叡山電車開業100周年! 沿線の名所をめぐる旅

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京都市内北東部「洛北」エリアを走る叡山電車。略して“叡電(えいでん)”と親しまれ、沿線には貴船神社や鞍馬寺、曼殊院などの名所があります。2025年9月に開業100周年を迎えることから、現在、さまざまなイベントを展開中。沿線のおすすめスポットとあわせてご紹介しますので、叡山電車で京都旅を満喫しませんか。

叡山電車の歴史

開業当時の八瀬駅(現:八瀬比叡山口駅)

開業当時の八瀬駅(現:八瀬比叡山口駅)

大正14年(1925)、洛北の観光開発、比叡山延暦寺への参拝を目的に開業した叡山電車叡山本線(開業時は叡山平坦線)。出町柳駅から八瀬駅(現:八瀬比叡山口駅)が開通し、さらにケーブルカーも誕生したことから比叡山延暦寺への参拝が身近なものになりました。昭和3年(1928)には山端駅(現・宝ケ池駅)から市原駅、翌年には鞍馬駅まで開通し、現在の鞍馬線が誕生します。
  • 「もみじのトンネル」を走る展望列車「きらら」

    「もみじのトンネル」を走る展望列車「きらら」

  • 観光列車「ひえい」

    観光列車「ひえい」

  • レトロ調電車「ノスタルジック731 改」

    レトロ調電車「ノスタルジック731 改」

住宅街から自然豊かなエリアへ走る電車は1~2両編成で、展望列車「きらら」や観光列車「ひえい」など、さまざまな車両を運行しています。青もみじ・紅葉シーズンには、市原駅から二ノ瀬駅間にある「もみじのトンネル」の徐行運転を行うなど、移動手段としてだけでなく、乗車中の楽しみもあるのが叡山電車の魅力です。

現在、叡山電車100周年ロゴマークとともに走行しています

現在、叡山電車100周年ロゴマークとともに走行しています

地元の人々はもちろん旅行者からも愛される叡山電車は、来る2025年9月27日(土)に開業100周年を迎えます。

⇒叡山電車開業100年特設サイトはこちら

100周年記念イベントを展開中!

開業100周年を記念して、2025年3月20日(木・祝)から一年に渡り、多彩なイベントが企画されています。その一部をご紹介しましょう。

出町柳駅に「えいでんジオラマ」

  • 「もみじのトンネル」や、今春誕生した「はなももかいどう」が沿線に♪

    「もみじのトンネル」や、今春誕生した「はなももかいどう」が沿線に♪

  • 観光列車「ひえい」も走ります

    観光列車「ひえい」も走ります

叡山電車の始発「出町柳駅」構内の待合室前には、「えいでんジオラマ」を設置。四季折々の沿線風景を表現し、よく見ると、山には「五山送り火」でおなじみの「大」や「妙」「法」が。「一乗寺ラーメン街道」、「鞍馬駅」前の大天狗モニュメントなどもあり、細かく作りこまれています。ボタンを押すと電車が駆け巡る、電車好きにはたまらない仕掛けも♪

【設置期間】2025年3月29日(土)~ ※終了時期未定

叡山電車×リアル謎解きゲーム「えいでんなぞめぐり電車旅」

特設サイト(イメージ)

特設サイト(イメージ)

叡山電車で移動しながら謎を解く体験型ゲームイベント『叡山電車×リアル謎解きゲーム「えいでんなぞめぐり電車旅」』が開催中。謎解きを楽しみながら、沿線の観光スポットの魅力を体感しましょう。参加に必要な「謎解きキット」(2,500円)は、イベントオリジナルデザインの1日乗車券(大人券)付き。「謎解きって難しそう…」という方は、特設サイトの「練習問題」で頭を柔らかくしてからチャレンジしてみて。

【開催期間】2025年3月20日(木・祝)~12月25日(木)
⇒特設サイトはこちら

全駅に「駅スタンプ」を設置

  • スタンプ台

    スタンプ台

  • 叡山電車駅スタンプ帳(100円)。各駅の楽しい豆知識も掲載されています

    叡山電車駅スタンプ帳(100円)。各駅の楽しい豆知識も掲載されています

これまで「駅スタンプ」は出町柳駅・修学院駅・八瀬比叡山口駅・貴船口駅・鞍馬駅の5駅のみでしたが、100周年を記念し全駅に設置されています。出町柳駅で販売中の「叡山電車駅スタンプ帳」を手に、全駅をめぐってみませんか。茜色や向日葵色など、駅によってスタンプのインクが異なり、カラフルな一冊になります。

