復興15周年! 洛陽三十三所観音霊場を巡ろう

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「御朱印」や「パワースポット」、「健康志向」ブームを背景に、若い世代の方からも注目を集めている“霊場巡り”。日本各地にある霊場巡りで有名なものといえば、「四国八十八ヶ所霊場」や、「西国三十三所観音霊場」でしょうか。しかし「霊場巡りとなると、移動距離も長く日を要しそう・・・」と思われる方も多いはず。そんな皆さまに、本日は“京都市内”に点在する33の霊場を巡る、洛陽三十三所観音霊場をご紹介します。

※京都旅行の際は、マスクの着用・手指のアルコール消毒など、感染症予防対策へのご協力をお願いいたします。



そもそも“洛陽三十三所観音霊場”とは?


京都の寺院が、札所(霊場)に含まれるものとして有名なのは「西国三十三所観音霊場」でしょう。近畿二府四県と岐阜県のお寺からなり、かなり広範な霊場巡りとなります。一方で“洛陽三十三所観音霊場”は、言うなれば、“西国三十三所観音霊場の京都市内版”。「京都府内」ではなく「京都市内」に点在する、観音様を祀る33の札所をお参りするという、非常にコンパクトな霊場巡りです。“人々の様々な苦しみや悲しみを取り除き、幸せへと導いてくれる”という観音様を巡る巡礼路。では、まずは歴史から簡単に学んでみましょう。



後白河天皇によって定められたと伝わります


「広域なため巡礼が困難である西国三十三所に替わる霊場巡りを」と後白河天皇によって定められたという洛陽三十三所観音霊場。その創設は平安時代にまで遡り、その後、応仁の乱により衰退したものの、江戸時代の霊元天皇により、現在に見る札所(霊場)とほぼ同じ巡礼順路(札所番号)で中興。明治時代の廃仏毀釈などにより、ふたたび途絶えてしまうのですが、平成17年(2005)に“平成の復興”を遂げ、2019年4月に再興15周年を迎えました。



今まさに“再興15周年”期間中!

「再興十五周年」と記された記念印は全部で7種類(札所によって異なります)


2019年に“再興15周年”を迎えた「洛陽三十三所観音巡礼」ですが、2020年の今現在も、引き続き記念事業を開催中です。巡礼する方にとって、もっとも興味深いものが“記念御朱印”ではないでしょうか。全札所で、「再興十五周年」と記された印が特別に押印されています。実は、記念御朱印の授与は、今年の12月31日(木)をもって終了される予定でしたが、“コロナ禍”により、「巡礼したくてもできなかった方が多いのでは?」と、2021年3月31日(水)まで授与期間を延長されることになりました。「いま初めて知った!」という方であっても、まだまだ間に合いそうですね♪



札所には有名寺院も名を連ねます

第23番札所である東寺では、食堂(じきどう)に千手観音菩薩が祀られています


「霊場巡り」となると、やはり気になるのが「札所」であるお寺のラインアップ。観光寺院ではない小さなお寺も多く含まれますが、有名なお寺をあげるなら、清水寺東寺[教王護国寺]金戒光明寺などでしょう。これからの時季であれば、巡礼とともに紅葉も見どころとなるお寺です。清水寺に関しては、境内の中に札所がなんと5ヵ所も! これだけを聞いても、気軽に巡れそうな気がしますよね?



