おめでたい題材が勢揃い! 冬のアートイベント

  • イベント・歳時

二条城

二条城

一年の始まりは、“おめでたいもの”に心が惹かれませんか。今回は、縁起の良い“松”や“鶴”の絵が見られるアートなイベントをご紹介します。1日限りのスペシャルイベントもありますので、お見逃しなく♪

松の絵の先には何がある? 
二条城「帳台の間」が初公開!

行幸に向けて造営された唐門にもおめでたいモチーフがいっぱい

行幸に向けて造営された唐門にもおめでたいモチーフがいっぱい

慶長8年(1603)、徳川家康によって築かれた二条城。孫の家光の時代になると、後水尾天皇の行幸を迎えるために、豪華絢爛な装いへと生まれ変わります。その代表が狩野派の障壁画に彩られた二の丸御殿です。
  • 大広間 一の間から帳台の間を見る

    大広間 一の間から帳台の間を見る

  • 普段の様子

    普段の様子

数ある部屋のなかでも、人形を配置して大政奉還のシーンを再現した大広間が印象的です。「徳川慶喜が座る一の間の隣室には、警備の侍が控えている」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。普段は扉が閉じられているため、勇壮な松の絵の先に広がる空間について想像を巡らせるより他なかったのですが、このたび世界遺産登録30周年を記念して初めて扉を開けての公開が行われています。
 
奥の部屋の正式名称は「帳台の間」。将軍が「一の間」へ入室する際は「帳台の間」を前室として利用したと考えられているそうです。
  • 大広間「帳台の間」(撮影:福永一夫)

    大広間「帳台の間」(撮影:福永一夫)

  • 帳台の間障壁画『竜田風俗図』(原画、部分)

    帳台の間障壁画『竜田風俗図』(原画、部分)

拝観順路を進むと「帳台の間」に面した廊下より内部を鑑賞できます。長押(なげし)の下部分は『竜田風俗図』。「ちはやふる~」の和歌で知られる竜田川の紅葉や周辺で生活する人々が描かれています。一方、上部分は秋草が揺れる野原に満月が浮かぶ『武蔵野図』という構成です。かつて京都御所に飾られていた障壁画とあって、雅で穏やかな雰囲気が漂います。
 
展示収蔵館では2025年2月23日(日・祝)まで原画の展示が行われていますので、細部までじっくりとご覧になりたい方は足を運んでみてください。
 
■初公開!国宝・二の丸御殿〈大広間〉帳台の間 特別公開
【日程】2025年1月4日(土)~27日(月)
8:45~17:00(最終入城16:00)
※毎週火曜日は観覧できません
※廊下からの観覧となり、入室はできません
【場所】二条城 詳細情報はこちら
【料金】入城・二の丸御殿1,300円 ※展示収蔵館は別途入館料100円が必要です
【問合せ】075-841-0096
【公式ホームページ】https://nijo-jocastle.city.kyoto.lg.jp/

僧侶の解説付きで鑑賞できる!
西本願寺「京の冬の旅」プラン

白書院

白書院

京都の冬の定番イベント、「京の冬の旅」非公開文化財特別公開(以下、「京の冬の旅」)。対象スポットは「予約不要」「予約優先制()」「完全予約制()」の3つの拝観スタイルに分けられ、世界遺産の西本願寺は完全予約制にあたります。
※予約はWEBからのみとなります
 
予約にハードルを感じてしまうかもしれませんが、国宝や重文がひしめく空間は予約してでも訪れる価値あり。しかも、ガイドは僧侶の方というのが嬉しいポイントです。
  • 対面所「鴻の間」の欄間彫刻

    対面所「鴻の間」の欄間彫刻

  • 対面所「鴻の間」

    対面所「鴻の間」

国宝の対面所「鴻の間」や白書院は、ご門主が客人を招く場とあって豪華絢爛。当時の方も圧倒されたに違いありません。松や鶴はもちろん、幸せを運ぶといわれるコウノトリの欄間彫刻など、そこかしこに吉祥モチーフが散りばめられています。約75分の拝観は、学びの多いひとときになるはずです。
 
