昨年の三千院での展示
昨年(2018年)、京都の5つのお寺(三千院・圓光寺・東福寺・建仁寺・常寂光寺)に登場した2つの苔アート作品“モシュ印”と“コケ寺リウム”。好評に付き、今年(2019年)も9月1日(日)から作品を展示することになりました! 今回は新たに祇王寺・地蔵院・妙心寺 桂春院が加わり8つの寺院で開催。「待ってました!」という方もいらっしゃると思いますが、「モシュ印って?」「コケ寺リウムってなに?」という方のために、私“カツオ”が、昨年のおさらいと今年の見どころをお届けします!
⇒2019年の「モシュ印・コケ寺リウム」キャンペーンの概要はこちら
苔(moss) x 御朱印 = モシュ印
昨年の建仁寺での展示
“モシュ印”とは、苔の英訳単語である“moss(モス)”と“御朱印”をかけ合わせた造語。墨書きされた文字の部分に、苔を敷き詰めて御朱印を再現するというアート作品です。驚くべきはそのサイズ。なんと“縦1.5メートル x 横1.03メートル”という巨大サイズで再現されますので、抜群の存在感! 8つの寺院でそれぞれ1点ずつが展示されます。
“モシュ印”の制作者は杉田悦朗さん
“モシュ印”を制作していただいたのは、杉田悦朗(すぎた えつろう)さん。苔を使用したアート作品の制作、造園業などにも携わる苔の第一人者です。この写真からも“モシュ印”の大きさが伝わりますよね。
■巨大なハンコまでも登場? “モシュ印”完成までの舞台裏
⇒【苔情報】京都に登場した新アートPart2“モシュ印”ができるまで
お寺 x コケリウム = コケ寺リウム
“コケ寺リウム”とは、近年、お部屋を飾るディスプレイとして人気の“苔テラリウム(コケリウム)”と“寺”をかけ合わせた造語。ガラス容器の中に、各寺院を代表する建造物のジオラマと苔で再現したお庭を配したミニチュアアートです。8つの寺院に、それぞれ3つの“コケ寺リウム”が展示されますので、合計24点もの作品が登場します!
“コケ寺リウム”の制作者は今田裕さん
制作を担当していただいたのが、テレビや雑誌などでもご活躍の今田裕(いまだ ゆたか)さん。幼少期を自然豊かな滋賀県で過ごし、その頃から近所の神社やお寺に生える苔の観察を楽しんでいたそうで、“コケ歴”は30年以上! 現在は、コケ寺リウムや苔玉の制作のみならず、体験教室・文化講座での講師や苔庭の施工を行うなど、精力的に活動をされています。
■精巧なジオラマも魅力! 試行錯誤の“コケ寺リウム”が完成するまで
⇒【苔情報】京都に登場した新アートPart1“モシュ印”ができるまで
杉田さん直伝! “モシュ印”のココに注目!!
“モシュ印”の制作者である杉田さんに、見どころをお聴きしました。
杉田さん 「コケを敷き詰めるだけでも大変ですが、ぜひ可能な限り、近くで見て欲しいですね」
カツオ 「と、言いますと・・・?」
杉田さん 「字には“筆順”があり、筆跡にはリズムが生まれます。そのことを意識して、苔の毛並みを整えています。あとは立体感を出すために、文字の中央部を盛り立てるように剪定しています」
カツオ 「去年も拝見しましたが、美容師さんのような細かい作業ですよね・・・」
杉田さん 「“モシュ印”ではドライモスと言われる、乾燥して成長しない特殊な苔を使用しています。これが“生きた苔”だったら、もっと大変だったと思います。それこそ頻繁に“散髪”もしにこないといけないし、毛並みを整える必要もありますし・・・ 本当に美容師さんですね(笑)」
実際に間近でご覧いただければ、作業の細かさは一目瞭然! 決して、苔を敷き詰めただけではないということがわかっていただけることでしょう。
今田さん直伝! “コケ寺リウム”のココに注目!!
