名月のような“丸窓”から風景を楽しむ! おすすめスポット5選

  • 散策

源光庵

源光庵

今年(2024)の「中秋の名月」は9月17日(火)。満月は「悟り」の象徴とされることに加え、お釈迦さまが生まれたのも、そして亡くなったのも満月の夜だったといわれるほど、仏教との繋がりが深いもの。そういったこともあってか、京都観光をしていると、「円窓(えんそう)」や「吉野窓(円の一部が欠けたデザインになっているもの)」を目にすることがあります。
SNSの流行もあって注目を浴びている、名月のような丸い窓を有するお寺をご紹介します。

【源光庵】“丸窓の名所”としての知名度はナンバーワン?

源光庵は紅葉の名所としても名を馳せる曹洞宗のお寺。江戸時代初期に、臨済宗から改宗した際に建てられた本堂に並ぶ、丸い「悟りの窓」と四角い「迷いの窓」の光景があまりにも有名です。
窓の向こうは季節ごとに様子を変え、とりわけ初夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色が見事。一度ではなく、時季や時間帯を変えて見ていただきたい窓です。
  • 窓から少し離れて撮影

    窓から少し離れて撮影

  • 窓の近くから撮影すると…

    窓の近くから撮影すると…

「悟りの窓」に目を移してみましょう。こちらの窓を眺めたり写真に収めたりするなら、少し“距離を取る”のがおすすめです。というのも、窓近くから眺めると、外にある白壁の蔵の一部が目に入りますが、適度に距離を置くと、植栽だけが綺麗に収まります。
また窓の向こうの景色だけでなく、畳にこぼれ落ちる陰影にも注目を。禅寺ならではの厳めしさを垣間見せてくれるようです。
 
【拝観時間】9:00~17:00(受付終了16:30)
※2024年9月19日(木)~22日(日)は拝観休止
【拝観料】400円(紅葉シーズンは500円)
【電話】075-492-1858
【アクセス】市バス「鷹峯源光庵前」バス停から徒歩約1分 Google map
【公式ホームページ】https://genkouan.or.jp/

【東福寺 芬陀院】掛け軸のように景色を切り取る円窓

  • 鶴亀の庭

    鶴亀の庭

  • 方丈から望む「鶴亀の庭」

    方丈から望む「鶴亀の庭」

東福寺の塔頭寺院のひとつである芬陀院。水墨画家としても知られる室町時代の禅僧 雪舟が作庭したという枯山水「鶴亀の庭」が遺ることから雪舟寺の名でも知られます。

円窓が見られるのは、方丈から続く茶室「図南亭(となんてい)」。窓の向こうには華美な花や秋に紅葉する落葉樹はあまりなく、一年を通して常緑樹や苔の緑に彩られます。
こちらの窓の特徴は障子がはめられているということ。障子に切り取られて、風景が掛け軸に描かれた絵画のようにさえ見えてきます。お寺の方によると、「破らないように注意していただければ、障子の開き具合を調整していただいて良いですよ」とのこと。お気に入りの風景を創り出してみてください。
 
【拝観時間】9:00~16:30(冬季は~16:00)
【拝観料】500円
【電話】075-541-1761
【アクセス】JR奈良線「東福寺駅」から徒歩約10分 Google map
【公式ホームページ】https://funda-in.com/

【東福寺 光明院】近年新たに誕生した丸窓にも注目

  • 書院から望む「波心庭」

    書院から望む「波心庭」

  • 波心庭

    波心庭

光明院は、芬陀院から歩いて10分ほどにある東福寺の塔頭寺院。昭和の名作庭家として誉れ高い、重森三玲による枯山水庭園「波心庭」が遺るお寺としても知られます。
  • こちらの窓は円窓ではなく、一部が欠けた「吉野窓」であるそう

    こちらの窓は円窓ではなく、一部が欠けた「吉野窓」であるそう

  • 雲のデザインが施された襖と吉野窓

    雲のデザインが施された襖と吉野窓

  • 窓に張り巡らされた特徴的な意匠は先代のご住職の考案によるもの

    窓に張り巡らされた特徴的な意匠は先代のご住職の考案によるもの

光明院では2つの丸窓を見ることができますが、多くの方に馴染み深いのが、「悠刻の窓」と名付けられたこちらの窓でしょう。
ご住職にお聞きしたところ「波心庭は『雲 嶺上に生ずること無く、月 波心に落つること有り』という禅語をテーマに作庭されましたが、実はこの室内も、その禅語の世界観を表現しています。窓が月を表し、襖には雲をモチーフとしたデザインを施しています」とのこと。襖絵に目をやれば、お洒落な雲の文様が!

