のどかに桜を楽しめる穴場! 2024年春の妙満寺 拝観ガイド

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本日(2024年4月1日)撮れたての妙満寺の様子

本日(2024年4月1日)撮れたての妙満寺の様子

京都もいよいよお花見シーズンに突入しました! 人気の観光地は大変な賑わいをみせていますが、少し足をのばすだけで、ゆっくりと桜を満喫できる隠れた名所があります。
 
今回は、のどかな雰囲気に包まれた洛北の名刹、妙満寺をご紹介。JR東海主催の「春の特別拝観」(要事前申込み)が4月7日(日)まで行われるのにあわせて、期間中だけの特別なおもてなしもありますので、ぜひ参考にしてください。
  • 境内

    境内

  • 山門。初夏にはツツジが美しい

    山門。初夏にはツツジが美しい

妙満寺へのアクセスは地下鉄烏丸線に乗って、終着駅の「国際会館駅」で京都バスに乗り換えるのが便利。「幡枝(妙満寺)」バス停で降りたら、お寺はすぐ近くです。「国際会館駅」より歩く場合は、15分から20分ほど。道中、桜が植えらえている場所もありますので、お時間のある方はのんびり歩いて向かうのも良いかもしれません。
 

しだれ桜が美しい桜園

  • 藤右衛門桜(撮影日:2022年4月8日)

    藤右衛門桜(撮影日:2022年4月8日)

  • 大書院(撮影日:2022年4月8日)

    大書院(撮影日:2022年4月8日)

  • 桜園のしだれ桜(撮影日:2022年4月8日)

    桜園のしだれ桜(撮影日:2022年4月8日)

山門前のツツジの光景がよく採り上げられますが、妙満寺には桜もたくさんあります。特に、山門入って右手側の大書院前にある桜園は見事。しだれ桜を中心に、見頃の時季になると圧巻の光景がひろがります。ひときわ大きな桜は桜守として知られる佐野藤右衛門さんのお手植え。
  • 大書院(撮影日:2024年4月1日)

    大書院(撮影日:2024年4月1日)

  • 大書院向かって左手のしだれ桜は、まもなく満開(撮影日:2024年4月1日)

    大書院向かって左手のしだれ桜は、まもなく満開(撮影日:2024年4月1日)

現在の様子はご覧の通り。満開まであと少しというところでしょうか。週末には春爛漫の光景を見られるかもしれません。

見頃の時季のライトアップの様子

見頃の時季のライトアップの様子

桜園では3月30日(土)よりライトアップが行われています(17時から20時)。夜桜鑑賞はなんと無料。見頃の時季が終われば終了となりますので、お見逃しなく。
 
※ライトアップ時は桜園のみ拝観できます。本坊は拝観できません。

本坊の見どころ

  • 拝観入口

    拝観入口

  • 左奥に見えるのが本堂。渡り廊下から堂内へ進みます

    左奥に見えるのが本堂。渡り廊下から堂内へ進みます

続いて、メインの拝観エリア「本坊(本堂・雪の庭・展示室)」をご紹介します。まずは、本堂へお参りしましょう。受付を済ませて、左手にある渡り廊下から本堂へ向かいます。

1.本堂

  • 「釈尊涅槃図」

    「釈尊涅槃図」

  • 嘆き悲しむ様子が細やかに描かれています

    嘆き悲しむ様子が細やかに描かれています

本堂では、毎年、お釈迦様が入滅された2月15日にあわせて「釈尊涅槃図」が展示されています。例年は3月末で片付けられますが、今年は特別に4月7日(日)まで鑑賞可能に。
 
長さ約4.5メートル、幅約2.7メートルの大きさで、四方からじっくりと眺められます。こちらの涅槃図は妙満寺のために作られたもので、享保元年(1716)2月15日に完成したという裏書きがあるそうです。300年余り経過していますが、いまなお鮮やかさを留めています。

安珍・清姫の鐘

安珍・清姫の鐘

涅槃図の奥には、歌舞伎などでおなじみの「安珍・清姫の伝説」にゆかりのある鐘が祀られています。
 
安珍・清姫の悲劇により、舞台となった紀州(和歌山県)道成寺には長らく鐘がありませんでした。400年あまりの時を経て、正平14年(1359)3月31日、ようやく鐘が造られたものの、数々の不幸な出来事が降りかかります。祟りをおそれた当時の人々は、やむなく鐘を山中に放棄。それから時は流れて約200年後、豊臣秀吉に仕えた戦国武将の仙石権兵衛が鐘を掘り起こし、妙満寺に納めたと伝わります。数奇な運命を辿りつつも、落ち着く場所を得られて良かったとしみじみ。