続いて、“コケ寺リウム”の制作者である今田さんに、見どころをお聴きしました。
カツオ 「作り手として一番見てほしい見どころはどこでしょうか?」
今田さん 「“モシュ印”のドライモスとは違って、こちらは“生きた苔”を使っていますので、それが作品の見せ場ですね。管理面では面倒なこともありますが・・・」
カツオ 「と、言いますと・・・?」
今田さん 「展示期間中に剪定などメンテナンスも行いますが、苔が成長することを見越して分量や配置を調整しています。“生きている”ので時間とともに作品が成長するところも注目していただきたいですね」
カツオ 「なるほど」
今田さん 「あとは、各お寺に3つの“コケ寺リウム”を用意しましたが、実際にその風景が見られる場所に多く生えている苔を、それぞれのテラリウム内で使用しています。“コケ寺リウム”を鑑賞されたあとは、実際にそのモデルとなった場所を探してみて、苔を観察してみてください。きっと『あっ、さっき見た苔!』という発見や、“苔” とひと言で言っても、色々な種類のものが生えていることに気づかれると思いますよ」
今田さんがおっしゃる“作品が成長する”とはどういうことなのか・・・ 百聞は一見にしかず、ということで次の写真をご覧ください!
(上)2019年8月撮影(下)2018年8月撮影
こちらは、昨年に引き続き建仁寺で展示される“コケ寺リウム”で、昨年と今年に撮影した写真です。一部補修されているそうですが、明らかに苔が増殖していることが分かりますね!「昨年の展示を見に行った!」という方も、成長した姿を見に改めてお越しください♪
お坊様の反応は?
※写真は8月29日(木)の仮設営時に撮影されたものです。展示は9月1日(日)から開始となります。
今年から仲間入りした3つのお寺のうち桂春院の安楽島(あらしま)住職にお話をお伺いしました。
カツオ 「はじめてこの企画のことを聞いた時、どう思われました?」
安楽島住職 「正直なお話ですが、『ナニソレ』、と思いました(笑) でもお庭に生える苔の維持・管理にはこだわりをもっていましたので、こうして苔の企画で声をかけていただいたのは嬉しかったです。ほぼ毎日苔の世話をしていますので、暑い日が続く夏場はなかなか辛いですが、苔のためにも作業を休むことはできません。今年は“モシュ印”と“コケ寺リウム”の展示もありますので、なおさら手は抜けませんよね、作品もずいぶんと立派ですので(笑) 苔にも注目しながら、お庭を楽しんでいただきたいです」
私自身、昨年の「モシュ印・コケ寺リウム」キャンペーンが開催されるまでは、お庭に生える苔をしっかりと観察したことはありませんでした。しかし、お庭を眺めたり、写真を撮影したりする際、苔を意識してみると、今まで見たことのない「新たな風景」に出会うことが多かったように思います。皆さんも、ぜひ“苔”にご注目くださいね♪
Instagram投稿キャンペーンも実施
昨年に引き続きインスタグラムでのキャンペーンも実施。対象8寺院で、“モシュ印”“コケ寺リウム”の写真を撮影し、「#(ハッシュタグ)」を付けて投稿すると、抽選でギフト券が当たる豪華な企画です。スマホで撮影し、その場で投稿できるので参加もしやすいですよ♪ 「これぞ!」と思う自慢の一枚を、ぜひ投稿してみてください。
⇒Instagramキャンペーンの参加・応募方法など詳細はこちら
■モシュ印・コケ寺リウムをスマホで撮影してみました
⇒【苔情報】スマホでチャレンジ! モシュ印・コケ寺リウムを撮影しよう
今年の秋は紅葉だけでなく“苔”にもご注目を♪
桂春院(11月中頃のイメージ)
これからの時季、気候が穏やかになるにつれ、夏の暑さでちょっぴりお疲れ気味だった苔も、徐々に美しさを取り戻していきます。昨年よりも期間が長く12月8日(日)まで続く「モシュ印・コケ寺リウム」キャンペーン。嬉しいことに対象の8寺院すべてが、苔だけでなく紅葉の名所なので、苔と紅葉の競演も楽しめますよ♪ 今年の秋は、もみじの彩りを更に引き立ててくれる苔にも注目しながら、紅葉狩りを楽しまれてみてはいかがでしょうか。
【開催期間】2019年9月1日(日)~12月8日(日)
※モシュ印・コケ寺リウムの公開時間は各寺院の拝観時間に準じます
※法要などにより、寺院の拝観が休止となる場合、モシュ印・コケ寺リウムもご覧いただくことはできません
※モシュ印・コケ寺リウムの観覧には、各寺院の拝観料が必要です
【対象寺院】三千院・圓光寺・東福寺・建仁寺・常寂光寺・地蔵院・祇王寺・妙心寺 桂春院
【キャンペーンページ】https://souda-kyoto.jp/travelplan/koke2019_sp/index.html