☆霊場会のお坊様に、巡礼の“コツ”をお聞きしました☆
コツ1:効率良く巡るには、「札所の順番」にはこだわらない

“一桁台の札所”が並ぶエリアに、突如として32番札所の廬山寺が現れます


「巡礼してみようかな?」と思われた方に、22番札所・城興寺の住職で、霊場会の役員でもある上原慎勢(しんせい)さんに、巡礼の“コツ”を教えていただきました。

上原さん 「この霊場巡りは非常に歴史があるため、札所番号が入れ替わったり、平成の復興の際に『空き番』となってしまった札所に、新規でご加入いただいたお寺もあるため、隣接の札所であっても“番号が飛んでいる”ことがあります。そのため、特に初めて巡礼される方は、順番を気にせず廻られると良いかと思います」

そうおっしゃられる通り、「順番通り」に巡ろうとすると「行ったり来たり」してしまうことが、どうしても数回発生してしまいます。



コツ2:「公式御朱印帳」と「公式ガイドブック」を持って巡礼しましょう


左:公式御朱印帳 1,500円 右:公式ガイドブック 300円


上原さん 「札所の中には、清水寺や東寺など有名なお寺もありますが、通常は一般公開されていない小さなお寺も数多くあります。しかし、そういったお寺も、人に紹介したくなるような歴史や文化財を伝えられています。そういった各寺院の歴史などを学んでいただきたく、公式御朱印帳やガイドブックでは各お寺・札所の解説を記載しています」

御朱印帳も、ガイドブックも、ともに嬉しい“ハンディサイズ”で、持ち運びにも便利! また、33の札所を効率良く4日間(4行程)に分けて巡る「歩いて廻るお薦めコース」の紹介付き。これは心強い味方になること請け合いです♪ ただし、御朱印帳・ガイドブック共に、一部の札所では販売されていないようですのでご注意ください。

\「公式御朱印帳」「公式ガイドブック」の販売先などのお問合せは下記まで/
■平成洛陽三十三所観音霊場会(城興寺内)
【電話】075-691-3614(9:00~16:30)



☆実際に巡ってみました☆
巡礼旅へ出発! やはり最初に行くのは・・・


公式ガイドブックに記載されている「歩いて廻るお薦めコース」の「1日目」に掲載されている8つの札所を、実際に巡礼してみました。
最初の巡礼地は、京都市の中心部、地下鉄「烏丸御池駅」から歩いて3分ほどの第1番札所・六角堂[頂法寺](Google map)。アクセスも良く、観光でお越しの方にとっても、スタートしやすい札所ではないでしょうか。「やはり最初は1番札所から!」という方にとっても、「公式御朱印帳」と「公式ガイドブック」が販売されているという点でもスタートにふさわしいお寺です。
それでは、行程約7.4キロ、所要時間約2時間半とされる「1日目」の行程を歩いてみましょう。




中心部から京都御苑方面へ

京都の繁華街に堂宇を構える誓願寺


第1番の六角堂から東へ歩いて第2番の誓願寺(Google map)へ、そしてそこから北上し第4番の革堂[行願寺](Google map)へ。各所では、観音様へお詣りをし“記念御朱印”も拝受。革堂からは、京都御苑の東に走る寺町通を北上し、紫式部ゆかりの第32番・廬山寺(Google map)に向かいます。11月30日(月)までは、今話題の「明智光秀」の念持仏と伝わる地蔵菩薩の特別拝観を実施中。巡礼しながら、“観光”を楽しめるのも嬉しいポイントですね。



京都御所を護ってきたという護浄院へ


廬山寺から、歩いて5分ほどの第3番・護浄院(Google map)へ。京都御所の浄域を護るためこの地に遷されたという、由緒のあるお寺です。ここまで時間にして1時間弱。廬山寺で“観光”を楽しんだなら、追加30分ほどでしょうか。
1時間ほどで順調に5つの札所を巡ることができましたが、さあ、ここから先が難関・・・ 上原さんが「全4行程の中で、最も“間延び区間”となります・・・」とおっしゃられる第5番・新長谷寺(Google map)のある真如堂まで、なんと約45分(!)の道のり。もちろん、歩きます。



