秘儀「五月満月祭」とは? “京都最強”パワースポット・鞍馬寺の見どころガイド

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京都のお寺探訪 8


京都市の北に位置する鞍馬寺は、牛若丸や天狗にまつわる不思議な伝説が残り、京都屈指のパワースポットとしても知られるお寺。自然豊かな鞍馬山を境内とし、広大な寺域を散策がてらに参拝する人々でにぎわいます。

この鞍馬寺で、特に神秘的なお祭りが、5月の満月の夜に行われる「五月満月(ウエサク)祭」です。草木が芽吹き、生命の力が満ちる日に行われるこのお祭り、いったいどんなことが行われているのでしょうか? 気になる内容とともに、鞍馬寺の見どころや由緒をご紹介します!

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鞍馬寺へのアクセス方法は?


「鞍馬駅」では巨大な天狗面がお出迎え♪


鞍馬寺は、京都市の北部、京都駅から真北へ約18キロの山中に位置します。京都駅から直通のバスは運行していないため、アクセス方法は電車の乗り継ぎ、もしくは電車+バスを利用します。

■電車 <所要時間:約1時間>
京都駅→JR奈良線「東福寺駅」乗換→京阪本線・鴨東線「出町柳駅」乗換→叡山電車鞍馬線「鞍馬駅」から徒歩約3分で鞍馬寺山門前

■電車+バス <所要時間:約1時間>
京都駅→地下鉄烏丸線「国際会館駅」乗換→京都バス(鞍馬温泉行)「鞍馬」バス停から徒歩すぐで鞍馬寺山門前


貴船口駅付近を走る「青もみじきらら」


乗換が少ないのは電車+バスの方法ですが、叡山電車は沿線の景色が良く、また観光列車「ひえい」展望列車「きらら」が走るなど旅の楽しみが多いので、おすすめです。5月末までは「青もみじ新緑の徐行運転」として、「もみじのトンネル」の新緑をたっぷり愛でられる特別企画を実施。また、「鞍馬線開通90周年事業」として、期間限定でメープルグリーンの「青もみじきらら」も運行されていますので、初夏の旅にぴったりですよ♪

■青もみじ新緑の徐行運転
期間:2019年4月27日(土)~5月31日(金)
区間:鞍馬線 市原駅~二ノ瀬駅間(約250メートル)
※「青もみじきらら」の運行は、2020年12月上旬までを予定。

⇒「きらら」号の運行時間等、詳細は公式ホームページをご確認ください。


“大自然を感じながら歩くこと”こそが、お詣り!
・・・でも、ケーブルカーの利用も便利です♪


鞍馬寺山門(仁王門)


叡電「鞍馬駅」から徒歩約3分で、鞍馬寺の山門(仁王門)前に到着。鞍馬寺は鞍馬山全体を境内とし、お堂も山のあちこちに点在しています。目指すべきは、お詣りのメインとなる「本殿金堂」。鞍馬寺の中心道場で、境内随一の“スピリチュアルポイント”。御朱印の授与も本殿でされています。では、出発!

由岐神社


山門から本殿金堂までは九十九折(つづらおり)参道を登って約1キロ。健脚の方で約30分の道のりです。途中には「鞍馬の火祭」で有名な由岐神社や樹齢約800年の大杉が植わる杉木立など見どころが続きますが、「大変そう・・・」という方はケーブルカーを利用しましょう!

日本で唯一の、お寺が運営するケーブルカー。小さくてとてもかわいらしいのですが、実は2018年9月の台風禍によりしばらく運休・・・ 2018年10月末に無事運転を再開されました! 「ケーブル普明殿(山門駅)」から「ケーブル多宝塔駅(山上駅)」まで約200メートルを約2分で結び、そこから10分ほど歩けば、本殿金堂に到着できます。

■ケーブル時刻表
始発)山門駅8:40、多宝塔駅8:45
終発)山門駅16:30、多宝塔駅16:35
※15分~20分ごとに運行
ケーブル寄付金:片道200円


鞍馬山随一のスピリチュアルポイントで、宇宙を感じよう!


