いま見ておきたい! 「京の冬の旅」非公開文化財特別公開、おすすめモデルコース

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西陣 興聖寺

西陣 興聖寺

現在開催中の恒例イベント「京の冬の旅」非公開文化財特別公開(以下、京の冬の旅)。この冬は「建築の美」と「茶人ゆかりの禅寺」をテーマに14箇所で行われていますが、スポット選びや行き方に悩む方も多いはず。そこで今回は、「京の冬の旅」初公開など気になるスポットをピックアップして、実際に1日コースを組んで巡ってみました! 旅の参考にしていただけると幸いです。

⇒「京の冬の旅」非公開文化財特別公開の詳細はこちら
※「京の冬の旅」の各スポットは事前予約優先制。当日でも空きがあれば拝観可能ですが、予約をしておくと拝観がスムーズです。
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、京都旅行の際は、政府およびお住まいの都道府県と京都府の要請をご確認ください。京都にお越しの際は、マスクの着用・手指のアルコール消毒など、感染拡大防止の徹底にご協力をお願いいたします。日々、状況は変化しておりますので、事前に最新情報をご確認ください。

<「京の冬の旅」初公開>
【東本願寺】圧巻の伽藍を、御影堂門の楼上から体感!

御影堂門

御影堂門

各公開箇所の拝観は10時から(一部除く)。拝観開始にあわせて訪れたのは、京都駅から徒歩7分程に位置する東本願寺です。京都駅から真っ直ぐのびる烏丸通に面した大寺院で、「見たことがある!」という方も多いのではないでしょうか。

楼上には、釈迦如来坐像・弥勒菩薩像・阿難尊者像が安置されています。

楼上には、釈迦如来坐像・弥勒菩薩像・阿難尊者像が安置されています。

「京の冬の旅」では、東本願寺の入り口となる御影堂門(重文)が特別公開されています。日本一高い木造楼門(二重門)として有名ですが、普段は非公開となり、滅多に楼上に上がることはできません。そんななか、2023年に「親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要」を迎えることもあり、今回、特別公開が行われることになったそうです。
  • 楼上から眺める阿弥陀堂(左)と御影堂(右)

    楼上から眺める阿弥陀堂(左)と御影堂(右)

  • 蓮型の噴水。実は、設計は建築家・武田五一、デザインは日本画家・竹内栖鳳によるものだそう。

    蓮型の噴水。実は、設計は建築家・武田五一、デザインは日本画家・竹内栖鳳によるものだそう。

  • 扁額

    扁額

楼上に上がると、京都タワーや東山連峰などの眺望が待ち受けています。境内を望むと、世界最大級の木造建築・御影堂と、阿弥陀堂(ともに重文)。いつも「大きいな~」と見上げていた建物ですが、正面からの光景も圧巻! 屋根に敷き詰められた瓦の多さにも驚くばかりです・・・。そして反対側から烏丸通を見下ろせば、蓮型の噴水。御影堂正面にかかる扁額「真宗本廟」もかなりの大きさで、楼上ならではの体験ができました。

御影堂門から望む御影堂

御影堂門から望む御影堂

東本願寺を拝観したら京都駅へ戻り、市バス1日乗車券(700円)を購入。烏丸口バスターミナルから市バス9系統に乗車します。次に目指す西陣エリアまでは30分ほどかかりますが、車窓からは世界遺産・西本願寺二条城、一条戻り橋、晴明神社などを見ることができ、移動中も観光気分が楽しめます。

※西本願寺の書院は「京の冬の旅」の公開箇所のひとつ。「僧侶がご案内する特別拝観」を日にち限定で行われています。こちらをルートに組み込むのもおすすめですよ♪

<「京の冬の旅」40年ぶりの公開>
【西陣 興聖寺】古田織部ゆかりの寺を彩る“海中写真”の襖

  • 本堂

    本堂

  • 本堂内部

    本堂内部

「天神公園前」バス停を降りると、西陣 興聖寺はすぐそこ。堀川通に面した門をくぐり、境内へ進みます。こちらは武将茶人・古田重然(織部)ゆかりのお寺で、通称「織部寺」。本堂には本尊・釈迦如来像や藤堂高虎が寄進したと伝わる達磨像などを安置し、力強い天井画「雲龍図」が堂内を火災から守っています。
  • 杏橋幹彦 「青波(せいは)」の襖 

    杏橋幹彦 「青波(せいは)」の襖 

  • 四季の天井画

    四季の天井画

  • 降り蹲踞(つくばい)

    降り蹲踞(つくばい)

方丈では、斬新な“青い襖”が迎えてくれました。近年、京都のお寺では、さまざまな襖絵を見かけますが、こちらはなんと海の中で撮影された写真が襖に! 昨年(2021年)、写真家・杏橋幹彦(きょうばし みきひこ)さんが奉納し今回が初公開とのことで、私も楽しみにしていたのです。約6メートルに及ぶ美しい海の世界は、禅宗寺院に新たな風を吹き込んでいるよう。襖に注目しがちですが、四季の風景を彩る天井画も見事でした♪ その他、茶室「雲了庵」への通り道にある個性的な“降り蹲踞”も見どころです。

