再興20周年! 今年こそ巡りたい洛陽三十三所観音霊場

  • 散策

「西国三十三所観音霊場」や「都七福神まいり」など、神社仏閣の多い京都では様々な“巡礼旅”や“ご利益めぐり”が行われますが、平成に再興して20周年を迎えた洛陽三十三所観音霊場をご存知でしょうか。今年は記念の年ならではの、気になる特別事業も盛りだくさん! “京都市内完結型”の観音様めぐりをご紹介します。
 
\京都が舞台の「福めぐり」をご紹介/

洛陽三十三所観音霊場の歴史

東向観音寺

東向観音寺

洛陽三十三所観音霊場は、平安時代に後白河天皇によって定められました。応仁の乱で衰退するものの、江戸時代に霊元天皇が、現在に見る札所および巡礼順路(札所番号)とほぼ同じ形態で中興。しかし、明治の廃仏毀釈を経て再び衰退してしまいます。
そして、いくつかの札所寺院を入替え、現在の形で再興を遂げたのは平成17年(2005)のこと。今年はその“平成再興”から、20周年にあたるのです。
  • バスや電車を利用すれば巡礼は更にラクラク

    バスや電車を利用すれば巡礼は更にラクラク

  • 効率的な巡り方や、札所の紹介が書かれた公式ガイドブック (300円)

    効率的な巡り方や、札所の紹介が書かれた公式ガイドブック (300円)

洛陽三十三観音霊場が創設されたのは、「広域なため巡礼が困難な西国三十三所に替わる霊場巡りを…」という後白河天皇の思いから。「洛陽」が京都を意味する通り、33の全ての札所が京都市内に点在するため、“巡りやすさ”が大きな特長のひとつです。公式ホームページやガイドブックには、4行程(4日)に別けてすべてを巡るおすすめコースも掲載されていますが、交通機関などを上手く利用すれば、3行程(3日)でも十分巡ることが可能であるそう。

札所には、有名寺院もたくさん

  • 東寺

    東寺

  • 十一面観音菩薩が祀られる食堂

    十一面観音菩薩が祀られる食堂

  • 十一面観音菩薩 ※特別な許可を得て撮影しています

    十一面観音菩薩 ※特別な許可を得て撮影しています

気になる札所はというと、東寺清水寺三十三間堂など、京都観光での定番寺院も多く含まれています。清水寺境内には、第十番から第十四番まで5つが点在するなど、このことからもコンパクトに、そして気軽に巡れることが想像に難くありませんよね。
また、五重塔や立体曼荼羅を祀る講堂などで知られる東寺の札所は食堂(じきどう)。有名寺院であっても、通常の旅行では見落としがちなスポットを巡ることができるのも、魅力の一つと言えそうです。
  • 東向観音寺

    東向観音寺

  • 誓願寺

    誓願寺

北野天満宮の神宮寺とされ、菅原道真自作と伝わる十一面観音(通常非公開)を祀る東向観音寺(Google map)や、弘法大師空海作と伝わる十一面観音を祀り、“落語発祥のお寺”ともされる誓願寺など、札所には興味深い由緒をもつ寺院が数多く見られます。ちょっぴり“京都を深掘りしたい”という方にもおすすめの巡礼旅なのです!

札所のお坊様に聞く、巡礼の楽しみ方

廬山寺の町田亨宣さん

廬山寺の町田亨宣さん

洛陽三十三所観音霊場の楽しみ方を、32番札所廬山寺の執事長である町田亨宣さんにお伺いしました。
 
町田さん 「何と言っても京都市内に、札所が集まっているので、気軽に巡礼できるのが一番の魅力でしょうか。再興するにあたり、草創期からお寺が変更になっている場合もありますので、『順番通りに巡らなくても』良いと思います。また20周年期間中に巡ることが困難であっても、例えばお目当てのスポットでのお花見や紅葉狩りの際に、近くの札所に立ち寄るなど、何かの機会に少しずつ巡っていただくのも良いのではないでしょうか」
 
コンパクトに札所が点在しているので、ちょっとした“隙間時間”などを利用して、少しずつ巡礼を楽しめるのも大きなメリットのように思います。京都旅をより深くしてくれそうな巡礼旅に出かけてみませんか?
 
