方丈修復前、最後の特別公開! 「大徳寺 本坊」とその塔頭をチェック

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京都のお寺探訪 13


洛北・紫野にある大徳寺は臨済宗大徳寺派の大本山。禅寺らしい石庭が人気を集め、大徳寺 本坊とその塔頭である大仙院龍源院瑞峯院は、2020年の「そうだ 京都、行こう。」早春キャンペーンに登場しました。通常非公開の本坊は9月5日(土)より、完全予約制にて特別公開されています。実は今年(2020年)の秋から約10年にも及ぶ大規模な修復に入るため、今回が修復前、最後の特別公開なのです。“大徳寺 本坊の見どころ”とあわせて、秋より特別公開が行われる“大徳寺の塔頭寺院”をご紹介します。

★アクセスは地下鉄+バスがおすすめ
京都駅から大徳寺までは市バス一本だと約1時間かかりますが、“地下鉄+市バス”の合わせ技なら、乗車時間の短縮が可能。地下鉄烏丸線で後ろ寄りの車両に乗車すれば、乗り換えもスムーズです♪

<京都駅から大徳寺へのアクセス>
地下鉄「京都駅」→烏丸線(国際会館行)<約13分>→「北大路駅」乗換→北大路バスターミナル青のりばから市バス1・101・102・204・205・206系統など<約5分>→「大徳寺前」バス停下車→徒歩すぐ(Google map)


大徳寺の歴史は?

             

正和4年(1315)に、宗峰妙超(しゅうほうみょうちょう、大燈国師)が紫草の茂る洛北の野原(紫野)に小庵「大徳」を結んだことにはじまり、花園天皇や後醍醐天皇の帰依を受け、勅願所として嘉暦元年(1326)に龍宝山大徳寺と命名されました。応仁の乱(1467)で荒廃しましたが、文明6年(1474)に、「一休さん」こと一休宗純が大徳寺第47世の住持となり再建。桃山時代には豊臣秀吉が織田信長の菩提を弔うため総見院を建立し、その後、前田利家や細川忠興など、多くの戦国武将が塔頭を建立しました。

三門「金毛閣」(重文)


大徳寺は茶の湯と関わりが深く、“茶の湯の祖”とされる村田珠光や武野紹鴎(たけの じょうおう)、そして千利休ともゆかりのある寺院。今も多くの塔頭に茶室があり、「大徳寺の茶面(ちゃづら)」とも呼ばれています。ちなみに、三門「金毛閣」(重文)の二階部分は、利休が増築・寄進したもので、この楼上に利休の木造を置いたことが秀吉の逆鱗に触れ、利休自刃のきっかけとなったそうです。


本坊 特別公開の主な見どころ


大徳寺の本坊は、中国から伝わった禅宗の建築様式に基づき、勅使門から三門、仏殿、法堂が一列に並びます。今回は、これまでの特別公開でも公開されていた国宝の方丈、唐門、狩野探幽が描いた方丈障壁画と法堂の天井龍に加え、経蔵や浴室、金毛閣など、普段は拝観できないコースを専門スタッフさんの案内付きで巡ります。そのなかから注目スポットをご紹介します。
※経蔵・浴室・金毛閣は外からの見学となります。


★方丈(国宝)


江戸時代初期の寛永12年(1635)に建てられ、住職の居住空間であった方丈。玄関は京都の豪商・後藤益勝の寄進により再建され、法堂や仏殿などの伽藍が中国風なのに対し、方丈は日本様式です。一般的な方丈は、南側に3室・北側に3室の計6室で構成されることが多いのですが、こちらは南側に4室・北側に4室の計8室。方丈内には大燈国師像を祀る「雲門庵」があり、これは「私の死後、別寺院を建てる必要はない」という遺言によるものだそう。


★狩野探幽筆 方丈障壁画(重文)


方丈には江戸時代初期の天才絵師・狩野探幽筆の障壁画84面が当時の姿のまま遺されています。代表作「山水図」など、墨の濃淡で奥行きを表現。今までは部屋の外からの拝観でしたが、今回の特別公開では室内に入り障壁画を間近で拝見できるので、じっくりと細部まで鑑賞してみてください。


★方丈庭園(史跡・特別名勝)


江戸時代初期を代表する枯山水庭園のひとつで、国の史跡・特別名勝に指定されています。前庭は、天祐和尚による作庭で、一面に広がる白砂が印象的。中央には一対の盛砂を配置し、築地塀沿いでは木々と石組みで深山幽谷を表現。石を七・五・三に配した東庭は、小堀遠州の作庭と伝わります。


★法堂(重文)と狩野探幽筆「雲龍図」(重文)


寛永13年(1636)に建立された法堂。ドーム状の丸みのある天井に描かれた躍動感あふれる「雲龍図」は、狩野探幽が35歳の時に描いたもの。龍の真下で手を叩くと、鳴き声のような音が聞こえることから「鳴き龍」とも呼ばれています。ぜひ実際に手を叩いて、体感してみてくださいね。


★唐門(国宝)


前庭奥にある唐門は、豊臣秀吉の聚楽第の遺構と伝わり、西本願寺豊国神社とともに「桃山の三唐門」のひとつに数えられます。龍や獅子、麒麟など、至るところに豪華な彫刻が施され、一日中鑑賞していても飽きないことから「日暮門」の呼び名も。破風の下には豊臣家の家紋がデザインされています。

■大徳寺 本坊 特別公開 ※完全予約制
【日程】2020年9月5日(土)~9月27日(日) ※9月7日(月)・15日(火)は拝観休止
    11:00~14:00
    ※20日前から受付開始、6日前に受付終了。ご予約は公式ホームページよりご確認ください
    ※30分ごとに人数を限定して入場、ツアー形式で拝観
【場所】大徳寺 本坊 詳細情報はこちら
【料金】3,000円
【問合せ】075-231-7015(京都春秋)
【公式ホームページ】https://kyotoshunju.com/temple/daitokuji-honbo/


この秋、特別公開される塔頭は?