「京の冬の旅」特別記念 限定御朱印 800円

「京の冬の旅」特別記念 限定御朱印 800円

「京の冬の旅」の限定御朱印をいただき、拝観を終えたところで、ちょっとひとやすみを。西陣 興聖寺から次の目的地である報恩寺へは徒歩7分ほど。周辺には、ひだまりカフェや鶴屋吉信が営むtsubara cafe(ツバラ カフェ)、俵屋吉富が営む茶ろん たわらやなどがあります。

 <京の冬の旅 8年ぶりの公開>
【報恩寺】秀吉を不眠症にした?!「鳴虎図」は必見

  • 本尊・阿弥陀三尊像

    本尊・阿弥陀三尊像

ひとやすみで身体も暖まったところで、報恩寺を訪れました。本尊は、鎌倉時代を代表する仏師・快慶作と伝わる阿弥陀三尊像。脇を守る観世音菩薩と勢至菩薩は、来迎の様子を表し、少し前屈みになっているのが特徴です。

鳴虎図(なきとらず)

鳴虎図(なきとらず)

注目は、中国伝来の「鳴虎図」。カササギと松を背景に、水を飲む虎が描かれています。1月17日(月)からの2期は複製品の展示となっていますが、虎の体毛一本一本が緻密で、原本と見間違うほどでした。実はこの図、豊臣秀吉がたいへん気に入り、邸宅であった聚楽第に持ち帰ったところ、毎夜、虎が鳴き秀吉は眠ることができず、お寺へ返した・・・ という逸話がのこります。それにより「鳴虎図」と呼ばれるようになり、お寺の通称も「鳴虎」に。寅年の今年、ぜひ見ておきたい掛け軸です。

大黒天像

大黒天像

2期では大黒天像(重文)も公開。普段は京都国立博物館に寄託されていて、お寺で公開されるのは、今回が初めてとなるそう。頭が大きく柔和な表情は、なんだかキャラクターのようにも見え、ほっこりしました♪
  • 方丈前庭

    方丈前庭

  • お庭には梅擬(うめもどき)が彩りを添えていました。

    お庭には梅擬(うめもどき)が彩りを添えていました。

掛け軸「織田信長像」「豊臣秀吉像」など寺宝をたっぷり堪能したら、5分ほど歩き、今出川通へ。「堀川今出川」バス停から市バス59系統に乗車し、仁和寺へ向かいます。乗車時間は約25分。時間に余裕がある場合は、バス停正面にある白峯神宮に立ち寄ってみてはいかがでしょう。

<「京の冬の旅」18年ぶりの公開>
【仁和寺】嬉しい! “特別回遊ルート”で楽しむ御所庭園

二王門

二王門

最後は、世界遺産・仁和寺へ。「御室仁和寺」バス停を降りると、堂々たる二王門(重文)が迎えてくれます。皇室ゆかりの格式あるお寺で、2021年、御殿のお庭「御所庭園」が国の名勝に指定されました。「京の冬の旅」の登場は18年ぶりとなり、通常立ち入ることのできない4つの“特別回遊ルート”でお庭を楽しむことができます。
  • 南庭

    南庭

  • 南庭

    南庭

  • 勅使門の彫刻

    勅使門の彫刻

御殿には南庭と北庭があり、まずは南庭の特別回遊ルートへ。通常閉ざされた皇族門をくぐりお庭に入ります。いつもは建物内から眺めていた勅使門ですが、間近に眺められ、細やかな彫刻をしっかり見ることができました。南庭には、白書院から降りるルートも設けられています。
  • 北庭。宸殿から望む五重塔(重文)と茶室「飛濤亭(ひとうてい)」(重文)は、定番の風景です。

    北庭。宸殿から望む五重塔(重文)と茶室「飛濤亭(ひとうてい)」(重文)は、定番の風景です。

  • 北庭

    北庭

  • 宸殿内部

    宸殿内部

北庭の特別回遊ルートでは宸殿から北庭に進むことができ、南庭と同じく、より間近に鑑賞可能。通常では眺められない風景を楽しむことができます。
  • 茶室「飛濤亭」から北庭・宸殿を望む

    茶室「飛濤亭」から北庭・宸殿を望む

  • 飛濤亭周りに広がる露地庭園

    飛濤亭周りに広がる露地庭園

そして最も感動したのが、茶室「飛濤亭」から望む北庭と宸殿。何度も訪れたことのある仁和寺ですが、まさかこんな風景が楽しめるとは! 飛濤亭へは、北庭の奥に広がる露地庭園を抜けるのですが、もちろん初めて拝見。外からですが、飛濤亭の内部を見ることもできました。
 
仁和寺の拝観を終えたのは、16時頃。「御室仁和寺」バス停から市バス26系統に乗車し、約45分で京都駅に到着です。各公開箇所ではガイドさんのご案内に耳を傾け、貴重な建築や襖絵、庭園など、たっぷり楽しむことができた1日となりました。たくさん巡りたいところですが、1日4~5箇所位がじっくり楽しめるのではないでしょうか。皆さんもぜひ、防寒&コロナ対策をしっかり準備し、「京の冬の旅」をお楽しみください。
※掲載内容は2022年1月26日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。

Written by. かりー

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