本殿金堂と金剛床


鞍馬寺で大人気のスポットといえば、こちら。本殿金堂前の「金剛床(こんごうしょう)」です。宇宙のエネルギーである「尊天(そんてん)」の波動が果てしなく広がる「星曼荼羅」をイメージしたもので、ここに立ち、体の中の宇宙と宇宙そのものである尊天が一体化することを感じる、修行の場となっています。中心の△(三角)は尊天の力が降りてくる場となるため、ここには立たず、この△から力が拡がっていくイメージで宇宙のエネルギーを感じてみるのがいいようです。


本殿金堂の反対側には雄大な山並みが続きます。


・・・ところで、「尊天」とはどのような存在なのでしょうか。それを知るには、鞍馬寺の歴史を少し紐解く必要があります。


もっと深く、鞍馬寺を知る!



鞍馬寺の創建は、平安京ができる前の奈良時代、宝亀元年(770)のこと。鑑真和上の高弟・鑑禎(がんちょう)上人が毘沙門天をご本尊として祀ったことにはじまります。毘沙門天は、北方を守る守護神。平安時代には北方守護のお寺として人気を集め、『枕草子』にも「近うて遠きもの、くらまのつづらをりといふ道」と記されています。


本殿金堂前を守る狛虎。虎は毘沙門天のお使いです。


平安末期には僧兵を擁する武の山として名を馳せ、その後、真言宗や天台宗の影響も受けましたが、山内に息づく古神道や陰陽道、修験道など様々な信仰を融合し、昭和22年(1947)、鞍馬弘教の総本山として独立されました。

そのため、鞍馬寺のご本尊も他の宗派では見られない独特の仏さま。まず、神さま・仏さまの区別をされず、森羅万象・日月星辰、あらゆるものの真理である、“大宇宙生命・宇宙エネルギー・宇宙の真理”を表す「尊天」をご本尊とします。尊天は、

月輪の精霊・慈愛の象徴である「千手観音菩薩」
太陽の精霊・光明の象徴である「毘沙門天王」
大地の霊王・活力の象徴である「護法魔王尊(脇侍、役行者・遮那王尊)」


の三身を一体とし、本殿金堂にも三像が秘仏として祀られています。

「金剛床」はご本尊「尊天」の宇宙の力を感じられる大事なスポット。鞍馬山随一のスピリチュアルポイントとされるのも、そのためなのです。


初夏の清々しさ!


自分だけの“スピリチュアルポイント”を見つけに、奥の院参道へ


本殿金堂で参拝を終える方も多いのですが、鞍馬寺のさらなるパワーを感じるならば、「奥の院」へと進んでみましょう。



本殿金堂から約2分で到着するのが「霊宝殿(鞍馬山博物館)」。こちらには北方を守護する毘沙門天の像がたくさん収められています。なかでも注目は、平安期の作である国宝「毘沙門天三尊立像」。通常ならば手に仏塔や宝棒を持つ姿で表現されることの多い毘沙門天が、左手をおでこにあて、遠く平安京のある方角をじっと眺めているかのような、珍しいお姿をされています。


木の根道


さらに山中へと進むと、“背比べ石”や“木の根道”など、牛若丸ゆかりのスポットが登場してきます。ここからの道は以前にはうっそうとした杉木立が続いていたのですが、2018年の台風により、だいぶ明るい雰囲気になっています。そして、下りの山道の先に現れるのが「奥の院」。はるか昔、三尊尊天の一尊である「護法魔王尊」が降臨した場所とされ、「魔王殿」の名でも知られています。



1998年の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンで「六五〇万年前、金星よりの使者、この地に立つ。」というコピーがありましたが、それがこの護法魔王尊。ヒンドゥー教の神話に登場する賢人のひとり「サナト・クマーラ」と同一視されたり、天狗の頭領「大僧正」なのでは? など、諸説あります。

■You TubeでCMを見る

魔王殿を過ぎれば、貴船神社へと抜ける西門はすぐそこに。山門から西門までは約2.5キロ、ゆっくり歩いて3時間ほどの道のりです。鞍馬山の自然を感じながら歩く参詣路は、まさに巡礼の道。歩く人それぞれにパワーを感じられるスポットがあるとのことなので、一番自分の“気”に合うスピリチュアルポイントを探してみてはいかがでしょうか。