■洛陽三十三所観音霊場会(長圓寺内)
【公式ホームページ】http://rakuyo33.jp/
【問合せ】075-841-2903(9:00~16:00)

記念の年の見逃せないポイント①
特別御朱印

  • 「再興20周年記念印」が押印された金戒光明寺の御朱印

    「再興20周年記念印」が押印された金戒光明寺の御朱印

  • 「公式御朱印帳」はこちらの三冊

    「公式御朱印帳」はこちらの三冊

  • 手ぬぐい

    手ぬぐい

「記念の年」となると、その年ならではのイベントや催しが気になりますよね。ここから3つご紹介します。まずは特別御朱印です。
2025年12月31日(水)までの再興20周年期間中に、各札所で授与される御朱印には「再興20周年記念印」が押印されます! すべてを巡り、公式御朱印帳御朱印を受けられた方には、1番札所の六角堂[頂法寺]で、記念品として手ぬぐいを贈呈(先着1,000名)♪ ちなみに再興20周年記念印と手ぬぐいは、京都市立芸術大学の学生さんのデザインによるものであるそう。
 
なお、さまざまな種類の御朱印を授与される札所もあるので、「洛陽三十三観音の御朱印をお願いします」など、納経所や授与所の方に分かりやすく伝えましょう。

記念の年の見逃せないポイント②
第59回 京の冬の旅

  • 「五色八重散椿(見頃は例年3月中旬から4月上旬)」で有名な地蔵院

    「五色八重散椿(見頃は例年3月中旬から4月上旬)」で有名な地蔵院

  • 十一面観世音菩薩立像(地蔵院)

    十一面観世音菩薩立像(地蔵院)

  • 五劫思惟阿弥陀如来像(地蔵院)

    五劫思惟阿弥陀如来像(地蔵院)

「京の冬の旅」の一環として行われる「非公開文化財特別公開」を毎年楽しみにされている方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は今年のテーマのひとつが「洛陽三十三所観音霊場」で、札所である頂法寺[六角堂]、平等寺[因幡堂](Google map)、地蔵院[椿寺]で特別公開が行われています。
地蔵院では、十一面観世音菩薩立像に加え、仏像ファンの間で人気の五劫思惟(ごこうしゆい)阿弥陀如来像などを特別公開。期間中に訪れると、通常非公開の仏様や貴重な寺宝もあわせて拝観できるチャンスです。
 
また、2025年2月28日(金)には、六角堂・平等寺・地蔵院を含む5つの札所を、お坊様と一緒に巡礼する特別企画も開催! 「京の冬の旅」の特別公開も楽しめるとあって、またとない貴重な機会となりそうですね♪
 

記念の年の見逃せないポイント③
お砂踏み巡礼

  • 令和6年(2024)10月に、城興寺で行われたお砂踏み巡礼の様子

    令和6年(2024)10月に、城興寺で行われたお砂踏み巡礼の様子

  • お砂踏み巡礼に参加された方には、記念の散華(1枚)が贈呈されます

    お砂踏み巡礼に参加された方には、記念の散華(1枚)が贈呈されます

なんと今年の3月6日(木)~9日(日)に、「雷門」で有名な東京・浅草寺に、洛陽三十三観音霊場の出張が決定! というのも、各札所の観音様が描かれた御軸の前に境内から集められた砂が敷かれ、踏みしめながら歩くことでご利益が授かれるという「お砂踏み」が行われるのです! 初日となる6日(木)には、本堂にて法要も執り行われるそうなので、関東近郊にお住まいの方はぜひ足を運ばれてみてはいかがでしょうか。
なお、お砂踏み巡礼は、9月29日(月)~10月2日(木)に京都・東寺でも開催予定とのこと。大々的な記念事業となりそうです。

■洛陽三十三所観音霊場 お砂踏み巡礼
【日程】2025年3月6日(木)~9日(日)<東京・浅草寺>
    ※記念法要3月6日(木)14:00~
        2025年9月29日(月)~10月2日(木)<京都・東寺>
【時間】10:00~16:00
【料金】無料
【場所】浅草寺 Google map
    東寺[教王護国寺] 詳細情報はこちら
※掲載内容は2025年1月24日時点の情報です。最新情報は掲載先へご確認ください。

Written by. 「そう京」編集部

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