美術館にショップ、蕎麦屋まで?! 京都通におすすめの徳力版画のお店

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十八番屋 花花

十八番屋 花花

京都でお買い物をしていると、版画のデザインが施されたかわいらしい包み紙や紙袋に目が留まることはないでしょうか。数ある工房や作家さんのなかから、今回注目するのは“徳力版画(とくりきはんが)”です。ほのぼのとした雰囲気のある作風は味わいがあり、京都人にも深く愛されています。
 
じつは徳力版画は版元としてのお仕事以外に、多種多様なお店を営んでいらっしゃいます。そのどれもがセンスやアイデアにあふれ、京都通の方にこそ知っていただきたいものばかり。それぞれの魅力をたっぷりご紹介しましょう♪
※新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、京都旅行の際は、政府およびお住まいの都道府県と京都府の要請をご確認ください。京都にお越しの際は、マスクの着用・手指のアルコール消毒など、感染拡大防止の徹底にご協力をお願いいたします。日々、状況は変化しておりますので、事前に最新情報をご確認ください。

そもそも徳力版画とは?

十二代目 徳力富吉郎さん

十二代目 徳力富吉郎さん

徳力版画は昭和初期に十二代目 徳力富吉郎さんによって立ち上げられました。十二代目という肩書きに驚かれる方も多いと思いますが、徳力家は西本願寺の絵所を預かる家系。初代、二代、三代の作品は国宝に指定されています。
  • 十二代目 徳力富吉郎作『仁和寺 春』

    十二代目 徳力富吉郎作『仁和寺 春』

  • 京都の名所風景

    京都の名所風景

十二代目も絵師として活躍する一方で版画の魅力に触れ、ついには「版元まつ九」を興して絵師、彫師、摺師の養成に努めたそうです。98歳の生涯で9,000点以上の作品を手掛けたと聞くと、版画への並々ならぬ想いが伝わってきますね。

■京都徳力版画館

  • 3階 コレクションルーム。中央の作品が『孔雀明王像』です

    3階 コレクションルーム。中央の作品が『孔雀明王像』です

  • 3階 コレクションルーム

    3階 コレクションルーム

  • 2階には雑貨をあつめたショップがあります

    2階には雑貨をあつめたショップがあります

  • 外観。月ごとに変わる暖簾も見どころ

    外観。月ごとに変わる暖簾も見どころ

徳力さんが版画の発展を願って平成3年(1991)に開いた私設美術館が「京都徳力版画館」です。作品はもちろん、研究を進める過程で蒐集した膨大なコレクションも見どころ。日本最古の版画「百万塔陀羅尼」、エジプトのパピルス紙、竹久夢二の作品など、版画に関連するものがずらりと並びます。
 
なかでも、仁和寺に伝わる国宝『孔雀明王像』を1,300回の摺りで表現した木版画は圧巻。寸分の狂いなく版を重ねること1,300回・・・ 聞くだけで気が遠くなってしまいます。
 
入館料は無料! 要予約ですが、その分、ゆっくりとアート空間に浸れますよ。
 
■京都徳力版画館
【開館時間】10:00~16:00 ※予約制
【休館日】日曜日・祝日
【入館料】無料
【電話】075-761-0374
【アクセス】市バス「熊野神社前」バス停から徒歩約6分、京阪本線「神宮丸太町駅」から徒歩約5分 Google map
【公式ホームページ】https://www.hanase.co.jp/

■十八番屋 花花

徳力さんの版画は、絵はがきや便箋などさまざまな雑貨にも活用されています。寺町通りにある「十八番屋 花花(おはこや そうか)」は、数ある雑貨のなかでも箱の上蓋に版画イラストをあしらった看板商品“おはこ”をメインに扱うお店。
  • 京都名所シリーズ

