京都 祇園祭ガイド2023

京都 祇園祭ガイド2023京都 祇園祭ガイド2023

日本三大祭のひとつ、祇園祭。コンチキチン♪ のお囃子のなか情緒あふれる「宵山」や、“動く美術館”とも称される豪華絢爛な「山鉾巡行」に注目が集まりますが、他にも様々な祭事が行われ、7月の京都はまさに祇園祭一色となります。そもそも祇園祭とはどんなお祭りなのでしょうか。その起源や歴史、楽しみ方を知れば、もっと深く祇園祭が楽しめるはず。訪れる前に知っておきたい、“祇園祭のいろは”をご紹介します。

※最新情報は「祇園祭山鉾連合会」公式サイトでご確認をお願いします。【問合せ】050-5548-8686(2023年6月1日~7月31日 9:00~20:00)

祇園祭ってどんなお祭り?

八坂神社の祭礼である祇園祭。その歴史は平安時代前期まで遡り・・・ 時は貞観11年(869)、各地で蔓延した疫病を鎮めようと行われた儀礼「御霊会(ごりょうえ)」が、祇園祭の起源とされています。儀礼では当時の国の数を表す66本の矛を立て、悪霊を矛に移すことで町のケガレを祓いました。

矛の規模は次第に拡大し、現在のような豪華・巨大化したのは室町時代から。華やかな装飾に彩られた山鉾巡行は、まさに祇園祭のハイライトです。応仁の乱などで中断を余儀なくされたものの、開催回数は驚きの1,000回超となります。2009年には「京都祇園祭の山鉾行事」としてユネスコ無形文化遺産に登録され、2014年には前祭・後祭が復活するとともに、大船鉾が巡行に復帰。そして2022年、後祭の鷹山が約200年の時を経て巡行に復帰しました。現在も、京都の町衆によって歴史ある伝統が受け継がれています。

気になる! 祇園祭のキーワード

「鉾」と「山」とは?

【鉾:写真左】高さ(地上から鉾頭まで)約25メートル。真木の先端には、「刀」や「月」といった鉾頭がついています。囃子方(はやしかた)や屋根方などを務める人が乗り、最大で約12トンに達するものも。40~50人の曳手によって進みます。※船や傘型の鉾もあります。
【山:写真右】屋根のない舞台に真松や御神体人形などを飾り、舁手によって進むのが“舁山(かきやま)”。一方、山の中でも見た目は鉾と同じで屋根の上に真松をたて、曳手によって進むものを“曳山(ひきやま)”といいます。

厄除けのお守り「粽(ちまき)」

祇園祭で必ず目にする「粽」。決して食べ物ではなく、笹の葉で作られた疫病・災難除けのお守りです。八坂神社のご祭神・スサノヲノミコトが旅の途中、蘇民将来の家で温かなもてなしを受けたお礼に、その子孫を疫病から守る約束をし、目印として茅の輪を腰に着けさせました。この「茅巻(ちまき)」が粽のルーツといいます。京都を歩いていると家の玄関やお店の入り口に飾られているのをよく見かけます。

前祭(さきまつり)と後祭(あとまつり)

昭和41年(1966)より、全ての山鉾が揃って宵山・巡行を行われていましたが、平成26年(2014)に後祭が復活。現在は前祭と後祭の日程にわかれ、巡行コースはそれぞれ進行方向が逆になっています。宵山の雰囲気も異なり、前祭の7月15・16日は歩行者天国に露店が多く並び賑やか。一方、後祭は露店の出店はなく、お祭り本来の荘厳さが楽しめ、どちらも魅力があります。



祇園祭の楽しみ方

1. 都大路を練り歩く、豪華絢爛な山鉾巡行

祇園祭最大の見どころとなる「山鉾巡行」。前祭の17日には、長刀鉾を先頭に23基の山鉾が巡行します。四条烏丸を出発し、祇園囃子を奏でながら都大路をゆっくり進みます。後祭の24日には、橋弁慶山を先頭に11基の山鉾が巡行し、出発は烏丸御池となりコースは前祭の逆となります。巡行の順番は、前祭と後祭をあわせて「くじ取らず」のくじを引かない10基の山鉾を除き、7月2日の「くじ取り式」で決定。山鉾は全34基ありますが同じものはひとつとしてなく、懸装品や御神体人形、金工品など細部に至るまで個性豊か。通り沿いから誰もが鑑賞できますが、ゆっくり楽しむなら有料観覧席がおすすめ。わかりやすい解説付きの席も用意されています。

【日程】前祭:7月17日9:00~、後祭:7月24日9:30~
※有料観覧席の詳細は「京都観光Navi」をご確認ください。

山鉾のココに注目!