満月の夜は目覚めのエネルギーが降り注ぐ!
秘儀「五月満月祭」は、もっとも鞍馬寺を体感できるお祭りです


蓮花型の灯明と満月


ちょっと不思議で神秘的な鞍馬寺。京都の多くのお寺とは違う雰囲気に、面食らう方もいらっしゃるかもしれません。でも、このスピリチュアルでエキゾチックな雰囲気が、鞍馬寺最大の魅力。そしてその魅力がもっとも高まるのが、「5月の満月の夜」なのです。

新緑芽吹く5月。「すべての者の目覚めのために天界から強いエネルギーが降り注ぐ」として、鞍馬寺では「五月満月」の秘儀が執り行われます。アジアの各地では「ヴァイシャーカ月(4月から5月頃)」の第一満月の夜に釈迦の遺徳を讃える儀式が行われているそうで、鞍馬寺の秘儀もその名を取り、「ヴァイシャーカ」が転じて「ウエサク」となり、「五月満月(ウエサク)祭」と称するようになりました。

この日だけは夜も開門。19時からはじまる儀式に合わせて、夕方にはたくさんの参詣者で本殿金堂前は賑わいます。以前は儀式が深夜にまで及んだため、寝袋などを持参し山中で夜を過ごす参詣者も多かったそうですが、現在では叡山電車の最終便に間に合うよう、22時過ぎには儀式が終了します。



前庭ではこの日限定で「お力の宝棒護符」を授与されていて、「一人一願成就祈願申込票」に記入すればいただくことができます(1,000円)。「心のともし灯」と呼ばれる蓮花型の灯明も合わせて用意しておくのがおすすめです(1,000円)。


五月満月祭の日、賑わう本殿金堂前


祭典は以前には三部に分かれて行われていたのですが、4年ほど前から一部構成となって行われています。

まず最初に、自己と場の清浄を願って護法魔王尊を讃仰、「きよめ」を祈ります。月が東の空で輝きを増す頃、本殿内陣から「消えぬ灯」を大燭台に迎え、ひとりひとりの心華の象徴である「心のともし灯」にうつしていきます。祭場がともし灯に埋まると、満月の灯りの下、全員で瞑想を行います(「はげみ」)。夜の山中で、何百人もの人々が息を静め、一心に祈りをささげる時間は、他では体験できない貴重な時間です。



最後に、「心のともし灯」を高く掲げて「お力の宝棒」の加持を受けます。月光のふりそそいだ明水を分かち合い、慈愛を心に満たし、すべてのものの「めざめ」を祈り、祭典は終了となります。

2019年の五月満月祭が行われるのは、5月18日(土)。週末に重なることからたくさんの人出が予想されますが、鞍馬寺の深奥を感じられるお祭りだけに、参列し、体の中に宇宙のエネルギーを蓄えてみてはいかがでしょうか。
 

■鞍馬寺
【拝観時間】9:00~16:30
【拝観料】300円(愛山費)
【電話】075-741-2003
【アクセス】叡山電鉄鞍馬線「鞍馬駅」から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】http://www.kuramadera.or.jp/
★五月満月祭の詳細はこちら

周辺スポットにも寄ってみよう!


たくさんの神秘が詰まった鞍馬寺。訪れるならば、ぜひ周りのスポットも合わせて訪ねてみてくださいね♪

貴船神社


■貴船神社
水の神様を祀り、こちらもパワースポットとして大人気。鞍馬寺から山越えで参詣されてみては?
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■くらま温泉
露天風呂の日帰り入浴も可能です♪
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■雍州路
鞍馬寺の山門前にある食事&喫茶のお店。民芸作りの店内が良い雰囲気!
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■瑠璃光院
1日150名限定の夜の特別拝観は、2019年6月29日(土)まで開催中! ※土曜日及び休前日のみ実施、要事前申込み
⇒詳細はこちら

Written by. みさご

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