「そう京」スタッフが感動した、京都の仏像[菩薩、羅漢・高僧編]

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千本釈迦堂

京都のお寺をお参りする際に出会う、麗しい仏様。日々、京都のあちこちを巡っている「そう京」スタッフたちの“お気に入り”はどんな仏様なのかな? と思い尋ねてみると、たくさんの魅力的な仏様の名が挙がりました。前回は、阿弥陀如来や大日如来など「如来編」でしたが、今回ご紹介するのは「菩薩」「羅漢・高僧」の仏像です。登場するのは8躰の仏様♪

1・【即成院】二十五菩薩
2・【千本釈迦堂】如意輪観音菩薩坐像
3・【隨心院】如意輪観音菩薩坐像
4・【泉涌寺】楊貴妃観音坐像
5・【大御堂観音寺】十一面観音菩薩立像
6・【寿宝寺】十一面千手千眼観音立像
7・【萬福寺】ラゴラ尊者像
8・【六波羅蜜寺】空也上人立像

・・・ちなみに「菩薩」は、仏の悟りを求めて修行を重ねる行者さんのこと。お釈迦様が出家する前の「王子姿」を元にしているため、王族や貴族の服装に、豪華な宝冠や装飾品をまとっているのが一般的です。「羅漢」は釈迦の弟子で悟りを開いた高僧、「高僧」は実在し信仰の対象となった僧侶のことです。

※お寺の仏像は、原則として撮影禁止です。今回は特別な許可を得て撮影・掲載しています。


1・【即成院】二十五菩薩
仏像のオーケストラ! 極楽浄土に導くハーモニーとは?


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牛若丸 「京都のお寺を訪ね始めて、1年あまり。まだまだたくさんの仏像に出会っているわけではないのですが、そのなかでも僕が好きなのは、即成院阿弥陀如来二十五菩薩です。

初めて見たときは、約5.5メートルという阿弥陀如来坐像の大きさに圧倒されるとともに、その周りに並ぶたくさんの菩薩坐像に釘付けになりました。菩薩様たちはそれぞれに楽器を持っておられ、楽器好きの僕は僭越ながらも親近感が湧いてしまって・・・ この仏様たちが極楽浄土の世界を描いたものであるとお聞きしたとき、“極楽浄土は素敵な世界なんだな”と思った事を覚えています」

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大自在菩薩坐像(中央)


シュガー 「即成院の二十五菩薩は私も大好き♪ 皆さまお顔が少しずつ違っていて、私のお気に入りは大自在菩薩坐像。柔和な笑顔がステキなんです♡ 両手を広げているのは、腰に持つ鼓を鳴らすため。左隣の如意輪観音の表情も味がありますね」
 

牛若丸さんとシュガーさんが挙げたのが、泉涌寺塔頭・即成院の仏様。寛治8年(1094)に造られた、像高約5.5メートルの阿弥陀如来坐像と、同じく平安時代に造られた25躰の菩薩坐像です。即成院は「現世でも極楽、来世でも極楽」の功徳があるといわれ、ハーモニーを奏でる菩薩のオーケストラを従えて阿弥陀如来がお迎えに来る様子を立体的に表現されています。お参りをしていると、まるで頭のなかに音楽が鳴り響いてくるかのよう。荘厳な雰囲気に圧倒される仏像群です。

■即成院
【拝観時間】9:00~17:00
【拝観料】500円
【電話】075-561-3443
【アクセス】市バス「泉涌寺道」バス停から徒歩約7分 Google map
【公式ホームページ】http://www.negaigamatoe.com

2・【千本釈迦堂】如意輪観音菩薩坐像
鎌倉仏の宝庫が誇る、麗しい仏様


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きのこ 「My Favorite 仏像の菩薩編として、千本釈迦堂如意輪観音菩薩坐像を挙げます。千本釈迦堂は鎌倉仏の宝庫。快慶作の《十大弟子像》や、運慶の弟子・定慶作の《六観音像》といったシリーズ仏が欠けずに遺っているスゴイお寺です。なかでも如意輪観音はとても美しく、赤みがかった肌がまるで生きていらっしゃるかのような生々しさがあります」

2018年に東京国立博物館で特集展示されたことも記憶に新しい千本釈迦堂は、北野天満宮や花街・上七軒のほど近く、閑静な住宅街のなかにひっそりと佇む小さなお寺です。とはいえ、応仁の乱の戦火を免れた京洛最古の建造物である本堂(国宝)や、数々の鎌倉仏など、驚くべき寺宝を守り伝えています。

