お酒の神様を祀る「松尾大社」。境内の見どころや注目ポイントをチェック!

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京都の神社探訪 9 

四条通の西の端。東端の八坂神社と向かい合うように位置するのが、京都最古級の神社のひとつ、松尾大社(まつのおたいしゃ)です。なんといっても有名なのは、お酒の神様を祀る神社であること。そして、4月から5月にかけて境内を彩る山吹の名所としても知られています。

 

そのほかにも境内には見どころが多く、お庭や文化財など、じっくり知れば知るほど興味深い神社です。今回は、境内の見どころや、訪れる時に注目しておきたいポイントをご案内します♪

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松尾大社はどんな神社?
渡来系氏族「秦氏」との関係とは。

阪急嵐山線「松尾大社駅」を降りるとすぐ、西側に大きな鳥居があります。こちらが、松尾大社の一の鳥居。碑の隣にある2つのオブジェは、お酒を入れる容器「甁子(へいし)」をモチーフとし、“お酒の神様”である松尾大神に捧げられたもの。

桜咲く参道(撮影日:2021年3月30日)

桜咲く参道(撮影日:2021年3月30日)

松尾大社に祀られるのは、大山咋神(おおやまぐいのかみ)市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)。元々は、松尾山山頂にある磐座(いわくら)が太古の昔より信仰の対象とされ、その後、この地に移り住んだ渡来系氏族・秦(はた)氏が、氏神として松尾大神を祀るようになったそう。

社殿と背後の松尾山を含む、約12万坪を境内とします。

社殿と背後の松尾山を含む、約12万坪を境内とします。

松尾山の麓に社殿が設けられたのは、飛鳥時代・大宝元年(701)のこと。秦忌寸都理(はたのいみきとり)が勅命により、山上の磐座の神霊を山麓の社殿に移し、松尾大社が建立されたと伝わります。

嵐山 渡月橋の北側(右側)が大堰(おおい)川。その奥は保津峡に繋がります。

嵐山 渡月橋の北側(右側)が大堰(おおい)川。その奥は保津峡に繋がります。

秦氏は、南の稲荷山周辺など、山城盆地のあちこちに居住し各地を開拓していくのですが、ここ松尾の地でも勢力を奮います。現在の嵐山と亀岡を結ぶ「保津峡」を開削、桂川に堤防を築き、渡月橋上流に大きな堰を設ける(大堰川の名前の由来)など、現在にもつながる土地の開拓を行います。

 

農業など各種産業にも従事し、その生業のひとつが「酒造り」などの醸造。大山咋神は「醸造祖神」として崇められ、平安時代以来、お酒をはじめ味噌や醤油、お酢など醸造に関わる方から篤く信仰されています。

  • ※神像館内は撮影禁止。特別な許可を得て撮影しています。

    ※神像館内は撮影禁止。特別な許可を得て撮影しています。

  • (左)壮年男神像、(中)老年男神像、(右)女神像

    (左)壮年男神像、(中)老年男神像、(右)女神像

「神像館」に祀られる神像。大きな三体の神像は、平安時代初期の作。中央の厳しい表情の男神が「大山咋神」、右の女神が「市杵島姫命」、左側の男神が「御子神」であろうとされています。北の「賀茂の厳神」に対して「松尾の猛霊」と崇められるほど、強い霊力を持つ松尾の神様。男神像の表情にも厳しさが感じられます。
境内南側の神輿庫前にはたくさんの奉納酒樽が。京都だけでなく、全国のお酒が集まり、見ているだけでも味わいたくなってきます・・・

ご神徳・ご利益は? 