    京都名所シリーズ

  • 京野菜シリーズ

    京野菜シリーズ

  • 言葉シリーズ

    言葉シリーズ

魅力は種類の多さ。徳力さんの作品以外に、鳥獣戯画や葛飾北斎の漫画、現代のアーティストの作品などを題材に、お店には常時約300~400種類が並ぶそう。季節によって入れ替えるものを含めると全部で1,000種類以上も! 徳力さんの作品が良いという方は「と」の落款を目印に探してみてください。
商品名から箱だけかと思われるかもしれませんが、中身も選べます! 金平糖、チョコレートといった食品から、折り紙、メモ帳、ハンカチなどなど、これまた豊富なラインアップ。中身も30種類ほど用意があり、選んだ中身に応じて値段が変わる仕組みです。

自分用ならば箱と中身を選んで終わりですが、プレゼントはさらに包装紙とシールまで選択肢が! これだけ組み合わせの楽しみがあれば、「人とは違うちょっと気の利いたプレゼントに」というお客様が多いのにも納得です。
  • うさぎのしっぽがかわいいタオル

    うさぎのしっぽがかわいいタオル

私もプレゼント用に選んでみました♪ 徳力さんの作品『京まいこ』の箱に、中身はうさぎの丸タオル。写真をスライド(スワイプ)してよ~く見ていただくと、包装紙と熨斗シールもうさぎ柄でおそろいです。
 
じつは、うさぎ柄がたまたま充実していたわけではなく、店内の商品もうさぎがいっぱい! 理由を伺ってみると、徳力版画のご当代が卯年生まれ。ちょうど来年は卯年ですから、年末に干支グッズを探す際は重宝しそうです。
  • 団扇 各1,430円

    団扇 各1,430円

今からの時季なら、祇園祭の商品も要チェックです! “おはこ”の種類もたくさんあります。特に、徳力さんの作品を使った団扇が人気とのこと。宵山散策で仰げば目を引きそうですね。
 
■十八番屋 花花
【営業時間】11:00~17:00
【営業日】金~日曜日、祝日
【電話】075-251-8585
【アクセス】地下鉄東西線「京都市役所前駅」から徒歩約5分 Google map

■洛北 花せ屋

花背そば 山椒おろし 1,600円

花背そば 山椒おろし 1,600円

私設美術館にショップと、版画に関連した施設が並ぶなか、続いてご紹介するのは花背にあるお蕎麦屋さん。花背ってどのあたり?! なぜ、お蕎麦?! 疑問ばかり浮かびますが、より奥深い京都を体験したいという方に、自信をもっておすすめしたいお店です。
  • 京都バス「別所上の町」バス停のすぐそば

    京都バス「別所上の町」バス停のすぐそば

  • 奥に見える建物が「洛北 花せ屋」です

    奥に見える建物が「洛北 花せ屋」です

花背は鞍馬寺の門前を通る鞍馬街道を北に進み、杉林に囲まれた花背峠を越えた先にあるエリアです。出町柳駅から京都バスに揺られ1時間以上かかりますが、自然あふれるのどかな光景に癒やされます。市内に比べて5度以上も気温が低く、夏も過ごしやすいのが嬉しいところ。
 
さて、なぜ徳力版画が花背でお蕎麦屋さんを開いているかというと、その昔、工房が花背にあったそうです。水や空気の美味しい澄んだ環境は制作活動にぴったりの場所でしたが、困ったのが職人さんたちのお昼ご飯。その問題を解決しようと始められたのが蕎麦づくりでした。
 
その後、工房は街中に移りましたが、蕎麦の美味しさが評判を呼び、お店として営業するように。思いも寄らないエピソードに、味への期待が高まりますね。
  • 椅子やテーブルなどの調度品もオシャレ

    椅子やテーブルなどの調度品もオシャレ

店内に入ると、振り子時計の数にびっくり! 徳力版画ご当代のコレクションで、毎朝お店の人がゼンマイを巻いて時間を合わせるも、次第に針の進み具合がずれてしまうのだとか。「せっかくの遠出、時間なんて気にしないでゆっくりしよう」と言われているみたいです。
  • 蕎麦粥