定慶作の「六観音像」は、聖・千手・馬頭・十一面・准胝・如意輪の6躰の観音様が一堂に安置される、全国で唯一の作例。この麗しい仏像群に、霊宝殿で常時お会いできるというのも驚きのひとつです。また、快慶の弟子・行快作の御本尊・秘仏釈迦如来は、8月8日から16日の六道参りの期間のみ特別公開されています。

■千本釈迦堂[大報恩寺]
【拝観時間】9:00~17:00
【拝観料】境内無料、本堂・霊宝殿600円
【電話】075-461-5973
【アクセス】市バス「上七軒」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】http://www.daihoonji.com/


3・【隨心院】如意輪観音菩薩坐像
「そう京」女性スタッフからの支持率ナンバー1!


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オパン隨心院如意輪観音菩薩坐像は、アンニュイというかフェミニンな雰囲気が好きです。小野小町が如意輪観音の生まれ変わりとも言われていたそうで、こちらの仏様を見るたびに小町の姿を重ねています」
シュガー 「隨心院の如意輪観音、きれいですよね~! 小さく傾けた首や柔らかな曲線が、女性的な美しさを感じさせます。“如意輪観音像”は美しいものが多いのですが、そのなかでも特に女性から支持される、魅力的な像だと思います」

“どこにでもあらわれ思いのままに願いを叶えてくれる”とされる如意輪観音菩薩。一面六臂の姿で、右手を顔に、胸の前には如意宝珠、掲げた左の指先に法輪を載せた姿で表されるのが一般的です。“アンニュイ”に見えるのは、「どうすれば人々を救えるのか悩んでいる」からなのだとか。隨心院の御本尊・如意輪観音菩薩坐像は、鎌倉時代の作。春(3月)及び秋(11月)のご開帳時に、その姿を拝むことができます。本堂には快慶作の金剛薩捶坐像や、平安時代の定朝作と伝わる阿弥陀如来坐像などが並び、こちらは常時美しい姿を拝見できます。

■隨心院
【拝観時間】9:00~17:00(受付終了16:30)
【拝観料】500円
【電話】075-571-0025
【アクセス】地下鉄東西線「小野駅」から徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】http://www.zuishinin.or.jp/
★「そうだ 京都、行こう。」エクスプレス・カード特典協力先です。特典内容はこちら。 


4・【泉涌寺】楊貴妃観音坐像
傾国の美女もかくや、の美しさ


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かりー 「美仏といえば、泉涌寺楊貴妃観音堂に祀られる聖観音像。絶世の美女・楊貴妃の冥福を祈って造られたという伝承があり、その名の通り端正で美しい坐像です。この美しさにあやかりたい・・・」

「御寺(みてら)」と呼ばれ、皇室からの崇敬も篤い泉涌寺に「楊貴妃観音堂」があります。祀られるのは、寛喜2年(1230)に中国・南宋より招来されたと伝わる聖観音像。豪華な宝冠や装飾品は元よりその端正な美しさから、“唐の玄宗皇帝が亡き妻・楊貴妃を偲んで造らせた”と伝承されています。美人祈願のお守りなど、授与品も人気です。

■泉涌寺
【拝観時間】9:00~17:00(受付終了16:30) ※12~2月は~16:30(受付終了16:00)
【拝観料】500円、特別拝観300円
【電話】075-561-1551
【アクセス】市バス「泉涌寺道」バス停から徒歩約15分 Google map
【ホームページ】http://www.mitera.org/

⇒【京さんぽ】あなたも京美人に!? 京都の「美人祈願」ご利益スポット


5・【大御堂観音寺】十一面観音菩薩立像
6・【寿宝寺】十一面千手千眼観音立像
等身大の仏様は圧倒的な迫力!


