公式キャラクター「トラりん」も拍手で「国宝」展開幕をお祝い♪
この秋、見に行きたい展覧会といえば、京都国立博物館(以下、京博)の「国宝」展!
「国宝」の誕生と「京博」の開館、共に120周年を迎えるメモリアルイヤーに、ここ京都へ全国から国宝が大集合しています。考古・彫刻・絵画など、12ジャンルに分類された美術工芸品210件が展示されますが、1カ所にこれほど揃うのは奇跡的なことだとか。そんな夢のような展覧会は、まさに“国宝フェス”! 2017年10月14日(土)には、開幕11日目にして早くも来場者数が10万人を突破し、ニュースになりました。
展覧会開幕に先立ち10月2日(月)に行われたプレス発表・内覧会に、「そう京」編集部スタッフ(くろモン・みさご・シュガー・かりー)で行ってきました。「国宝」展は展示期間をおおきく4期に分け、8週にわたり開催されます。私たちが訪れた日は、約100件もの国宝に出合うことができました! 幕開けとなるI期の感想を中心に、これから公開予定の“気になる国宝”を交えながら、当日の体験レポートをお届けします。
教科書で見た! 日本最古の国宝にして、縄文土器の最高峰《火焔型土器》
国宝 深鉢形土器(火焔型土器) 新潟県笹山遺跡出土 縄文・前3500~前2500年 新潟・十日町市(十日町市博物館保管) 【I期・II期】
“国宝”というだけあって、どの作品も「教科書で見たことある!」「授業で聞いたことある!」など、皆さんの記憶のどこかにもあることでしょう。「考古」の部屋で、私たちが口を揃えて「これこれ、見たことある! この造形がかっこいいよね」と話していたのは、《火焔型土器(かえんがたどき)》。日本最古の国宝で、県外での公開は16年ぶりとなります。
「数年かけて「国宝」展の準備をしてきました。そんななか、実は《火焔型土器》は一度断られたのですが・・・ 『やはりこれがないといけない!』と思い、何とか出展いただくことができました」
事前のプレス発表で、学芸部研究員である降矢哲男さんの展覧会に向けてのエピソードを耳にしていたこともあり、感動もひとしおでした。やはりこれだけの「国宝」が集合するのは、奇跡的なことなのですよね。
「縄文土器は京都で見る機会があまりないので、とっても新鮮!」とスタッフ“シュガー”さん。
国宝 土偶(縄文のビーナス) 長野県棚畑遺跡出土 縄文・前3000~前2000年 長野・茅野市(茅野市尖石縄文考古館保管) 【通期】
同室内には、《縄文のビーナス》《縄文の女神》《仮面の女神》の土偶、女神三体が降臨! 雑誌や書籍となると正面のみの掲載が多いので、360度見られるのは展覧会の醍醐味ですよね。「ぷっくりとしたお尻のフォルムがかわいい~♪」「仮面って、こんなふうにくっついているんだ!」など、実物を前にしないと、わからない感想がわいてきます。
⇒岡本太郎の《太陽の塔》のルーツは縄文土偶?! 『岡本太郎に学ぶ 「My 国宝」』はこちら
2017年に指定されたばかり!
いちばん新しい国宝《大日如来坐像》と《不動明王坐像》
左:国宝 大日如来坐像 平安時代・12世紀 大阪・金剛寺 【通期】
右:国宝 不動明王坐像 行快作 鎌倉時代・天福2年(1234) 大阪・金剛寺 【通期】
2017年4月現在で、国宝指定の美術工芸品は885件(予定を含む)。国宝は毎年少しずつ数を増やしており、記念すべき「国宝」誕生120周年となる2017年に、新しく仲間入りしたのは大阪・金剛寺の《大日如来坐像》と《不動明王坐像》。2014年の京博・平成知新館オープンから1階に並んでいた、あの大きな大きな仏像です(大日如来坐像は3メートル超!)。訪れる度に「おぉ!」と見上げていたのですが、ついに国宝となったのですね~。言わずもがなですが同展の作品のなかで、いちばん大きな国宝です。
2018年3月までに金剛寺へお帰りになるそうなので、京博で見られるのもあとわずか。“いちばん新しい国宝”を間近にできるチャンスを見逃さないで。・・・あ、こんなに大きいのだから見逃すはずありませんよね(笑)
《不動明王坐像》のおとなりに並ぶのは、東寺の《兜跋毘沙門天立像(とばつびしゃもんてんりゅうぞう)》【通期】。
「あの平安京の羅城門の楼上にいた仏像ですよ、それを目の前にできるなんて、すごくないですか?! ライティングされ甲冑模様も細かく見えて、イケメン度が増していますよね~」
「東寺おみやげもの7選」でかわいい“とばつくん”グッズを紹介していた、スタッフ“みさご”さんも大興奮でした。
史上初というからには見てみたい!
雪舟の国宝作品すべてが、一室に勢揃い
国宝 秋冬山水図 雪舟筆 室町・15世紀 東京国立博物館 【I期・II期】
日本では数多くの絵師が誕生しましたが、国宝指定作品が最も多いのは、雪舟(せっしゅう)。その名前を聞けば、「あ~、あの水墨画の!」とピンと来る方も多いはず。もちろん教科書にも載っていましたし、作品は切手や1997年の長野オリンピックのポスターにもなりましたからね。そんな雪舟の国宝作品は全部で6件。本展ではその全てが出品され、しかも・・・ ひとつの部屋にズラリ勢揃い! このような展示は、なんと史上初のことなのだとか。
「国宝の雪舟作品が並ぶこの部屋に、布団を敷いて寝てみたい!」
と熱く語られたのは、学芸部長の山本英男さん。それほどまでに豪華な一室ということなのです! 国宝作品6件全てが揃う贅沢な雪舟ワールドに浸ることができるのは、2017年10月22日(日)まで。残すところあとわずかなので、皆さんお急ぎください!