確かにちょっと疲れますが・・・

護浄院からまっすぐ東へ。鴨川にかかる荒神橋を渡ります


真如堂までの道中で通りかかる鴨川吉田神社。真如堂に至るまで距離はあるのですが、京都らしい光景をのんびり楽しむことができるのは「歩く旅」ならでは。4日間(4行程)に分けられた行程で、「最長距離」とされるのがこの「1日目」なのですが、それでも目安の所要時間は2時間半ほど。例えば、合間で昼食を挟むなど、“寄り道”をしながらでも十分に半日ほどで収めることができそうです。



新長谷寺(真如堂)から金戒光明寺へ

真如堂境内の中でも、人通りの少ない場所に佇みます


護浄院から“寄り道”をせず約40分。新長谷寺に到着です。洛陽三十三所観音霊場では、この新長谷寺のように、「境内にひっそりと佇む無人のお堂」が札所となっている場合が多々あります。そういった場合、御朱印は、本堂や納経所など境内の別の場所で授与されています。こちらでは、真如堂本堂のなかにある納経所で御朱印をいただけます。
真如堂の隣に堂宇を並べる第6番・金戒光明寺(Google map)では、「吉備観音」が祀られる御影堂(大殿)へ。お詣りをし、堂内に併設の授与所で御朱印をいただきました。



最後の札所である大蓮寺に到着♪


金戒光明寺からは、平安神宮などを横目に歩くこと約20分で、第8番・大蓮寺(Google map)に到着です。堂内の拝観はできませんが、本堂には、明治の廃仏毀釈の際に、かつてはお寺としての性格も備えていた八坂神社から運ばれたという仏像が祀られており、そのうちの「十一面観音菩薩」が洛陽三十三所観音霊場の仏様とされています。本堂の外から手を合わせ納経所で御朱印をいただいたら、「1日目」の行程はこれにて終了! スタートとなる六角堂からは、およそ3時間弱という所要時間でした。お昼過ぎから歩き始めても、夕方には巡り終えることができるということになります。



ここで再び登場の上原さんから皆さまへ

京都の地理に詳しければ、「1日目」と清水寺界隈を巡る「2日目」を、1日で踏破することもできそうです


上原さん 「『公式ガイドブック』には、4日間(4行程)に分けて33ヵ所を巡るコースを掲載していますが、午前中から巡礼を開始すると、コースの組み合わせ次第で、2日(2行程)分を1日で廻ることもできると思います。離れているエリア間を、バスなどを効果的に利用すれば、3日ほどで、33ヵ所を巡り終える“満願”も達成できるのではないでしょうか。また、札所は原則的に『年中無休』ではありますが、ご家族だけで対応されている小さな札所もあります。“急な拝観休止”の場合もあるかもしれませんので、不安な方は事前に問い合わせの上、巡っていただくことをお薦めします」

公式ガイドブックには、電話番号に加え、拝観時間や交通アクセス、そしてマップなども掲載されています。やはり巡礼旅の力強い味方になってくれそうですね。



“記念御朱印”の授与は、令和3年3月31日までに延長


先述の通り、当初は今年12月31日(木)までであった“再興十五周年記念御朱印”の授与は、“コロナ禍”の影響に配慮し、令和3年(2021)3月31日(水)まで延長されることとなりました。お寺によっては複数の御朱印を授与されていますので、巡礼の際は「洛陽三十三所観音霊場の記念御朱印をください」など、納経所や授与所の方に分かりやすく伝えられることをお薦めします。
また、同期間内に全ての札所を巡り“記念御朱印”を受けられた方に、第28番の中院(Google map)がある壬生寺では、“満願”を記念した「腕輪念珠御守」の贈呈も(先着1,000名)。せっかくの機会ですので、記念の年に巡礼されてみてはいかがでしょうか♪

\洛陽三十三所観音霊場に関するお問い合わせは下記まで/
■平成洛陽三十三所観音霊場会(城興寺内)
【電話】075-691-3614(9:00~16:30)

\各札所の情報等は下記をご覧下さい/
「洛陽三十三所観音霊場」公式ホームページ
http://rakuyo33.jp/




Written by. カツオ

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