

コロナ禍で注目されるようになった「ワーケーション」。亀岡・神蔵寺の敷地内には、キャンプや仕事ができるアウトドアワーケーションスペース「SUN神蔵寺」があります。1200年以上の歴史を誇り、紅葉や桜の美しい自然豊かなお寺で、読書をしたり、本堂にお参りしたり・・・ 夜には坐禅体験も。ゆったりとした時間が流れ、スッキリした気分で仕事に取り組めることでしょう。※要予約

WEBサイトをみる

一日尼僧修行/笠原寺

笠原寺は、真言宗智山派大本山川崎大師平間寺の京都別院として、昭和54年(1979)に開山。以来、「一日尼僧修行」が行われ、多くの女性が体験されてきました。修行は、はじめにお香で心身を清め、おかみそりの儀の後、尼僧姿になる本格的なもの。念珠づくりや読経・法話・写仏など1日を通して体験します。山科の静かなお寺で自身と向き合い、心も晴れやかになりそうです。※要予約

WEBサイトをみる



【番外編】心落ち着く、お寺での時間

ただ訪れるだけで、心が落ち着く京都のお寺。本堂に祀られる仏様と向き合ったり、四季折々の庭園を眺めてみたり、お寺での過ごし方も十人十色です。日々の喧騒を忘れ、穏やかな時間を過ごしてみてください。

仏像と向き合う

お寺にお参りすると、必ず出会う麗しい仏様。手を合わせ、ふと見上げたときの美しさに感動したという方は多いのではないでしょうか。仏像といっても皆同じではなく、如来や菩薩など、そのお姿や大きさはさまざま。古くからそのお寺に祀られ多くを見つめられてきた仏様と向き合うと、悩める心もほぐれ、正解に導いてくれそうです。(写真:千本釈迦堂)

■そう京スタッフが感動した仏像
如来編菩薩・羅漢・高僧編醍醐寺の明王編

庭を眺める

数多くの名庭がある、京都のお寺。美しい砂紋や存在感のある巨石、彩りを添える花々、潤いに満ちたモミジ・苔の絨毯は、日本の美意識を感じさせてくれます。室内に座し眺めれば、微かな風も心地良く、時間を忘れ見入ってしまうほど。庭を前に抹茶をいただいたり、柱を額縁に見立てアートのように楽しんだり、思い思いの時間を過ごしてみましょう。(写真:宝泉院)

>>抹茶をいただきながらお庭を楽しめるお寺はこちら

水琴窟に耳を傾ける

梵鐘や木魚など、お寺の音のイメージは色々ありますが、水琴窟(すいきんくつ)もそのひとつ。耳を傾けると、地中にある甕(かめ)に水滴の落ちる音が共鳴し、澄んだ音色が響きます。一滴、二滴と、清らかな水琴窟の音と共に、周囲から聞こえてくる鳥の声や木の葉擦れの音はヒーリング効果大。日々の疲れが自然と和らいでいきます。(写真:泉涌寺 雲龍院)

>>澄んだ“音”に癒される、水琴窟が楽しめるお寺はこちら

襖絵を鑑賞する

古来、お寺には様々な襖絵が奉納されてきました。国宝や重文に指定される歴史的な花鳥画・山水画から、現代アーティストが手がける斬新なものまで、どれも個性豊か。室内を彩り、時代を超えて参拝者を魅了しています。細部へのこだわりを感じる作品もあるので、目を懲らして見てみましょう。襖絵の世界にじっくりと浸れば、感性も磨かれそうです。(写真:青蓮院)

>>アートな襖絵に浸ることができるお寺はこちら



スタッフの体験レポート

このページで紹介しているものも含め、そう京スタッフが体験したレポートです。

東福寺 勝林寺で「坐禅とヨガ」体験

ブログをみる

泉涌寺 法音院で「写仏」体験

ブログをみる

龍岸寺で「1日仏像彫刻教室」体験

ブログをみる

※写真はイメージです。
※掲載内容は2022年10月26日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。