【設置期間】2025年3月20日(木・祝)~2026年3月22日(日)

⇒「エキタグスタンプラリー」も開催中!(~2025年12月31日)
便利な1日乗車券

叡山電車に乗車するなら、便利な1日乗車券「えぇきっぷ」(1,200円)がおすすめ。当日に限り、全線乗り降り自由で、きっぷを呈示すると社寺やお店で優待特典が受けられます。

1日乗車券に、一乗寺界隈の対象店舗で利用できる「麺きっぷ」がセットになった「京都一乗寺らーめん切符」(1,900円※大人のみ)や、沿線の対象店舗で利用できる「スイーツチケット」がセットになった「えいでんスイーツきっぷ」(2,500円※大人・デジタルのみ)などもありますので、お好みの乗車券をどうぞ♪

⇒1日乗車券の詳細はこちら

沿線のおすすめスポットをピックアップ!

それでは、叡山電車に乗って沿線のスポットをめぐりましょう。主な駅からピックアップしますので、ぜひ参考にしてください。

<叡山本線>
【一乗寺駅】詩仙堂

  • サツキの時季の庭園

    サツキの時季の庭園

  • 心地良い「鹿威し」の音に、お地蔵さんもにっこり♪

    心地良い「鹿威し」の音に、お地蔵さんもにっこり♪

徳川家康の元家臣・石川丈山が隠棲した山荘に始まる詩仙堂。庭園には丈山発案による「鹿威し」があり、時おり「カコン…」と響き渡る音は趣があります。四季折々の草花に彩られるなか、おすすめは書院からの風景。サツキが丁寧に刈り込まれ、秋は紅葉とのコントラストが綺麗です。

⇒詩仙堂のスポット情報はこちら

詩仙堂周辺には圓光寺金福寺八大神社、「一乗寺駅」周辺には個性派書店として人気の恵文社や京都屈指のラーメン激戦区「一乗寺ラーメン街道」があり、見どころの多いエリアです。

【修学院駅】曼殊院

  • 参道

    参道

  • 小書院

    小書院

曼殊院は、格式ある天台宗五箇室門跡のひとつ。「修学院駅」から徒歩約20分を要しますが、「小さな桂離宮」と呼ばれる優美な堂宇を構え、ぜひ訪ねていただきたいお寺です。霧島ツツジやモミジの名所として知られ、秋を迎えると参道や枯山水庭園を真紅に染め上げます。

⇒曼殊院のスポット情報はこちら

【三宅八幡駅】蓮華寺

2024年の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン「京都がくれる癒し」編のCMやポスターが記憶に新しい蓮華寺。書院前に広がるお庭は、柱を額に見立て眺めると名画のよう。静寂のなか、モミジが揺れる音や鳥の声に耳を傾けながら、街中では体験できない癒しのひとときをどうぞ。

⇒蓮華寺のスポット情報はこちら

【八瀬比叡山口駅】瑠璃光院

  • 青もみじのリフレクション

    青もみじのリフレクション

  • 紅葉のリフレクション

    紅葉のリフレクション

比叡山麓にたたずむ瑠璃光院は、“絶景リフレクション”が大人気のスポット。机にモミジが映り込む光景は、息を呑む美しさです。通常非公開となり、春・夏・秋に行われる季節限定の特別拝観でご覧いただけます。今年(2025)の秋は10月1日(水)から始まるので、お楽しみに!
※紅葉シーズンは予約制。詳細は公式ホームページでご確認ください。

⇒瑠璃光院のスポット情報はこちら
  • レトロな八瀬比叡山口駅

    レトロな八瀬比叡山口駅

最寄りの「八瀬比叡山口駅」はレトロな印象♪ じつは、開業時の駅舎が現在も使用されていて、正面に掲げられた看板は当時の「八瀬驛」となっています。冬には駅舎のイルミネーションが行われることもあるそうです。

