
聖護院門跡 書院
寛永3年(1626)、徳川家光の招きによって後水尾天皇が二条城へ行幸した、いわゆる「寛永行幸」。今年(2026)は400年の節目にあたり、京都では記念の行事がさまざまに行われています。
今回注目するのは、寛永行幸の主賓である後水尾天皇。芸術・文化を愛し、のちに「寛永文化」と称されるほど、同時代のアートシーンを牽引する存在として功績を残しました。芸術家を庇護するとともに、時にはみずから建築や作庭に携わることも。ゆかりの場所を訪ね、後水尾天皇の洗練された美意識を感じてみませんか。
\記念イベントをピックアップ/
京都仙洞御所【事前予約制】

南池(所蔵:宮内庁京都事務所)
京都御所の東南に位置し、南北約350メートル、東西約270メートルの築地塀に囲われた京都仙洞御所。かつて紀貫之の邸宅や豊臣秀吉が築いた京都新城があったエリアで、譲位した後水尾上皇の住まいとして、寛永7年(1630)に造られました。
当初は小堀遠州がお庭を作庭しましたが、寛文4年(1664)に後水尾上皇みずから改修を行ったと伝わります。その後も歴代上皇の好みにあわせて変化はあるものの、緑あふれる池泉回遊式のお庭は穏やかで安らぎを感じられます。

醒花亭(所蔵:宮内庁京都事務所)
度重なる火災によって多くの建物を焼失しましたが、文化5年(1808)に再建された「醒花亭(せいかてい)」と、明治17年(1884)に近衞邸から移築された「又新亭(ゆうしんてい)」、ふたつのお茶室がお庭に遺っています。

洲浜 春の風景(所蔵:宮内庁京都事務所)
他にも、約12万個の玉石が約100メートルにわたって敷き詰められた洲浜など、特徴的な景観が楽しめます。
■京都仙洞御所
【参観時間】9:30~、11:00~、13:30~、14:30~、15:30~
※事前予約制です。詳しくは公式ホームページをご確認ください
※職員の解説付きで約60分の参観となります。自由参観ではありません
【参観料】無料
【参観休止日】月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始、行事等が行われる日
【アクセス】地下鉄烏丸線「丸太町駅」から徒歩約15分、市バス「府立医大病院前」バス停から徒歩約10分 Google map
【公式Instagram】https://www.instagram.com/imperial_palaces_of_kyoto/
修学院離宮【事前予約制】

所蔵:宮内庁京都事務所
修学院離宮は、比叡山の麓、洛北の修学院村に後水尾上皇が設けた山荘です。約3年の月日をかけて万治2年(1659)に完成し、一草一木にいたる隅々にまで後水尾上皇のこだわりが詰まっているといいます。
特筆すべきは約8万平方メートルにも及ぶ田畑です。自然の風景をそのままに、田畑の周りに上離宮、中離宮、下離宮が造られています。京都仙洞御所のプライベート感とは異なり、開放的で明るい印象の修学院離宮は、後水尾上皇が時間を忘れて羽を伸ばす場所だったのかもしれません。

一の間 霞棚(所蔵:宮内庁京都事務所)
中離宮にある客殿は、もともと京都仙洞御所にあった建物です。後水尾上皇の中宮である東福門院がお住まいになった女院御所の奥対面所にあたり、優美な雰囲気が漂います。
なかでも、長さの異なるケヤキの板を組み合わせ、山に霞がたなびく様子をあらわした「霞棚(かすみだな)」は必見。桂離宮の「桂棚」、醍醐寺三宝院の「醍醐棚」と並び、「天下の三棚」のひとつに数えられています。

浴龍池(所蔵:宮内庁京都事務所)
上離宮にある隣雲亭からの眺望もおすすめ。池に浮かぶ島を龍の背中に見立てた浴龍池(よくりゅうち)越しに、洛北の山々や市街地が見渡せます。春は桜、秋は紅葉が美しく、後水尾上皇が東福門院とともに花見や舟遊びを楽しんだ当時の情景が目に浮かぶようです。
【参観時間】9:00~、10:00~、11:00~、13:30~、15:00~
※事前予約制です。詳しくは公式ホームページをご確認ください
※職員の解説付きで約80分の参観となります。自由参観ではありません
【参観料】無料
【参観休止日】月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始、行事等が行われる日
【アクセス】叡山電鉄叡山本線「修学院駅」から徒歩約20分、市バス「修学院離宮道」バス停から徒歩約15分 Google map
【公式Instagram】https://www.instagram.com/imperial_palaces_of_kyoto/
圓通寺

客殿前庭(所蔵:圓通寺)
洛北の静かな地に佇む圓通寺は、寛永16年(1639)に後水尾上皇が造営した幡枝離宮を前身としています。
客殿前に広がる約400坪の枯山水庭園は国指定名勝で、なんといっても借景の比叡山が見事。あえて高さを抑えた石組や整然と刈り込まれた生垣など、すべてが比叡山の美しさを引き立てるために考えられています。後水尾上皇が長年探し求めた末に見つけたという眺望を、ぜひご自身の目でご覧になってみてください。
■圓通寺
【拝観時間】4月~11月/10:00~16:30(受付終了16:00)、12月~3月/10:00~16:00(受付終了15:30)
【拝観料】500円
【拝観休止日】水曜日、12月末に3日間(不定)、特別法要日
【アクセス】京都バス「西幡枝(円通寺前)」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】https://www.kyoto-entsuji-teien.com/
【公式Instagram】https://www.instagram.com/entsu_ji.iwakura/
聖護院門跡 書院【通常非公開 ※秋に特別公開あり】

