京の和菓子の玉手箱 8
5月の京都はお祭りの季節。ゴールデンウィーク中も各地でいろいろなお祭りが行われています。今回、“和菓子ライフデザイナー”の小倉夢桜(おぐらゆめ)さんにご紹介いただくのは、5月に行われる京都の祭りのメインともいえる「葵祭」にちなんだ和菓子。「葵祭ってどんなお祭り?」という方も、ぜひお読みくださいね♪
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新緑の季節。芽吹いた木々の葉が太陽の光を浴びて眩しく輝く、5月。京都では、「葵祭」が行われる月です。
「祇園祭」、「時代祭」と並び“京都三大祭”のひとつとして紹介される葵祭は、平安時代より国家的行事として受け継がれ、奈良・春日大社の「春日祭」、 京都・石清水八幡宮の「石清水祭」と並ぶ「三勅祭」のひとつとしても知られています。
優美な王朝行列だけではない、葵祭の魅力
毎年5月15日には、500名以上の平安貴族装束の人々と、牛や馬あわせて40頭からなる雅な「王朝行列」が、京都御所から下鴨神社を経て、上賀茂神社へと向かいます(路頭の儀)。下鴨・上賀茂両社に到着した際には、それぞれの社頭で「社頭の儀」をはじめとする神事が執り行われます。
双葉葵と桂の枝葉を組み合わせて作られた「葵桂」を装飾した人々の行列が新緑の京都市内を進んでいく姿は、優美そのもの。その光景を一目見ようと、国内外問わず、多くの観光客で沿道が賑わいます。
しかし、その「路頭の儀(行列)」だけが「葵祭」ではありません。5月1日には、上賀茂神社で葵祭の前儀である「賀茂競馬足汰式(かもくらべうまあしぞろえしき)」が執り行われ、続く3日には下鴨神社で「流鏑馬(やぶさめ)神事」などが行われます。
そして、12日に御蔭(みかげ)山より下鴨神社に神霊を迎える神事「御蔭祭」が執り行われ、すべての前儀を終えてから、15日の本祭を迎えます。
前儀を含めて半月にわたって行われる伝統的な神事「葵祭」を、存分に楽しんでいただければと思います。そして、今回ご紹介するのは、下鴨神社ととても縁が深い和菓子店です。
⇒葵祭について詳しくはこちらから。
下鴨神社の氏子でもある和菓子店・宝泉堂(ほうせんどう)
下鴨神社の境内・糺(ただす)の森にある茶店、「さるや」。名物の「申餅(さるもち)」は、“はねず色”をした素朴なお菓子です。かつて参拝者に親しまれていたというこのお菓子を、約140年ぶりに見事に再現させたのが、「さるや」を営む「宝泉堂」です。
こだわり抜いた素材で作られた和菓子が多くの方たちから支持を受けるお店で、2003年にはお店のすぐそばに「茶寮 宝泉」を開店しました。
下鴨神社の北側、京都らしい閑静な住宅街に佇む、立派な日本家屋を改装したお店です。店内でしかいただくことができない本わらび粉を使用した「わらび餅」(1,100円)を求め、連日、多くの人々で賑わいます。
夏の室礼
お抹茶とセットでいただける上生菓子(950円)も人気のメニュー。店頭には毎日、季節の移ろいを感じ取って作られる、意匠も様々な6種類の上生菓子が並びます。もちろん、お持ち帰りもできます。
店内には、そのほかにもおみやげにぴったりなお菓子が並びます。その中から今回は、葵祭の時季に販売される上生菓子を2種類、ご紹介します。
葵祭と新緑を表現した、爽やかな和菓子2種
葵祭(345円)
葵祭と関わりが深い双葉葵の紋様を型押しした、“こなし製”のお菓子です。由緒ある伝統的な祭りを表現するに相応しい落ち着いた和色と、美しい双葉葵のデザインが印象的で、京菓子らしい品を感じられます。
緑陰(345円)
もうひとつのお菓子は、「緑陰(りょくいん)」。
葵祭で平安貴族装束の行列が進む糺の森は、縄文時代より今に生き続ける太古の自然を遺す森。木漏れ日が心地よい5月。木々の新緑をイメージした色に染めた餡を葛で包んだ、初夏にふさわしい“葛まんじゅう製”のお菓子です。
葵祭が爽やかな青空の下で行われることに願いを込めて・・・
和菓子とともに京都の5月の伝統行事をお楽しみください。
■茶寮 宝泉
【営業時間】10:00~17:00(ラストオーダー16:45)
【定休日】水曜日・木曜日(祝日の場合は翌平日)
【電話】075-712-1270
【アクセス】市バス「下鴨東本町」バス停から徒歩約2分 Google map
【公式ホームページ】http://www.housendo.com/housen.html
■宝泉堂
【営業時間】10:00~17:00
【定休日】日曜日・祝日
【電話】075-781-1051
【アクセス】市バス「洛北高校前」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】http://www.housendo.com/
★「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先です。特典内容はこちら。
■さるや
【営業時間】10:00~16:30
【定休日】無休
【電話】090-6914-4300
【アクセス】市バス「下鴨神社前」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】http://www.shimogamo-jinja.or.jp/saruya/
★「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先です。特典内容はこちら。
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文・写真:小倉夢桜 —Yume—
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファー。京都五感処・京都Loversフォーラム代表。2012年よりホームページ『きょうの「和菓子の玉手箱」』を運営し、毎日京都の和菓子を紹介し続けている。現在は『月刊京都』(白川書院)で「月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』」を連載中。
【きょうの『和菓子の玉手箱』】http://kyoto-lovers-forum.com
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~みさごレポ~
“京都三大祭”のさきがけとなる「葵祭」。今回は、雅やかなこのお祭りにふさわしい、2種類の和菓子をご紹介いただきました! どちらのお菓子も、新緑を映しとったような爽やかな色合いが特徴的です。
“葵祭”は、行列を歩く女御装束の袂(たもと)を思わせる優雅なデザイン。着物を着重ねて色目を楽しまれていた平安時代のご婦人方を連想させます。王朝行列を思い浮かべながらいただくと、さらに雅な雰囲気を味わえました♪
葛まんじゅう製の“緑陰”は、みずみずしく透明感のある様子が、まさに“初夏”そのもの! 糺の森の若葉を想像しながらいただくと、新緑のエネルギーを身体中にいただけるようで、なんだか元気が湧いてきましたよ♪
皆さまも、この時季だけにしかいただけない和菓子に、出会いに行ってみてくださいね♪