■「京の冬の旅」僧侶がご案内する特別拝観 西本願寺 書院・経蔵 ※完全予約制
【日程】2025年1月20日(月)~3月4日(火)
10:00~と15:00~(1日2回)
※1/27~31、2/2・15・16は休止。15:00~の部は1/25、2/1・8、3/1のみ実施
※各所要約75分(定員50名程度/回)
【料金】3,000円
【問合せ】075-585-5181(京の冬の旅コールセンター/9:00~17:00)
※電話では予約できません
【予約・公式ホームページ】https://ja.kyoto.travel/event/single.php?event_id=10837

若冲の弟子の作品を初公開!
宝蔵寺 年に一度の寺宝展

  • 過去の寺宝展の様子

    過去の寺宝展の様子

  • 山門

    山門

江戸時代中期に活躍した絵師・伊藤若冲および伊藤家の菩提寺である宝蔵寺では、若冲の誕生日の2月8日前後に年に一度の寺宝展を開催しています。毎年、若冲にゆかりのある作品が初公開されるため、美術ファンも注目するイベントです。
  • 意冲筆『海棠目白図』(部分)

    意冲筆『海棠目白図』(部分)

  • 意冲筆『海棠目白図』

    意冲筆『海棠目白図』

今回の初公開作品は、若冲の弟子と目される意冲が描いた『海棠目白図』です。ご住職が令和4年(2022)12月に古美術商より購入した、なんと新発見の作品。ハナカイドウとモクレンが一面に咲き誇り、7羽のメジロと1羽のシジュウカラが描かれています。メジロも縁起の良い鳥のひとつ。身を寄せ合っている可愛らしい姿に、ほっこり幸せな気分になりませんか。
 
ご住職によると、弧を描く枝ぶりなど、若冲の作品と似通っている点が見受けられるそうです。
  • 意冲筆『松鶴図』

    意冲筆『松鶴図』

  • 意冲筆『松鶴図』(部分)

    意冲筆『松鶴図』(部分)

おめでたい鳥の代表格、鶴の絵もあります。同じく意冲作の『松鶴図』は松の上に立つタンチョウを描いたもの。松の樹皮のゴツゴツとした感じや、タンチョウの羽を1本1本丁寧に描く筆致が若冲を彷彿とさせるそうです。
 
寺宝展では、人気の若冲作品『竹に雄鶏図』『髑髏図』はもちろん、弟子の作品含め15点ほどの軸絵が並びます。展示ケースはなく、実物を目の前にじっくりと繊細な筆遣いを堪能できますよ。
 
■宝蔵寺 寺宝展
【日程】2025年2月6日(木)~11日(火・祝)
10:00~16:00(受付終了15:30)
【場所】宝蔵寺 Google map
【料金】700円
【問合せ】075-221-2076
【公式ホームページ】https://www.houzou-ji.jp/

夜ならではの特別演出も!
聖護院門跡 初の夜間特別拝観

宸殿

宸殿

きらびやかな障壁画を見ていると、夜はいったいどんな風に見えるのだろうと気になったことはありませんか。約350年前の障壁画がオリジナルの状態で保存されている聖護院門跡(通常非公開)で、このたび一般向けに初の試みとなる夜間拝観の実施が決定しました!
  • 大玄関『老松図』(部分)

    大玄関『老松図』(部分)

  • 宸殿『吐綬鶏』(部分)

    宸殿『吐綬鶏』(部分)

イベントの実施は1日限り。20名だけで夜のお寺を貸し切り、まずは僧侶のご案内で豪華絢爛な障壁画の数々を鑑賞します。内部には200面以上の障壁画があり、題材も豊富で見応えたっぷり。
  • 書院 ※写真はイメージです

    書院 ※写真はイメージです

  • 美しい陰影

    美しい陰影

  • 日中の書院の様子

    日中の書院の様子

さらに、重要文化財の書院で夜ならではの特別演出も。なんと、ほの灯りだけで障壁画を鑑賞できます。書院は桂離宮を造営するなど美に長けた後水尾天皇によるデザイン。限られた光によって、隅々に宿る洗練された美しさがいっそう際立って感じられるはずです。当時の人と同じような感覚で、夜の障壁画に向き合える贅沢な機会。定員20名の枠は先着順となりますので、どうぞお見逃しなく!
 
■夕闇にゆらめく美の世界へ 聖護院門跡 初の夜間貸切拝観 ※完全予約制
【日程】2025年2月22日(土)
17:00~19:30
【場所】聖護院門跡 詳細情報はこちら
※掲載内容は2025年1月15日時点の情報です。最新情報は掲載先へご確認ください。

Written by. 「そう京」編集部

おすすめコンテンツ