華やかな「懸装品(けんそうひん)」

山鉾に飾られる装飾を「懸装品」と呼びます。前懸(まえかけ)や胴懸(どうかけ)、見送(みおくり)などの染織物は、西陣織をはじめ中国やベルギー、インド製など国際色豊かで、重要文化財クラスの貴重なものばかり。なかには京都の一流絵師が手がけた作品も。それぞれデザインが異なり、次々に山鉾が登場する様子が“動く美術館”と呼ばれるのも納得です。

豪快な「辻廻し」の方向転換

山鉾は真っ直ぐにしか進むことができません。そこで方向転換に行われるのが、豪快な「辻廻し」です。山鉾巡行最大の見せ場となり、見ることができるのは四条河原町・河原町御池の交差点。山鉾の前に竹が敷き詰められ、かけ声と共に回転する光景は熱気に満ちあふれています。見る側もハラハラドキドキ。方向転換後は拍手で曳手達を称えましょう。

古事・逸話に基づく「飾り」

山鉾には名前の由来となった鉾頭や御神体人形が飾られます。それぞれ古事・逸話に基づいた個性豊かな飾りで、恋を題材にした「保昌山」の御神体人形は紅梅を手折って和泉式部に捧げる保昌の姿を表現。そのほか「山伏山」の本格的な衣装に身を包んだ山伏や、「橋弁慶山」の牛若丸と弁慶など、由来を知るとより楽しく眺められるはずです。

【編集部のおすすめ】

圧巻の山鉾が建つ瞬間を見に行こう!

懸装品に彩られる山鉾ですが、その隠れた内部は“縄がらみ”という伝統技法で組み立てられています。釘一本使うことなく、これほどまでに大きな山鉾が“縄”だけで支えていることに驚きますよね。山鉾を深く知るなら、巡行の1週間ほど前に行われる「山鉾建て」も見るのがおすすめ。飾り結びはシンプルながらも芸術品のような美しさです。

【日程】前祭:7月10日~14日、後祭:7月18日~21日



2. 山鉾巡行の前夜祭、情緒あふれる宵山

「宵山」とは、山鉾巡行(7月17日・24日)を目前に控えた3日前・前々日・前日の総称で、いわば前夜祭のこと。街中に提灯の明かりが浮かぶお祭りムードのなか、山鉾を間近に鑑賞できます。眺めながら歩くのも楽しいですが、各山鉾の町会所にも立ち寄りましょう。山鉾に飾られる懸装品や御神体人形が披露されるほか、祇園祭に欠かせない「粽」の授与など、この期間ならではのお楽しみがあります。界隈の旧家や老舗で、秘蔵の美術品が公開される「屏風祭」も見どころ。貴重なモノを間近でじっくり楽しめるのが宵山です。

【日程】前祭:7月14日~16日、後祭:7月21日~23日
※各山鉾の主な日程は「祇園祭山鉾連合会」公式サイトをご確認ください。

会所の楽しみ方

会所飾り

各町会所では、山鉾にのせる懸装品や御神体人形を展示され、一般の方もご覧いただけます。見事な美術品の数々を間近にできる貴重な機会。山鉾巡行では遠くから眺めることになるので、じっくり楽しめる宵山ならではの発見もあるはず。町会所によって飾り方も異なり、さながら美術館のようです。

個性豊かな粽

各山鉾で手作りされた「粽」は町会所で授与いただけます。それぞれ異なる飾り付けがされ、桜や梅の花飾りやお守り・絵馬を付けられるなど様々。山鉾の逸話にちなみ、学業成就や縁結びなどのご利益もあります。自分に合ったご利益を目当てに、粽を選ぶのも良いでしょう。ちなみにお守りの期限は一年間。その後は、購入した山鉾に返納、もしくはお近くの神社へ。

さまざまな縁起物

粽だけでなく、趣向をこらした縁起物も要チェックです。ほとんどの山鉾では「手ぬぐい」が用意されていて、毎年新作のデザインが登場するところもあり、コレクションしたくなるほど。山鉾に由来するかわいいお守りやおみくじも豊富です。蟷螂山(とうろうやま)には、動くカマキリからもらえるおみくじがあるので、ぜひチャレンジしてみて。

お祭りを盛り上げるコンチキチン♪

町を歩けば、聞こえてくるのは「コンチキチン♪」の祇園囃子。鉦(かね)・太鼓・笛などで奏でられる音楽で、お祭り気分も盛り上がります。7月上旬から各会所で囃子方の稽古がはじまり、夜の鉾町界隈を歩くと聞こえてくることも。実は、山鉾によって異なる祇園囃子。耳を澄ませて、“音”から祇園祭を楽しんでみましょう。