大徳寺の境内には24の塔頭寺院があり2つの門外塔頭も持ちますが、ほとんどが通常非公開です。そのなかからこの秋、特別公開される4つの塔頭をご紹介します♪


【真珠庵】現存最古! 『百鬼夜行絵巻』を寺内初公開


永享年間(1429~1441)に、一休宗純を開祖として創建された真珠庵。今回、寺内で初公開となるのが、室町時代に名を馳せた絵師・土佐光信筆の『百鬼夜行絵巻』(重文)。現存最古の“百鬼夜行絵巻”と伝わり、台所用品や法具など、日常的に使われるさまざまな道具が妖怪となった「付喪神(つくもがみ)」や鬼たちが、愛嬌ある姿で描かれています。日本美術や妖怪ファンからも人気が高い作品なのだそう♪

方丈東庭「七五三の庭」


特別公開ではほかに、寛永15年(1638)に正親町天皇の女御の化粧殿を移築したものと伝わる書院(重文)や、村田珠光が作庭したとされる方丈東庭「七五三の庭」(史跡・名勝)、2018年に約400年ぶりに新調された方丈襖絵なども公開されます。

■大徳寺 真珠庵『百鬼夜行絵巻』特別公開 ※予約優先制
【日程】前期/2020年9月19日(土)~10月14日(水)
    後期/2020年10月24日(土)~11月23日(月・祝)
    9:30~15:30(受付終了)
    ※20日前から受付開始、6日前に受付終了。ご予約は公式ホームページよりご確認ください
【場所】大徳寺 真珠庵 詳細情報はこちら
【料金】2,000円
【問合せ】075-231-7015(京都春秋)
【公式ホームページ】https://kyotoshunju.com/temple/shinjuan/


【黄梅院】戦国大名ゆかりのお寺。モミジ狩りも楽しんで


黄梅院は、桃山時代の戦国大名や文化人とゆかりのある寺院で、永禄5年(1562)に、織田信長の父・信秀の追善供養のために小庵「黄梅庵」を建立したことに始まります。“本能寺の変”後、秀吉が徐々に増築し、天正17年(1589)に「黄梅院」と改められました。紅葉シーズンにかけて行われる特別公開では、表門から庫裡、唐門に至るまでの前庭がモミジに覆われ、苔とのコントラストが美しい風景に。

                           

また、禅宗寺院において現存最古とされる庫裡(重文)や桃山時代を代表する日本画家・雲谷等顔(うんこく とうがん)筆の本堂障壁画(複製)も公開されます。秀吉の軍旗「瓢箪」を象った空池を持つ、千利休作庭の「直中庭(じきちゅうてい)」も見どころのひとつです。

■大徳寺 黄梅院 特別公開
【日程】2020年10月3日(土)~12月6日(日) ※10月28日(水)は拝観休止
    10:00~16:00(受付終了)
【場所】大徳寺 黄梅院 詳細情報はこちら
【料金】800円
【問合せ】075-231-7015(京都春秋)
【公式ホームページ】https://kyotoshunju.com/temple/daitokuji-oubaiin/


【興臨院】前田家の菩提寺。方丈庭園の石組は蓬莱世界を表現


大徳寺の勅使門や三門の西側に位置する興臨院。室町時代末期に能登の守護・畠山義総により創建され、後に前田利家が本堂屋根を修復、前田家の菩提寺となりました。本堂(重文)は、近世の建築より屋根が低く、室町期の建築様式の特徴とされています。方丈前の庭園は「昭和の小堀遠州」とも称された中根金作により復元されたもので、桃山風の荘厳な石組で蓬莱世界を表現しているそう。


石庭はもちろん、表門から本堂に続く参道も絵になる風景です。紅葉シーズンにかけて公開されますので、深紅に染まるモミジもあわせて楽しんでみてください。

■大徳時 興臨院 特別公開
【日程】2020年10月3日(土)~12月15日(土)
    10:00~16:30(受付終了)、11月30日以降は~16:00(受付終了)
【料金】600円
【場所】大徳寺 興臨院 詳細情報はこちら
【問合せ】075-231-7015(京都春秋)
【公式ホームページ】https://kyotoshunju.com/temple/daitokuji-kohrinin/


【総見院】土日祝限定! 等身大の織田信長坐像は必見


織田信長の一周忌にあたる天正11年(1583)、追善供養として秀吉が建立した総見院。寺名は信長の法号にちなんで名付けられ、信長の死後、秀吉がその主導権を握るために建立したとされる、歴史的に大変重要な寺院です。境内には信長をはじめ、嫡男・信忠ら一族を弔った供養塔や墓があり、本堂では、秀吉が奉納した等身大の木造織田信長坐像(重文)を拝見できます。


総見院は3つの茶室が並ぶ、茶の湯との関わりが深い寺院。また、表門・土塀はいずれも創建時の姿のままという貴重な遺構ですので、そちらもご注目を。

■大徳寺 総見院 特別公開 ※完全予約制
【日程】2020年10月10日(土)~12月5日(土)の土曜日・日曜日・祝日 ※11月1日は拝観休止。法務により休止日が追加になる場合あり
    10:00~/11:00~/13:00~
    ※20日前から受付開始、6日前に受付終了。ご予約は公式ホームページよりご確認ください
【場所】大徳寺 総見院 詳細情報はこちら
【料金】1,000円
【問合せ】075-231-7015(京都春秋)
【公式ホームページ】https://kyotoshunju.com/temple/daitokuji-sokenin/

Written by. オパン

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