平安時代より「皇城鎮護の神」として、都の守り神であった松尾大社。現在は、洛西地域の氏神として氏子の崇敬を集め、また先述のように全国の醸造家から篤く尊崇されています。

境内にはお酒の資料館もあります(無料)。

境内にはお酒の資料館もあります(無料)。

本殿前に祀られる相生の松。恋愛成就や家内安全のご神徳も。

本殿前に祀られる相生の松。恋愛成就や家内安全のご神徳も。

人気の樽うらない。的(樽)に矢を入れるのは、意外に難しいのです。

人気の樽うらない。的(樽)に矢を入れるのは、意外に難しいのです。

神社の神使は、亀と鯉。
四神相応の白虎にも注目を♪

神使の庭 亀と鯉

神使の庭 亀と鯉

境内を歩いていると、よく見かけるのがのモチーフ。

これは、松尾大神が保津峡を開くとき、川を遡るのに、急流は「鯉」、緩やかな流れは「亀」の背に乗って進んだという言い伝えがあるため。亀は不老長寿、鯉は出世開運の守護として、松尾大神の使いとされます。本殿横には「撫で亀」「撫で双鯉」の像もあるのですが、現在は感染症対策のため触れることができません。

  • 神泉・亀の井

    神泉・亀の井

本殿に続く回廊を潜り、北末社・霊亀の滝へ向かう途中には、名水と名高い「亀の井」が。延命長寿の功徳があり、「よみがえりの水」とも呼ばれる霊泉。お酒の仕込みに使うと、酒が腐らなくなるといわれ、今も酒造りの時期には酒造家の方がお水を求めてこられるそう。

地元の方もよく汲みに来られるとのことで、取材の際にも入れ替わり立ち替わり来られていました。手持ちのペットボトルなどに汲んでもいいとのことですが、社務所には「御神水容器」(100円)も用意されています。

霊亀の滝

霊亀の滝

亀の井の奥にあるのが、松尾大社随一のパワースポット「霊亀の滝」。その昔、首に3つの星、背に7つの星をもつ、緑と金色の毛を尾にもつ不思議な亀が現れ、時の元正天皇はこれを瑞兆として「霊亀」に改元されたとか(715年頃)。お参りをすると良いことが訪れそうですね♪

授与品で今人気を集めているのが、「白虎」。これは、平安京にゆかり深い5つの神社による「京都 五社めぐり」にちなんでいます。

 

平安神宮を中心に、東(青龍)が八坂神社、北(玄武)が上賀茂神社、南(朱雀)は城南宮、そして西(白虎)を守護するのが松尾大社。専用の色紙が用意されていて、5つの神社の御朱印を集めると、オリジナル記念品を授与いただけます(先着1,000名様)。

  • 大きな白虎は非売品。

    大きな白虎は非売品。

「白虎」の地として、3年ほど前に白虎おみくじが登場すると「かわいい」と人気を集め、現在では御朱印帳やマスクも登場しています♪

昭和の名作庭家・重森三玲氏が手がけた、最後の庭園。

松風苑[上古の庭・曲水の庭・蓬莱の庭]

松尾大社に訪れたならば、拝見しておきたいのが「松風苑(しょうふうえん)」と呼ばれる3つのお庭、上古の庭・曲水の庭・蓬莱の庭です。東福寺・方丈庭園や光明院の波心庭、大徳寺・瑞峯院のお庭などを手がけた昭和の名作庭家・重森三玲(しげもり みれい)氏、最晩年の作庭で、上古の庭が遺作となりました。

上古の庭

上古の庭

社殿創設よりも前、上古の時代に松尾山頂の磐座で祭祀が行われていた様子をモチーフとしています。山の斜面を利用し、高低差のあるスペースの一番奥に、二柱の祭神に見立てた大岩が。地面に植えられたミヤコザサは高山の趣を表しているそう。四国・徳島県産の青石をいくつも使用したダイナミックなお庭です。

曲水の庭

曲水の庭

平安時代、京の都を守る神様として崇敬された松尾大神。平安の雅「曲水の宴」を偲ぶために作られたお庭だそう。

蓬莱の庭

蓬莱の庭

重森三玲氏が設計図を描き、その息子・完途(かんと)氏が作庭、現在は孫である千靑(ちさを)氏が手入れにあたっているという、重森家三代が関わる回遊式のお庭。池全体が羽を広げた鶴の形をしていて、池には松尾大社の神使である鯉と亀が住んでいます。