御朱印めぐり

各町会所では、宵山期間限定の御朱印が登場します。文字だけのシンプルなものから山鉾を緻密に表現したものまでデザインもいろいろ。ご自身で御朱印帳に押印するスタイルで、大船鉾や鷹山などでは嬉しい直筆の御朱印の授与もあります。料金は志納(山鉾により異なります)。

【編集部のおすすめ】

町歩きのひとやすみは、宵山グルメで

山鉾町があるのは京都市の中心部。さまざまなお店が並び、祇園祭限定のグルメを販売するお店もあります。甘いものなら、永楽屋室町店の“飲む水ようかん”こと「水あずき」や、トゥレ・ドゥーの長刀鉾をイメージした「山鉾パフェ」がおすすめ。小腹が空いたら、膳處漢(ぜぜかん)ぽっちりの「しみだれ豚まん」を。いまやオンラインでも購入できるようになりましたが、はじまりは祇園祭限定グルメ。宵山でこそ味わいたい逸品です。
(写真:膳處漢(ぜぜかん)ぽっちりの「しみだれ豚まん」)

「祇園祭で食べたい! 鉾町でみつけた気になるグルメ」



3. 他にもいろいろ、祭事が目白押しの祇園祭

宵山・山鉾巡行に注目が集まりますが、祇園祭は7月の1ヵ月にわたり行われるお祭り。1日の「吉符入(きっぷいり)」にはじまり31日の「疫神社夏越祭(えきじんじゃなごしさい)」まで様々な祭事が目白押しです。そのなかから旅行者も楽しめる主なイベントをご紹介します。
※内容の変更、中止となる場合があります。事前にご確認ください。

石見神楽

島根県西部に伝わり、国の無形文化財にも指定される石見神楽が、八坂神社の能舞台にて奉納されます。菅原道真が左大臣と刀を交える「天神」や、八坂神社のご祭神であるスサノヲノミコトがヤマタノオロチを退治する「大蛇(おろち)」など、6演目を披露。笛や鉦、太鼓のリズミカルなお囃子に合わせて舞い踊る勇壮な姿は必見です。
【日程】7月16日 18:30~
【問合せ】075-561-6155(八坂神社)

神幸祭・神輿渡御

八坂神社の御神霊が遷された神輿を御旅所に迎える神事。中御座・東御座・西御座の3基の神輿が舞殿を3周し、それぞれのコースを巡ります。八坂神社西楼門の祇園石段下にて3基が「ほいっと! ほいっと!」というかけ声にあわせて神輿を天高く担ぎ上げる「差し上げ」は迫力満点。21時頃に御旅所に到着し、神輿から御神霊を遷す神事が行われ、24日まで奉安されます。
【日程】7月17日 神幸祭16:00~、神輿渡御出発式18:00~
【問合せ】075-561-6155(八坂神社)

還幸祭

御旅所に奉安されていた御神霊を八坂神社に還す神事です。3基の神輿に再び御神霊を遷し、御旅所を出発。所定のコースを巡り、又旅社にて祭典が執り行われたあと、八坂神社へ向かいます。0時頃より行われるのは「御神霊遷し(みたまうつし)」の神事。境内の灯りが消され暗闇の中、本殿へと御神霊が遷される光景はまさに神秘的です。
【日程】7月24日 御旅所出発18:00~、還幸祭21:00~
【問合せ】075-561-6155(八坂神社)


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前祭

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後祭

2023年祇園祭 祭事カレンダー

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10 山鉾建て お迎提灯および
神輿洗式
11 12 13 14 placehold 宵山 15 16 石見神楽
17 神幸祭・
神輿渡御
山鉾巡行
18 山鉾建て 19 20 21 placehold 宵山 22 23
24 山鉾巡行 花傘巡行 還幸祭 25 26 27 28 29 30
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前祭

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後祭

※カレンダーにはページ内で紹介している祭事を掲載しています。
※その他、祭事は内容の変更および中止となる場合があります。事前にご確認ください。


祇園祭 山鉾マップ

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宵山観覧に便利な「GPS機能付きデジタルマップ」公開中

各山鉾の解説や宵山期間中の位置、祇園祭の楽しみ方が掲載されています。デジタル版ガイドでは、GPS機能と連動し、スムーズな宵山観覧をサポート。「特に混雑が予想されるエリア」も掲載されていますので、宵山観覧にぜひお役立てください!

>「京都観光Navi」サイトはこちら

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※写真はイメージです。
※掲載内容は2023年6月22日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。