<鞍馬線>
【八幡前駅】三宅八幡宮

  • 鳥居前には“狛鳩”が鎮座

    鳥居前には“狛鳩”が鎮座

  • 参拝者によって並べられた鳩のおみくじ(1個400円)。よく見ると灯籠にも鳩が…

    参拝者によって並べられた鳩のおみくじ(1個400円)。よく見ると灯籠にも鳩が…

遣隋使・小野妹子ゆかりの三宅八幡宮。かんの虫封じ、病気平癒のご利益で知られ、地元では子供の守り神を祀る神社として親しまれています。ご祭神・八幡大神のお使いにちなみ、境内随所に可愛らしい“鳩”のモチーフがずらり♪ 狛鳩や灯籠など、いくつ出合えるか数えてみてはいかがでしょう。

⇒三宅八幡宮のスポット情報はこちら
  • ホームにいるのは…鳩?

    ホームにいるのは…鳩?

  • つぶらな瞳の「鳩駅長」が見守っています

    つぶらな瞳の「鳩駅長」が見守っています

叡山本線に「三宅八幡駅」もありますが、最寄りは鞍馬線の「八幡前駅」。なんとこの駅でも鳩を発見! 駅近くにある同志社中学校の学生さんと叡山電車の「八幡前駅プロジェクト」で、2015年に誕生した「鳩駅長」が皆様を見守っています。

【木野駅】妙満寺

顕本法華宗の総本山 妙満寺。市街地化による喧騒から逃れるため、昭和43年(1968)に寺町二条から現在地へ遷堂しました。いまなお境内は静寂に包まれ、桜やツツジ、紅葉など四季折々の風景が迎えてくれます。インド・ブッダガヤ大塔を模した仏舎利大塔や、比叡山を借景にした「雪の庭」も見どころです。

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【貴船口駅】貴船神社

  • 水占みくじ 200円

    水占みくじ 200円

京の奥座敷「貴船」の玄関口となる「貴船口駅」。ここからバスで約5分の場所に位置するのが、貴船神社です。豊かな自然と水が集まる地に訪れると、心身が清められるよう。モミジに包まれる参道は、春日灯籠とのコントラストが美しい人気スポット。水に浮かべる「水占みくじ」もお見逃しなく。

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【鞍馬駅】鞍馬寺

  • 本殿金堂

    本殿金堂

  • 山門

    山門

鞍馬線の終点「鞍馬駅」に構えるのは、牛若丸と天狗にまつわる伝説で有名な鞍馬寺。駅から徒歩約3分で、立派な山門が迎えてくれます。鞍馬山全体を境内とし、山門から本殿金堂までは九十九折(つづらおり)参道を登り30分ほど。トレッキングを楽しみながらお参りしませんか。

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  • 2018年の鞍馬線開通90周年を記念して誕生した、大天狗モニュメント

    2018年の鞍馬線開通90周年を記念して誕生した、大天狗モニュメント

  • 鞍馬駅は「近畿の駅百選」のひとつ

    鞍馬駅は「近畿の駅百選」のひとつ

「鞍馬駅」では、さまざまな天狗が勢揃い。なかでも駅前の大天狗モニュメントの大きさ(特に鼻の長さ)に驚きます。ぜひ記念に撮影してくださいね。

【番外編】気になる駅はほかにも…

  • SHIP’S CAT (Tower)

    SHIP’S CAT (Tower)

  • 2023年、「茶山・京都芸術大学駅」は北山杉を使った温もりある駅舎に生まれ変わりました

    2023年、「茶山・京都芸術大学駅」は北山杉を使った温もりある駅舎に生まれ変わりました

  • 「二ノ瀬駅」

    「二ノ瀬駅」

最後に、今回の取材で車窓から気になった駅をご紹介します。2023年に「茶山駅」から改称された「茶山・京都芸術大学駅」では、可愛いネコを発見♪ 駅名改称時に現代アーティストであり京都芸術大学教授のヤノベケンジさんが手掛けたモニュメントで、行き交う電車や人々をやさしく見守っているようです。

「貴船口駅」のひとつ手前にある「二ノ瀬駅」は、自然に調和したログハウス風の駅舎が印象的でした。現在は新緑ですが、紅葉が駅舎を彩る秋も楽しみですね。

魅力あふれる叡山電車に乗って、ぜひ、京都旅をお楽しみください!
※掲載内容は2025年8月29日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。

Written by. 「そう京」編集部

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