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大御堂観音寺


局長2018年秋キャンペーンの舞台となった一休寺のそばにある大御堂観音寺は、国宝の十一面観音菩薩立像が美しかったね」
くろモン 「同じ京田辺市にある寿宝寺には、十一面千手千眼観音立像が祀られていて、こちらは光の加減によって表情を変える優しげな佇まいの仏様でした。南山城エリアは十一面観音の優品が多いので、巡礼するのも楽しいですよね♪」

メインのお顔の上にたくさんの小さな顔が載った、特徴的なお姿の十一面観音菩薩。小さな顔たちのさらにその上には、阿弥陀如来様のお顔! あらゆる方角を見守り、衆生のどんな苦難も見逃さないという、慈悲深き観音様です。大御堂観音寺の御本尊は、奈良時代の“天平仏”を代表する作例として国宝に指定され、寿宝寺の十一面千手千眼観音立像は平安時代後期の作として重要文化財に指定されています。ともに像高170センチを超え、圧倒するような迫力が。

■大御堂観音寺
【拝観時間】9:00~17:00
【拝観料】境内無料、本堂400円
【電話】0774-62-0668
【アクセス】近鉄京都線「三山木駅」から徒歩約25分 Google map


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寿宝寺


■寿宝寺
【拝観時間】9:00~16:00
【拝観料】300円 ※要事前予約
【電話】0774-65-3422
【アクセス】近鉄京都線「三山木駅」から徒歩約5分 Google map


7・【萬福寺】ラゴラ尊者像
我が心の“仏”を見よ!


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ち~たら 「My Favorite 仏像は、萬福寺十八羅漢像のひとつ、ラゴラ尊者像です。ラゴラさんの胸から、仏様のお顔が“ヤッホー!”とでも言わんばかりに登場している様子が初めて見たときに衝撃的すぎて・・・ “心の中には仏様がいらっしゃる”という教えを表したものらしいですが、この斬新すぎる表現方法が“ツボ”にはまり大好きになりました♡」

宇治市にある萬福寺は、1661年に中国僧の隠元(いんげん)禅師によって開創された、黄檗(おうばく)宗の大本山。中国明朝様式を取り入れた伽藍配置など、境内には異国情緒が漂います。有名な弥勒菩薩(布袋)坐像など堂内に祀られる仏像もどこかエキゾチックで、その多くが中国人仏師・范道生(はんどうせい)の手によるもの。大雄寶殿(だいおうほうでん)で本尊の周りに祀られる「十八羅漢像」も、范道生の作。リアルな描写は見ごたえがあります。

■萬福寺
【拝観時間】9:00~17:00(受付終了16:30)
【拝観料】500円
【電話】0774-32-3900
【アクセス】JR奈良線「黄檗駅」から徒歩約5分 Google map
【ホームページ】https://www.obakusan.or.jp/


8・【六波羅蜜寺】空也上人立像
唱える名号が仏に化身する


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みさご 「ラゴラさんは胸から仏が現れていますが、こちらは、口から6躰の仏様が現れています! 言わずと知れた、六波羅蜜寺空也上人立像は、何度見ても感動してしまいます。
胸に金鼓を下げ、右手に橦木、左手には鹿の杖。捲り上がった裾から伸びるやせ細った膝や、草鞋を履き今にも動き出しそうな足下など、食うや食わずで念仏を唱え歩く姿をリアルに描写。唱える念仏は、“南無阿弥陀仏”の名号がそのまま仏の姿に! こんな率直な表現方法ができるのか、と驚きました」


六波羅蜜寺の開創である空也上人は、平安時代中期の僧。醍醐天皇の皇子ともされ、諸国を遍歴して修行を重ね、“森羅万象に生命を感じ、ただ南無阿弥陀仏を唱え、今日ある事を喜び、歓喜躍踊しつつ念仏を唱えた”といわれています。上人の像は、運慶の4男・康勝の作で、宝物館に安置されています。館内にはそのほか、運慶と、運慶の長男・湛慶の像など仏像の優品が並びます。

■六波羅蜜寺
【拝観時間】8:00~17:00
【拝観料】境内無料、宝物館600円
【電話】075-561-6980
【アクセス】京阪本線「清水五条駅」から徒歩約9分、市バス「清水道」バス停から徒歩約7分 Google map
【ホームページ】http://rokuhara.or.jp/

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スタッフお気に入りの仏像「菩薩、羅漢・高僧編」はいかがでしたか? そのほかにも、菩薩像であれば普賢菩薩や文珠菩薩、平等院雲中供養菩薩なども有名です。高僧像では一休寺一休禅師像など・・・ まだまだご紹介したい仏像がたくさん! このシリーズでは登場しなかった“明王”や梵天などの“天部”の仏像にも、特徴的な麗しい仏様が多数いらっしゃいます。

あらためて、京都にこれだけたくさんの仏像があることにも驚いてしまいますが、またいつかお気に入りの仏像をご紹介できればと思います! 皆さまも、お気に入りの仏様とご縁を結びに、京都にいらしてくださいね♪

Written by. みさご

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