    蕎麦粥

  • 箸置き。どちらが置かれているか、お楽しみに。

    箸置き。どちらが置かれているか、お楽しみに。

注文すると、最初に運ばれてくるのは蕎麦粥とお漬け物のセット。10月には温かい鴨蕎麦がメニューに並ぶものの、冷たいお蕎麦が基本のため、まずはほっと一息ついていただくために、温かい一品を出されているそうです。
 
気になったのは、横に添えられたかわいらしい手ぬぐい。なんと、こちらの手ぬぐいはお土産に持ち帰りOK。何種類かあり、どれが付いてくるかはお楽しみです。すると、お店の方から「箸置きもお持ち帰りくださいね」という一言が・・・! お店の隣にある工芸館で作られている陶器の箸置きで、おしどりの雌か雄、どちらかが付いてきます。心づくしのおもてなしに、食事前から感動です。
  • 名物 そば三昧 2,400円(甘味付)

    名物 そば三昧 2,400円(甘味付)

  • お蕎麦を使ったスイーツメニューも充実しています

    お蕎麦を使ったスイーツメニューも充実しています

いよいよ、お待ちかねのお蕎麦です!「洛北 花せ屋」の特徴は、お蕎麦に山椒が練り込んであること。山椒おろしでいただく看板メニュー「花背そば」、「胡麻味そば」、「山かけそば」、「味噌そば」の4種類があり、今回は3種類を一度に味わえる「名物 そば三昧」をいただきました。
 
「山椒が練り込まれているとピリリと辛いのかな」と思っていましたが、想像を超える爽やかな風味にびっくり。手打ちのお蕎麦は細麺で喉越しも良く、さらりといただけます。3種類にそれぞれ専用の出汁をかけていただくスタイルで、味の変化を楽しんでいるうちに完食です。
お食事以外にもうひとつ魅力をご紹介。店内に「十二支 絵馬届きます」という不思議な案内があり、お店の方に仕組みを尋ねてみました。備え付けの封筒に自分の住所と名前を書いて箱に入れると、なんと徳力富吉郎さんの絵が印刷された絵馬を年明けに送っていただけるというのです! 毎年お店に通ってコレクションを目指している方もいらっしゃるとか。来年は卯年、どんな絵柄の絵馬が送られてくるか楽しみです。
お食事のあとは、お店の隣にある「花背工芸館」へ。徳力版画の雑貨をはじめ、花背で焼かれた陶器や作家さんの作品を購入できます。
 
※「花背工芸館」に入店の際は、まず「洛北 花せ屋」に声をかけてください。
また、道を挟んで向かい側には、かつて徳力富吉郎さんが夏画室として利用していた古民家をリノベーションした「花竹庵」があります。10名以上なら、こちらでお蕎麦をいただくプラン(要相談、要予約)もあり、一層ゆっくりとした上質な時間を過ごせそうですね。
 
「洛北 花せ屋」と「花背工芸館」は春先から晩秋にかけて土日祝のみの営業です。京都バスの運行が大変少ないですが、行きは花背にお昼頃に到着し、帰りはおやつ時に市内へ向けて出発する便があります。お蕎麦を食べて、周辺をゆっくり散策するなら、ちょうど良い時間設定。リフレッシュもかねて、ぜひ訪ねてみてくださいね。
 
■洛北 花せ屋
【営業時間】11:00~15:00 ※そばがなくなり次第、閉店しますので予約がおすすめ
【営業日】土曜日、日曜日、祝日 ※公式ホームページで営業日をご確認ください ※12月から翌3月頃まで休業
【電話】平日:075-771-9696、直通:075-746-0800(営業時間内のみ)
【アクセス】京都バス「別所上の町」バス停から徒歩約2分 Google map
【公式ホームページ】https://www.hanase.co.jp/hanaseya/
※掲載内容は2022年6月23日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。

Written by. シュガー

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