あだし野念仏寺
京都らしい風景といえば社寺や町家など、さまざまありますが、竹林もはずせません。特に嵐山の竹林の小径はSNSにもたびたび採り上げられる人気スポットです。とはいえ、たくさんの人出に足が遠のいてしまっているという方も多いのではないでしょうか。
じつは、京都には竹林の美しいスポットが他にもあります。その多くは、お寺の境内にあるというのもポイント。おすすめをご紹介しますので、ぜひ緑いっぱいの空間に癒されてください♪
地蔵院
竹林といえば、“竹寺”の愛称で親しまれる地蔵院をご紹介しないわけにはいきません。貞治6年(1367)に創建された禅刹で、かの一休さんが幼少期を過ごしました。
付近は住宅街であるものの、お寺の入口に立つと別世界のような静謐な空間が広がります。特に初夏は、苔と青もみじの先に竹林が重なり、視界いっぱいがグリーン一色。
奥に見えるのが本堂です
お寺の入口から本堂にいたるまで参道を覆うように竹林が続き、“竹寺”と称されるのにも納得してしまいます。
耳を澄ますと、サラサラとした葉擦れの音に、時折聞こえる鳥の声。静かにお参りする心地よさを存分に感じられるお寺です。
地蔵院の“緑”に心を掴まれたという方におすすめしたいのが、ポケット式御朱印帖です。参道の風景が色鮮やかに刺繍され、ちょこんとお座りした寺犬の“くうちゃん”がかわいい! よく見ると、同じ緑でも苔、竹、青もみじの糸の色がそれぞれ違うというこだわりも。
刺繍に時間を要するため大量生産が難しく、お寺では数量限定で扱っていらっしゃいます。A6とA5サイズの2タイプあり、それぞれ地蔵院の切り絵御朱印付き。ほかのお寺の御朱印を入れるのはもちろん、写真やポストカードを入れて旅の思い出帖にするのもいいですね。
高台寺
開山堂
豊臣秀吉の正室、北政所ねねが秀吉の菩提を弔うために創建したお寺です。今年は北政所が亡くなって400年という節目にあたり、さまざまな記念事業が行われています。
高台寺の竹林がどこにあるのかというと、拝観順路の終盤。北政所が眠る「霊屋(おたまや)」(重文)にお参りしたあと、階段をのぼって茶室の傘亭と時雨亭(いずれも重文)を通り過ぎたら、竹林の参道があらわれます。
空を覆うように竹が伸び、燦々と光が降り注ぐ日も涼やかです。定期的に開催される夜間拝観時は竹林エリアもライトアップされ、いっそう幽玄な雰囲気を楽しめます。
鹿王院
舎利殿
続いてご紹介するのはJR山陰本線(嵯峨野線)「嵯峨嵐山駅」から歩いて5分ほどの場所にある鹿王院です。昨年(2023)10月に舎利殿の大規模修理が終わり、ふたたび嵐山を借景とした枯山水の苔庭を通常通り眺められるようになりました。
舎利殿の修理完了と時を同じくして、参道横に竹林の小径がお目見え。参道の青もみじの美しさは周知されていますが、竹林の存在はまだまだ知られていません。お参りの際は、忘れずにチェックしてくださいね。
あだし野念仏寺
参道
重要伝統的建造物群保存地区に指定された古い町並みが魅力の奥嵯峨地域にあるあだし野念仏寺。境内には約8,000体の石仏や石塔が祀られた「西院の河原(さいのかわら)」があり、葬送の地としての静けさが保たれています。
参拝者の心を癒すかのように、境内奥に爽やかな竹林が広がります。両脇の竹穂垣は2019年に新調され、いっそう風情が増しました。竹林、石段、竹穂垣という3点が揃うと、これほどまでに美しいのかと感嘆してしまいます。
御朱印帳 1,500円
昨年(2023)4月より、竹林の風景を採り入れた御朱印帳が新たに登場しています。あだし野念仏寺をスタートに、ご紹介した竹林名所を巡ってみるのも良いかもしれません。
向日市 竹の径
「もっと竹林に癒されたい!」という方は、向日市にある竹の径へ。向日市はたけのこの産地で、もともと竹林が多くありましたが、景観保全を目的に約1.8キロにわたる竹林道を平成12年(2000)より整備されました。時折車が通るものの、静かな道のりが続きます。人が写りこまない竹林写真を撮りたいという方にとって、まさに理想の場所といえるでしょう。
約1.8キロの道中では竹垣にも注目を。竹産業に携わる地元の方々が造ったという竹垣が8種類も登場します。海の波をイメージした「海道垣」やかぐや姫の十二単に着想を得た「かぐや垣」など、ここにしかないというオリジナル作品も。
竹の径の近くには、資料館を備えた「京都市洛西竹林公園」もありますので、あわせてお楽しみを♪
今年は夏に開催!「ひかりの京都」
最後に竹を使ったイベントをご紹介します! JR東海では“希望の光”で京都の街と人々を照らすことをコンセプトに掲げ、2021年より「ひかりの京都」と題したイベントを開催しています。昨年までは秋の開催でしたが、今年は7月1日(月)より1ヶ月間、貴船神社で展開。本宮、結社、奥宮と貴船神社全域にわたって、竹あかりが優しく揺らめきます。
貴船といえば夏でも涼しい避暑地。夜にはいっそう心地よく過ごせます。ぜひ、竹の癒しを楽しみにお越しくださいね。
※掲載内容は2024年6月12日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。