平成6年(1994)12月17日に「古都京都の文化財」として17カ所が世界遺産に登録されてから、今年(2024)で30年になります。節目を祝し、今回はそのひとつである天龍寺の冬の魅力についてご紹介しましょう。
天龍寺の冬の魅力とは?
宗務総長の小川湫生さんにお話をお聞きしました。
天龍寺といえば、開山の夢窓疎石が今から約700年前に作り上げた曹源池庭園が有名です。嵐山を借景にした雄大な景色は四季折々の美しさがありますが、冬にこそ禅寺らしい風情があると小川さんはおっしゃいます。
「12月1日から8日にかけて、『臘八大接心(ろうはつおおぜっしん)』という一年でもっとも厳しい修業が行われます。この期間、修行僧は1週間を1日とみなして、横になることなく不眠不休で坐禅をし、夜には冬枯れのお庭に向き合い、精神力と体力を鍛えます」
賑わう日中の姿から忘れてしまいそうになりますが、禅寺にとってお庭は修行の空間。
「表面上は葉が落ち、寒々とした姿に見えますが、植物は冬を乗り越える力を着実に蓄えています。大方丈に座り、禅寺の厳しさを全身に感じながら内面を磨いてみてください」と小川さん。
自然の色がそぎ落とされたシンプルな冬の光景だからこそ、見えてくるものがありそうです。
冬のおすすめ①「色彩豊かな植物」
曹源池庭園の印象とは反対に、境内奥にある「百花苑」や法堂周辺は冬の植物が彩りを添えます。山茶花や蝋梅など、色鮮やかな花は、冬の寒さで美しさがいっそう際立つようです。
■天龍寺
【参拝時間】庭園8:30~17:00(受付終了16:50)、諸堂8:30~16:45(受付終了16:30)
【参拝料】庭園500円(諸堂参拝は300円追加)
【電話】075-881-1235
【アクセス】JR山陰本線(嵯峨野線)「嵯峨嵐山駅」から徒歩約13分、嵐電嵐山本線「嵐山駅」からすぐ Google map
【公式ホームページ】https://www.tenryuji.com/
冬のおすすめ②「精進料理」
嵐山でランチを食べるなら、曹源池庭園の入口近くにある精進料理店「篩月(しげつ)」がおすすめです。お寺の直営で、なんとミシュランのビブグルマンにも選ばれています。
精進料理というと淡泊なイメージがあるかもしれませんが、「篩月(しげつ)」のお料理は出汁の利いた、しっかりとした味わい。冬は根菜類を中心に、あんかけなど、体が芯から温まるような献立になっています。
2025年1月3日(金)からはお吸い物の代わりに豆乳鍋が登場。出汁で割ったまろやかな豆乳で生湯葉や生麩、野菜をいただけます。3月2日(日)までの提供を予定しているそうですので、ぜひ味わってみてくださいね。
■精進料理店「篩月」
【営業時間】11:00~14:00
【定休日】木曜
【電話】075-882-9725
※「篩月」利用時は別途、天龍寺庭園参拝料500円が必要です。
冬のおすすめ③「京の冬の旅 非公開文化財特別公開」
「世界遺産登録30周年」を記念した第59回「京の冬の旅」の「非公開文化財特別公開」が天龍寺でも行われます。対象となるのは、「京の冬の旅」初公開となるふたつのお茶室です。祥雲閣は表千家の名席「残月亭」の写しで、12畳の広間と2畳の上段の間で構成されています。
一方、「甘雨亭」は窓が印象的なお茶室。障子を開けると、それぞれの窓から額縁のような景色を楽しめます。1日に9回、ガイドによる案内が行われますので、この機会を逃さず鑑賞を。
■第59回「京の冬の旅」非公開文化財特別公開(天龍寺)
【日程】2025年1月10日(金)~3月18日(火)
※1/15(水)、2/1(土)~3(月)・14(金)・15(土)、3/1(土)・15(土)は拝観休止
※インターネットからの事前予約優先制
【料金】500円(別途「庭園・諸堂」の通常参拝料800円要)
※掲載内容は2024年12月24日時点の情報です。最新情報は掲載先へご確認ください。