 

上古の庭は「木」、曲水の庭は「光」、そして蓬莱の庭は「水」、すべてに共通するのが「岩」。松尾大神の神威を庭に表し、お庭を巡ることで神様の力をいただけるような作庭となっています。ぜひ、その意味を感じながら歩いてみてください。

京都随一の山吹名所。写真スポットがいっぱいです。

松尾大社の山吹は、いつの頃か神職さんが植えられたものだそう。土地にあったのか自然に増えて、4月から5月上旬にかけて、華やかな黄色の花が境内を賑わせるようになりました。例年ならば、見頃の時季にあわせて「山吹まつり」が行われるのですが、昨年・今年は中止に。そして今年は例年よりも10日ほど早く、3月下旬より咲き始めているため、花を楽しむならば4月中の来訪がおすすめです。
  • 撮影日:2020年4月16日

    撮影日:2020年4月16日

  • 撮影日:2019年4月17日

    撮影日:2019年4月17日

  • 撮影日:2016年4月20日

    撮影日:2016年4月20日

ひとやすみスポット、おみやげスポットもお忘れなく♪
参詣者休憩処「団ぷ鈴」/京つけもの もり

楼門のすぐ手前、蓬莱の庭入口近くにあるのが、参詣者休憩処の「団ぷ鈴(だんぷりん)」。お団子を指す英語「ダンプリング Dumplings」に由来するお名前だそう。

ざるそば 600円、酒公杯(一合)800円

ざるそば 600円、酒公杯(一合)800円

お団子をはじめ各種甘味が揃いますが、“お酒の神様を祀る松尾大社の茶店”にふさわしく、日本酒も充実♪ 洛中の酒蔵・佐々木酒造の本醸造「まるたけえびす」、伏見の酒蔵・都鶴酒造の純米酒「みやこつる」、松尾大社御用達・滋賀県草津の太田酒造からは山廃仕込特別純米酒「道灌(どうかん)」、そして地元洛西の地酒・羽田酒造の吟醸酒「酒公杯」。「酒公杯」は、洛西の一部のお店でしかいただけない、幻のお酒。すっきりとしながらも、お米の旨みが感じられるお酒です。

どのお酒も「あつかん」と「ひや」が選べますので、おそばと一献、いかがでしょうか♪

 

■団ぷ鈴

【営業時間】10:301600

【定休日】水曜日

【電話】075-861-0078

お酒の資料館横には、「京つけもの もり」の店舗が。松尾大社限定商品として、伏見の酒粕を使用した「酒かす大根」(486円)や、「酒かすたけのこ」(864円)を販売されているので、お参り帰りのおみやげにもぴったりですね♪

 

■京つけもの もり 松尾大社店

【営業時間】9001600

【定休日】無休

【電話】075-865-0105

 

*****

 

例年425日には「神幸祭(おいで)」、516日には「還幸祭(おかえり)」が行われる松尾大社。“西の葵祭”とも称される雅やかなお祭りで、洛西の春を華麗に彩るのですが、昨年(2020年)は中止、今年(2021年)も規模を縮小しての実施となります。

 

6月頃からは、昨年好評だった「手水舎の風鈴」の再開も予定されています。時代に合わせて変化しながらも、太古以来の神威は変わらない松尾大社へ、ぜひお参りください。

手水舎の風鈴(昨年の様子)

手水舎の風鈴(昨年の様子)

■松尾大社

【参拝時間】5001800、庭園・神像館9001600(日祝は1630)

【参拝料】無料、庭園・神像館500

【電話】075-871-5016

【アクセス】阪急嵐山線「松尾大社駅」からすぐ、市バス・京都バス「松尾大社前」バス停からすぐ Google map

【公式ホームページ】http://www.matsunoo.or.jp/

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※掲載内容は2021年4月5日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。

Written by. みさご

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