⇒雪舟はベレー帽おじさん?! 鑑賞前に知りたい、雪舟・国宝作品のツウな楽しみ方はこちら
いったい、いくらかかったのだろう・・・?
超豪華な日本一の嫁入り道具
国宝 千代姫婚礼調度のうち宇治香箱 江戸・寛永16年(1639) 愛知・徳川美術館 【I期・II期】
数多くの国宝作品のなかで、わたし“かりー”が注目したのはこちら! 3代将軍徳川家光が長女・千代姫誕生の年に発注されたという嫁入り道具です。文房具に化粧道具、香道具など数百点もの品々がなんと数年で制作され、わずか2歳半で尾張徳川家2代光友へ嫁入りとなりました。いまでは考えられないほど、超ド派手婚だったとか。『源氏物語』の「初音」の帖にちなむ意匠で統一されたため、「初音の調度」とも言われています。
「嫁入り」にふさわしく、紅い壁の前に並ぶ展示が印象的でした。細やかで優美な蒔絵は、ため息モノの美しさ。これほどまでに豪華な嫁入り道具、他にはないのではないでしょうか。
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ここまでご紹介したのは、ほんのごく一部! 戦後、絵画の国宝第一号に指定された《普賢菩薩像》【I期・II期】や、「六道と地獄」の世界を生々しく描いた作品など、他にもお伝えしたい作品が数多くありますが、この辺りにしておきます・・・。館内どこを見ても「国宝」づくし! 一度に100件もの国宝作品を鑑賞できたなんて、本当に贅沢。時間がいくらあっても足りないくらいでした。
これから公開される注目作品!
最小の国宝。そのサイズ、一辺わずか2.3cm《金印》
国宝 金印 福岡市東区志賀島出土 弥生・1世紀 福岡市博物館 【III期】
I期だけでも見どころいっぱいの「国宝」展ですが、これから公開を控えている注目作品もたくさん! 気になる作品を「そう京」編集部のみんなに聞いたところ、いちばん人気だったのは、III期に公開される《金印》でした。
「数年前に実物を見たんだけど、あんなに小さかったなんてびっくりした! あのサイズ感は、また見てみたいと思っていたから、京都で見られるなんて嬉しい♪」と胸を熱くしていたのは、スタッフ“くろモン”さん。どれ位のサイズかといいますと・・・ 一辺わずか2.3cm! イメージとしては、チ○ルチョコをもう少し小さくした感じです。「え! 嘘でしょ?!」と思われた方、その目でぜひ実物を確かめてみてください。
他にも、狩野派や長谷川等伯らにも影響を与えた牧谿(もっけい)の《観音猿鶴図(かんのんえんかくず)》【III期】や、100年以上の時を経てはじめて京都への里帰りとなる尾形光琳の《燕子花(かきつばた)図屏風》【IV期】などが登場します。4期もあると「いつ行けばいいだろう・・・」と悩みますが、“お目当ての国宝”を決めて観覧に行くのも、ひとつの方法ですね。また、公式ホームページの「日程別作品検索」の活用もおすすめ。観覧日を入力するだけで、展示作品が確認できるので、とても便利です!
★「国宝」展をさらに楽しむには・・・
そして、展覧会の持ち物におすすめなのが「単眼鏡」。「国宝」展セミナーで山下裕二先生もおっしゃっていましたが、これがあれば細かなディテールを見ることができます。これだけ「国宝」が揃うのだから、やっぱり隅々まで見ておきたいですよね。「国宝」展で「単眼鏡」デビューしてみませんか。
【おまけ】やっぱり最後は・・・ 「国宝」展限定グッズをチェック
観覧後は、やっぱりミュージアムショップのチェックが欠かせません。豊富な「国宝」展限定グッズのなかから、私が購入したのはフェイスパック! それだけを耳にすると「女の子らしい~♡」と思われそうですが、実は《風神雷神図屏風》【I・II期】の風神と雷神のなりきりフェイスパック(2枚組800円)なんです! こんな顔でいたら、おもしろくないですか?! パックをして、図録を見ながら「国宝」展の余韻に浸るのも良いかもしれませんね・・・(笑)
見どころ満載の「国宝」展は、2017年11月26日(日)まで。
“お目当ての国宝”を目指して、この秋は京都国立博物館へ!!
※今回は特別に撮影許可をいただきましたが、展示作品は撮影禁止です。
■開館120周年記念 特別展覧会 国宝
【会期】2017年10月3日(火)~11月26日(日)
I期 10月3日(火)~15日(日)/II期 10月17日(火)~29日(日)/III期 10月31日(火)~11月12日(日)/IV期11月14日(火)~26日(日) ※I~IV期は主な展示替です。一部の作品は上記以外に展示替が行われます。
【開館時間】9:30~18:00(入館は17:30まで)、金曜日・土曜日は~20:00(入館は19:30まで)
【休館日】月曜日
【料金】1,500円
【場所】京都国立博物館(平成知新館) 詳細情報はこちら
【公式ホームページ】http://kyoto-kokuhou2017.jp/