梅雨空にきらめく、6月の和菓子 5選

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京の和菓子の玉手箱 21


シトシトと降る雨は、植物に潤いを与えるだけでなく、和菓子の世界にも艶やかなきらめきを与えてくれます。他の季節にはない色合いが魅力の6月の和菓子を、“和菓子ライフデザイナー”の小倉夢桜(ゆめ)さんにご案内いただきます!

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雨音が心地よい水無月、6月。春に芽吹いた新緑が日を追うごとに成長して立派な葉となり、しっかりと雨を弾きます。



庭先で耳にする雨音から季節の移ろいを感じながら過ごせる時季。

「雨だから出かけるのが・・・」

そんなことを言わないで、お気に入りの傘を差して出かけてみませんか。雨だからこそ、美しく見える風景が京都の至るところで目にできるはずです。その風景を探すのも、梅雨時ならではの楽しみ方だと思います。

★“雨観光”おすすめスポットはこちら
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沢辺の蛍【千本玉壽軒(せんぼんたまじゅけん)】


沢辺の蛍 432円(6月上旬~下旬販売予定)


何とも言えない安らぎと癒しを与えてくれるホタルの優しいあかり。

「夏は、夜。月の頃はさらなり。闇もなほ。螢の多く飛び違ひたる。
また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし」

と、清少納言が『枕草子』で綴っています。ホタルのあかりは、今も昔も変わらず私たちを癒してくれます。そのあかりに寄せる人々の思いが、いつまでも変わることなく続くことを願うばかりです。

手のひらにのせて愛でていると、川のせせらぎが聴こえてきそうな葛製のお菓子です。

■千本玉壽軒
【営業時間】8:00~18:00
【定休日】水曜日
【電話】075-461-0796
【アクセス】市バス「千本今出川」バス停から徒歩約1分 Google map
【公式ホームページ】http://sentama.co.jp/


青梅【船屋秋月(ふなやしゅうげつ)】


青梅 302円(6月上旬~下旬販売予定)


早春に私たちの目を楽しませてくれた、梅の花。梅の名所である北野天満宮では、6月になると境内に実った梅の実の収穫が、神職さん、巫女さんの手により行われます。1ヵ月間の塩漬けを経て、梅雨明けの7月中旬から境内で土用干しが行われ、その梅干しが、「ことはじめ」の12月13日より「大福梅」として授与されます。

熟す前の青梅を表現した、外郎(ういろう)製のお菓子です。

■京菓子処 船屋秋月 福王子店(本店)
【営業時間】9:00~18:00
【定休日】無休
【電話】075-463-2624
【アクセス】市バス「福王子」バス停から徒歩約1分 Google map
【公式ホームページ】http://www.funaya.jp/


紫陽花【霜月(そうげつ)】


紫陽花 250円(6月上旬~中旬販売予定)


雨に濡れてとても気持ちよさそうに見える、紫陽花。色鮮やかな花を咲かせて、傘を差しながら行き交う人々の目を楽しませてくれています。華やかな外観から西洋の花のように思われがちですが、実は『万葉集』にも登場する日本古来の花です。

その魅力は、丸く可愛らしい「手まり咲き」と呼ばれる姿。こちらの和菓子は、さいの目に切った錦玉羹(きんぎょくかん)で餡を包み、紫陽花を表現しています。雨にしっとりと濡れた紫陽花が目に浮かんでくる、この時季ならではのお菓子です。

■御菓子司 霜月
【営業時間】9:00~18:00(1月と祝日は17:00まで)
【定休日】日曜日、第1・3月曜日、不定休
【電話】075-491-5556
【アクセス】市バス「神光院前」バス停から徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】http://www.sougetsu-kyoto.jp/


仲夏(ちゅうか)【日栄軒(にちえいけん)】


仲夏 320円(6月上旬~下旬販売予定)


6月6日は、二十四節気の「芒種(ぼうしゅ)」。この日を境に、初夏から仲夏へと移り変わります。

この頃に、冬に小さな白い花を咲かせていた枇杷(びわ)が、半年の月日をかけて橙色に熟します。京都市内でも、散策していると、たわわに実をつけた枇杷の木を見かけることがあり、和菓子店のショーケースにも、枇杷のお菓子が並びます。

こちらは、枇杷の実をそのままに表現した、外郎(ういろう)製のお菓子です。

■日栄軒
【営業時間】9:00~19:00
【定休日】日曜日
【電話】075-491-2204
【アクセス】地下鉄烏丸線「北大路駅」から徒歩約7分 Google map


水無月【京都鶴屋 鶴寿庵(かくじゅあん)】


水無月432円(6月末発売予定)


かつて、旧暦の6月1日に、宮中では「氷室の節会(ひむろのせちえ)」という儀式が執り行われていました。「氷室(ひむろ)」とは、冬に製造した氷を夏まで貯蔵させておく部屋のこと。“氷室に保存した氷をこの日に食べると夏負けしない”といわれています。

これから迎える本格的な暑さを乗り切るために、暑気払い。まるで氷のように涼し気な意匠の本葛製のお菓子を、氷の代わりに召し上がってみてはいかがでしょうか。

■京都鶴屋 鶴寿庵
【営業時間】8:00~18:00
【定休日】不定休
【電話】075-841-0751
【アクセス】市バス「壬生寺道」バス停から徒歩約1分 Google map
【公式ホームページ】http://www.kyototsuruya.co.jp/

★和菓子「水無月」については、こちらのブログもご覧ください。
⇒【おかいもの】雨に潤う、6月の和菓子 ~中村軒~

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今回は6月に京都で見かける和菓子たちをご紹介いたしました。和菓子から6月ならではの京都を楽しんでくださいね。

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文・写真:小倉夢桜 —Yume—
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファー。京都五感処・京都Loversフォーラム代表。2012年よりホームページ『きょうの「和菓子の玉手箱」』を運営し、毎日京都の和菓子を紹介し続けている。現在は『月刊京都』(白川書院)で「月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』」を連載中。
【きょうの『和菓子の玉手箱』】http://kyoto-lovers-forum.com
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Written by. みさご

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