

監修
博士(医学)。東海大学健康科学部研究員、東海大学医学部研究員、日本体育大学体育学部研究員、特定国立研究開発法人理化学研究所客員研究員を経て、現在は一般社団法人日本リカバリー協会代表理事、一般社団法人博慈会老人病研究所客員研究員、一般社団法人日本未病総合研究所公認講師(休養学)、一般社団法人日本疲労学会評議員も務める。日本リカバリー協会では、休養に関する社会の不理解解消のためにリテラシー向上を目指して啓発活動や教育事業として休養士の育成活動に取り組んでいる。編著書に「休養学基礎疲労を防ぐ!健康指導に活かす」(メディカ出版)、著書に「休養学:あなたを疲れから救う」(東洋経済新報)。
旅に出てリフレッシュしたい。それには、ちょっとコツがいる。休養を科学的に考察した『休養学』著者の片野秀樹氏は、休養には、「休息」、「運動」、「栄養」、「親交」、「娯楽」、「造形・想像」、「転換」――の7タイプがあり、それらを組み合わせることで効果は高まるという。「古都・京都の旅は、環境を変えて日常のストレスから解き放たれる『転換』タイプ。各スポットでの過ごし方もさまざまな休養タイプを意識すれば、より効果的に活力を回復できるでしょう」。京の奥座敷・貴船から、落ち着いた雰囲気の中に穴場的なスポットが点在する一乗寺エリアをめぐるコースは、喧噪を離れて休養するのにぴったりだ。
豊かな自然に包まれた水神の社
片野先生「古くは気の生じる根源を意味する「気生根」(きふね)とも記されたとされ、川のせせらぎ、森の緑、清浄な気をまとった場所では、環境の転換、休息、自然との親交などのタイプの休養を通して活力を養えるでしょう。」
白鳳6年(677)には社殿が造られていたとされる京都屈指の古社。縁結びのご利益でも注目を集めますが、万物の生命の根源とされる水の神様を祀ります。神社がたたずむ貴船の地は、市街地に比べ気温が低く、避暑地としても有名。神社に寄り添うように流れる貴船川の流れや風に揺れる木々の葉も、清涼感を演出します。
見渡す限りの緑でリフレッシュ
片野先生「本堂の柱越しに、青もみじや苔の緑を眺めると、額縁の中の絵画のような「十牛之庭」、竹林、澄んだ音色を奏でる水琴窟は、環境の転換、自然との親交型の休養に。日曜早朝の座禅体験は造形・想像型の休養になりそうです。」
慶長6年(1601)、国内教学発展のために、徳川家康により伏見に創建された圓光寺学校に始まる南禅寺派の禅寺。特に訪れる人を魅了するのが、青もみじと苔が美しい「十牛之庭」です。堂内に座してアート作品のように眺めてみたり、緑に包まれた園路を巡ってみたり、楽しみ方は様々。モミジや竹の葉擦れ音にも耳を澄ましてみて。
ひとやすみには、和洋折衷スイーツを
片野先生「昔ながらの和菓子に加え、和洋を融合させた新しい感性のスイーツも楽しめる老舗和菓子処。併設の茶屋で抹茶等とともに供される菓子は甘さ控えめとなっており、リラックスする栄養型の休養にもかなっていますね。」
昭和10年(1935)創業、和菓子職人のご主人と元パティシエールの奥様が手がける和洋折衷菓子が人気のお店。おすすめの「絹ごし緑茶てぃらみす」は、お二人のアイデアで誕生した人気スイーツ。白あんや豆乳、抹茶などを配合し、甘さ控えめの滑らかな味わいがポイントです。日々、手づくりされる逸品を、茶屋でゆっくり味わいましょう。
創業50年を迎える個性派書店
片野先生「英ガーディアン紙の「世界で一番美しい本屋10」にも選ばれた店内はアンティーク感にあふれ、普段と異なる環境に身を置く転換型休養に。個性的な本をセレクトするスタッフや、本の愛好家らとのふれあいも親交型休養になるでしょう。」
作家別ではなく、共通のテーマをもとに本の内容や背景といった「文脈」を意識した棚が並び、眺めているだけで楽しい店内です。新たな本との出会いが、豊かな時間をもたらしてくれることでしょう。「本にまつわるあれこれのセレクトショップ」をコンセプトに雑貨を紹介するスペースやギャラリーも併設され、充実した休暇を過ごせそう。
緩やかな流れに沿って、そぞろ歩き
片野先生「川景色や広い空を眺め、空想を膨らませながら高野川沿いの遊歩道を、賀茂川との合流地点の鴨川デルタまで歩けば、造形・想像、運動型の休養に。飛び石を伝って川を渡るのも良いストレス解消に良さそうですね。」
大原、八瀬を経由し市街地へと流入する高野川。北山通から下流は、雄大な比叡山を背景に桜並木が続きます。川面に若々しい緑が映る初夏は涼やかで、散歩におすすめ。賀茂川との合流点となる三角州「鴨川デルタ」は、開放的で心地良い風が吹き、市民の憩いの場になっています。亀や千鳥の飛び石に腰掛け、足を浸けるのも気持ちが良い。
「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン2025年初夏編 特別企画!
通常非公開の妙心寺天球院を特別に公開します。しつらえと建築美に包まれ、心安らぐひとときを過ごしませんか?
お好きなドリンクとごろっと大きな栗が入ったオリジナル栗まんじゅうのセットプラン。 焙煎したての新鮮な豆を使用したスペシャルティコーヒーで香りと味に癒されましょう。
詳しくみる好きなものを味わい思いのままに街を巡る、自分のためのご褒美時間。
京都の魅力がつまった癒しの女子旅へとご案内いたします。
江戸時代の知恵から生まれた納涼床でのディナーや、夏の時期に行われるお寺などでの夜間行事、さらには今ブームの夜アイスまで。「京都で夜活」でこれからの暑い京都を愉しみませんか?
詳しくみるいま話題の書籍「休養学」(片野秀樹著、東洋経済新報社刊)
「日本人の約8割が疲れている」というデータもあります。ただ、世界各国と比べて平均労働時間がとくに多いわけではありません。日本人は「休み下手」なのです。本書を読んで、単に寝る、休息するといった「守りの休養」から、「攻めの休養」へ今すぐシフトしましょう!
東洋経済オンラインで