※本堂内は撮影禁止です。特別な許可を得て撮影しています。

2.「雪の庭」

  • 円座に座って、お庭の鑑賞を

    円座に座って、お庭の鑑賞を

  • 雪の庭

    雪の庭

ふたたび渡り廊下を通って、次は「雪の庭」の鑑賞へ。
 
「雪の庭」は、江戸時代の歌人であり、俳諧の祖といわれる松永貞徳によって作られたと伝わります。作庭当初、お寺は寺町二条にありましたが、昭和に現在地へ遷堂した際、お庭も石組そのままに移したそうです。
 
松永貞徳は、清水寺 成就院に「月の庭」、北野に「花の庭」も作庭。長らく「花の庭」だけが失われていたものの、2022年、北野天満宮に「花の庭」が再興されると、「雪月花の三庭苑」が揃ったと話題を呼びました。
 
お天気が良い日は、借景に比叡山の頂上付近を望めます。

松永貞徳にちなんで、庭園前に投句箱が設けられています。春の景色を前に、一句いかがでしょうか。
  • 刺繍御朱印 1,200円

    刺繍御朱印 1,200円

授与所(拝観受付)では、「雪の庭」の刺繍御朱印を授与されています。雪が積もった様子が刺繍された書置きタイプの御朱印で、4月7日(日)までの期間限定です。

3.展示室

展示室

展示室

妙満寺には寺宝を鑑賞できる展示室があります。
  • 「安珍清姫物語絵巻」

    「安珍清姫物語絵巻」

  • 「松永貞徳肖像画」も展示されています

    「松永貞徳肖像画」も展示されています

  • 左:「釈迦如来像」、右:「加藤清正像」

    左:「釈迦如来像」、右:「加藤清正像」

  • よく見ると、文字の連なりが分かります

    よく見ると、文字の連なりが分かります

「安珍・清姫」の物語が描かれた絵巻物もあり、室町時代後期と江戸時代後期の2幅を見比べられるようになっています。物語について詳しく知らないという方は、ぜひ絵を順番にご覧になってください。
 
数ある展示のなかでも、近代京都画壇で活躍した日本画家、木島櫻谷(このしま おうこく)による「釈迦如来像」は驚きの作品です。というのも・・・ 近付いてじっくり見てみると、なんと線画が「南無妙法蓮華経」の文字の連なりによって構成されているのがわかります! 幼くして亡くなった子供の供養に描かれた作品で、一字一字に想いが宿っているよう。動物画で知られる木島櫻谷の内面が伺える貴重な作品です。

※展示室内は撮影禁止です。特別な許可を得て撮影しています。

4.大書院

  • 大書院から見た桜(撮影日:2024年4月1日)

    大書院から見た桜(撮影日:2024年4月1日)

  • 額縁に見立てて撮影(撮影日:2024年4月1日)

    額縁に見立てて撮影(撮影日:2024年4月1日)

通常、本坊エリアは今までにご紹介した本堂、雪の庭、展示室の拝観になりますが、4月7日(日)までは大書院も特別に公開されています。その理由は、室内から桜をご覧いただけるようにという嬉しいご配慮から。絵になる光景に、癒されますね。

「春の特別拝観」で公開されるサクラ山とは

サクラ山(撮影日:2022年4月8日)

サクラ山(撮影日:2022年4月8日)

現在開催中のJR東海「春の特別拝観」(要事前申込み)では、本坊エリアに加えてサクラ山を特別に拝観できます。“憩いの森”を目指して整備されている通常非公開のエリアで、約200本のソメイヨシノが植えられています。山とはいうものの小高い丘というほうがイメージに近いかもしれません。鳥のさえずりを聞きながら散策すると、心が開放されるよう。お花見ポイントにはベンチも設置されていますので、ゆっくりと桜を愛でられます。

桜に囲まれた仏舎利大塔(撮影日:2022年4月8日)

桜に囲まれた仏舎利大塔(撮影日:2022年4月8日)

眺望も素晴らしく、比叡山や境内にある仏舎利大塔を望めます。本日1日現在の開花状況は、咲き始めといったところ。期間最後の土日となる6日(土)、7日(日)に期待が膨らみます。
 
EX会員の方なら当日14時30分まで予約が可能です(サクラ山は15時に閉門しますので、早めのお越しがおすすめ)。ぜひ、この機会に足を運んでくださいね。
 
■妙満寺「妙満寺の森 サクラ山」特別拝観
【実施期間】2024年3月29日(金)~4月7日(日)
【実施時間】10:00~15:00(受付終了14:30)
【旅行代金】1,200円 ※EX旅先予約での価格
※掲載内容は2024年4月1日時点の情報です。

Written by. 「そう京」編集部

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