めでたき新年を祝う、1月の和菓子

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京の和菓子の玉手箱 28


2020年がはじまりました! オリンピックイヤーとなる記念すべき年のはじまりは、華やかな和菓子とともに過ごしてみませんか。1月の和菓子をご案内いただくのは、和菓子ライフデザイナーの小倉夢桜(ゆめ)さん。今年も様々な京都の和菓子をご紹介していきますので、どうぞご注目くださいね♪

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明けましておめでとうございます。
2020年が、皆さんにとって佳き一年でありますように願っております。本年も京都の和菓子から四季を感じてお過ごしいただければ幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。


十日ゑびす大祭(初ゑびす)(撮影:「そう京」編集部)


皆さんはどのようなお正月を過ごされたでしょうか。私は、今年も寿ぎの賀正菓子から、京都のお正月を感じて過ごしました。この時季は、京都の和菓子屋が一年の中で最も華やいだ雰囲気となり、縁起物のお菓子が店頭を彩ります。お店に訪れるだけで、まるで福をいただいたような気分に。皆さんも福をいただきに、お店に足を運ばれてみてはいかがでしょうか。


■鍵善良房
【想望(そうぼう)】


北野天満宮(撮影:「そう京」編集部)


毎年、1月の中旬(2020年は1月16日)に皇居・宮殿で開催される「歌会始(うたかいはじめ)の儀」。ひとつの共通のお題で歌を詠み、披講する会を「歌会」といい、天皇陛下が年の始めの歌会として執り行われる歌御会(うたごかい)が「歌会始」です。そのお題に合わせて作られたお菓子のことを、「勅題菓(ちょくだいか)」と呼びます。

令和2年、新天皇が即位されて初となる歌会始のお題は、「望(のぞみ )」。寒い日々が続く、1月。冬木立となった梅の木に蕾が膨らみ、その蕾がほころび、早く花開くことを待ち望む人々。


想望 380円(12月24日~1月15日販売予定、事前にお問合せください)


こちらは、祇園の老舗和菓子店・鍵善良房が手がける勅題菓。梅の木に花開く紅白梅を表現しています。梅の花が咲く様子を心に思い描いて、待っている姿。見た目の美しさもさることながら、素材にもこだわりが。希少品の白小豆を使用した白粒あんを、黒糖入りのこなしで包む、上質なお菓子です。


【寒紅梅(かんこうばい)】


智積院(撮影:「そう京」編集部)


凛とした空気の中に咲く、艶やかな紅梅。古くから“梅”は“白梅を意味する”言葉として用いられてきたために、後に「紅梅」という言葉が生まれました。気品に満ちた白梅に対して、華やいだ雰囲気を感じます。梅の蕾がほころぶと春はもうすぐ。“百花の魁(さきがけ)”や“春告草(はるつげくさ)”とも呼ばれる梅は、新年を迎えたこの時季にふさわしい花です。


寒紅梅 380円(1月中旬~下旬販売予定、事前にお問合せください)


こちらも、鍵善良房の初春を飾る菓子。紅梅を模った、こなし製のお菓子です。寒紅梅とは、梅の変種で、寒中に紅色の花を開く梅のこと。他の梅よりも少し早く、1月の中旬に見頃を迎えます。楚々とした梅の姿を表現した美しいお菓子から、ひと足早く春を感じてみてはいかがでしょうか。

■鍵善良房 四条本店
【営業時間】9:00~18:00、喫茶9:30~18:00(ラストオーダー17:45)
【定休日】月曜日(祝祭日の場合は翌日)
【電話】075-561-1818
【アクセス】市バス「祇園」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】http://www.kagizen.co.jp/
※「想望」・「寒紅梅」は発送での販売はできませんので、ご注意ください。


■京菓匠 笹屋伊織 本店
【福寿草(ふくじゅそう)】


お正月を彩る草木や花のひとつに、福寿草があります。旧暦の正月頃より花開くことから「元日草」とも呼ばれる草花です。冬枯れのなか明るく咲く姿は、新しい年のはじまりにふさわしく、江戸時代初期より吉祥の象徴として扱われてきました。


福寿草 432円(1月上旬~下旬販売予定、事前にお問合せください)


東寺の“弘法さん”にあわせて毎月21日の前後3日間だけ販売される「どら焼」のお店として知られる、笹屋伊織。鮮やかな黄金色の花びらが印象的な福寿草を表現した、こなし製のお菓子です。一年のはじまりに、さりげなく、大切な方へ幸せを願って手渡しされてみてはいかがでしょうか。


【雪間の緑】


曼殊院(撮影:「そう京」編集部)


新年を迎え、私たちの気分はどこか春を迎えたかのよう。とは言え、自然界では、まだしばらく厳しい冬が続きます。凍てつく寒さのなかでも、植物たちは春を迎える準備をしています。降り積もった雪の下。厳しい寒さに耐えながら、新しい命が芽吹いています。


雪間の緑 432円(1月上旬~下旬販売予定、事前にお問合せください)


雪の下で芽吹く緑を表現した、きんとん製のお菓子。雪の下では、冬から春へ。季節が移ろう一瞬の情景を映しとる、京菓子ならではの美しさが感じられます。春を待ちながら、今の寒さを楽しむ。この時季にしか味わえない気分を、お菓子から味わってみてください。

■京菓匠 笹屋伊織 本店
【営業時間】9:00~17:00
【定休日】火曜日 ※「どら焼」の販売日(毎月20・21・22日)の場合は営業・23日振休
【電話】075-371-3333
【アクセス】JR山陰本線(嵯峨野線)「梅小路京都西駅」から徒歩約3分、市バス「七条大宮・京都市水族館前」バス停から徒歩すぐ Google map
【公式ホームページ】https://www.sasayaiori.com/

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今回は新春恒例の「歌会始の儀」にちなんだお菓子をはじめ、1月ならではのお菓子をご紹介させていただきました。お菓子で温もりある日々をお過ごしください。

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文・写真:小倉夢桜 —Yume—
和菓子ライフデザイナー/ライター/フォトグラファー。京都五感処・京都Loversフォーラム代表。2012年よりホームページ『きょうの「和菓子の玉手箱」』を運営し、毎日京都の和菓子を紹介し続けている。現在は『月刊京都』(白川書院)で「月刊京都版・きょうの『和菓子の玉手箱』」を連載中。
【きょうの『和菓子の玉手箱』】https://kyoto-lovers-forum.com
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Written by. みさご

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