そして令和3年(2021)には、新たな丸窓がお目見え! 半円のガラスがはめ込まれた2枚の障子が合わさることで、円が完成するユニークなデザインとなっています。
禅寺としては珍しく、桜も楽しむことができる光明院。訪れた際は、ほぼ緑一色でしたが、春には窓枠内に紅しだれ桜が見られるそう。楓もあるため、桜、新緑、紅葉、雪と、窓が映し出す四季にも注目したいですね。
 
【拝観時間】7:00頃~日没
【拝観料】500円
【電話】075-561-7317
【アクセス】JR奈良線「東福寺駅」から徒歩約15分、京阪本線「鳥羽街道駅」から徒歩約7分 Google map
【公式ホームページ】https://komyoin.jp/

【泉涌寺 雲龍院】花の賑わいが美しい丸窓

  • 色紙の窓(蓮華の間)

    色紙の窓(蓮華の間)

皇室との縁が深く「御寺(みてら)」とも呼ばれる泉涌寺の別格本山である雲龍院。過去には「蓮華の間」の“色紙の窓”がメディアに採りあげられ話題となりました。その他にも、左右の障子によって切り取られた風景を掛け軸のように見立てるなど、堂内のいたるところに“覗き見る”スポットが点在します。

  • 「悟りの窓」と「迷いの窓」

    「悟りの窓」と「迷いの窓」

  • 窓の向こう側の梅は、例年2月下旬から3月上旬が見頃

    窓の向こう側の梅は、例年2月下旬から3月上旬が見頃

「悟りの間」でひときわ目を惹くのが、円窓「悟りの窓」。源光庵と同様、向かって右側には四角い「迷いの窓」も配されています。
泉涌寺の塔頭寺院とあって、窓の下に設えられた雅な戸棚にも目を惹かれますが、存在感抜群の、苔むした梅の老木が良い味を醸していますよね。春から初夏にかけては、梅、花海棠、石楠花がそれぞれ順番に見ごろを迎え、そして秋にはモミジが彩りを添えます。
 
【拝観時間】9:00~17:00(受付終了16:30)
【拝観休止日】水曜 ※11月は無休
【拝観料】400円
【電話】075-541-3916
【アクセス】市バス「泉涌寺道」バス停から徒歩約10分 Google map
【公式ホームページ】https://www.unryuin.jp/

【嵐山 祐斎亭】丸窓が立ち並ぶユニークな空間設計

  • 川端康成が『山の音』を執筆した場所と言われています

    川端康成が『山の音』を執筆した場所と言われています

最後にご紹介するのは、寺院ではなく染色作家である奥田祐斎氏の染色アートギャラリーである祐斎亭。鎌倉時代、舟遊びをしていた亀山上皇が、橋の上に輝く月を見ながら、「くま無き月が渡るに似る」と詠んだとされることから名付けられという渡月橋の上流に位置します。
  • 向かって右から眺めると…

    向かって右から眺めると…

  • 向かって左から眺めると、丸窓が減った?

    向かって左から眺めると、丸窓が減った?

  • 机に映ると、四葉のクローバーのよう♪

    机に映ると、四葉のクローバーのよう♪

寺院とは一味違う丸窓が見られるのが、その名も“丸窓の部屋”。ただ丸窓が並ぶだけでなく、磨き上げられた机にリフレクションする光景は、SNSを中心に話題を集めました。丸窓の設えは、主である祐斎さんのアイデアによるもの。度肝を抜かれるようなインパクトがありながらも、明治時代に建てられた和風建築と巧みに調和し、非常に洗練された空間が広がっています。色々な場所に座して眺めてみてください。
 
■嵐山 祐斎亭(入場は予約優先制)
【見学時間】10:00~17:00(最終受付16:30)
※2024年11月16日(土)~12月1日(日)は8:00~17:30(最終受付17:00)
【見学料】2,000円
※2024年11月16日(土)~12月1日(日)は3,000円
【定休日】木曜日(11月は無休)、年末年始
【電話】075-881-2331
【アクセス】市バス「嵐山[京都]」バス停から徒歩約9分、JR山陰本線(嵯峨野線)「嵯峨嵐山駅」から徒歩約20分 Google map
【公式ホームページ】https://yusai.kyoto
※掲載内容は2024年9月4日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。

Written by. 「そう京」編集部

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