書院(重文)
本山修験宗の総本山 聖護院門跡は通常非公開ですが、毎年秋に特別公開が行われます。
出家した皇族や摂家の方々が住職を務めた門跡寺院であり、後水尾天皇の皇子である道晃法親王は第28代の御門主でした。延宝4年(1676)には、後水尾天皇の側室であり、道晃法親王の母にあたる櫛笥隆子(くしげのたかこ)の女院御殿が御所から移築され、書院として現存しています。

じつは後水尾天皇が書院の設計に携わったと伝わり、各部屋を彩る意匠はセンス抜群。奥の間の花頭窓には、なんとガラスがはめられています。貴重な南蛮渡来の板ガラスで、床の間に光が当たるように計算されているのもポイントです。

「結び文」の釘隠し
釘隠しも趣向が凝らされ、なかには恋文をあらわす「結び文」の意匠も。後水尾天皇の側室への想いが伺い知れるようです。
今秋の特別公開では、書院の拝観はもちろんのこと、後水尾天皇ゆかりの寺宝も展示予定。時期が近付いたら、公式ホームページで詳細を確認してくださいね。
■秋の特別公開(予定)
【日程】2026年10月10日(土)~12月6日(日)の金・土・日・祝日、10月21日(水)・22日(木)10:00~16:00(受付終了)※法務により拝観休止日が発生する可能性があります
【料金】800円
【拝観時間】特別公開時10:00~16:00(受付終了)
【拝観料】境内自由、特別公開時800円
【アクセス】市バス「熊野神社前」バス停から徒歩約3分 Google map
【公式ホームページ】https://www.shogoin.or.jp/
【公式Instagram】https://www.instagram.com/shogoin_koho/
水無瀬神宮 燈心席【事前予約制】

神門(登録有形文化財)
京都の山崎のお隣、水無瀬は豊かな水に恵まれた風光明媚な地として古くより貴族に愛され、鎌倉時代には後鳥羽上皇が水無瀬離宮を造営したことで知られます。
離宮跡に創建された水無瀬神宮は後鳥羽上皇をお祀りし、寛永15年(1638)に行われた後鳥羽上皇四百年遠忌では後水尾上皇が和歌を奉納しています。

燈心席(重文)
和歌に通じた後水尾上皇にとって、『新古今和歌集』を編纂した後鳥羽上皇は崇敬の対象だったはず。
その縁からか、社殿の奥には後水尾上皇が下賜したと伝わる茶室「燈心席」があり、事前予約で外側から室内を見学できます。
茅葺屋根から受けるのどかな印象とは異なり、室内はさまざまな材が用いられ、隅々までデザイン性に富んでいます。
なかでも驚くのは本席の格天井の細やかさ。山吹、トクサ、ヨシ、萩など灯芯に利用される10種類あまりの植物の特性をいかして、巧みに組み合わせています。この“灯芯”が茶室の名前の由来で、お茶席に招いた人の心に明かりが灯るようにという願いが込められているそうです。
随所のこだわりを見ると、きっと後水尾上皇が設計に携わったに違いないと感じられます。
■水無瀬神宮
【参拝時間】9:00~16:00
【参拝料】境内自由、燈心席1,000円(要事前申込み)
【アクセス】JR京都線「島本駅」から徒歩約10分 Google map
【公式ホームページ】https://www.minasejingu.jp/
【公式Facebook】https://www.facebook.com/minasejingu/
【公式Instagram】https://www.instagram.com/minasejingu
相国寺承天閣美術館 企画展「後水尾院の京」
最後に、展覧会情報をお届けしましょう。相国寺承天閣美術館では、2026年5月31日(日)より企画展「後水尾院の京」が開催されます。
後水尾上皇は禅に傾倒し、相国寺の僧侶を師に迎えて仏門に入りました。伽藍の再興にも尽力し、相国寺や周辺の塔頭にはゆかりの寺宝が多く遺されています。俵屋宗達や本阿弥光悦など、後水尾上皇が庇護した芸術家たちの作品を鑑賞し、寛永文化に親しんでみませんか。
■相国寺承天閣美術館 企画展「後水尾院の京」
【日程】Ⅰ期/2026年5月31日(日)~7月26日(日)、Ⅱ期/2026年8月2日(日)~9月27日(日)
10:00~17:00(受付終了16:30)
※7月27日(月)~8月1日(土)は展示替えのため休館
【料金】1,000円
【場所】相国寺承天閣美術館 詳細情報はこちら
【公式ホームページ】https://www.shokoku-ji.jp/museum/
※掲載内容は2026年5月22日時点の情報です。最新情報は各掲載先へご確認ください。
